北京烈日 中国で考えた国家ビジョン2050

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (222ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163763705

作品紹介・あらすじ

尖閣に始まり尖閣に終わった--中国大使としての二年半弱の滞在は、まさしく「秋霜烈日」の日々でした。尖閣諸島が日本の領土である点について一切譲歩する余地はありません。しかし、まさに日中が角突き合わすこの島にどんな価値があるのか。冷静に考えれば、それほど重要な島でないことは容易に判断できることです。 同時に、北京から日本を眺めていると、つくづくこの日本という同胞社会の島国は国際感覚がないなあ、とそう思えてしまうのです。日本の国益を第一に考えれば、領土問題についても一刻を争う問題ではなく「お休み」といった選択肢も見えてくるはずです。中国の政治家たち、共産党の有り様、国家体制、中国人の習性やものの考え方の本質に迫るべきです。そこを踏まえた上で、習近平・中国とどう付き合うか。私なりにその方法を皆さんにお示ししたいと思います。 もうひとつ重要なことは、日本の国の行く末です。 四十年後の日本に思いを馳せる。最大の問題は世界人口が大爆発する時代に逆行して、日本の人口が激減してしまうことです。二〇五〇年には日本の人口は四千万人も減る。そのことは知識としてわかっていても、ではどんな世の中になるのかと具体的に思い浮かべることは難しい。一年で百万人、およそ富山県が一つずつ無くなっていく現実がすぐ目前に迫っている。これだけ人口が減っていくのに、アベノミクスのいう「成長戦略」なるものが描けるものでしょうか。その将来の現象を想像し、我々の社会はいま何を目指すのか、まずは国家のビジョンを考えるべきではないでしょうか。改めて考えてみてください。今の子供たちの将来のために、幸せな国家にする道を、我々がぼんやりとでも指し示すことができないようでは、死んでも死に切れない。そうしたやむにやまれぬ気持ちで本書を書き上げました。四十年後の日本を考える上で、読者の皆様に僅かなりとも共感をいただければ幸いです。(「自著を語る」より)

感想・レビュー・書評

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  • 尖閣絡みで不用意な発言をしたとバッシングされていた著者。あれだけバッシングされてもぶれていなさそうな発言をどこかでされていたのに興味を持ち、読んでみた。サブタイトルを良く見ていなかった所為もあるが、中身の半分ぐらいは中国というよりはこれからの日本に対する提言だった。

    中国に関する彼の見解は、やはり中国寄りと取られても仕方ない所があると思う。中国の内部事情も察してやるべしという趣旨の言葉が端々にあるが、それらは中国が国内で自らの手で解決すべき問題なのではないのか?と思う。勝手に”察した”所で、”察した”事を察してくれるとも限らないし。

    とはいえ、中国との外交判断を現地に居る人のいない所でやられたりしたら、著者もたまったものじゃないよなとも思う。

  • 【尖閣国有化で日中関係のフェーズが変わった】前駐中国大使が明かす中国政府のホンネ、中国人との付き合い方……。日本国はいかにして生き残るべきかを示す衝撃の問題提起!

  • 元 伊藤忠、元 中国大使である丹羽宇一郎の中国との関係をメインとしたエッセイといったところ。

    中国関係(尖閣諸島騒動)はあまり興味を持てなかったが、以下の2点が印象に残った。

    ■電力各社の原子力発電設備の償却残は2兆6000億円。
     すべてを廃炉にした場合、この損失をどうするのか?
    一定期間は原子力発電設備を動かし収入を得て、償却していくのが
     最も現実的解決策だ。

    ■君たちは何のために仕事をしているんだ?
    家族のため? 社会のため? お金のため? でも偉くなるためだけ仕事をするのだけはやめなさいよ。
    人間誰でも偉くなりたい。そのこと自体は、どこからも文句を言われる筋合いのものではありません。しかし、偉くなろうと思って仕事をしても偉くなれるものではない。偉くなりたい、誉められたいために仕事をするのは、仕事の本筋を踏み外している。邪心をおこさず、今与えられた仕事をとにかく一生懸命やりなさい。それが良い仕事を達成するために必要なことです。

  • 書名から、中国大使時代の様々なエピソードが書かれているのかと思ったが、実際には、日本は今後どうあるべきか、そのためには今どうするべきかについての著者の提言という内容だった。その意味では予想どおりの内容ではなかったが、案外面白かった。
    実業界出身の中国大使ということや、大使時代の発言から、親中的とか弱腰という批判もあった著者だが、本書を読むと、教養が深く、洞察力に優れているということがよく分かる。伊藤忠の社長、会長経験者というだけでなく、名経営者であり、経済財政諮問会議などの公的活動も長く続けただけのことはあり、視野が広く、将来を見据えたビジョンを持っている。
    本書における提言も多岐にわたるが、人口が減少していく日本が一流国であり続け、国民が豊かに暮らすためには、いま、教育を充実させ、人的資源を大切にしなければならないということを主張は、本書の中で実に説得的に展開されている。また、軍事力や経済力がまだ向上中の中国との付き合い方についても、大使時代の経験や洞察が反映されているのか、なるほどと思わせるものがある。
    本書を読むまで、著者のことをよく知らなかったが、こういう教養ある国士には、まだまだ活躍していただきたいものだ。

  • 心に刻みたい言葉


    謙虚さはどうすれば生まれるか?非常につらい経験、もしそういう経験がなくても読書が謙虚さを、与えてくれます。
    いろんな経験をした著書の貴重な言葉を己れの心のひだに刻むことです。この読書を毎日続けると明日への希望が湧いてきます。私が明日よりも今日よりもよくなるというのは、毎日読書をするという条件下で初めて言えることなのです

  • 【選書者コメント】中国を本当に知っている人の「中国論」(元中国大使)。

  • 正直あんまり共感できんなぁ

  • 2050年の日本のグランドデザインを筆者なりの考えが述べられていて分かりやすかったです。

    筆者は親中と言われた時期があったそうだが、本著作からはピンと決ません。
    むしろ愛国、国粋主義が行間から見えます。

    将来のためには教育が必要。
    まさにおっしゃるとおりですね。

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著者プロフィール

丹羽宇一郎(にわういちろう)
公益社団法人日本中国友好協会会長。一九三九年愛知県生まれ。元・中華人民共和国駐箚特命全権大使。名古屋大学法学部卒業後、伊藤忠商事(株)に入社。九八年に社長に就任すると、翌九九年には約四〇〇〇億円の不良資産を一括処理しながらも、二〇〇一年三月期決算で同社の史上最高益を計上し、世間を瞠目させた。〇四年会長就任。内閣府経済財政諮問会議議員、地方分権改革推進委員会委員長、日本郵政取締役、国際連合世界食糧計画(WFP)協会会長などを歴任ののち、一〇年に民間出身では初の駐中国大使に就任。現在、一般社団法人グローバルビジネス学会名誉会長、伊藤忠商事名誉理事。

「2023年 『仕事がなくなる!』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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