おいで、一緒に行こう―福島原発20キロ圏内のペットレスキュー

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著者 : 森絵都
  • 文藝春秋 (2012年4月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (206ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163753003

おいで、一緒に行こう―福島原発20キロ圏内のペットレスキューの感想・レビュー・書評

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  • 福島原発の20キロ圏内では現在でも取りのこされているペット達がいる。
    そしてそのペット達を一匹でも多く救おうと活動を続けるボランティアの人達がいる。
    森絵都さんはその様子を取材し一冊の本にまとめた。

    ボランティアをする事が正しいのか正しくないのか、本を出版することが正しいのか正しくないのか。
    森さん自身も何度も戸惑い苦悩する様子が伝わってくる。

    離れ離れになってしまったペットとその飼い主。
    過酷な環境下にあっても餌を与え続ける地元住民や、ペットを救おうと警察の目をかいくぐって活動するボランティア。
    森さんは感情を入れずに淡々と記録しようと努力はしているが、取材対象は救おうとする側に限られる。
    そうなるとなぜ20キロ圏内がバリケードで封鎖されているのか、なぜ自治体によるペット救出が行われないのか、どうしても本質が隠れてしまうような印象を受けた。
    放射能レベルが高い地域でマスクを簡単に外してしまう記述や、キャンプを張ってまで動物たちを救出しようとする姿にどうしても違和感をぬぐいきれなかった。

    もちろん一匹の犬が飼い主の家族、とりわけおばあちゃんに再会する場面は涙なしには読めなかったし、飼いたくても飼えない状況下にある切なさには心が痛んだ。

    考えれば考えるほど分からなくなる。
    何が正しいのか何が間違っているのか。
    出来る限りフラットな状態で考える必要があるとは思う。
    でも最後の最後は己の信念に従うしかないのか。
    色々なことを考えされられる本だった。

    最後に、ブクログ仲間さんは猫好きが多いようなので・・・。
    猫は絶対に置いてきてはダメだそうです。
    猫は捕獲が非常に難しいみたいです。
    万が一(の事があっては困りますが)の時は、迷わず飼い猫連れて行くことをお勧めします。

  • 作家の森絵都さんの視点を通して語られる、福島原発20キロ圏内でのペットレスキューの現実。

    避難勧告に従い、ペットを置いていかざるを得なかった圏内の人達。
    置いていかれた、ペットや家畜たちを救出しようと潜入し続けているボランティアの人達。それを取り締まる警察や自衛隊。震災直後のニュースではその存在がとても頼もしく思えた警察や自衛隊が、なんだか恨めしく思えてしまった。
    もちろん、圏内へ無断で足を踏み入れるのは違法行為で、ボランティアの人達も自分たちの行いが正しいかは分からないと口にしている。
    それでも潜入し続けている、ペットを救出し続ける、その動機はなんなのだろうと森さんがボランティアの人達に訊ねると、皆が口を揃えたみたいに「母性」と答えていたのが印象的だった。そうか、母性か。なんて納得してしまうだけの説得力が「母性」って言葉にはあるんだなぁ。すごいな、母性。

    飼い主との再会の場面や、保護された犬から生まれた子犬を迎える家族、思わず顔が綻んでしまう写真が添えられている一方で、力尽きた猫の写真なども添えられている。
    森さんが、どこまでありのままに書いて良いのか思い悩んだ、その苦悩と共に、これらはすべて現実なのだと改めて痛感した。

  • 森絵都さん「おいで、一緒に行こう」読了。福島ペットレスキューのボランティア活動の実態を写真も交え描かれた本。福井県在住の女性「中山さん」の福島原発20キロ圏内のレスキュー活動を森絵都さんが取材。現地に残された犬、猫を保護したり、飼い主や里親探しの様子が描かれています。ペットと離れ離れになった飼い主の悲しみや後悔、誰もいない我が家を必死で守る犬など、ズシリと心に残る内容で、自分の想像以上のものでした。特に甲斐犬に似ている「カイ」の話に号泣。この本で森さんは福島の現状を、真実を少しでも多くの人に知ってほしいと綴っています。ペット好きな方以外でも、是非、多くの方に読んでもらいたい。感動しました。

  • 東日本大震災により被害をこうむったのは人間だけではありません。人間の伴侶とも言える犬や猫のペットから、家畜の牛や豚までがその被害をうけました。一緒に暮らしたくても元のように暮らせない、そんな苦しみ。人間もペットも早く元の生活に戻って幸せになるように願うばかりです(むしろ、願うことしかできないのが申し訳ないんですが…

  • 福島第一原発の事故により避難を余儀なくされた住民たちは、飼っていたペットを置いていかなくてはならなかった。

    避難生活が長くなり、餌や水がなくて命を落とす犬や猫がたくさん出てきた。

    その犬や猫たちを救出するべく全国からボランティアが活動していた。

    そのボランティアさんを森絵都さんが取材して、原発20キロ圏内のペットの現状をありのまま書いた話。

    ペットをレスキューするために避難地域に入るのは許されていないため、警察や行政に見つからないように、コソコソ活動しなければならないこと。

    時間が経ってしまい、ペットたちが警戒して暴れたり逃げたりして保護が難しくなっていること。

    保護した後の受入先が足りないこと。

    簡単ではないペットレスキューの大変さが伝わってくる。

  • 本日の返却本の中の一冊です。
    そして、予約が入っている本です。
    次の予約者は英語の教員ですが、このような本に興味を持っていただけるということが、個人的に嬉しく思います。

