悪の教典

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著者 : 貴志祐介
  • 文藝春秋 (2011年11月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (669ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163809809

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悪の教典の感想・レビュー・書評

  • 面白いのに、なにかが惜しい。そう感じる作品というのもママありますが、ワシにとって本作は、そういう作品でした。

    とんでもなく分厚い本、それでも最初の方はキャラクターの意外性と個性に惹かれ、え、そんな淡々とそんな展開になるの?という驚きに何回かやられましたが、その「展開」に慣れてしまった中盤以降、若干の食傷気味になり、終盤、最も衝撃を受けるべき展開は、物語が「作業化」したかのような単調さをすら感じてしまいました。

    それでも、この事態にどう決着を付けるのか、どう物語を終えるのかが最後まで気になったままではありましたが、オチの衝動も弱めで、釈然としない感。

    シリアルキラーものの難しさは、その気持ちが凡庸な人間には理解できないものですから、どうしても「うわ、ないわ」というところに落ち着いてしまいがちになるところ。だから、その「動機」が、物語への共感を呼び起こすのに重要ですが、どうしても常人離れしたキャラになってしまいがちですので、やはり難しい。

    良い悪いでは無く、「すごいな」と思える主人公ではあるのですが、そのすごさが腑に落ちてこないから、なんか、別世界の出来事を淡々と読んでいるような、そんな気持ちになったのかもしれません。

    それが冒頭に書いた、面白いけど惜しい、という部分なんでしょうね。

  • 生徒からも同僚教師からも絶大な人気を誇る理想の教師・蓮実。
    ハスミンという愛称も相まってこんな教師がいたらなぁと思わせる。
    しかし彼は人を殺めることに何の感情も抱かないサイコパスだった。
    俗に言うシリアルキラーとマス・マーダラー。
    蓮実聖司という男はどちらに当てはまるか。

    前半は蓮実聖司という理想の教師像をとことん見せられる。
    蓮実のその実直なスタイルにいつしか読み手側は
    蓮実聖司という男の魅力に引き込まれてしまう。
    所々で見せる殺戮者としての顔も、一つの彼の魅力と見てしまう。
    しかし、後半に進むに連れ、この殺戮者の顔が前面に出てきて
    初めて我々は彼の真の姿に恐怖する。まさに彼の教え子たちの様に。

    確かに後半になるに連れ、無理な設定やお粗末な展開もある。
    しかし、だからといってこの作品の品位を損なうものではない。
    これほどまでに、創作の中の登場人物に恐怖したことはない。

  • うーん……。
    後半、まるで筒井康隆みたいな展開に突入するけど、こういう事態になるのを避けるのが悪の天才の天才たる所以なんじゃないかなあ……(´ェ`)ン-…あれじゃ、単なる向こう見ずの異常者だ(>_<)。
    前半で執拗に描きこんできた主人公のキャラクターが全く無意味になっちゃった(>_<)。
    ☓☓☓が☓☓してなくたって、あれだけのことすりゃもう、何をどう糊塗したってバレない方が不自然(>_<)。
    和製レクター博士ともいうべきハスミンだけど、本家に比べて脇が甘すぎ(>_<)。
    前半は面白かったんだけどなぁ……(>_<)。
    結局、学園モノにしたのが良し悪しで、相手の数が多すぎるんだな(>_<)。殺害シーンが増えるのに比例して描写が雑になっていく(>_<)。

    で、おまけの短編、何だ、あれ?(゚д゚)
    創作意図が全く不明な「秘密」はともかく、「アクノキョウテン」……(´ェ`)ン-…。
    「虚人たち」に対する「巨人たち」みたいなもんか?
    となるとやっぱり、筒井康隆ぽいね( ´ ▽ ` )ノ。

    2016/04/28

  • なにがおもしろいの?ときいてよみました。
    長い割にはさくさくすすみ,お!!!という展開で終わった。
    M大の女の子が大矢さんを殺していた事件で
    作者の貴志さんは,
    「理由もない殺人は理解できない」とコメントしているのを読み,
    だったらあなたの作品は何???とおもうのでした。
    映画も見たかったです,はい。

