よちよち文藝部

著者 :
  • 文藝春秋
3.64
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本棚登録 : 933
感想 : 135
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  • Amazon.co.jp ・本 (154ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163757506

作品紹介・あらすじ

読んでなくても大丈夫!名前しか知らない超有名文豪と名作を知ったかぶれる文藝コミックエッセイ。太宰、漱石、谷崎など文豪と名作の魅力を、よちよちした取材と緻密な妄想で語り倒します。文学を学びながらも大爆笑。

感想・レビュー・書評

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  • 笑った笑った!世界文學編を先に読んでたけど、こちらの方がより瑣末な所を取り上げていて面白かった。改めて見ると原作読んでない物が多かった。『よちよち〜』と斎藤美奈子さんの『名作うしろ読み』で読んだ気になってしまってる自分がこわい。

  • このシリーズは "世界文學篇" を先に読んだのですが、海外作品と同様に日本の"文豪"として名の知れた方の作品もほとんど未読です。
    小中学生時代の国語の授業で学んだ作品が知っていることの全てと言っていいくらい無知です。

    宮沢賢治も今だに国語の教科書に載っていますが、最近読んでみて時代遅れの道徳観が含まれていると感じました。
    時代の変化を経験してきた大人が、昔の日本文学と承知の上で趣味として読むのはいいですが、小中学生にはどうなのかなと思います。

    でも本書は、そのような高尚な位置に奉られた「文学作品」の内容を紹介する本ではないのです。
    才能あふれる人物として脳みその何処かに(義務教育で)刷り込まれた「文豪」達をいじくり倒し、悪意に満ちたエピソードで笑いを誘おうという本なのです。

    読んでいて気になってしまったのが、早死の人が多いなあということ。
    そこで、本書で取り上げられた文豪を短命順に並べてみました。(理系はこんな事が好きなんですよ!)
    恥ずかしながら、石川啄木などは長い白髭を蓄えた爺さんのイメージを持っていました。

    樋口一葉  1872-1896 24 肺結核
    石川啄木  1886-1912 26 肺結核
    中原中也  1907-1937 30 結核性脳症
    梶井基次郎 1901-1932 31 肺結核
    中島敦   1909-1942 33 気管支喘息
    芥川龍之介 1892-1927 35 薬物自殺
    宮澤賢治  1896-1933 37 急性肺炎
    太宰治   1909-1948 38 入水心中
    三島由紀夫 1925-1970 45 自決
    夏目漱石  1867-1916 49 胃潰瘍
    菊池寛   1888-1948 59 狭心症
    森鴎外   1862-1922 60 腎委縮、肺結核
    川端康成  1899-1972 72 ガス自殺
    谷崎潤一郎 1886-1965 79 腎不全、心不全
    内田百閒  1889-1971 81 老衰
    志賀直哉  1883-1971 88 肺炎
    井伏鱒二  1898-1993 95 肺炎

  • 他のブクログユーザーさんのレビューで知りました。
    本好きですが、いわゆる名作というものはほとんど読んだことがないのでちょっとコンプレックスを持っています(笑)
    そんな私のような名作食わず嫌いな読書好きの方にも逆に名作大好きの方にも面白く読めそうな漫画でした。

    取り上げられるのは国語の教科書に載ってそうな豪華な作家陣。太宰、漱石、谷崎など、一部取り出した文章を学校の授業で読んだor読まされた記憶のある方たちばかり。

    教科書では教えてくれない作家の人となりと作品世界を番子さん視点で愛のあるメッタ切り!

    しかめっ面したモノクロ写真の文豪達がグンと身近に感じられて、作品を読んでみようかな、という気分になってくる。

    わたしが学生の頃は今のように『文学』をカジュアルに楽しんでいいよ!遊んじゃっていいよ!な雰囲気はあまりなく、(そっち方面にアンテナはってなかっただけかもしれませんが)
    眉間にシワよせて顎に手をそえて読むものだった気がします。それで「わからん...もう読むのやめよう」となってしまうという。

    もったいなかったなあと思います。
    ああ、ウン十年前に番子さんがいてくれれば...!

