デフ・ヴォイス

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著者 : 丸山正樹
  • 文藝春秋 (2011年7月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (292ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163808109

デフ・ヴォイスの感想・レビュー・書評

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  • ハローワークで職探しの面談をきっかけに「手話通訳士」という資格をとった荒井。家族がろう者で手話ができたため17年前警察官時代に起きた殺人事件の被疑者がろう者の取り調べを手話通訳したことがある。17年前の被害者の息子が殺害され−

    ◆「Children of Deaf Adults」(ろう者の親の子ども)=Codaコーダ、という言葉を初めて知った。聴こえない家族の中で自分だけが聴こえる存在である人の悲しみも。聴こえない人に一言一句言葉を通訳するだけでなく「概念が理解できているか」通訳する難しさも。

    【ネタバレ】最近、老人ホームでの介護職員によるいじめだとか、盲導犬への嫌がらせだとか、ニュースで見たけど自分よりも力で敵わない人や動物、聴こえない、見えない、声をあげられないのをいいことに自分の欲望を押し付けたり鬱憤を晴らしたりする人の浅ましさ。今回は「犯人がわかり解決できて良かった」という簡単なものではなくて、家族の絆、【損なわれた子】という意味、色々なことを考えさせられる話だった…

    残念ながら荒井とは離婚にいたった前の奥さんも、幸せに過ごせているなら良かった。きっと前妻とは遺伝が不安で一歩踏み出せなかった荒井も「私たちがあなたたちの言葉を覚える」とまで言ってくれたみゆきと、【家族】になっていくだろう。

  • (15-26) 私は言語に関心があるので、日本の手話には日本手話と日本語対応手話があるとか、英語圏など他の言語の国ではやっぱり手話は違うとか、コーダのこと、題名にもなっているデフ・ヴォイスなど、一通りのことは知っている。多分回りにデフの人がいない環境で、そういう知識がある人はあまりいないのではないだろうか。デフの世界がしっかり分かるように書かれていて、なおかつとても面白く感動する小説である本書は大変貴重だと思う。ぜひ多くの人に読んでもらいたい!

  • 異色サスペンスの形式であるがあとがきに作者の熱い想いが集約されている。記憶に残る作品。

  • 「ろう者」「手話通訳」「コーダ」などのテーマも丁寧に描かれているが、
    ミステリーとしても読み応えあり。
    途中に置かれた謎や、人物の造形が、物語の最後に心地よくおさまって行く感じ。

    はじめての著作(?)で、まだ他に本が出ていないようだが、ぜひ次の作品も読みたくなった。

    あとテレビドラマでこの作品やってほしいなあ。
    手話の部分が、文章より映像の方が、心にくると思うので。

  • 手話を勉強して初めて、聾者の世界がまるで聴者の世界と違うことや、教育を受ける機会さえ得られず手話も筆談もできない聾者の存在や、40条の存在を知った。
    この小説はミステリとしてリーダビリティに優れているばかりではなく、聾者の世界を知らない読者にとっては驚きの多い作品だろう。

  • 日本語や英語と同じように、手話も言語のひとつ。
    仲間意識が強すぎて、敵・味方ではっきり区別されるのは悲しいな…。

  • FMの某番組で紹介されていた本。日曜のこの番組では時折こうやって本が紹介されるのだけど、紹介された本はどれも面白い。
    ほんで、自分では絶対に選べない(と、いうか知らない作家さんの)本ばかりなので、かなり楽しみにしている・・・。
    ・・・でも、毎週は聞けないんだよね・・・。
    今の仕事が落ち着いたら、また毎週チェックしたいな!