  • 蓮見聖司は誰よりも生徒思いの先生だった。生徒の将来を案じ、歩むべき道を示す。彼はまさに先生の鑑であった。誰にもそう見えた。そんな彼には野望があった。王国を作ること。理想の生徒たちによる王国。そのために彼は手段を選ばなかった。それが例え生徒を手に掛けることであっても――
    なるほど、賛否両論になるわけだ。個人的には中途半端というか、蓮見教諭の狂気が少しずつ暴かれていく前半部分は多いに楽しめたが、後半の殺し合いはただの殺し合いというか、それなら『バトルロワイアル』のほうがずっと面白い。確かに話題性はあるが、もっと別の方法で終わらせて欲しかったな。

  • 面白くて一気読みしてしまった。

    「青の炎」でも思ったけど、心理描写が秀逸だね。

  • あまり類を見ない設定と少しずつ明かされてくる主人公の過去に引きずられて、中盤までは夢中で読みました。

    でも見せ場?のバトロワでちょっとガックシ。悲惨なシーンになることは前提知識として持ってたけど、あまりにも死が記号でしかない気がしました。バトロワに及ぶまでの展開が急すぎることもあって、主人公のサイコパスである故の恐怖云々よりも、あの惨殺のえぐさにばっかり目がいってしまう。
    やり方がその場凌ぎなせいでそれまで圧倒的に見えた主人公が小物に見えたことにも、前半とのギャップを感じました。

    設定とストーリーが噛み合ってるようで噛み合ってないような。殺人狂にしなくても設定は生かせたように思います。
    ちょっと残念。

  • 既にハードカバーで購入・読了済みでしたが、どうやらこちらには書き下ろしが2本もついているとの噂を聞きつけ購入。

    書き下ろし部分だけ読みましたすみません。

    1本目の「秘密」
    …やべ。これ誰の事だっけ??

    2本目「アクノキョウテン」
    …笑


    是非。

  • 最近ハマり気味の貴志祐介作品なのだけど、ハマる前からずっと気になっていた本。
    いくつかの販売形態があって、最初は上下巻のハードカバー、次に上下巻を1冊に
    まとめたハードカバー、そして最近上下巻で文庫化されたもの。文庫版は電子書籍化
    もなされていて、僕の読んだのは紀伊國屋書店Kinoppyで購入した電子書籍版。
    気になっていたのに手を出さなかったのは、この本があまりに厚かったから(^^;)。
    電子書籍化、非常にありがたい!

    有能・イケメン・人気者の高校教師、実は最悪のサイコパス。
    狂気の天才が造り上げる非情過ぎる連続殺戮劇が、これでもか!という程に起こり続
    ける。一部で大問題になったらしいが、それも当然。ひさびさに凄い作品に当たっち
    ゃった感じ。

    ・・・さすがに文章量は尋常でなく、読むのに丸2日を擁す。しかし、読んでいる最中に
    退屈は一切無く、全ての場面がスリリング。ちょっと間違うとグロさと不快感しか残
    らない作品になってもおかしく無いのだけど、どこか不思議な美しさまで感じさせて
    くれるのが見事。細かな心情描写、説得力たっぷりの台詞回しももちろん健在。いく
    つかの設定に若干の無理があるのは否めないが、そんな小さいことに突っ込む気すら
    なくなる大迫力。ここまで読んだ貴志祐介作品ではやはりいちばんの内容だと思う。

    そしてこの作品、なんと映画化される!
    主演は伊藤英明。いやぁ、ナイスキャスティング! これ、絶対に劇場行くな、きっと。

  • 2012/08/05読了。町田市の私立高校を舞台にした、学園ドラマのようなサイコホラー。このミス1位らしいけど、全体通すとホラーかなと思う。怖面白い!一気読みです。まばたきも忘れるほど集中して読んでしまいました。


    担任クラスに問題児をわざと抱えながら、テキパキと学校の問題を解決していく蓮見先生。最初は正義のみかた、完璧なヒーローと思えましたが・・・、カラス(フギン)を仕留めたあたりで「ん!?」と引っ掛かる。それを皮切りに蓮見先生の本性と過去が次々に明らかにされ、じわじわ、ぞくぞく、とくる怖さ。この感じたまらない!!貴志ワールド!!
    犯人目線で進行するのがいいですね。自分がやったと発覚しないように用意周到に準備するあたりは、「青の炎」を思い出しますが、背景にある意思はまったく別物・・・。悪意たっぷり。心理学を絡めながらの進行も面白い。


