羊くんと踊れば

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (221ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163810003

作品紹介・あらすじ

『卒業したら、つきあってくれますか』答案用紙の片隅に書き込まれていた告白。あれから4年、翠はまだ薫の答えを待っていた。「イエスかノーの二択だから簡単でしょ」「今さら?」「再テストだよ」-祖父の遺体に残された謎を追う薫と、彼に好意をよせるかつての教え子・翠。二人の探索と恋のゆくえは?-。

感想・レビュー・書評

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  • 終戦記念日の8月15日、90歳になるおじいちゃんはまるで居眠りしているかのように亡くなっていた。そして、何とおじいちゃんの下腹部には、これまで見覚えがなかった刺青が遺されていた。梵語4文字と真ん中に「百合子」という文字が、、、

    おばあちゃんの原宿・巣鴨界隈を舞台に、おじいちゃんが遺した刺青の謎を追って、羊君こと高校教師・浅野薫の探索が始まる、、、

    元教え子のダンサー・栗本翠の協力を得て、刺青の謎を追いかける薫だが、なかなか謎は明らかにならない。
    爽やか系の青春ミステリかと思いきや、途中からややグロさが目立つという意外な展開。

    最後に至って、なるほどと思わせるタイトル付けだ。

  • すごしグロテスクなところがあったのと、入れ墨話に怖さを感じた

    自由なのか
    という問いは的を得ているのか

    我々は何かに縛られているのかもしれない

  • よくわからない。
    祖父の満治が死んだ。孫の薫が発見した、死んだ祖父満治のお腹には入れ墨で百合子の文字が。百合子とは何者か。また、口座からは大金の600万円が引き出されていた。薫はその謎を究明しようとする。

  • 作品紹介からは想像もつかないエンディング

  • 第二次世界戦争を生き抜いた人にとって、
    今の世の中はどんな風に映るのだろうか。
    暑い夏の日。
    その心の奥底に、脳裏に、身体に、
    当時の想いをしまい込むのだろうか。
    無かったことにして閉じ込め、
    置き去りにしてきたものが、
    こみ上げる夜はないだろうか。
    その重みを抱えきれず、
    人知れず朝を震えたりするのだろうか。

    極限状態に置かれた時、
    人を人たらしめるものはいったい何か。
    最後に何を求め、何を諦めるのだろう。
    死を真横にして、浮かび上がるものは。
    戦後生まれの僕にとって、
    第二次世界大戦は歴史の中にある遠い記憶だ。
    両親ですら、戦争の記憶を持っていない。
    でも、それは確かにあったことで、
    今この瞬間も、
    ウクライナでは起きていることでもある。

    平和となった今の時代、
    生き死をかけた戦時の体験は、
    異常で奇異なものなのかもしれない。
    でも渦中にあった人たちの
    行き場のない想いはどこに向かうのだろう。
    どこに昇華し、どう鎮魂されるのか。
    人の生き死に、欲望・渇望・欲求、性と血。
    大きなうねり、蠢き。
    僕らはもっと戦争の事実を、
    その時の人々の想いを知らなくては
    いけないのかもしれない。

  • 孤独死した祖父の遺体一面に残されていた
    女の名前と梵字の刺青。祖父の交友関係を
    探り始めた薫の前につぎつぎ怪しい人々が
    現れる…。祖父の遺体に残された謎を追う
    薫と、彼に好意をよせる翠。ふたりの探索と
    恋のゆくえは?

  • 装丁がとても綺麗で素敵です。

    しかしながら、トカゲが可哀想でちょっと無理でした…
    あと刺青もそれほど得意ではない…。

  • 祖父が1人暮らしのアパートで亡くなり、遺された刺青の謎。高校教師の薫に元教え子の翠も加わり謎を追い始める。

    刺青と官能を絡めた部分が大きいのかな
    謎解き、老人から語られる戦争、草食系の主人公と積極的な教え子の恋とか色々あるんだけど、何を推したいのかいまいち解らず。☆2~3

  • 坂井希久子の過去作。長編1作目とのことで、確かに今よりこなれてない感じはあるものの、書きたい素材を「どやっ」とばかりに、てんこ盛りにしてくるあたりが若くてよいなぁ。

    ツンデレ、女子学園モノ、年齢差の恋、振り回される草食男子、老いてまだ活躍する老人、戦争の追憶、入れ墨、SM…豪勢にこんだけ盛ったら目移りが激しくて少々ザツなイメージ。ただ迷い箸的な混乱を感じにくいあたりは、構成の巧さなのかなとも思う。

    今の坂井作品に比べると、どうしても稚拙や雑さを感じてしまうが、「書きたい」という気持ちがビンビン伝わってくるのが良い。そのエネルギーをダイレクトにぶつけずに上手に制御することで、「ヒーローインタビュー」や「ハーレーじじいの背中」などの傑作に昇華していくんやなぁ。

    小説も「パワー」と「テクニック」と「メンタル」なんやなぁ。

  • 全体を通して見ると装丁から受けたイメージとはかなりギャップがあり、もう少し暗い影がまとわりつく感じだった。ただ、装丁も話に合わせてよく考えられてはいると思う。

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著者プロフィール

1977年、和歌山県生まれ。同志社女子大学学芸学部卒業。2008年、「虫のいどころ」(「男と女の腹の蟲」を改題)でオール讀物新人賞を受賞。17年、『ほかほか蕗ご飯 居酒屋ぜんや』(ハルキ文庫)で髙田郁賞、歴史時代作家クラブ賞新人賞を受賞。著書に、『小説 品川心中』(二見書房)、『花は散っても』(中央公論新社)、『愛と追憶の泥濘』(幻冬舎)、『雨の日は、一回休み』(PHP研究所)など。

「2023年 『セクシャル・ルールズ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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