    さて、この本は「ろう者」のお話。知覚障害と書いてはいけないということがわかった。
    ご両親がろう者、ご兄弟もろう者。家族で自分だけ「聴こえる子」として育った荒井氏が、その境遇だけじゃなく、17年前に「ろう者」が容疑者とされる殺人事件に関わることになったことからいろいろな事件、人間と関係していき、17年前の事件の真相にたどり着く・・・、と、いう話。

    始めからこういう人がいて、こういう過去があり、こういう職業に就いていて、と、説明していくのではなく、邂逅なども交えながらひとつの物語が紡がれていく筋は、とにかく目が離せない・・・。

    厚みのあるハードカバーやけど、後半は一気読みしたよ・・・。
    最後の手話のシーンはかなりぐっときたし、ラジオで紹介されていたように、
    「真相は驚く展開」
    と、いうのも、うなずける・・・。

    手話というのは、「音声言語が話せない人が使う言葉」ではなくて、そういう言語なのね。
    日本語や英語を使うように、手話を使うわけやね。
    だからこそ、ろう者が「障害者」と、いわれるのを嫌うわけだ。何の障害もない。

    ただ、少数派ということで理解が得られないというのはあるんやね。
    私もこの本を読んで、手話が二通りあることは初めて知ったし、「聴こえる人」が手話を学んでも、荒井氏のようなコーダにはかなわない、と、いわれると、少し寂しい気もした。

    ま、そりゃそうか。私らが生まれたときから日本語を学ぶ以前に身に着けていくように、コーダの人は手話を身に着けていくんやもんね・・・。


    普段の私が好んで読むような、ややキャラ小説よりのキラキラした本とは全く違った本。
    荒井氏もイケメンで想像して読んじゃうけど、40代のオジサンなんだよね。笑

    その他、何森氏や米原氏など、たぶんビジュアル的にかっこいいわけではないやろうオジサンがわんさか登場して、結構ギリギリの書かれ方をしている。
    (ギリギリって何といわれたらアレなんやけど)

    ひつこいけど、最近こういう手合いの本を読んでいないので、新鮮な気分で読んだわ。
    巻末の広告に乗ってるほかの本も読んでみたいけど・・・。私の読解力で読めるかどうかは怪しいから、とりあえずチェックせんと返そうかな。


    ■■■■


    ■スノッブ

    上品ぶったり教養ありげに振舞ったりする、鼻持ちならない人。


    ■つづまやか

    [形動][文][ナリ]
    1 簡潔で要を得ているさま。てみじかなさま。
    「歎願なせる趣きを右小弁家の宛 (あて) にして最 (いと) ―に記されたり」〈染崎延房・近世紀聞〉
    2 控えめで質素なさま。つつましいさま。「―な暮らし」


    ■立志伝中

    人一倍の苦労と努力をして成功した人、などという意味で使われる表現。「立志伝」は、志を立てて努力と精進を重ね、最終的に成功を収めた人の伝記、のことを指す言葉。「立志伝中の人」などという具合に使われる。

    (2017.02.02)

  • 本書を読むまでは、手話に種類があることや手話通訳に認定試験があること。中途失聴者、難聴者とDeaf(デフ)ろう者、どちらも「聴こえない集団」ではあるけれど、区別する考えがあること。
    彼らならではの悩みや困難、社会の無理解や不利益もあること。
    コーダ(Children of Deaf Adults=両親ともにろう者である聴こえる子)の存在に気が付いていなかった。
    聴力障害はパッと見には分かりづらく、その困難を理解してもらいにくいために危険もあると言う。
    「障害を持つ人たちだけに限らず、世の中には何か訴えたいことがあっても大きな声を上げられない人たちが少なからずいる。そういう人々の声を小説という形でより多くの人たちに届けられたら」‥との作者の思いに共感する。

  • ろう者を扱った作品を読むのは初めてです。ミステリー仕立てですが、ろう者の世界を伝えようという思いがあり、勉強になりました。読んでいるうちに、ドラマ「君の手がささやいている」を思い出しました。原作の良さと菅野美穂の優れた演技で圧倒的な名作でしたね。

  • 知らない世界。世間では馴染めても家族のなかで孤独ってつらい。手話にも種類があるのは知らなかった。

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