春はそこまで―風待ち小路の人々

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著者 : 志川節子
  • 文藝春秋 (2012年8月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (286ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163816005

春はそこまで―風待ち小路の人々の感想・レビュー・書評

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  • 直木賞候補になったというので、読んでみました。
    絵草紙屋を中心に、江戸の町で肩寄せあって暮らす人々をいきいきと描いて、読後感の良い小説でした。

    風待ち小路は、小さな商店が並ぶ通り。
    皆穏やかに暮らしていたが、少し離れたところに新興の商店街が出来て、人気を奪われそうになる。

    絵草紙屋「粂屋」の主人・笠兵衛は48歳。当時としては初老だが、人気役者・岩井半四郎に似た男前で、まだまだ元気。
    5年前に妻を亡くし、後に妾を持ったが、後添えにするかどうか迷っているうちに‥
    息子の瞬次郎がおっとりしていて、やや頼りなく思えるのが悩み。

    笠兵衛が趣味的にやっている手製の引き札を頼みに、半襟屋のおちせが訪れた。
    瞬次郎はおちせに惹かれ、おちせも遠慮がちに誘いに乗って歌舞伎に行ったりと、付き合っていたが‥?
    そのことに気づいた笠兵衛は息子も良い目をしていると喜ぶが、なかなか進展しない仲に気をもむ。
    おちせには、身元にある事情があった。

    生薬屋の嫁のおたよは、夫の遊び癖が悩み。
    商売の力になろうとしたことは裏目に出てしまいそうだが‥?
    しだいに商家の女房として存在感を増していく。

    洗濯屋の子ども・佑太は、父親が出て行ったのが悩みだった。
    母と付き合っている「おじさん」を町中で見かけるが‥?

    商店街の人気を取り戻すため、店主の世代と跡継ぎの若旦那らが、それぞれに工夫を凝らす。
    素人芝居で歌舞伎をやろうという企画で盛り上がるが‥?
    人と関わりあいながら、それぞれの人生が豊かになっていくのが微笑ましい。

    中盤は仇討ちという時代劇ならではの苦難が持ち上がり、はらはらしますが、予想以上のハッピーエンドに。
    こんな多幸感で終わる時代小説って珍しいのでは。
    気分よく読み終われました。

  • 昔(江戸時代)って、40歳を過ぎようものなら「爺さん」って扱われてしまうのだな、とショックを覚える。
    江戸の商人たちの楽しいお話・・・と思っていたらそこには仇討ちが絡んでいたり。
    最後は幸せな感じで終わり、良かった。

  • 江戸、風待ち小路に住む人々の人情話。6話が重なり一つの物語りになっている。

  • (15-73) 最初は連作短編かと思ったけれど、これは長編になってた。時代小説だけど、最近お客が減ってる商店街って今あちこちにあるね。
    風が通らないから「風待ち小路」という名前もやや景気が悪い。でもそこで何とかしようとする年寄り連中と若手経営者たちの様子に頼もしさを感じた。
    ラストのあたりはちょっと都合が良すぎ?という気もしたけど、いやな読後感よりはそっちの方がいいから良しとしよう。

  • 未亡人と息子の仇討ちの話。
    商人になりすますうちに、商人の生き生きとした日常に心を柔らかくしていく。本懐を果たさなかったのは、納得。
    ただ、ダラダラとしたかったるい文章で、眠くなり、なかなか先に進まない。



  • 連作モノ。
    絵草紙屋粂屋の主、笠兵衛と息子瞬次郎。半襟屋の主、おちせ。生薬屋円満堂の隠居忠右衛門、主の亀之助、嫁のおたよ。洗濯屋の坊主佑太 と母のお栄。菓子舗の息子金吾、父親の長三郎。こんな商店街の面々を覚えて読み進めるべし。連作の一つ一つはたわいもない町内騒動。終盤大きな敵討ちに遭遇するけれど、どうもそこが解せない。敵討ちがなければ特に盛り上がりの締まりのない話になってしまうのはわかるけど、そう都合のいい話でいいのか。妹が兄と夫婦と偽って甥っ子を助けるのも、親子ほどの強い結びつきはなさそうだし。それまで町方の話だったのに急に武家が絡むのも違和感。結果的にはうまくまとまって皆よかったねー的なのも違和感…。そんなもんですかね…。

  • 連作短編かと思いきや最後ぐっと一つの物語として盛り上がりを見せ、江戸の町の佇まいなども面白く、楽しく読めました。それぞれ癖のある人はいても、悪人のいないのがいいです。

  • 【収録作品】冬の芍薬/春はそこまで/胸を張れ/しぐれ比丘尼橋/あじさいの咲く頃に/風が吹いたら

  • 直木賞候補作品という事で読んだ。人情時代小説。

  • 直木賞候補作と言う事で読んでみました。

    正直初めはなんとも普通の時代小説じゃんって感じでしたが
    終盤にかけての盛り上がりはとても良かった。

    なんてことない商店街小説?の時代版といった始まり。
    年寄衆と若旦那衆の確執があったり新しく出来始めた近くの商店街との問題があったりと現代小説としても十分にあり得る題材に思える。
    しかしそこに絵草紙屋、生薬屋等の昔の商いの様子が見てとれて面白い。

    後半がなければちょっと面白みに欠けるというか普通の小説ってのが滲み出てて読んでて不安になってしまったww

    だからこそかな?読み進めて良かったという思いも大きい。

    元気なオヤジたちも楽しいし
    なんとか町を元気づけようと奮闘する若旦那衆も良かった。


    設定的に時代小説なわけですが内容的には時代モノでなくてもいいのでは?って感じなのがもったいない感じがするのかもしれない。

    後半では纏まってましたが前半がなんか生かし切れていない感じ。
    後半で面白くなったので前半読んだところがすっぽ抜けた感じ。

    連作だからこそ、そこがちょっともったいない。

    初読みの作家さんなので作風はまだつかめませんでしたが
    今後に期待します。

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春はそこまで―風待ち小路の人々の作品紹介

絵草紙屋、生薬屋、洗濯屋…。「風待ち小路」には、小さな店が肩を寄せ合うように集まっていた。芝神明宮の門前町でくり広げられる人間模様、親子の絆、そして許されぬ恋。これぞ時代小説の醍醐味。

春はそこまで―風待ち小路の人々はこんな本です

春はそこまで―風待ち小路の人々の文庫

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