かけおちる

著者 :
  • 文藝春秋
3.28
  • (1)
  • (9)
  • (12)
  • (2)
  • (1)
本棚登録 : 48
感想 : 11
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (249ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163814308

作品紹介・あらすじ

なぜ妻は逃げたのか。二七年の歳月を越えていま真相が明らかになる。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 装丁に惹かれ衝動買い。
    始めての作家、滅多に読まない時代小説。
    でも読んでよかった。…良かった。
    ”その人”を想う余りに傷つけてしまう。
    その”想い”に気づかずに苦しみ続ける。
    人の心の奥深さを描くいい小説。
    終わり方もいい。 軽やかで心地よい余韻が残る。

  • 興産、米以外に藩の中でお金になる物産を起こす,探す,作り出すこと。

    米は増産する様になると価格破壊を起こし武家は一気に経済的に常に困窮する様になる。
    幕府の中でお役を受けるのも全て金が必要になる。
    また天候不順にも備え,藩民が飢えない様にするためにも、興産は各藩の大事となる。

    門閥出身ではないこの主人公は、田畑を歩く郡御用をしていたがその真面目な働きぶりと、本草学をはじめ勉学を積み重ね、中老の下まで位をあげた。

    この物語に大きなキーワードが付きまとうが、それは駆け落ち。

    登場人物の情感も豊かに表現しているが、そればかりでなく、江戸の地方のある藩の国元、江戸詰の違いとその人物たちの価値観。番方と文官の気質と才能の違い。
    当時の江戸の書物事情など。
    盛りだくさんの史実の数々が肉付けに重厚さを与えている。
    女性の心情もよく表現できている。
    素晴らしい作品だった。

  • うーむ。人が人を思う時、分からないことが多すぎて、立場や考え方が違うとズレてしまう。想いはあるのに…どうしたらいいの?

  • 武士の在り方と言葉に出来ない思いが
    それぞれ交差して悲劇への伏せんに
    なるが、最後の民江や津世の夫への
    思いが駆け落ちによって夫を生き延び
    させる方法はちょっと唐突過ぎた。
    最後は無理やりまとめた感がある。
    それでも切なさや、武士の生き様の
    厳しさ、かけおちるの表題の意味も
    なかなか良くできている。

  • 読み終えて、タイトルがひらがなだったことに納得。
    恋の逃避行の「駆け落ち」だけでなく、大事なものが「欠け落ちる」という意味も掛かっているのだった。
    あまり時代小説は読まないが、読みやすい文章で、馴染みのない内容でもすっと入れる。
    展開も面白かったが、読後感は複雑。
    この結末なのにあの人死ぬのか…。
    その無情さが描きたかったことの一つならそれも納得だけど。

  • 直木賞 青山文平

    阿部重秀の誠実な正義の行き方は何も知らない虚構の上に成り立っていた、

    最近になって知らないことの多さに、驚いたり、がっかりしたり、あきれたり、これは何だったんだろう?

    かけおちる、、、

  • そして誰もいなくなった。
    でも希望が残る。

    2時間ドラマにできそうな感じ。
    その時は、岩渕家老は誰に演じてもらおうかな?重々しさと軽妙さとで、高橋英樹あたり?

  • 初めて耳にした作家のたまたま手にした第1作の松本清張賞「白樫の樹の下で」を読んだ時の衝撃。時代ミステリーとしての表現力と心情描写に圧巻の★4.5。
    第2作「かけおちる」。
    北国の柳原藩執政「阿部重秀」は地方役人から重役に出世し疲弊した藩財政の建て直しのため殖産興業をはかる。しかし、なぜ妻は「駆け落ち」たのか。27年の歳月を越えて今。武士として剣士として常に死を身近に置く養子の苦悩。そしてその妻の覚悟。
    第1作もそうだが、この作者は単純・爽快なヒーローはつくらない。つくらないだけでなく突き落とす。何かが「欠け落ちる」なのか。
    ★4.5
    「かけおちる」の理由が多少強引で不自然なのが惜しい。

  • 窮乏する藩の興産掛を務める武士。
    同じ役目で京に赴いている婿、そしてそれぞれの妻。
    藩を、妻を、夫を思いやるそれぞれの想い。

    初めての作家さんのせいか
    読みやすい文体ながら
    世界に馴染むのに時間がかかった。
    BSの時代劇を途中から見たような感じ。

    【図書館・初読・12/19読了】

全11件中 1 - 11件を表示

著者プロフィール

作家

「2022年 『ベスト・エッセイ2022』 で使われていた紹介文から引用しています。」

青山文平の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×