- Amazon.co.jp ・本 (189ページ)
- / ISBN・EAN: 9784163878706
感想・レビュー・書評
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3年間同棲をしているカップルが、
『結婚』を考え揺れ動く心模様を
女性の、その相手の男性の目線で交互に描かれています。
いつも鋭く、切れのある表現だったり
深く物事を洞察された表現だったりを多く読んでいた私。
こんなソフトな感じの表現も書かれるんだなぁと
ちょっと意外でした。
奈世と絃。リズムも大事にしていることも
かみ合わないふたり。
絃が南国に旅行してハンモックに寝る場面。
すごく恋愛に似ていると思いました。
久しぶりの綿矢さん。
ソフトな作品すぎてちょっと物足りない部分がありましたが、
やっぱり所々に出てくる比喩がすごく好みです。
ご結婚されて、今度はどんな目線で新作を書かれるか
楽しみに待ちたいと思います。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
薄々気付いていたのだけれど。これを読んで確信した。綿矢りさは、本当にすごい。一瞬を切り取り、はっとさせる文章。蹴りたい背中の、「さみしさは鳴る」という超名文があったと思うけれども、あれは偶然の産物ではなくて、今なお綿矢りさの作品に息づいている。これだって、「整頓せずにつめ込んできた憂鬱が扉の留め金の弱っている戸棚からなだれ落ちてくるのは、きまって夕方だ」。ここからぐっと世界に引き込まれて、抜け出せなくなる。そしていつものように、芸術的なくらいに、「しょうがの味は熱い」という挿入。なんていうか、いいなあ、と思ってしまう。
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初めまして。
私も「蹴りたい背中」の
ーさびしさは鳴るー
の名文に触れて以来、彼女の大ファンです。
綿矢さんは名文、名比喩、書き出し...初めまして。
私も「蹴りたい背中」の
ーさびしさは鳴るー
の名文に触れて以来、彼女の大ファンです。
綿矢さんは名文、名比喩、書き出しの天才ですね。
ただし、彼女の文章の良さが発揮できるのは
一人称文体だけかなあ、とは思っていますが。2014/03/04
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2012年最後の読書。いまのわたしに相応しかったかな。
同棲しはじめたばかりの奈世と絃。
同棲して3年が経った奈世と絃。
2008年に書いた綿矢りさ作品。
2011年に書いた綿矢りさ作品。
どちらもよかったし、すごく響くものがあった。前者はラストがきゅんってなって屈折した少女漫画みたいな。
絃みたいなひとをわたしは知っているしすぐそばにいる。もう何年も一緒にいる。絃みたいに細かくないし神経質でもないむしろその逆だけど、理屈ばかりでかちこちで頑固で謎な男をよく知ってるからこの作品がとても好きです。
場面が変わって3年が経った奈世と絃の関係も。あー知ってる、これ、と思わずため息がこぼれる。結婚したらなにか変わると思っている感じ、結婚がしたくて仕方ない感じ。
この日に読めてよかったです。いろんなことを大切にしようとおもいました。 -
男女の恋愛観の違い、結婚観のズレ。
自然に、とてもスムーズに、そうそれが一番理想なのだけれども、どうにもままならない。
「まだ愛は生きている。瀕死の愛の微弱な反応。先生、まだ脈があります。結婚という電気ショックなら…だめだ、その電気ショックには患者が拒絶反応をしめす。」
このくだりがもう最高。
瀕死な愛を繋ぎとめる方法は、結婚かそれとも離別か。 -
この本のあらすじ、「ひりひり笑える」と
あるが「どこが?!」というのが読み終わって
すぐの感想だった。なにも笑えない…
どちらかの愛が摩滅するまで終わらない恐怖の
いたちごっこと思ってしまった。
奈世の父母のように側から見たら、
どう見ても歯車の合わない
同棲カップルという感じなのだが、
当の本人たちはただお互い歩みたい道が
違うだけの好き同士なので、
第三者が介入したところで二つ返事で
別れます、さようならというわけにも
いかないんだろうな…
結婚することで得られる幸せの永住権、
結婚することですべての疑問が解決するはずと
信じてやまない奈世の気持ちが痛いほど
分かる。それを相手に押し付けるのは
違うとわかっていながらも押し付ける
相手がいることの安心感をずっと味わって
いたいから、愚直に「結婚」というものに
固執してしまう……
この二人の行く先がどうなったのか
非常に気になるところでした。
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どうしてこの人の文章を読むと苦しい気持ちになるのだろう。どうして苦しいのに読むのをやめられないのだろう。26歳の主人公。この先もずっと一緒にいたいと思える彼氏とは同棲三年目。結婚して今以上に幸せになりたい彼女と、ゆっくり時間をかけてうまくやっていけると思ったら結婚したい彼氏。何度話し合いをしても結局同じ道をたどり、疲れ果てた彼氏はついに……。この二人は合わない気がする。仮に結婚したとしても彼は彼女にイライラするだろうし、彼女は結婚後の彼が想像していたのと違って再び彼を追いつめてしまうだろうな。
「いいか奈世、結婚はいまがチャンスと焦ってするものじゃない。ほんとに合っている二人ならもっと、自然に、とてもスムーズに、結婚まで至るものなんだ。不安も焦りも、もちろん裏切りもない。拍子抜けするほどおだやかに、まるで当然のように付き合いから結婚へ流れていくのが、結婚する運命の男女だ。」 -
同棲カップルの男女の結婚観の違いで喧嘩する話。
どこにでもありそうな、ありふれた話題、何か大きな事件が起きるという訳でも無い、それなのにどうしてこんなに引き込まれるんだろう、やっぱり綿矢りさの小説は面白い。
生活力が無くだらしなく痛い女の描写がうますぎてリアル。
カレシが趣味で結婚したらハッピーエンド♡みたいな脳内がお花畑な主人公には共感できないし、現実的なカレシと会話や話の論点が全く噛み合ってないし、読んでいるとイライラするはずなのに、当人同士は必死だからそれが逆におかしくて笑ってしまう。-
藤野一花さん、はじめまして!
関西出身で東京在住、
読書は勿論、映画と音楽と猫には目がないプロボクサーです。
遅くなりましたがリフ...
藤野一花さん、はじめまして!
関西出身で東京在住、
読書は勿論、映画と音楽と猫には目がないプロボクサーです。
遅くなりましたがリフォローありがとうございました(^o^)
僕も綿矢りささんの作品大好きです。
独特な比喩表現にもいつも感心するし、
会話はリアルだし、
ちょっとイタい人を書かせたら
右に出る人いないですよね(笑)
この作品は「読みたい本」リストに書いたまま
まだ未読だったので近々必ず挑戦してみたいと思います。
それにしても、 藤野一花さんのレビューと本棚を見させてもらって、
あまりに好きなものが多くて
好きのツボも似ているみたいで
嬉しくなってしまいました(笑)
またオススメありましたら
教えていただけると嬉しいです。
ではでは、これからも末永くよろしくお願いします!
あっ、コメントや花丸ポチいただければ
必ずお返しに伺いますので
こちらにもまた気軽に遊びに来てくださいね。
(お返事は仕事の都合によってかなり遅くなったりもしますが、そこは御了承願います…汗)
ではでは~(^^)
2015/06/20
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