2050年の世界 英『エコノミスト』誌は予測する

  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (429ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163755007

作品紹介・あらすじ

一九六二年に日本の経済大国化を予測し、見事に的中させたグローバルエリート誌が、今後四〇年を大胆に予測。ビジネスに、教育に、あなたの未来に関するヒントが満載。

感想・レビュー・書評

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  • 読了。 さまざまな分野にわたり40年後の世界を推察するという野心的な本だった。
    日本という国については人口動態からダメな方向に向かうことが予測されており、その点以外については比較的アッパーなことが書かれているので、まぁ読んでみてくださいという感じ。

  • イギリスの有名な経済誌『エコノミスト』が2050年を予測する。内容は、国際関係から科学・文化にいたるまで幅広い。2050年までの台風の目は衆目の一致するところ中国であり、台頭するアフリカであり、世界は貧富の差を縮めていき、アメリカ絶対優位の図式も崩れていくだろう……と予測している。


    一つ一つを読むのは骨が折れるけれども、章ごとにまとめが用意されているので、疲れたらそれを読んでもいいかも。さて、日本はどうかというと、2050年には超高齢化社会になっていて、経済的にも停滞、中国との差が拡大していき国際的な存在感を失っていく……という感じ。ちょっと世の中に詳しい人であるなら、そういう見通しは水晶玉を観るよりも簡単だと思う。


    でも、この本の最後にマット・リドレー(この人が書いた『繁栄』は超面白かった)が書いているように「予測は外れる」わけだし、そういう意味において、没落する日本という未来は回避が約束されているのではないかな……と思うわけなのだ。もちろん、マット・リドレーが言うように、「レールの上で向かってくる列車を呆然と観ていたらそうなる」わけだから、日本は率先して変化の荒波に立ち向かう必要があるのだけれど。


    世の中の潮流を総合的に知りたい人にオススメ。でも、エコノミスト誌だけあって、文章は超硬い。読み慣れない人はかなり苦労するだろうと思う。

  • データは流石に古いが、そこからの洞察がトレンドをよく捉えているため、2021年の現在読んでみても、取り上げられている問題の方向性や動向についてはよく通用します。直近の動きで二転三転と意見を変える駄本が多い中、こうしたしっかりとした動向分析の本を再読する意義はあると思います。

  • インターネットが知性を持つのはなにもSFの専売特許ではない!読んでて2050年、自分は生きているかわからないとふと気がつつく。日本は高齢化が先進国中、一番進む。経済や温暖化は不確定要素が多すぎて、予測は不可。核戦争の危険は冷戦時代より高い。宗教は緩やかに衰退する。(アメリカが例外とは改めてアメリカの特異性を教えられる)

  •  「世界を変革するトレンド」によって「2050年の世界を予測する」という本書は実に説得力がある。
     しかも本書の描く世界は、大きな変化はありつつも、悲観的・破滅的な世界ではなく、「2050年の世界はそれほど悪い場所ではない」という。変化を予測しつつ、世界を見つめる視線を持つ本書は、ひょっとして「必読の書」なのかもしれないと読後に思った。
     「人口動態はある程度確実に未来が予測できる指標であり、すべての予測の基礎となる」とはまさにそうだろう。しかし「出生率は世界的に低下する・・・。2050年以降、人口の増加率は急減速し、ゼロに近づいていくだろう」とは、本当にそうなるのだろうか。
     「宗教はゆっくり後退する」という。「原理主義的勢力は退潮し、最終的に地球を受け継ぐのは無宗教の勢力だ」との予測が正しければ、現在世界の一部で猛威を振るう原理主義勢力は衰えるのだろうか。
     本書の「貧しければ貧しいほど宗教に帰依する割合が高くなる」との指摘はそのとおりと思えるが、世界はこれからもっと豊かになることができるのだろうか。
     そして「不確実性が高まる」や「教育が生産性を高める」など、多くの指摘に納得する思いを持ったが、「2050年までに経済の世界規模で上位7ヵ国に残るのはアメリカのみ。あとは中国、インド、ブラジル、ロシア、インドネシア、メキシコ」とは驚きとしか言い様がない。
     また、世界は「アジアの発展途上国全体で世界の生産高の半分近くを占めるようになる」という。この世界へと進む過程の政治的経済的軋轢は相当のものになるだろうとの感慨を持った。
     「各国間の格差は縮小し、国内の格差は拡大」するというが、日本は人口の減少により「人口一人あたりGDPも、米国を100とすると、韓国の105に比べて日本は58に沈んでいく」という。
     どうやら「2050年の世界」は、日本にとっては住みやすい世界ではなさそうである。
     本書は400㌻以上のボリュームで「人口・言語・宗教・経済・ビジネス」等を詳細に予測しているが、このような企画を実現しているイギリスの週刊誌はすごいとしか言い様がないと驚嘆した。本書を高く評価したい。

