スナックちどり

  • 文藝春秋
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本棚登録 : 904
感想 : 130
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  • Amazon.co.jp ・本 (173ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163825106

作品紹介・あらすじ

それは人生のエアポケットのような、不思議な5日間だった――。40歳を目前にして離婚した「私」は、幼なじみで従妹のちどりと偶然同時期にヨーロッパに滞在し、一緒にイギリスの西端の田舎町・ペンザンスに小旅行に出かけることになった。ちどりもまた、心に空洞を抱えていた。幼い頃に両親が離婚した後、親代わりに育ててくれた祖父母を相次いで亡くし、ひとりぼっちになってしまったのだ。さびれた海辺の町で、二人は昔話にふけり、互いの人生を振り返る。とりわけ思い出されるのは、ちどりの祖父母が経営していた、「スナックみどり」の光景だった。常連たちがまるで家族のように寛いだ時間を過ごし、またそれぞれの仕事に帰っていく。そこにはささやかだけれど、しっかりとした幸福感が満ちていた。そんな思い出を確かめ合いながら、二人は少しづつ寂しさを埋めていく。そして3日目の夜、二人の間にある「事件」が起きる……。限りなく繊細な表現で、人が人に寄り添うとはどのような事かを問いかける傑作小説。あなたもきっと「居場所」が見つかります。

感想・レビュー・書評

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  • 久々に、よしもとばななさんの本を手に取った。

    読み進めていくうちに「ああーこういう感じだったなあ」と若い頃読んだばななさんの本を、懐かしく思い出す。掴みどころのない状況や思いを、言葉にして未来に繋げていく感じ…。

    途中「ん!?!?」という場面もあったが、これもばななさんということで。

  • 40歳目前で離婚したさっちゃん、親代わりに育ててくれた祖父母を相次いで亡くしたちどり。

    幼馴染みで従姉妹同士のふたりはイギリスの海沿いの田舎町・ペンザンスに小旅行に出かけ・・・。

    大切な人をうしなう寂しさや不安、後悔。心の動きの描写が丁寧で、誰かの日記を読んでいるような感覚になる場面もあった。

  • 40歳を目前に離婚し私と、いとこのちどりは、イギリスの田舎町に旅行にきていた。

    夫は良い人で、大好きで今でも気持ちはあるはずなのに、彼は道化で、一緒にいることはもうできないと判断した私の悲しみ。
    両親を亡くし、祖父母に育てられ、大好きだったその祖父母も亡くなったちどりの孤独の悲しみ。

    日本から離れて何日も滞在しているイギリスでの日々
    たった2人だけで、お互いの悲しみを共有し、精算していくまで。

    私の夫のこと、言葉にして説明するのってすごい難しいニュアンスを、よしもとばななさんは表現するのがすごい上手だなあ、と。

  • 失恋したあとは、誰かといても何をしていても
    ふいにひとりぼっちだと思う瞬間が何度もおそってくる。
    そうなると、自分から終わらせた恋も
    ほんとうはもっと頑張るべきだったのかとか
    自分から幸せを手放してしまったのかもとか、
    なんだかそういう、訳の分からない糸にがんじがらめになって
    間違えた道にきたようで寂しくてつらくなる。
    でも、失恋とはそういうものなのだ。
    誰もが同じくこういう思考にからめとられるものなのだ。
    この本を読んでいて、ぁぁ長い春を終わらせたあの頃
    この本があれば、もっとはやく立ち直れたかもなぁと
    少し出会うのが遅かったと苦々しい思い出をおもいだじした。

  • アラフォーおんな二人旅(イトコ)inイギリスの海辺の片田舎。いいなあこんな人間関係、こういうじわじわリセットの旅というか、いいなあいいなあと思って読み進めていたけど、どーも染み込まない。挙句終盤の、肉体的にまで求め合っちゃうのが、いや違うよーーそれはいやだわーーとブロックかかってしまった。うーん。なんというか合わなかった。性的に。いや理性的に。
    吉本ばなな作品、たいていトモダチになれそうにない女性が主軸に出てきがち説。

    • ally0001さん
      同感です。あのシーン、必要なんでしょうか。気持ち悪くなって読み進められなくなりました。
      同感です。あのシーン、必要なんでしょうか。気持ち悪くなって読み進められなくなりました。
      2023/07/18
  • 明るくないしパッとしないのに、薄靄がかかって日常がちょっと非日常になる感じがとてもばななさんらしくて、すごく読みやすかった。コーンウォール地方に行って見たくなった。

  • 私も旅をしている様にぼんやりと漂いながら読みました。
    大好きだと心と身体が思える人に、自分はこれから出逢っていけるのだろうか。迷いがあって、悲しみがあって、それでもキラキラしていたいと思って生きて。

    何も考えず、そして考えるために、全然知らない異国の土地に、せかせかしなくてゆっくりと旅をしてみたいな。

  • まさに、今!な内容で、自分のこれからを読み進めていくような気持ちで読んだ。
    わたしもわたしの生き方をしっかり考えなくてはと、感じた。
    いろんな人の深いところで感じる気持ちが丁寧に描かれていて、しみこむような言葉の数々に、とっても癒され、そして励まされた。

  • ばなな様の本、久々読んだ~♪
    やっぱりばなな様はすごい!
    私の感性にしっくりくるというかなんというか。

    このお話、すごい展開があるわけでも、すごいハッピーエンドでもなく、ただただ幼馴染みでもある従姉妹どおしがそれぞれの悲しみと向き合いながら、のんびり旅をするだけ。でも最後まで読みふけってしまう。

    ばなな様の人やモノゴトの見方、感じ方、とらえ方がすごーく心に染みるんです。
    なんとなく思ってることを、飾らないけど美しい文章で表してくれるの。

    一ヵ所だけ、予想外の展開があってドキドキしちゃったあ!その展開を寂しい水面にポトンと投げ入れてくるばなな様がやっぱりすごい。

    ばなな節楽しみました!

  • すごく優しいお話でした

    ポテトたべたくなっちゃった!

    そして、すべてのおばあちゃんがいとおしくなってしまう感覚、すごくよくわかる。

    私も祖母を亡くしてからというもの、デパートや病院の待合室や銭湯にいるおばあちゃんたちみんなに抱きつきたいようなそんな気持ちになったの、凄く思いだしました。

    でも、前向かなきゃいけないんだよね。

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著者プロフィール

1964年07月24日東京都生まれ。A型。日本大学芸術学部文藝学科卒業。1987年11月小説「キッチン」で第6回海燕新人文学賞受賞。1988年01月『キッチン』で第16回泉鏡花文学賞受賞。1988年08月『キッチン』『うたかた/サンクチュアリ』で第39回芸術選奨文部大臣新人賞受賞。1989年03月『TUGUMI』で第2回山本周五郎賞受賞。1993年06月イタリアのスカンノ賞受賞。1995年11月『アムリタ』で第5回紫式部賞受賞。1996年03月イタリアのフェンディッシメ文学賞「Under 35」受賞。1999年11月イタリアのマスケラダルジェント賞文学部門受賞。2000年09月『不倫と南米』で第10回ドゥマゴ文学賞受賞。『キッチン』をはじめ、諸作品は海外30数カ国で翻訳、出版されている。

「2013年 『女子の遺伝子』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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