著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (447ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163817903

作品紹介・あらすじ

ホテルの前でエリックからメモを渡された。彼の電話番号だった。「国番号も書いてあるから」とエリックは言った。すぐに春香も自分の電話番号を渡そうと思った。しかしエリックが、「電話、待ってる」と言う。「電話を待っている」と言われたはずなのに、春香の耳には「信じてる」と聞こえた。春香は自分の番号を渡さなかった。信じている、あなたを、運命を、思いを、力を-。商社員、湾生の老人、建築家、車輛工場員…台湾新幹線をめぐる日台の人々のあたたかな絆を描いた渾身の感動長篇。

感想・レビュー・書評

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  • 日本と台湾。人と人、想いと想いが繋がる素敵なお話でした。台湾のことを何一つ知らなかったのですが、台湾の歴史や観光地、美味しそうな料理に朗らかな人柄が感じられて台湾に行ってみたいと思いました。
    何気ない日常も特別な出来事も人生の中では連続して繋がっている。何気ない日常の何気ない会話が後になって大切な思い出になっていく。ついつい見逃されてしまう何気ない日常を大切に生きようと、横道世之介を読んだ時のように感じられました。

  • 日本の新幹線が台湾を縦断する。2007年に台北市から高雄市までの345kmを最高速度300km/h、所要時間約1時間30分で結ぶ高速鉄道が開通した。日本が、新幹線の車両技術を輸出し、現地導入した歴史を背景に、日本人と台湾人の登場人物たちの心の繋がりを彼らの歩んできた路、歩む路、歩んでいく路が描写されている。そこから日本人、台湾人と人種を区別することなく、つまり「環境により形成された人格、人種ではなく、人として国境を越えて共通する人格」が感じられた。

    1つ目の路は、多田春香と劉人豪(エリック)の路。
    大井物産の台湾新幹線事業部に勤務する多田春香は、プロジェクトメンバーとして台湾へ出向することになる。新幹線開通の実現への希望もあるが、大学時代に台北で出会った台湾人・劉人豪(エリック)を探すためでもあった。偶然の出会いから9年目の再会。過去の出会いがふたりの現在に影響を与えていることに、ふたりの路が見える気がした。9年目にして、ようやく繋がったふたりの路の話。

    2つ目の路は、安西誠とユキ多田春香の路
    春香のプロジェクト同僚である安西誠は、台湾高鉄の日本窓口である黄忠賢、ジャック・バルトからの難題からのプロジェクト遅延による心労と過労がたたり心身共に壊してしまう。日本に残された安西の家族からは冷たい理解しかない。そんなときに「クリスタル」の台湾人ホステス・ユキと出会い、ユキの優しさに影響を受け、神経質な日本人から大らかな日本人へと変わっていく。台湾でつながった安西とユキの路。未来にむけて、手を取り合って一緒に進んでいくふたりの姿が目に浮かぶ。

    3つ目の路は、葉山勝一郎と中野赳夫の路。
    台湾から戦後、引き揚げてきた葉山勝一郎は、長年連れ添ってきた幼なじみの妻・曜子に先立たれる。ある日、郵便受けの底の大きな封筒に入っていた小冊子「はるか我らが台高」と書かれた旧制台北高校同窓会の会報誌を見つけた。台湾で生まれ育った勝一郎は、引き揚げの際に親友の台湾人・中野赳夫から曜子への恋心を聞かされ、中野に差別的な言葉を発し、自分の中での蟠りから疎遠となっていた。妻亡き後に、エリックとの縁により台湾に行く決心をし、中野と再会することになる。妻との路は終わったものの、引き揚げ後から途切れていた友情の路が、現代でまた繋がる路。人の絆の深さのようなものが感じられる話であった。

