王になろうとした男

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (299ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163823201

作品紹介・あらすじ

己を知るものほど強いものはおらぬ天才信長の周囲に集まった者、五人のそれぞれの数奇な運命を描く歴史短編集。黒人奴隷の弥介、信長に父信行を殺された織田信澄など。

感想・レビュー・書評

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  • 信長を巡る家臣たち、特に有名どころとは言えない人物を主人公にした短編集で、直木賞にノミネートされ、残念ながら賞を逃した作品。

    「恋歌」と違い、こちらは骨太で戦国の男の生き様が描かれる。

    野心家、裏切り者、復讐鬼、途中は下克上らしい登場人物が出てくるが、最初は一途で無欲な男に始まり、一途に主を信じる者の話で締める。

    この愚直な生き方こそが、読者に何かを訴えかけているのだろうか。

    なるほどさすがに直木賞ノミネート作で面白かったが、なんとなく「恋歌」の及ばなかったのは、本能寺の変で少し「if」に走り過ぎたからではないかと言う気がする。

    あまり黒幕とか全面に出さない方が良かったかなぁと。

    それと完全に男向きな作品だなぁという印象も。

    でも個人的には好きな作風で、せっかくなので「恋歌」と同じ天狗党について描いた「義烈千秋天狗党西へ」を読んでみたい。

  • 織田信長の側近たちを描いた5編の連作短編集。前話の脇役などが次の話の主役やキーパーソンとなるリレー形式のような短編集です。主役となる側近たちは著名な人物とは言えず、知る人ぞ知る人物なのが伊東潤らしいです。絶対的な主 信長によって引き立てられた者、貶められた者がそれぞれの事情や思惑で動き、やがて終焉を迎える。5人の個性が生きた短編は伊東潤らしいキレや無常感があり、全編を通して本能寺の変の裏側を描き出しているのも興味深く面白い。特に印象に残ったのは前後を締める「果報者の槍」と「王になろうとした男」

  • 毛利新助、塙直政、中川清秀、荒木村重、津田信澄、彌介と、織田家を巡る人々の短編集。最初は人選がニッチすぎると思ったが、どれも読ませる内容でとても面白かった。

    この連作における本能寺の変の黒幕は、津田信澄、丹羽長秀光秀、秀吉、村井貞勝であった。
    近年は本能寺の変の理由については、織田家諸将が信長についていけなくなった結果と描いている作品が心なしか多い気がした。

  • 信長にまつわる5人5編の短編集。それぞれの短編の主人公が、他の短編に出てきたり、マルチアングル的な作りなっていたりもするが、登場人物やエピソードの設定がきちっと統一されているので、読んでいて興醒めすることなく、ぐいぐい一気に読める。いつものように、ハッピーエンドは全然ないんだけど、でも、スキッとした読後感を得られる良作だと思う。

  • 今NHKであっている大河ドラマ『黒田官兵衛』と時代が重なって面白く読めた。荒木村重という人物の話が一番興味がわいた。

  • 家康を殺そうとして逆手にとって光秀が信長殺した最近のせつは結構好き。

  • めちゃくちゃおもしろい。
    必読書。

  • 信長周囲の人物を通じて信長像を描く視点で、短編でもありスラスラと読み進めた。

  • 伊東潤さんの作品を連続で読みました。



    今回の「王になろうとした男」は



    この本に収録されている5つの短編のラストの題名。



    と、言っても他の短編も織田信長という大きな存在で繋がっていて

    このタイトルとリンクしてくるところがあります。



    毛利新助(今川義元の首を取った男)

    塙直政(秀吉、光秀より出世していた男)

    荒木村重(信長に叛旗をひるがえし、生き残った男)

    中川清秀(恩人村重を裏切った男)

    津田信澄(信長に殺された弟の息子であり、最も従順な信長の親族)

    彌助(信長に仕えた黒人)



    信長や秀吉を描いた歴史小説の中で

    脇の脇で出てくるような男たちが、

    この小説ではいきいきと己の野望の中心として描かれています。



    こんな歴史解釈もあるのかとうならせるような展開。

    もう一気読みです。

    恥ずかしながら、塙直政については全く知らなかったので

    最初は伊東さんの作りだしたキャラクターなのかと勘違いしてしまいました。

    彼を知ったことによって、ネットで検索しまくり

    徳川家康、浅井長政との同盟を成功させ

    途中までは秀吉や光秀を上回る出世し、九州の由緒正しき苗字「原田」をもらいながらも

    最後は悲惨な最期をとげ、その後信長にその存在を抹殺された男。

    もう正直彼のとりこになりました。

    関連書籍を読みまくりたいそんな衝動です。



    それ以外の男たちも魅力たっぷり

    伊東さんが描いたこの歴史小説は自分に新たな発見をいくつもさせてくれるものでした。

  • 短編集だけど、一つ一つが繋がっている。中々面白い。

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著者プロフィール

1960年神奈川県横浜市生まれ。私立浅野中学、浅野高校、早稲田大学卒業。日本IBM(株)入社後、おもに外資系日本企業の事業責任者を歴任。
著書に『戦国関東血風録 北条氏照・修羅往道』(叢文社)、『悲雲山中城 戦国関東血風録外伝』(叢文社)がある。
加入団体に『八王子城とオオタカを守る会』『八王子城の謎を探る会』『ちゃんばら集団剣遊会』『三浦一族研究会』等。
趣味 中世城郭遺構めぐり 全国合戦祭り参加 ボディビル エアーギター アマチュア・ウインドサーファーとしてソウル五輪国内予選に参加(8位) 「湘南百年祭記念選手権」優勝等各種レース入賞多数
*ご意見、ご感想等の連絡は下記のメールアドレスへ
jito54@hotmail.com

「2006年 『虚けの舞 織田信雄と北条氏規』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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