64(ロクヨン)

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著者 : 横山秀夫
  • 文藝春秋 (2012年10月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (647ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163818405

64(ロクヨン)の感想・レビュー・書評

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  • いや~、すごかった。前評判通り、すばらしい。
    もう寝ないと明日に響くからと思いつつ止められなかった。
    おまけに読み終わってからも興奮が収まらずなかなか寝付かれない。その位すごい作品だった。

    あらすじとしては、14年前に発生した未解決誘拐事件をめぐって警察内での政治的攻防が繰り広げられると言ったお話。
    最初は主人公の三上が暑苦しいしくどいし、警察ってこんなことばっかりやってて仕事してんのかよって反感が生まれたり。
    おまけにやたらと登場人物が多い。もしこれがロシアの小説だったりしたら完全にアウトだったと思う。絶対に覚えられない(笑)
    でもそんなことを抜きにしても、最初から最後まで緊迫感を持って読者を引っ張って行く横山さんの筆力は圧巻。

    この小説を読むと、ああ今から20年以上前に発生した“功明ちゃん誘拐事件”がモデルになっているんだろうなとピンと来た。
    私の住む隣県で発生した事件で当時の事も良く覚えている。
    男の子は全裸の無残な姿で発見され、犯人逮捕にもいたらず。
    犯人の脅迫電話なども公開されたが結局はそのまま時効を迎えることになった。
    横山さんは上毛新聞の元記者。この経験は「クライマーズ・ハイ」を言う名作を生み出しているが、この事件に対しても警察や記者たちへの色んな思いが渦巻いていたんだろうなと想像できる。
    もちろんモデルになった事件を抜きにしても十分読み応えのある小説ではあるが、重ね合わせて読む事で作品の深みが増す。

    この小説、絶対映像化されるでしょう。
    “鬼瓦”と描写される主人公の容貌。
    一体誰がやるんでしょう・・・。
    佐藤浩一、堤真一あたりじゃカッコよすぎるよななんて思ったり。
    ふふふ、楽しみです。

  • 2012年「このミステリーがすごい 第1位」。

    すば抜けた評価で、第2位の宮部みゆき「ソロモンの偽証」を抑え栄冠に輝いたこの作品。
    さすがに圧倒的な筆力で読み手に迫ってくる。
    警察庁の内部抗争劇を主にしながら、上下関係やマスコミと広報室のつばぜり合い。
    さらには、昭和64年に起こった、未解決のままの少女誘拐事件、通称「ロクヨン」。
    などなど、縦糸と横糸を縦横無尽に絡ませながら、物語は進んでいく。
    人としての生き方。組織内でのあり方。家族との接し方。
    様々な事件や争いに翻弄されながら、主人公であるD県警広報官三上の葛藤と苦悩が描かれる。
    600p以上に及ぶ長篇でありながらが、中盤過ぎからは息をもつかせぬ展開に一気読みだ。

    14年前に起こった時効寸前の事件「ロクヨン」とは、どこで結び付くのか?
    途中からはもっぱら、その一点に興味が注がれる。
    そして──。
    ああっ、と誰もが予想だにしない展開で、物語は「ロクヨン」と絡まり、新しい事件が急展開を迎える。

    いやあ、面白かった。優れた小説とはこういうのを言うのですな。
    横山秀夫さん、さすがです。
    警察組織の狭間の中で、人間としての純粋な感情を失わない三上。
    壊れかけた夫婦関係。地元マスコミとの信頼関係。刑事部と警務部との確執。
    すべてが物語の終焉に向かって鮮やかに収斂していく。
    誰もが読んで絶対に損のない傑作です。

  •  2012年このミス第一位。2013年本屋大賞第二位。すごいっ。
     ここまでの話題本を読まずにすごすなんて、本読みの名折れでしょう、ということで、ぶっとい本ですが、ガアーっと読みました。