    最後の路は、台湾人同士であるが、陳威志と張美青の路。
    陳威志は、高校卒業後、定職を持たずにふらふらとアルバイトで生活をしていた。カナダ留学をしていた幼馴染み・張美青が妊娠をしたことをきっかけに戻ってきた。戻ってきてからの張美青の真面目に生きていく姿をみて、ようやく彼女と自分の将来を真面目に考えるようになり、台湾新幹線の車輌工場に就職する。結婚を夢見て、初めてやる気を見せる威志。幼い振振が、ふたりの間で手を握って歩んでいく路が見える。

    台湾新幹線プロジェクトへの路と、登場人物との路を交差させながら、異国情緒や異国の慣習も描写されており、台湾に関心が持てるようになった気がする。

  • これこそが待ち望んでいた吉田修一だ、そう思った。

    読み始めてすぐに本の世界にどっぷりと引きずり込まれてしまったような感覚になった。台湾の街のざわめき、入り組んだ路地、熱帯植物が色鮮やかに浮かび上がってくる。情景描写がすばらしい!
    どんどん先に読み進みたいけれどずっとこの世界に浸っていたい、そんな相反する気持ちになる小説だった。

    決して大きな事件が起きるわけではない。激しい恋愛があるわけではない。むしろ交錯する人物たちそれぞれの物語が淡々と語られていく。
    吉田修一はこういう手法のほうが似合うと思う。
    「悪人」は万人受けした彼の代表作には違いないが、ある意味没個性に思えた。
    それに比べて「路」は実に吉田修一らしい、最高の出来だと思う。

    台湾までたった3時間。
    すぐにでも飛行機に乗って自らの五感で台湾を感じたい!!
    そんな気分になること間違いなし!

  • 予備知識もないまま、この本を手に取った私は、台湾市場最大の公共建設事業といわれる高速鉄道工事の入札に日本の新幹線が負けたところから、話が始まったので、てっきり池井戸潤ばりの企業小説かと思っていたら、全然違っていた

    逆転入札から様々な困難を乗り越え、台北・高雄間を新幹線が開通するまでの経緯を縦軸に据えながらも、それに関わったいろんな人のドラマがパラレル小説のように並行して進んでいくのだが、最後にはその人々たちの人生が緩やかにどこかで絡み合っていた

    私が一番感動し、考えさせられたのは、日本と台湾の関係だった
    優しく緩やかでおおらかな国民性、とても友好的なのも
    日本人として嬉しい
    同じ日本の統治下にあったお隣り韓国との関係と比べてしまう

    意図したわけではなく、時を同じくして先日、李登輝元台湾総統が亡くなられた 
    台湾地震の時、日本が贈った避難所があまりにシンプルだったので、日本批判が起こることを恐れて、李登輝総統は、こっそりその避難所に電化製品を設置されたというエピソードが出てきた
    それぐらい親日派だったそうだ

    全体を通して、出てくる台湾の街々の風景、ガジュマルや椰子の木の街路樹やこちらにまで良い匂いがして漂ってきそうな露店の賑わい等々も興味を惹かれた
    ぜひ一度訪ねてみたいなと思った

    最後にこんな一節があった

    7年も台湾で暮らしていれば、台湾と言う国が日本でどのような扱いを受けているのか、知らず知らずに敏感になる

    台湾の人が日本を思う気持ちに比べると、日本人が台湾のこと(台湾と中国のこと)を知ろうとする気持ちは、あまりにもお粗末としかいいようがない

    だからこそ、春香はいつか、台湾の人が日本を思う気持ちを当の日本人が気付く日が来ることを願っている

    これは著者である吉田修一さん自身の願いであろう

    これをきっかけに台湾の歴史について調べてみようと思う

  • 台湾新幹線が出来ていく過程を軸に、それに関わる人たちの物語。お仕事小説というよりは恋愛要素多めのヒューマンドラマかな。どの話も温かくて好き。
    春香とエリックの出会いは久々にキュンとした。旅って予想外のことが起こるもの。こんなファンタジーな出会いもありだと思う。