    わたしとしては圭介が消されたあたりが怖さのピークでした。そこから、いきあたりばったりで簡単に人が殺されていくようになってしまい、バトルロワイヤル的なクライマックスへ・・・。そこも周りの音が耳に入らないくらいに集中しててドキドキしたんだけど、中盤までの背筋が凍るような怖さが好きだったので、それに比べると物足りない感じはありました。でも最後はこんな感じにならないと幕引くのも難しいし、しょうがないのかなぁ?


    もっと釣井先生のとことか、憂実や美彌を殺そうとしたときになぜ手が止まってしまったのか、っていうのを掘り下げてほしかったなぁ。あとカラスも。最後、蓮実が犯人だというのがAEDで発覚するってのも避難訓練のときの伏線が生きて、ウマイっ!て思ったんだけど、カラス(ムニン)によってなんらかの証拠が発覚して、フギンの仇をとるっていうのもいいな~とか、勝手にアナザーエンディングを考えております。映画化も楽しみ!


    文庫化をまちきれずノベルズ版を買ってしまったのですが、ショッキングピンクの表紙は一番好きです。

  • 凄い重量感!!
    そして、想像以上に凄い悪魔!!

    蓮実が圭介に話した様に『仮に、殺人が一番明快な解決法だとわかったとしても、普通の人間は躊躇する。もし警察に発覚したらとか、どうしても恐怖が先に立つんだ。しかし、俺はそうじゃない。…やれると確信さえできれば、最後までやりきることができるんだよ』そのまま。
    本当にこの人の手に掛かった人は、最終的に何人いるんだろ?
    日本もアメリカも含めて。

    心のない悪魔。感情のない悪魔。

    そして実際こんな人間が、日本の司法だったら、確かに精神鑑定の結果、極刑を免れそうな恐怖。

    読み応えは、充分だし、記憶に残りそうな作品でした。

  • 久しぶりに読んで後悔する本でした…。別にホラーっぽいもの読みたかったわけじゃないのになぁ…このミスとったんじゃなかったっけ…?こういうジャンル嫌いだけど、こういうのだと気づかずに読み始めてしまったのがいけないんですけど、読んでいてもあんまり深みが無いというか…はまらないというか…。気になるから全部読んだけど、なんか今ひとつ。貴志さん前に読んだやつは面白かったのになぁ。

  • 呆然とするつまらなさ
    びっくりした!

  • 悪すぎる。売れているけど、読みたくなかった本。これは未成年には読んで欲しくないな。久々に心がどんよりした。

  • 「新世界より」ぶりの貴志祐介に期待しすぎたせいか肩透かし感は否めない。上巻ではサイコパスな主人公の異常性をチラチラ小出しにしつつ、下巻は主人公が追い詰めた生徒達との血煙バトル。上巻は雰囲気「青の炎」「黒い家」で下巻は人物消化しきれないバトロワかな

  • かなりのページ数なので読むのに時間がかかるかと思ったが、凄惨な描写の割に内容は軽くテンポもいいので一気に読めてしまう。主人公の裏の顔が徐々に明らかになる前半が良く出来ていてついつい頁を捲るてが早くなるようなテンションがあるが、後半、特にクライマックの一夜の「バトルロワイヤル」的な描写に紙面を割きすぎてややダレた感があるのが残念。とはいえこのボリュームを飽きさせずに読ませるストーリーテリングだけでも大したものだ。

  • さくさくと読めました。
    テンポも速いし。
    ハスミンのようにすごい知識や体力など持ち合わせて最強のサイコな人が近くにいたら恐い………
    まぁ、今の世の中き●●●多いけど……
    とにかくさすが読み応えのある作品でした。

