デフ・ヴォイス

著者 :
  • 文藝春秋
4.12
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本棚登録 : 524
感想 : 110
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  • Amazon.co.jp ・本 (292ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163808109

感想・レビュー・書評

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  • 本を読むのが楽しい理由の一つ、
    自分が目を向けていなかったことを知る。
    まさにそんな一冊。

  • これは誠に勉強になった。冴島素子の「ろう者の定義」では、「ろう者とは日本手話を使う者」とのこと。そもそも日本手話について初めて知ったが、日本語対応手話と異なり、日本語とは独立した言語だという。よって、ろう者はバイリンガルであって、言語的マイノリティと定義するんだが、まぁ俺みたく、いずれの手話も解さぬ者が不用意に意を論じるべくもない。それより、キャラがいずれも立っていて、展開、帰結もいい感じ。荒井さん、地味ながらぶれない正義感おみごと。そういや、みゆきの元亭主、無様にこけて喚いておった馬鹿デカ米原やいかに?

  • 家族がすべて耳が聞こえないろう者である、聴者として生まれた主人公は、ろう者の世界でも生きられず、聴者の世界でも生きづらい毎日を送っていた。仕事を得るために手話通訳者の資格を得た彼だが、ある事件が起きて……。淡々とした語り口の中で現状に対する怒りとか悲しみとかがよかった。これデビュー作ってすごい。おすすめです。

  • 両親は耳がきこえない、兄もきこえない。でも、自分はきこえる。そんなCODA(コーダ)が主人公の物語。ミステリー。

    聴覚障害をテーマにした本やドラマは、感動系が多く、きれいごとのように感じたり、矛盾を感じたりと個人的にはあまり好かないことが多いが、この本は違った。

    全てが全てじゃないけど、聴覚障害者の世界というか、課題というか、それを取り巻く社会、現実をありのままに描かれていて、読んでいて気持ちが良かった。

    内容的にも良かった。

    コーダ(きこえない親を持つきこえる子ども)の立場はよく分からないけど、複雑な立場に置かれているってことだけは伝わってきた。

    ただ、聴覚障害に馴染みのない人には分かりづらいかも?と感じた。「日本手話」とか「日本語対応手話」とか出てくるから、ある程度の知識がないと微妙な違いとか分からないんだろうなぁと。

    なんか久々にいい本に出会えました(*^^*)

  • ミステリーとしても、ろう者について知るという意味でも、とても面白い内容だった。
    犯人やからくりは途中で何となく分かったけれど、ろうのコミュニティのことやコーダである主人公荒井の心理描写など、興味深く読めた。

    あとがきにもあるが、手話は彼らの言語なので、聴者とろう者が会話ができないのは単に言語の違いであり、ろう者は自分たちを障害者だとは思っていない、という事実は目から鱗だった。

    ろう者の方達に対する見方が変わった。
    読んでよかった。

  • うっかり二作目を先に読んでしまったので、慌てて一作目も読む読む。

    自分の知らない世界を教えてもらえる、ありがたいお話。
    『聴こえない』世界にもいろいろあるのだと勉強になった。
    三作目も読まなくちゃ。

  • この本は危ういなと思う。
    思春期の子供が読んだら、相当の打撃を受けるだろう。
    障害という共通点から作り上げられるコミュニティの団結力を描き切っているが、団結は、断絶にもなりかねない。そんな世界を垣間見た子供たちは、その断絶にとらわれることにより差別を意識するのではないだろうか?この断絶についてもシンポジウムの場を借りて議論されていた。
    ほかの読者の感想を知りたい。

    私も最近精神障碍者になり、その境界のあいまいさに気が付いている。障害は身近なものであり、それを知ることは世界を広げる一助になるだろうと確信している。

    健康なうちには気が付かない、当事者になって初めて気が付くことが多い。そう気が付く時はいかに自分が未熟であるか思い知らされる瞬間だ。間接的に関わっただけではわからない視点だと思う。

    多くの人にこの本を読んでもらいたい。記憶の隅にでも障害とは?と言葉が残ればいいなと思った。

  • コーダ作品の傑作だと思う。

  • ミステリーは、好みではないけどとても面白かった。
    ろう者の考えの一部を知れて、理解が深まりました。

  • 読み応えがあり、面白く、感銘を受けた。

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著者プロフィール

京都大学大学院理学研究科教授。

「2004年 『代数幾何学』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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