    台湾のじめっと暑い空気が感じられた。おおらかな人たち。食欲をそそられるローカルフードの香り。いいなぁ。

  • 横道世之介シリーズ、エッセイ以外で初めて読んだ。エッセイにちらっと紹介されていたことがきっかけだ。
    私はこの人の書く文章が好きだ。そして、この人の書くキャラクターが好きだ。
    複数人視点による話に別れて構成されている。それぞれの登場人物が皆魅力的だ。
    春香のような元気印の陽キャは、春香の母の言葉を借りると、私のような天邪鬼にとっては時に鼻につくキャラクターになりそうだが、終始彼女を好きでいる自分に驚く。

    分厚い本だけど、読んでいてすごく楽しくて、まだ三分の一しか読んでないから、三分の二も楽しめる!という気分になった。

    台湾は沖縄より南だから不思議ではないのだが、ガジュマルやバナナの木があることに驚いた。私のイメージは中国に近いものだったのだ。
    日本に統治されていた歴史があるのに、親日である台湾の歴史、日本との関係を知りたくなった。

  • 私が初めて行った外国=台湾。当時まだ発展途上だった台湾に、父が仕事で単身赴任していたので、私はある冬休みの17日間を台湾で過ごした。
    当時幼かった私は、初めての海外旅行を余程楽しみにしていたのだろう。看板や表示板、そこかしこに漢字が溢れるのを見て「こんなの外国じゃない(T_T) 」と泣いたとか…?

    今は亡き父が、晩年、発展した台湾を再び訪問してみたいと言っていたけれど、それが叶うことはなかった。その願いは叶わなくても、せめてこの「路」を読むことがあったなら、それだけでも十分楽しめたんじゃないかな?と思う。
    自分と同じ商社勤務の春香たちに、昔の自分を重ね合わせ、彼らの仕事がうまくいくよう応援しながら読み進めただろうし、また、台湾で生まれ育った葉山勝一郎さんほどではないにしても、今や新幹線(台湾高速鉄道)も走るようになったこの地に、きっと感慨深いものを抱いたに違いない。

    父を想いながら読み、そしてそっと読み終えた。

  • 台湾の高速鉄道建設のプロジェクトを軸に、それに関わる人や台湾への思いを抱えた人や台湾人など様々な人が描かれる。

    太陽の力強さ、暑い日差し、きらきらまぶしい風景、からみつく空気、山奥の渓谷。
    そこに住むおおらかな暮らしぶりや時間の流れの違い。
    自然豊かで南国情緒あふれる台湾のよさがたっぷり味わえました。
    登場人物が多彩で、その人物たちに流れた歳月も描かれていて奥行きのある小説です。

    なんといっても心に残るのは春香と人豪の出会いとすれ違い、そして再会。
    離れていた二人の間に流れていたそれぞれの時間が本当に切ない。
    再会して劇的に何かが変わることはなかったけれど、また時が流れていく。
    フィクションなんだけど、うそがないと感じさせるところがいい。
    その後もふたりがそれぞれの”路”を歩んでいくのが清々しい。
    ずっとお互いを大事に思っていくだろうその気持ちが素敵です。

    勝一郎の60年ぶりの友との再会の場面は涙が止まらなかった。
    文字にすればそれだけなのに、小説の世界にぐわっと包まれていると電車の中にも関わらず涙と鼻水でぐしゃぐしゃになってしまいました(w;)
    奥底にしまい込んでいた諸々の思いが、ほどけるように溢れ出してきた勝一郎に感涙。

    ほんとにこの作品はすごく良かった。
    今までの吉田修一作品の中でいちばん好きです。
    書かれた文章の美しさに、ため息が出そうなくらい惚れ惚れしました。
    こんな物語を読みたかったんだと思えたほどの満足感。
    大らかな心で元気に生きていこうと、力が湧いてきた作品。
    久々に自分にとって大当たりの小説なのにこんな陳腐な感想になってしまいます。

    なんで吉田修一の小説がこんなに好きなのか?
    文章が美しく、すんなりと五感に響いてくるから。
    登場人物を好きになってしまうから。
    時間の流れ方が心地よい。
    これといううまい答えは出せませんが好きです。
    同じ時代に生きて読めることがほんとうに幸せ。

