熱望

著者 :
  • 文藝春秋
3.05
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本棚登録 : 95
感想 : 28
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  • Amazon.co.jp ・本 (222ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163820804

作品紹介・あらすじ

三十一歳、独身、派遣OL。地方都市で懸命に生きている女性が、ふとしたきっかけで犯罪に手を染め、転落し、それでもタフに生きていくさまを描いた究極のイヤミス。田舎暮らしが嫌で実家を出た清原春菜は、地方都市で派遣OLをして暮らしている。三十路を迎えて婚活にいそしんでいたが、結婚相談所で紹介された男にお金を騙し取られ、同じころ派遣先からも仕事を切られてしまう。実家に援助を頼むが、男に騙されたとは言い出せず、家賃や公共料金の支払いさえ滞る始末。実兄が結婚し、春菜の実家での居場所はとうになくなっていたのだ。ハローワークに通ってもろくな再就職先はなく、しだいに毎日の食事にも困窮する春菜……。ほんとうの幸せとは何か。なぜ、どれだけ頑張っても、自分は幸せになれないのか。幸せに憧れることが、そんなに贅沢な望みなのか。ただまっとうに暮らしてきた自分を、男たちも、会社も、いいように利用するだけ利用して捨てた。私には、世間からお金を返してもらう資格がある! 開き直った春菜は、騙される側から騙す側にまわることを決意し、「ある行動」に出る。「なぜ、私ばかりこんな目にあうのだろう」「私はただ、普通に幸せになりたかっただけなのに」――やがて追われる立場になり、逃避行を続けながら、なお自らの肉体を武器にタフに人生を生き抜こうとする春菜。彼女に「安住の地」はあるのか? 彼女を待ち受ける驚愕の運命とは? 著者渾身のサスペンス・ミステリー傑作。

感想・レビュー・書評

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  • いったい、どうなっちゃうんだろうと、気になって一気読みでした。

    結婚詐欺にあい、自らもその道に落ちていく主人公・春菜。
    いや~、短絡的というか、なんというか…。

    お料理のセンスもあって、バイタリティー豊かで、
    まぁ、いいところもあるんですよね。
    努力の方向が違っていれば、立ち直れたかもしれないのに…。

    ”類は友を呼ぶ”ってことなのか、
    出会う人たち、そろいもそろってくせ者ぞろいで、
    特に、したたかなご老人たちが恐ろしかった!

    こんな結末、想像もつきませんでした。
    何事も、うわ手がいるものなんだ…。

    • 杜のうさこさん
      lokokasaさん、こんばんは~^^

      そう呼んでくれて嬉しいです。まったく問題ないですよ♪
      どんどん呼んでやってください!(笑)...
      lokokasaさん、こんばんは~^^

      そう呼んでくれて嬉しいです。まったく問題ないですよ♪
      どんどん呼んでやってください!(笑)

      うわっ!本当ですね!
      こんな偶然めったにないですよね~。

      あ、でもね、それもありえるかも…。
      初めて本棚を拝見したとき、びっくりするくらい同じ本が並んでいて、
      嬉しくなって、いいね!押しまくった記憶があります(笑)
      特に、垣谷美雨さんの本を見つけた時は嬉しくて…。
      それと、『パンとスープとネコ日和』『かもめ食堂』~『トイレット』
      あの世界が好きなのも!
      もしかして、『すいか』もかなぁ?なんて想像してニンマリしてました。

      これからも同じ本が増えるといいですね!
      楽しみ~(*^-^*)
      2016/06/07
  • いやー面白かったです。読んでいてワクワク感があり早く先が知りたくて、一気読みでした。春菜が結婚サギにあった後は、ジェットコースターのように加速して最後まで息をつかせないほどの展開でした。 お話の中に出てくるとんかつとナポリタンはB級グルメとしては、神保町にあるお店を想像してしまいました。 イヤミスと言われているそうですが、私にとってはイイミスでした。ラストの終わり方が、続きがあるように思えてなりません、ぜひ続編を期待します。

  • 恋愛詐欺の話
    これぞイヤミス
    読みやすくて面白かった。

  • 何でわたしばっかりがこんな目にあうのだ…幸せになりたかっただけなのに!