  • 1962年に日本の経済大国化を予測したエコノミストが2050年を予測したものをまとめたもの。全体を読んだ印象としては「世界の未来は明るい、日本の未来は暗い」である。将来の購買力が韓国の半分である
    日本がそうなる理由はいくつかあるが、最も大きな問題は高齢化社会と人口減少にある。当然のことであるが、これはすぐに回避できる問題ではないだけに厳しい。

    ・市場を国内ではなく海外に求めていかなければならない。
    ・高齢化社会を回避できないが、その財政負担を軽くする、海外へサービスを提供できるようなイノベーションを生み出さなければならない
    ・女性の進出を促進し、国力を増さなければならない

    日本は先人、成功経験を踏襲する傾向があまりに強い。それがイノベーションを阻害しているのではないだろうか。またオフショアで作成したモノを日本に売るというビジネスモデルは限界を迎えている。ここから変えていかなければならないのだろう

    メモ
    1章 人口の配当を受ける成長地域
    ・特定の国で人口増加率が高い。ナイジェリア、タンザニア
    ・中国は2025年に減少に転じる
    ・人口の増大、高齢化は政府のありようを一変させるだろう
    ・戦死者は1940年後半は10万人に20人の割合だったが、2000年には0.7人まで低下。これは平和な国の自殺率を下回っている
    ・日本は世界史上最も高齢化の進んだ社会であり、未踏の社会となる

    2章 人間と病気の将来
    ・高齢化、肥満化が進む
    ・途上国で癌が増える
    ・ワクチン開発、ゲノム解析が進んで新しい薬も開発される

    3章 経済成長がもたらす女性の機会
    ・高学歴女性の数が伸びた
    ・富裕諸国の女性はおおむね男性より成績が良い
    ・だが、いまだ多くの女性が「ガラスの天井」で昇進を阻まれている
    ・女性の方が平均勤務時間が短い。これは女性にはほかにやるべき仕事が多いため
    ・女性は男性より無給労働が二倍長い
    ・育児、高齢化の介護問題

    4章 SNSの可能性
    ・SNSが一つの国家となる
    ・意思決定に友人意見が強まる、集団英知の利用(WIKIなど)の度合いが強まる、マスコミに頼らずとも大規模な運動が可能

    5章 言語と文化の未来
    ・人は世界中から意見を手に入れることが出来るが、接触を望むのは自分と似た意見
    ・音楽が世界をひとつにして、みんなが理解できる言葉・・・という考えもあるが、依然強いのは地元の言葉で歌う地元の旋律
    ・今後100年で世界の半分の言語が死滅する
    ・今後英語に代わる世界言語はコンピューターである。
     だが英語の一極集中は崩れない

    6章 宗教はゆっくりと後退
    ・貧しければ貧しいほど宗教に依存する
    ・経済発展とともに宗教は相対化されていく
    ・唯一の例外はアメリカ。先進国で貧困国のパターンを有している

    7章 地球は本当に温暖化するか
    ・正確に予想する方法は確立していない

    8章 弱者と強者となる戦争の未来
    ・無人飛行機など戦争のロボット化
    ・先進国は高齢化による税政悪化でかつてほど防衛費に予算を回せなくなる

    9章 おぼつかない自由の足取り
    ・先進国では後退、新興国で前進
    ・インドは複数政党制で苦しむ

    10章 高齢化社会による国家財政の悪化
    ・アメリカの債権は2035年で持続不能な185%となる。
     だが日本は2012年で219%である
    ・オランダは国家予算から加入者のリスクに応じた補助金を出して解決
     アイルランドはオランダを模倣とした改革を目指している
    ・未来の国家は効率化だけでなく、より高い歳入を得るための成長戦略
    ・世界的な高齢化によって、年金と健康医療保険の増大が大きな負担