    • tsuzraさん
      初めまして。
      コメントありがとうございます。
      あーいいいなぁ…とかみしめたシーンが幾度もありました。
      同じく素晴らしいと思っている方がいて嬉...
      初めまして。
      コメントありがとうございます。
      あーいいいなぁ…とかみしめたシーンが幾度もありました。
      同じく素晴らしいと思っている方がいて嬉しいです。
      2012/12/22
    • koshoujiさん
      これは本当によかったですね。
      図書館に帰してしまったので、保存本として購入しようかと考えております。
      私的には、彼の作品の中で1,2を争...
      これは本当によかったですね。
      図書館に帰してしまったので、保存本として購入しようかと考えております。
      私的には、彼の作品の中で1,2を争うものではないかと。
      2012/12/24
    • tsuzraさん
      私も図書館本だったのですが、やはり買うつもりです(^ ^)
      私も図書館本だったのですが、やはり買うつもりです(^ ^)
      2012/12/24
  • ──台湾は美しい街だ。そして親しみやすい街でもある。
    街を歩けば、そこかしこから漂ってくる美味しそうな匂いが鼻腔を刺激し、緑の多い歩道が目を和ませ、さらには、普段なら喧しく感じるはずの、人々の騒がしい声や車のクラクションの音なども、不思議と気にならない。
    夜市に足をのばせば、あちこちに立ち並んだ屋台で舌鼓を打つこともできるし、名所旧跡を訪れれば、故宮博物館など、歴史の奥深さを感じさせる逸品ばかりで一日いても飽きることがない。

    吉田修一の文章を読んでいると惚れ惚れする。
    バランスの取れた長さの美しい日本語文。
    これしかないという、的確な接続詞。
    前後の脈絡を踏まえた適切な文節の区切り。
    心理描写の表現の見事さとそれを挟み込む絶妙な位置。
    ほとんど非の打ち所がない。流れるように文字を追うことができる。
    文章を読んでいて気持ちが安らぐし、音読すると非常に心地よく耳に響いてくる。
    現代作家は数多く存在するが、五本の指に入る巧みさだと思う。
    稀に見る資質の持ち主だろう。
    だから一つの言葉、一つの文章にその魅力を凝縮させた短編でこそ、さらにその威力を発揮する。
    長篇でもしっかりとしたストーリーなら、その才能は存分に発揮される。

    ただし、この前の作品「太陽は動かない」では、そんな感じがしなかった。
    理由は単純明快。
    サスペンス&アクション──タッチの作品などやはり彼の文章にはそぐわないからだ。
    彼が実験的にその方面に挑戦したのか、出版社の編集者に唆されたのか知らないが、明らかに失敗作だ。
    ああいった路線の作品は他の作家に任せておけばよいのだ。
    サスペンス&アクション路線は無機質な文章を書く作家が得意とする分野であって、彼には似合わない、無理がある。
    有機的で味わいのある彼の文章の長所を発揮できないのだ。

    この最新作「路」は違った。
    さすが吉田修一、と思わせるような煌く文章の連続。

    台湾で日本の新幹線を走らせる仕事に色々な方向から携わった日本人と、彼らと関係した台湾人のそれぞれの視点からの物語。
    ひとりひとりの人物造形も心理描写も非常に丁寧だ。
    序盤から中盤にかけては、日本人、台湾人それぞれの友情や恋愛、台湾在住時代への郷愁が描かれ、一見ばらばらでさまざまなエピソードの一つ一つが、きらきらと光り輝いている。
    例えば、台湾人である劉人豪と日本人の多田春香が九年ぶりに再会する場面。
    物語としては単なる一部分に過ぎず、ことさら泣くようなシーンでもないのだろうが、なぜか胸が熱くなる。
    一言一言、さりげない比喩や文章が心の中に深く沁み込んでくる。
    この部分だけでも一つの短編小説として完成されているような深い味わいの会話と描写。
    そう、珠玉の短編がいくつも交じり合って重厚感のある長篇を成立させている、そんな不思議な魅力を持った小説なのだ、これは。

