かなたの子

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (229ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163811000

感想・レビュー・書評

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  • こわい。これはこわい。夜眠れなくなるレベル。

    まず表紙がこわい。よくもまあこんなこわい絵を表紙にしたものだと驚いてしまう。

    即身仏の話。生きようともがいた姿のまま掘り出されて、ってところが恐ろしい。井上靖の「補陀落渡海」を彷彿とさせる。人間の弱さと哀しさ。

    「同窓会」も恐ろしい。遊び半分でスーツケースに入って開かなくなって、と考えるだけで、閉所恐怖症にとってはもう息ができなくなるほど苦しい。それを親に言い出せなくて、というのもありそうな話。

    こんなこわい話を次から次へと書ける角田光代。
    その才能に脱帽。

  • 短編集でした。
    人が抱える闇みたいなものが恐かった。
    『前世』は辛すぎて泣いてしまった。
    後半は、子どもが絡むものが多く
    辛かった。

  • 子供を産んだ母にしか書けないのか?こんな物語はツライ。涙が出るけど読み進めてしまいます。

  • 不思議な話

  • ちょっとホラーの短編集
    出羽三山参りの直後にこの本を手に取ったのは何の因果か?
    即身成仏とか前世とか、タイミングよすぎて、かなり怖かった。
    でも、一番怖いのは同窓会とか道理とか現代の話がよっぽどありそで怖い。

    来世のために今を大事に生きよう。

  • 女性心理を知ることが出来る作家
    「道理」に不倫についての記述がある。

  • 重たい。ぞぞぞとする。お化けの怖さじゃなくて人間の怖さ、えぐさ、生きづらさ、とか。角田さんはやっぱりすごいな。人って恐いね。本当に。

  • 直木賞作家角田光代さんの短編小説集『かなたの子』を読了。すべてが暗い小説ばかりではないが、角田光代さんの小説は基本コンプレックスを持っている人たちが主人公で、コンプレックスと真正面から戦うということはあまりなくコンプレックスを抱えながらなんとか生きぬいていくという普通と言えば普通、暗い人生と言えば暗い人生、多くの人がそうだろうといえばそうだろうというどちらかというとマイナスのエリアというか誰もがかかえているであろう負の部分まわりをうまくあぶり出すところで共感を得ている小説家である気がするがうがった見方だろうか。この短編集も自分の人生の中でも暗い記憶と戦っている毎日を送っている人たちがあふれていて、読んでいて気持ちよくはならないがいろいろ自分の失敗、過去の悩み、アホ具合などなどなどがを思いだされるのでまあいい薬になるような小説が集められていて読みながらかなり考えされてしまったのも事実だ。色々反省したい方は是非読んでください。少しでも暗い気分かあ逃れたい方は絶対読まない方がいいかも。そんな決して明るくないけど逆に自分の日々の明るい部分を気付かせてくれるような小説を読むBGMに選んだのがJoao Gilbertoの"Live in Tokyo". 弾き語りだけでこれだけ人を感動させられるのだから凄い。

  • 時代も場所もばらばらな、どこかうすら寒くなるような短編集。

    特に子供を思う母親の作品が後半多かったです。

    子供に「自分が子供の時やられて嫌だったことはしないようにしよう」とか「自分がして欲しかったことをしよう」とおもうのは当たり前だけれど、気づけば自分の母親と同じように鬼の形相で子供を叱りつけるようになるのか。それはなんと恐ろしい事だろう。

    後は間引きだったり流産だったりで子供を失った人が、その子に会うために旅をする、というのも悲しくて好きだった。

    人間は他人(それは自分以外の人間という意味で、夫や母親や子供も含まれる)には厳しくて、勝手に期待して勝手に裏切られて勝手に憎んだりするもの。その事を忘れそうになるから、心に刻んでおこうと思った。

  • 後味の悪い本。短編構成だが、精神的に病んでいるのか?と思える人たちのお話に思える。

    描写が怖い…と単純に思えるもの、内容自体が怖いものと様々な「怖い」が味わえる。
    個人的には「道理」が面白かった。元カノに久々に連絡をとってから起こる不可思議な事。どんどん落ちていく主人公が哀れ。

    母の自分は表題でもある「かなたの子」「巡る」は胸が痛かった…子供が死んでしまう系は悲しすぎる。

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著者プロフィール

1967年神奈川県生まれ。早稲田大学第一文学部文芸科卒業。90年『幸福な遊戯』で「海燕新人文学賞」を受賞し、デビュー。96年『まどろむ夜のUFO』で、「野間文芸新人賞」、2003年『空中庭園』で「婦人公論文芸賞」、05年『対岸の彼女』で「直木賞」、07年『八日目の蝉』で「中央公論文芸賞」、11年『ツリーハウス』で「伊藤整文学賞」、12年『かなたの子』で「泉鏡花文学賞」、『紙の月』で「柴田錬三郎賞」、14年『私のなかの彼女』で「河合隼雄物語賞」、21年『源氏物語』の完全新訳で「読売文学賞」を受賞する。他の著書に、『月と雷』『坂の途中の家』『銀の夜』『タラント』、エッセイ集『世界は終わりそうにない』『月夜の散歩』等がある。

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