    毎回「こうくるかっ!」というような切り込み方でくるので
    飽きずに最後まで楽しめました。

    今の学生さんたちのために学校の図書室に置いておいてあげてほしいくらいです。余計なお世話ですが(^^;

    • nejidonさん
      5552さん、こんにちは♪
      楽しいレビューだなと思いながら読みました。
      ブクログに集うひとが全て名作・古典好きとも限りませんし、教科書に...
      5552さん、こんにちは♪
      楽しいレビューだなと思いながら読みました。
      ブクログに集うひとが全て名作・古典好きとも限りませんし、教科書に載るような
      作品はそもそも子どもの年齢に比して敷居が高いのです。
      むしろあれで嫌いになっても仕方がないくらいじゃないでしょうか。
      って、これは私の考えですけどね。
      大人になってから読んでみて、その面白さに目覚めるというひとの方が多いですよ。
      きっとこういった本が、ひと役買っているのでしょうね。
      名作の世界に足を踏み入れその端然とした文章に触れると、今の小説を読めないというひともいます。
      いつか5552さんの、名作を読んだ後のレビューを読んでみたいです。
      2017/12/17
    • 5552さん
      nejidon さん、こんばんは。
      コメントありがとうございます☆
      やっぱり古典って難しそうなイメージがありますから、とっかかりにこうい...
      nejidon さん、こんばんは。
      コメントありがとうございます☆
      やっぱり古典って難しそうなイメージがありますから、とっかかりにこういう本があれば読むきっかけになりますよね。作者がこんなダメなやつだったとか、実はこんなに作品がエッチだとか(笑)そういう卑近な例からでもいいような気がします。宮沢賢治でも『アメニモマケズ』の苦労の多い聖人のイメージから『ニートでシスコン』の‘残念な人’に変わってからの方が作品に興味が出てきました。怖い人じゃないじゃん、つまんない人じゃないじゃん、と(^-^)
      青空文庫で賢治を何作か読んだのですが、涙で画面が滲みました。レビューも書こうかと思ったのですが私などの筆力では彼の世界を壊してしまいそうで...。まあ壊れませんけど(笑)

      先日、本棚を漁っていたら谷崎潤一郎の『猫と庄造とふたりのをんな』があったのでそれを読んでみようかな、と思っています。
      2017/12/17
  • 伝記漫画のきれいごとを無くした

    となれば 面白くないわけがない

    これは 一種の学習漫画です
    常にふんどし姿で書かれた三島に笑い

    前々から フェチだと思っていた

    川端の抱き枕に笑い

    細雪は そう思えば下痢だらけの話でした
    改めて作品も読みたくなって困ります

  • 太宰、漱石、中也など16人の文豪を代表作とともに紹介する文藝コミックコミック(ギャグかなり多め)

    太宰ファンの身の上話大会な桜桃忌の様子とか、
    もし坊ちゃんがSNSしてたらとか、
    世界文学篇よりもこちらの方が断然面白いです。
    が、作品にまで手が伸びるか…はどうでしょうね
    (文豪の作品ではないけど、中也と小林がとりあった泰子の自伝が読みたい)

  • 日本の教育を受けるおおかたの人にとって、「文豪」と呼ばれる人々の作品というのは、自分から進んで読むというよりも、中学~高校の国語の教材として、半ば強制的に触れさせられるものなんじゃないかと思う。しかも、それを読んで「感動した!」というよりも、「えー、こんなのありー?」と感じたりする。でも、その作品群ときたら、世の中的には結構「名作」として通っているもんだから、「自分の理解が拙いんだあ」と縮んでしまって、特に読み返すこともないまま、そのまま記憶のかなたに…という扱いになっていることが多いのではないだろうか。少なくとも私はそんな感じでございます。

    そんな私(たち)の残念な記憶群になってしまっている作品のかずかずを、番子部長率いる「よちよち文藝部(略称:よち文)」がツッコミながら、ボケながら紹介してくださる漫画。ぱらぱら読んでみての第一印象は、「よかった、私だけじゃなかった!」の嵐。どうしても好男子に思えない坊っちゃんのキャラ、上手いんだろうけどどこが上手いのかまったくわからない志賀直哉、異国の娘さんを孕ませて逃げるたあどういう了見だ、おい!っと襟首をつかみたくなる太田豊太郎(『舞姫』)…おお、中高生の私の感想とツッコミがここに!相応の歳を重ねて、「ああ、こういうことなのか、それも悪くないねえ」と思える点もそこそこ見つけられるようになった(気がする)けど、基本的に引っかかるポイントはやっぱり変わらない。まあ、それでもいいか、にんげんだもの。