     D県警警務部広報官 三上義信。警察の窓としてマスコミに対峙する彼は、警務部ではなく刑事部に長く身を置く存在。
     警務部とは庶務で、刑事部とは営業みたいなものか。
     二年の辛抱、けれどやれるだけの改革を、という思いで、警務部長に与することなく独自の路線を貫く三上。しかし、三上の娘が家出をし、赤間が三上のために親身になって動いたことから、三上は赤間に屈服を余儀なくされるー


     とまあ、これは、ストーリーの本の一部です。本当に、一部。だてに、647ページあるわけではありません。これは、ネタバレにすら、なってません(笑)
     ロクヨンとよばれる誘拐事件に隠された秘密、その事件の裏に隠されたメモ、無言電話。これらが、警務部と刑事部の対立、三上とその同期 二渡の謎の行動と絡んで、一つの結末に集約していきます。
    もう、見事見事。一気読みをおススメします。
     
     けれど、一つ言うなれば、登場人物紹介と、相関関係図がほしかった・・・
     

  • 警察小説の傑作。
    D県警シリーズのひとつということですが、初めて登場する主人公。
    14年前の誘拐事件と現在の事件が交錯します。

    64とは、昭和64に起きた未解決誘拐事件の符丁。
    64年ってたった7日しかなかったんですね‥

    三上義信は、D県警の警務課の広報官。
    もとは刑事畑の出ですが、警務課に回されたのは二度目で、微妙な葛藤を抱えていました。
    捜査に携わる現場の刑事にとって、警務課とはスパイのようなもので、互いに押し引きをして張り合っていたのだ。
    警察内部の人間関係、信頼できる人もいないではないけど、何かと足の引っ張り合いがあり、そのへんがたっぷりと書き込まれていて、こんなことを考えながらやっているのかと驚くほど。

    鬼瓦のような顔をしている三上の内心は悲痛だった。
    娘のあゆみが家出して行方が知れず、妻の美那子は電話にかじりついて離れない。
    家出して2ヵ月後に無言電話が3回あり、あゆみからと信じて疑わずに待ち続けているのだ。
    三上は娘の捜索を全国手配してもらったため、上司に逆らえない立場になっていた。

    64の事件も時効まであと1年。
    被害者家族の雨宮に、警察庁長官が弔問に訪れたいという申し出をするが、きっぱり断られてしまう。
    警察に不信を抱いている様子に驚いて、事情を探り始める。
    担当者との間に何かあったのか?
    辞めた警官がいることを知った三上は‥

    警務課では、マスコミ対応も頭の痛いところ。
    上司の指示通りにある事件の加害者の実名を発表しなかったところ、記者たちの反発にあい、揉めに揉めて公式に抗議されてしまう。
    このときの葛藤も凄いけど、三上が決断してからが潔くて、カッコいい!
    自分の立ち位置を確認し、腹が据わったのですね。

    絡み合う過去と現在。
    予想外な展開で、読み応えがありました!
    不器用で迷いと苦しみばかりだった三上も、真剣に向かい合ううちに良いところが出てきて、一皮剥けていくよう。
    思いつめていた美那子も、それなりに心の落ち着きどころを見出していきます。

    「半落ち」と「臨場」を読んでいるのですが、風合いが違うので、読んでいる最中は同じ作家とはっきり気づきませんでした。
    読んでいない「クライマーズ・ハイ」などのほうが通じるものがあるのかも‥
    とはいえ、この作品がベストかもしれませんね。それぐらい迫力があります!
    私の好みで言えば「臨場」かもだけど‥それは主役のせい♪

  • 濃密、重厚、正に読み応えのある満足感いっぱいの一冊であった。
    かなりの超大作だが、読んでいる間中、ずっと緊張感が走り、中だるみもなく最後まで読破してしまった。
    誘拐殺人事件の時効まであと一年、その水面下で解決の糸口が見つかろうとしている。
    家族を殺され心に闇を残したまま、いつまでも踏ん切りをつけられないでいる被害者側の執念は想像を絶する。
    広報官・三上の家庭での事情も事件とリンクし、切ないものとなっている。