    11章 新興市場の時代
    ・経済の長期予想角度は低い。だが間違った数字でも全く数字がないよりましであることは多い
    ・2050年にG7で経済規模に残ってるのはアメリカだけで、他は全てアジア勢に抜かれる
    ・GDPに占める工業と農業の割合は減る
    ・中国は2025年から急速な高齢化を迎える

    12章 グローバリゼーションとアジア
    ・グローバリゼーションは一般に考えられるほど進んでいない
    ・日本は2030年には韓国の約7割、2050年には5割強になる。
     日本が急速にプレゼンスを失っていく
     (購買力平価ベース)

    13章 貧富の格差は収斂
    ・新興国は伸びる
    ・先進国は高齢化により落ちていく
    ・結果として差は縮まる

    14章 シュンペーター
    ・イノベーション

    15章 バブルと景気循環

    16章 次なる科学
    ・次なる科学は生物学
    ・日本は科学のノーベル賞は15人。オーストラリアとほぼ変わらないが、人口は7%
    ・日本は先人の理論に迎合しがち。
     科学は権威に従うのではなく、挑むことで進展する
    ・日本はぬるま湯のような暮らしでぼんやりと日を過ごしている。

    17章

    18章 情報技術
    ・今後はハードのスペックではなく、人間の思考、発見、知識の共有
    ・情報不足ではなく情報過多の時代
    ・企業は上意下達型から知識共有型の組織に
    ・大衆化は今後早くなっていく
    ・だが、コンピュータの情報処理はまだ生体に及ばない。
     世界中のコンピュータが処理しても、それは人間の脳の5分程度にすぎない

    19章 距離は死に、位置が重要に
    ・国際間のテレビ会議は一般家庭に進出する
    ・距離が意味をなさなくなり、どこで何をするという位置が重要になる
    ・常時接続により人々は話すことに興味を失いつつある

    20章 予言はなぜ当たらないのか
    ・今後40年でエネルギーが低価格化する
    ・旧来の再生可能エネルギーは将来価格競争をしたり、必要量のエネルギーを算出する見込みはない
    ・通信は今後底を打つような価格になる
    ・政府は自分たちのコストを下げる努力は全くなしていない
     法、防衛、保険医療などは低価格化を受け付けないという言い訳もある
    ・進歩すべきはサービス分野
    ・絶滅種の復活。マンモス

  • 2050年というと37年後。僕は67歳で、まだまだ生きているはずなので、この予測は他人事でないです。

    英「エコノミスト」誌が編集する2050年の世界、20名の執筆者が人口、医療、SNS、文化、宗教、言語、経済、温暖化、テクノロジーについて予測している。

    予測は当たるか外れるか分からないが、それぞれの章は多くのバックデータに基づき論ぜられているので、疎い分野では特に基礎的な知識が身につく。

    個人的には「距離は死に、位置が重要になる」というテーマが気になった。

    最後の章が「予言はなぜ当たらないのか」。こんな本を編集して、ふざけてるのかと一瞬思うけど、この章は本当に的を得ている。つまり将来の予測が常に悲観的なのは、よいニュースは流行らないという、人間心理のバイアスがかかるから、そして何より人間は対策を講じれるから。

  • 40年近く先の世界。現状のトレンドが基盤になっているので、さほど意外な分析は出てこない。ただ大きな方向性のようなものを確認する上では参考になった。基本的に一つのテーマごとの記事が割とあっさり終わるので、この本を出発点に各分野の「予測本」に進むのがベターかと思う。

  • 2023/12/17

  • 10年前に40年後の2050の予測をした本
    原文(英語だろう)ならいいんだろうが、翻訳がしっくり来ない
    読んでも頭にすんなり入ってこない
    あくまでも個人的な意見ですが
    もう少しわかりやすい日本語ならよかった

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