    写真からは非モテとしか思えない(番子部長的にはそうらしいけど、そうかなあ)中島敦の意外なプロフィールや、ナルシストマッチョ美学特盛りの三島など、面白文芸ネタ総まくりの中で、個人的にいちばん面白かったのは太宰治の「桜桃忌」取材記。太宰に心酔する人たちの、なんか太宰とは違うところでの熱さが強烈で、オチも効いている。一度桜桃忌を見物に行ってみたい(笑)。それにしても、グレゴリ青山さんの『マダムGの館』といいこの本といい、文芸ネタと『ガラスの仮面』ネタの相性があまりにもよすぎてしびれる。

    今からでも、私も「よち文」の部員になりとうございます。

  • いわゆる「名作」と呼ばれる日本の文豪達の作品、中高時代は国語の授業も含め、それなりに親しんできたのだが…
    今ではストーリーうろ覚え(汗)
    いや、私以外にもそういう人、多いんじゃないだろうか?うろ覚えだったストーリーの輪郭をはっきりさせようと、手に取ってみました。
    さすが番子さん、一筋縄じゃいかないよね!太宰、漱石、鴎外、芥川、三島、谷崎…といった文豪の人生、名作の数々、おぼろげな記憶ははっきりしたものの、「あ、こんな話だったっけ」といった思いがけない発見も多々ありました。こんなに文豪達をいじってしまっていいものかと若干不安になったものの、個人的にはツボです。
    特に、私の故郷出身の宮沢賢治。番子さんもファンだからか少しお手柔らかでしたが(笑)今更ながら賢治の「岩手」愛を感じ、ちょっと切なくなりました。賢治作品は近いうちに絶対再読する!
    同じ岩手出身者でも、啄木は「あちゃー」な一面を知ってしまい、いささか残念でしたが。…まあ、全体的に「残念」な方が多いですね、文豪。ということがこの本を読んでの収穫ですが、決してがっかりしたのではなく!むしろ興味がわいたというもの。「温故知新」な気持ちで、今後も色々自分なりに作家達を掘り下げてみたい。
    ペンギン番子さん、次はどんな分野で会えますかな?

  • 文豪たちを、ここまで身近に面白く描ける筆者の筆力に脱帽。

    文豪だからといって構えずに、親近感を持った切り口で紹介。「よちよち」という題名でもあり、筆者自体がこの漫画を描く前にはじめて読んだ話も多いというが、文豪たちの本質をよくとらえ、短いページで表してしまう。しかもギャグに昇華という技の見事さ。

    個人的には、川端康成のパートがかなり面白かった。
    エロいことを隠しまくる川端に、ストレートに突っ込む。

    もっと続けて欲しかったな。

  • 面白かった〜!
    終始堅苦しくなく、とにかく文豪に対してユーモアたっぷりにツッコみまくる漫画です
    紹介されている文豪全員にいつの間にか愛着が湧きます

    特にお気に入りは三島由紀夫の話!
    キャラが立ちすぎてる!濃い…(笑)

  • 文豪を題材にしたコミックエッセイ。文豪その人に興味はわきます。作品となんか印象違う…という人が多かった。今まで所謂名作と呼ばれるものはあまり読んできてないのですが、もっと色々読みたくなりました。

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著者プロフィール

愛知県出身。
2000年、「月刊ウィングス」(新書館)の『NO GIRL,NO LIFE!』でデビュー。書店でのアルバイト経験をもとにしたエッセイ漫画『暴れん坊本屋さん』(新書館)で注目を集める。代表作に、近代日本文学を題材にした『よちよち文藝部』(文藝春秋)。ストーリー漫画では、若き女帝と侍従の少年の恋を描いた『パレス・メイヂ』(白泉社)がある。

「2022年 『ひらばのひと(3)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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