    物語は終盤に進むに連れ、多くの点と点が複数の線で結び付けられ、ばらばらだった登場人物の位置が近づき、少しずつ絡まりあっていく。
    その伏線の回収の仕方も見事だ。

    戦後台湾から日本に引き上げた葉山勝一郎と台湾からの留学生劉人豪の年の離れた友情。
    新幹線開通のため台湾現地で仕事に取り組む多田春香と整備士を目指すようになる陳威志の出会い。
    流れた時、止まった時間、記憶の片隅に残る思い出、奇跡的な再会。
    遥かなる過去と過ぎ去った時間、でも変わらなかったお互いの熱い思い。
    ところどころに散りばめられた、過去の思い出に対する無念、あるいは後悔の情を抱く場面。
    それらのシーンに出会うたびに、涙が頬を伝う。
    登場人物から吐き出される言葉の意味。作者の書き綴る情景描写や心理描写。
    それらが一体となって紡ぎ出された世界に、しばし目が潤む。
    すべて吉田修一の創り上げた劇中の仮想空間に過ぎないのに、言いようのない幸せな世界と時間を共有した気にさせてくれる美しい作品だ。
    長年の間“思い出”という名に変わり、切り取られていたリボンが、再び結び付けられ、新しい未来と時間を創り始める。
    そんな幸福感を味わえる、お薦めの一作です。

    • honaoさん
      koshoujiさんのレビューを読んで、本を早く読みたくなりました。只今図書館予約中。楽しみにしています。
      koshoujiさんのレビューを読んで、本を早く読みたくなりました。只今図書館予約中。楽しみにしています。
      2012/12/23
    • vilureefさん
      koshoujiさん、はじめまして。

      そうです、そうなんです!前作のあらすじを聞いて、何?吉田修一がハードボイルド??そりゃ、ないだろ~と...
      koshoujiさん、はじめまして。

      そうです、そうなんです!前作のあらすじを聞いて、何?吉田修一がハードボイルド??そりゃ、ないだろ~とスルーしました。
      よかった、読まなくて(^_^;)

      この作品では本来の彼が戻ってきましたか!よかったよかった。
      現在図書館予約中です。楽しみだな~♪

      koshoujiさん、フォローさせて頂きますので今後ともよろしくお願いします。





      2012/12/23
    • tsuzraさん
      私の方の本棚にコメントありがとうございました。
      吉田修一作品で1、2を争うとのこと。同感です。
      世之介のような性格の良さや泳ぐシーンの高揚感...
      私の方の本棚にコメントありがとうございました。
      吉田修一作品で1、2を争うとのこと。同感です。
      世之介のような性格の良さや泳ぐシーンの高揚感あり、さよなら渓谷の中の自然描写の奥深さあり、静かな爆弾の相手を捜す心もとなさあり、今までの作品を思い起こさせるような集大成的なものを感じました。
      私も、ほんとに良いなぁと思います。
      2012/12/24
  • 400ページに渡る、長編物語。
    台湾に走る、新幹線が開通するまでの7年間を通して主人公たちが歩む、それぞれの「路」の物語。

    ページを開いて行くたびに吹き抜ける、ゆるい台灣で流れる時間と台灣の湿った温かい風。台灣人の、笑い声や会話がBGMのように聞こえてくる。

    著者の台灣を愛する気持ちが、ぎゅーっと詰まった1冊。

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著者プロフィール

1968年長崎県生まれ。法政大学経営学部卒業。1997年『最後の息子』で「文學界新人賞」を受賞し、デビュー。2002年『パーク・ライフ』で「芥川賞」を受賞。07年『悪人』で「毎日出版文化賞」、10年『横道世之介』で「柴田錬三郎」、19年『国宝』で「芸術選奨文部科学大臣賞」「中央公論文芸賞」を受賞する。その他著書に、『パレード』『悪人』『さよなら渓谷』『路』『怒り』『森は知っている』『太陽は動かない』『湖の女たち』等がある。

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