  • クライマックスの展開が荒かった。

  • 期せずして一月ぐらいの間に、「怪物」についてのものを二種類読んだ。浦澤直樹の「MONSTER」と本作。怪物としての魅力はどうしてもMONSTERのほうが上だ。
    本作の主人公の行為がどうしても場あたり的に見えるのはなぜだろう。主人公がこうなってしまったことの原因についても残念ながら掘り下げがない。終末のむかえ方にいたっては唖然とした。これだけの物量(ページ)を費やして、これでいいのかと首を捻ってしまった。
    作者の意図がありきたりの因果関係などにはむかわず、ひたすらディテールの書き込みに重点がおかれているとしたら、本作は大成功だろう。ただ、ドラマは感じられなかった。

  • 年末から年始にかけて読んでいたので事実上は2012年一冊目。
    ハスミンこと蓮見聖司の異常性を全面に出した本作。だんだんと真実のハスミンが出てくるところに、ぐいぐい読ませていく筆者の力を感じた。最後のあたりはもっとハスミンにスマートでいて欲しかった気もするが、キーパーソンがあっさり死んでいくあたりに潔さを感じてしまう。知らず知らずにハスミン側を応援してしまうあたりに、この本の怖さがあるのかも。ただこれが各賞総なめっていうのはなんとも納得いかない。個人的には『新世界より』の方が読み応えがあった。

  • 題名が気になったので分厚いけど読んでみた。

    一言で言うと、ホントに強烈な本。

    最初は教育モノなのかな?と思わせる展開だったが、そこは貴志祐介さんの本なので全然そんな訳はなかった。まさに悪の限りを尽くす悪の天才教師・蓮見に驚愕。次第にあきらかになっていく蓮見教諭の悪の所業が実に上手く描かれているお話だった。善い人には騙されてしまうものだとしみじみと感じた。

    クライマックスの章はありえないくらい残酷。
    ここまで書ける作家・貴志祐介さんは恐ろしい人ではないのかなと感じた作品。

  • 前半の、巧妙に一人ずつ追い込んでいく部分は面白い。

    しかし、後半は単なるサバイバルゲームと化してしまった。

    前半の流れのまま、一人ずつ緻密に追い込んでいき、最後に一気に破綻する(もしくは破綻せず完全なバッドエンド)という流れだったらよかったのにと思う。

  • ばっらばら、という印象。

    期待して読むのは良くない、と思いながらもやっぱり好きな作家の作品には多く求めてしまう。
    どこかでの連載だったから、多少まとまりが悪いのは仕方ないのかもしれないけれど、もうちょっと頑張って欲しかった。

    頭脳明晰、容姿端麗、生徒に絶大な人気を誇る若き男性教諭は、前代未聞のサイコキラー。

    これまでにも趣味のように人を殺し続けてきた彼が、ちょっとしたことから窮地に陥る。
    解決策は、凡人には思いもよらない「クラス全員抹殺大作戦」。

    風評と自己評価の高さの割には、ちょっと間抜けで行き当たりばったりすぎないかな。鮮やか、というよりは運がいいだけに思えて、いまいち応援してあげれなかったんだよな。

    上下巻ならもうちょっとなんとかなったんじゃなかろーか?特に上巻のぶつ切りのせいで読む手が止まる。
    面白くないわけでは決してないけれど、ペースの悪い本だと思います。

    多分これが山田悠介だったらもっとぼろくそに貶してるけど、まあそこはえこひいきで。次に期待です!
    2010年08月30日 13:48

  • 前半は文句なしに面白かったんだけど、後半の大量殺人のあたりから、ちょっと盛り下がりました。なんか、とりあえずみんな殺していこう的な感じで。やっぱ、生徒全員を標的にするのは書くのも大変なんでしょうが、もう少しどうにかして欲しかったな。でも、面白かったです。この作家の他の本も読んでみたいと思いました。

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悪の教典の作品紹介

学校とは、子供を守ってくれる聖域などではなく、弱肉強食の法則が支配する生存競争の場だ。ここから無事に生還するためには、生まれ持った幸運か、いち早く危険を察知する直感か、あるいは暴力的な才能が必要になる。2010年ミステリー界を震撼させた超弩級エンターテインメント。ノベルスオリジナル短篇「秘密」、「アクノキョウテン」を収録。このミス1位(宝島社「このミステリーがすごい!2011」国内編)。週刊文春1位(週刊文春「2010年ミステリーベスト10」国内部門)。ミステリが読みたい2位(早川書房「ミステリが読みたい!2011」国内)。第1回山田風太郎賞受賞。

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