    司書宅には猫が4匹います。
    人から貰い受けた猫が1匹、後は捨て猫や野良猫です。
    司書宅の自治会では最近、猫がいるから保健所に連絡を、野良には餌をやらないで、ということが言われています。
    平和で、満ち足りている自治会で保健所・・・、困難に満ち溢れている福島原発20キロ圏内での、ペットレスキュー隊。ペットを助けるために必死な方々。
    この違いはどこにあるのでしょう。
    現場では多くの血が流れているらしいです。その血はペットを助けようとしている方々がペットにかまれたり、引っかかれたりした時の血。
    多くの生きとし生けるものが、助かりますように・・・。

  • 福島第一原発20㎞圏内に残されたペットの保護活動をしている市民団体に筆者が取材・同行したことを毎日新聞に連載されたものの単行本化。

    私は所謂「動物モノ」がダメだ。
    古くは映画「ハチ公物語」には本気で心身ともに具合が悪くなる程泣き、これは二度と見てはいけないと心に決めたのにも関わらずついついTVでそれもあのエンドロールだけを我慢できずに観てしまい案の定具合を悪くした。

    最近では村上たかしさんの「星★守る犬」に漫画で泣かされ映画館でも「涙を流す」なんて可愛らしいものではなく嗚咽状態で大変な目にあった。
    あの時たまたま同じシネコンに居た人は「そこまで泣くか・・・?」とドン引きさせた上にそんなに泣かれてはこっちの涙が引っ込むわ!とツッコミたかったかもしれない。
    正直すまんかった_| ̄|○

    話を戻そう。
    この作品には壮絶な環境に置かれたペット達が、ある子は元の飼い主へ、ある子は新たな飼い主さんへと第二第三の犬生を送ることが出来たほんの一部のハッピーエンドなお話と、大多数の哀しい最期を迎えざるを得なかった子達の命が綴られています。

    twitterでは山路徹さんがとらまろ通信として同じ20㎞圏内ペットの保護活動をされている内容を垣間見ていましたが、実際は山路さん以外にももっと多くの小規模団体のペットレスキューが行われていて、でもそれらがメディアによって私の目に届くことは無く、探してまでそれらの情報を得てしまうと自分が何がアクションを起こさない事による罪悪感を恐れてなるだけ避けてきました。

    でも、知らないことには出来ない。
    放射能汚染も復興税のオカシナ使われ方も家畜の大量餓死も。

    図書館読書を始めて、ずっと好きな小説家を見つけては最寄りの図書館にある限りのその作家の作品を網羅する読書の仕方をしてきた。
    そして、重松清で3.11被災者の現実を、森絵都で取り残されたペット達の現実を見ることになった。

    何度も泣きました。
    時には嬉しい涙もありましたが、ほとんどは辛い辛い辛い涙でした。

    どうしようもないこともある。
    どうしようもない人がいる。
    どうにかしようとしている人もいる。

    誰にでも勧められる本ではありません。
    でも知って欲しいと思う気持ちもあります。
    巻末の写真のわんこ達の笑顔に救われる気持ちになれましたが、彼らが見てきた味わってきた不安や恐怖・飢餓や寒さを思うと「帰って来られて良かったね」なんて軽々しく言えません。

    済んでしまったことを言っても仕方ないけれどあの日以来何度思ったかしれない言葉をまた思います。

     原発事故さえなければ

    今は少しは行政のサポートがあるようですが、何よりも民間との連携が急がれると思います。
    20㎞圏内に未だにいるかもしれないペット達全てが、人間への不信感を無くしまた良いパートナー(人間)と巡り会えることを祈ります。

  • 配置場所:1F電動書架C
    請求記号:645.6||Mo45
    資料ID:W0168217

  • 森絵都さんの作品が好きなので、動物病院の本棚に見つけてつい手に取った。受診を待つ間に少しずつ読み進めて、読み終わる。普段見ることの出来ないペットレスキューの現場は読んでいでどきどきした。つい泣いてしまう場面もあった。是非たくさんの人に読んで欲しい。

  • 福島原発20キロ圏内で取り残された動物を保護する活動をしている人達に密着したドキュメンタリーです。20キロ圏内には動物しかいません。ご主人様の帰りを待つ動物達。誰かが餌を与えないと死んでしまう、実際にたくさんの動物達がご主人様と会えずに最後を迎えています。そんな動物を保護するペットレスキューの方々。ですが、ペット保護という理由だと20キロ圏内の通行証の発行が下りないなんておかしいですよね。もう一度飼いたくても飼えない。胸が苦しくなりました。今回の熊本地震でも同じような方々、ペットがいると思うと・・・

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