    悪女になった主人公が、男達に復讐する話かと思いましたが、ちょっと違いました。
    帯には『いま』を書いた究極のイヤミスとありましたが、それもまた少し違うように感じました。
    お金か、男か、仕事か。彼女の一番望んでいた“幸せ”は何処にあったのか。
    同情も共感もなかったけれど、いつもギリギリ状態の彼女から目が離せなかった。

  • 主人公が好きになれなくて、30頁ほどで終了。

  • どう捕まるのかな、と思いきや…
    最後にある意味救いがあるようなラストにしたかったのかなぁ。
    それにしても、最後まで読んだものの、この女子はどうにも共感ができない。特に最初の時任くんとのくだり。

  • なかなか後味が悪いというか…作者ってもしや女?と思わされるほど主人公の女の自分本位さと身勝手さが見事に描かれている作品。好きではないが、人物描写と女の堕ちていきかたがみごと。

  • 予想してたより面白かった。
    最後、意外な展開だった。どうなるんだろう…。
    なんか、そんな状況でも生きて行けるものなのねって思ってしまった。もちろんゴメンだけど。

  • 佐木隆三の「復讐するは我にあり」のようなピカレスク小説にカテゴライズされると思う。しかし、主人公の春菜は思慮が浅く、その計画や行動が存外間抜けであり、またその置かれた状況にも同情の余地があるため「復讐・・」の榎津ほどの悪辣さや冷血さは感じられず、不運なハイミスの人生転げ落ち物語という印象が強い。佐藤正午の「身の上話」に近いテイストを感じる。

    ボルボ、緑フレーム、布団男、単身赴任男、タブレット男、ダイヤ坊主、など、ターゲットとなる男たちに、春菜が付けるニックネームがおもしろい。

    春菜は普通の平凡な女性だと思う。現実に春菜と同じような環境や状況にある女性は多くいるだろう。そしてたぶん同じような考えも持つだろうし、同じような行動を取ったりもするだろう。それは幸せな人生を求める行為であり一概に悪と断ずることはできない。しかし、少しやり過ぎたり、少しボタンを掛け違えてしまうと、春菜のようになってしまう。

    正論を言うならば、成功するための努力の方向が間違っていると言うことだろう。
    そして、もし春菜が男だったならこのような方向に努力を向けただろうか。そう考えると現在の社会や制度が未だ男性中心であることにも気がつく。

    著者の作品は何作か読んでいるが、その中で本作は羅針盤と並び最も面白い作品の一つと感じた。

  • 結婚詐欺にあった女性の転落物語。さらっと読めるけれど…。
    途中までは仕方ない、小説だし……という気持ちが周りるたけど、殺人になってしまったあたりから主人公も、彼女のまわりの人も、あらたに出会う人もとにかく負の方向に入り込んでいったような……。連鎖って見事なまでに恐ろしい。フィクションであっても……。
    サクサク読めたけど、特にラストは取りようだけどいやな感じだった。

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著者プロフィール

三重県生まれ。2009年、島田荘司氏選考の第1回ばらのまち福山ミステリー文学新人賞優秀作を受賞した『少女たちの羅針盤』でデビュー。14年「五度目の春のヒヨコ」が第67回日本推理作家協会賞短編部門の候補に。20年『ランチ探偵』『ランチ探偵 容疑者のレシピ』が「ランチ合コン探偵 ~恋とグルメと謎解きと~」のタイトルでTVドラマ化。ほかに「社労士のヒナコ」シリーズ、『冷たい手』など著書多数。

「2022年 『ランチ探偵 彼女は謎に恋をする』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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