  • 警察が舞台の小説を読むと必ず階級社会のあまりきれいじゃない面を
    いつも見せ付けられ、派閥やら、県レベル本庁レベルとの確執やら、
    キャリアやら・・・
    そういったものに食傷気味でしたので、実はコレも?と思っていました。

    確かにそんな部分もあったけれど、この本はそれだけに留まらずに
    家族を持つ人間としての深みにも触れ、なおかつ
    組織の中の人間の葛藤も鋭く描かれ、
    敵、味方という物差しでは計れない人間関係にも心酔させられます。
    登場人物の誰彼に関わらず感情移入して
    つい目頭が熱くなったり。

    まさか、あのような結末に!とは誰もが思ったことでしょう。
    読み終えたとき、主人公に成り代わり、サイドを固めた人たちみんなに
    ありがとうと言う気になりました。
    特に二渡氏が気になります。

  • ピエール瀧が主演したNHKのドラマを先に観ていて、昨今では珍しくハマったドラマとなった。暫くして映画化されたことも知った。その前に是が非でも原作をと思い、本作を手にした。

    これはクライマーズ・ハイの人間ドラマをさらに深めた感じ、無骨な主人公が警察や家庭という組織のなかで苦悩しながらもそのなかで生き抜く姿を描いた作品である。多かれ少かれ組織のなかで戦っている人間であれば共感できるところがあるのではないだろうか。
    悲壮な事件もさることながら、時に陰鬱になるくらい人間の間に生きなければいけない主人公に長くフォーカスしているのは、横山氏の実体験があってのことだろう。そして現実もそんなものなのだと思っているわたしはそこに魅了された。

    鬱になるほどこの作品を生み出すことに労力をかけた作者に拍手を送りたい。

  • 刑事部と警務部の双方から踏み絵を踏まされる広報官の三上。そこに相反する中央(警視庁)と地方警察の思惑や家族の柵が絡んでゆく。骨太の警察小説。登場人物が多く、通勤読書には少し飽和気味。父親と同じ顔立ちを悩みでてゆく、三上の娘の家出の理由が少し弱いかなぁ。陣頭指揮を執る松岡は、これぞ「刑事」という姿を具現化している。因みにD県警シリーズはデビュー作の「陰の季節」、「動機」、「顔FACE、「半落ち」]がある。

  • 刑事課から広報担当に異動になった三上は、隠したい警察と暴きたいマスコミの間で苦心している。一人娘は家出し、元婦警の妻は神経を張りつめている。
    そんななかかつて関わった1964年の児童誘拐殺人事件に関わる事件が起こる。組織のどこにも属せない三上は独自で真相を探る。

    会社としての警察組織における縄張り争いや保身の物語を書いた現実的な警察小説、かと思ったら、最後の部分でかなり緊迫の事件展開。
    しかし事件も家庭もすっきり解決ではなくぎりぎりのところで寸止めで終わっている。続きを知りたいんだが、続きを書かれると興ざめしてしまうんだろうなというぎりぎりの終わり方。
    この終わり方で小説としてはお見事なんだが、やっぱりすっきりさわやかとはいかな。この後もさらに困難が待ち受けていそうなんだがいい方向に向かってくれよ。

  • D県警警務部広報官 三上義信。
    肩書きは、組織人であることの証明だ。

    県警記者クラブとの対立。
    警務部と刑事部の確執。
    キャリア組への反発。
    本庁に対する地方警察の抵抗。

    14年前の少女誘拐事件(ロクヨン)。
    身代金2,000万円を奪われ、少女は死体で発見、犯人不詳。
    事件をめぐり、警察内部での疑心暗鬼が高まる。

    人はいくつもの顔を持つ。
    警務部としての立場、元刑事としての意地、一人娘の父親。

    10年以上前にある会社の会長に言われた言葉を思いだした。
    「肩書きなんて気にしているのは自分自身だけだよ」

    組織内での葛藤と人間としての生き様を描いた傑作。

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