明日のことは知らず 髪結い伊三次捕物余話

著者 :
  • 文藝春秋
3.82
  • (12)
  • (32)
  • (18)
  • (3)
  • (0)
本棚登録 : 208
感想 : 23
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (269ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163815800

作品紹介・あらすじ

息子・伊与太が慕う相手は松前藩主のお屋敷勤めに。一方、弟子の九兵衛には思いもよらぬ縁談が持ち上がる。若い世代の成長を見つめる伊三次、お文夫婦の温かいまなざし。廻り髪結いの伊三次とその女房で日本橋芸者のお文、夫婦の周りで巻き起こる心揺さぶられる事件の数々。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 最近は、子の世代とか、不破家の話が多く、主役の伊三次が端役に甘んじていたが、この巻は、久しぶりに伊三次とお文が活躍。「帰ってきたね、大統領!」という大向こうからの声?
    相変わらず、ホッと安心できるシリーズもの。作者も、作家生活の限り、書き続けると言っているので、これからも楽しみ。

  • 髪結い伊三次捕物余話シリーズ、ハードカバーで出てる分の最新刊です。
    図書館で予約を入れ、やっと読むことができました。

    次の方がお待ちなので急いで読んだのと、
    今朝はどうにも気が晴れず勉強しても上の空。
    お仕事も冴えない感じなので、必要なお仕事を仕上げたあとは
    大好きなこのシリーズを読むことに決めました。

    読了まで2時間。

    やっぱりこのシリーズは良いです。

    人情に厚い江戸の人々を生き生きと描いて、
    私を時代小説ファンにしてくれたシリーズ。

    主人公の伊三次さんは四十路に手が届いたばかりの働き盛り。
    恋女房の芸者、お文姐さんも相変わらずの気っ風の良さです。

    今回は事件の解決に奔走するというよりは、彼らの生活の周辺の
    エピソードを、心の動きを大事にして描いてる感じです。

    伊三次さんの倅の伊与太さんと娘のお吉、そして弟子の九兵衛さん達
    子供の世代も、いつまでも子供じゃなく、青年期に差し掛かって
    頼もしくなってきました。

    親の世代もまだ若くて元気で、颯爽としているし、
    一番満ち足りた状態の時期ですね。

    それぞれが浮世の風の中で人の心を慮ったり、仕事に泣いたり
    家族や近しい人に胸を温められる様が、今に通じる繊細さで描かれて
    爽快感と、ほの温かな優しい読後感で、次を読むのが楽しみです。

    このシリーズ、是非時代小説を知らない方や、
    若い女性にもお読み頂きたい。

    時代小説って、ご年配の男性だけがお読みになるものじゃないです。
    どんな世代の方にも訴えるジャンルだと、私なんかは思います。

    宇江佐真理さんの作品に出会えてホントに良かったです。

  • 「「髪結い伊三次」シリーズの最新刊。宇江佐真里の一番人気のシリーズでもっとも安定感のあるものでハズレが無いのが何よりだ。今作も及第点以上の出来映えであり買って失敗は無かった。

    このシリーズも既に第十二巻を数えるのだが、元々は廻り髪結いをする傍らで伊三次が臨時廻り同心・不破友之進の捕物の手助けをする事件を描いていたのだが、いつの間にやら伊三次とその芸妓であり女房でもあるお文を中心とした人情物語の色合いが強くなり、今作も捕物は殆ど出てこない。

    シリーズを続けるうちに主人公が勝手に動き出してくることは長編作においてまた人気シリーズにおいては良く有る話で、それ自体には何も不満も無い。しかしながら、前作あたりから気になる点がある。それは伊三次の息子が髪結いを継がずに絵師に弟子入りすることと、そして不破の娘・茜が松前藩の江戸藩邸に奥女中として務めるということだ。この二人を取り巻く話題がちょっとばかり物語全体からすると違和感を覚えてしまうのだ。

    様々な想定がありこの二人を描いているのだろうが必ずしも他の物語と繋がりがスムーズではなく、二人の話しについては何か唐突に挿入される印象が強い。上手く登場人物を手の内に入れてしまえないというのだろうか、勝手に暴れだしてしまっているというのだろうか。

    宇江佐真里が果たしてこの二人を自らの手の内に手懐けてまた新しい命を吹き込むことができるのかどうかで、本シリーズの先行きが占えるような気もする。

  • 2023年3月28日
    浪人生活を忘れないようにとやぶこうじを持って行くその人柄が良い。
    良い人間関係に恵まれるのは人柄も大いに関係するが、運も大きいだろうなぁと考えてしまった。

  • やっぱりこのシリーズは良い。
    やるせなさと深い人情で紡ぎ出された物語の数々。

  • 図書館で伊三次余話シリーズ三冊を見つけたときは
    舞い上がりました
    新しい本って最高!

  • 九兵衛の結婚話も出るようになってきたのね。
    みんな成長したわ。

  • 伊三次のシリーズももう12巻にもなるのか。そら伊与太も大きくなるわなぁ。
    と感慨深くなる1冊。

    いつものとおりばっちり安定した出来の市井人情もの。時代小説を色々と読むようになったけど、不出来少なくブレない安定感なら宇江佐作品、その中でもやっぱり伊三次のシリーズがほっとできて良い。

    今回もやたらゾワゾワするような大きな事件も起きず、世の中なんてのは人間が少々騒いだってなるようにしかならないようにできていて、その中でどう一所懸命生きていくのか、考えたり感慨にふけったりできた良作だった。

    中でも伊三次の弟子、九兵衛の台箱をあつらえる話と、謎の物体「ヘイサラバサラ」の正体を追いかける話が良かったかな。

    あえて言えば、茜の武家奉公話は、ちょっと浮いてるので別シリーズにした方が良いように思う。

  • 久々、伊三次とお文夫婦がメインです。
    やっぱり、この二人が活躍しないとね。

  • 2013.4.15


    髪結い伊三次シリーズ
    新刊が出てるとつい読んでしまう。

    読みやすい作家さんです。

    あやめ供養、九兵衛と直次郎のとこ、よかったな。

全23件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1949年函館生まれ。95年、「幻の声」で第75回オール讀物新人賞を受賞しデビュー。2000年に『深川恋物語』で第21回吉川英治文学新人賞、翌01年には『余寒の雪』で第7回中山義秀文学賞を受賞。江戸の市井人情を細やかに描いて人気を博す。著書に『十日えびす』 『ほら吹き茂平』『高砂』(すべて祥伝社文庫)他多数。15年11月逝去。

「2023年 『おぅねぇすてぃ <新装版>』 で使われていた紹介文から引用しています。」

宇江佐真理の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×