月に捧ぐは清き酒 鴻池流事始

著者 :
  • 文藝春秋
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感想 : 6
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  • Amazon.co.jp ・本 (351ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163900391

作品紹介・あらすじ

清酒をつくったのは、武士の息子だった!?尼子一族を支えた猛将、山中鹿介の息子、新六は仕官の誘いを断って商人の道を歩みはじめた。炭や酒の商いを通じて財をなし、やがて清酒の醸造に日本ではじめて成功する。現代まで連なる鴻池財閥の根幹を築き上げた男の、知られざる一代記。

感想・レビュー・書評

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  • 清酒の醸造に取り組んだ、山中新右衛門の生涯を描く。
    父・山中鹿介。
    育て親・信直。
    主人公。
    それぞれ生き方は違えど、誠実さと、困難に立ち向かう強さは同じ。
    すがすがしく、応援したくなる。
    妻はなとの心あたたまる家庭づくりにほっこり。
    清酒ができるまでの紆余曲折にも読み応えがある。
    新六の人生と、戦国時代が終わるまでの動乱が絡み合い、時代小説としても面白い。

  • 上に立つ人の資質で
    お酒を造る人が
    気持ちよく働いて、いいお酒ができる。
    そのお酒を呑んで幸せ気分になる。

    人って巡り巡って、おかげさん。
    色んな出会いに感謝です。

  • 大阪に住みながら鴻池財閥のことについてはとんと疎い。三和銀行(現MUFGの一部)の前身であることと、学研都市線の駅名「鴻池新田」と、あとはせいぜい落語「鴻池の犬」ぐらいしか思い浮かばない。日本史音痴で申し訳ない。

    さてこの本は大商家「鴻池」の始祖、新衛門の生涯を描く伝記小説。新衛門の生き様が実に魅力的に描かれている。戦国武士山中家を継がず商人として生きる彼の紆余曲折が生き生きとして良い。また彼を取り巻く連中がエエ味出してるんよねぇ。実直堅物の佐平、職人気質の吾助、新衛門育て親信直とやえ、徳川の武将たち…

    とりわけて、新衛門の妻「はな」が実にいい。鴻池財閥はこの奥さんがあったからこそ、はじまったんだと言ってもよいくらいに存在感がある。亭主をたてる、亭主を励ます。一昔前の道徳じゃないけど、その具合が実によい。新衛門も実によく妻をたてる。幼少のころ一緒に小さなお城を作ったときからずっと、いつまでも中睦まじく、生涯最後までノロけあう2人。本の表紙が背中を向けている理由も読めばわかる。理想郷は遠くにあるもんではないんだなぁ。

    人と殺しあうより、人を幸せにするものを商う生き方をしようと考え、その方針を貫いた新衛門。俺が晩酌で飲んでいる清酒がその「人を幸せにする」ために開発された商品なんだと知って、今後は幸せな時以外は酒を呑まないようにしよう。酒に失礼のない呑み方を心がけようと誓った次第。

    伝記小説として面白く、ビジネス小説として含蓄があり、歴史小説としても興味深い、何度も何べんも味わえて、しかも読後感は心地よく後味すっきり。まさに鴻池一派が心をこめて作った清酒のような傑作である。良い本酔い本。

  • 【清酒をつくったのは、武士の息子だった!?】尼子一族を支えた猛将の息子は、仕官の誘いを断って商人の道を歩み始めた。鴻池財閥の始祖となった男が清酒の醸造に成功するまで。

  • 山中鹿介の長男として生まれ、武士を捨てて商人となり、清酒を生み出し、鴻池財閥の礎を築いた男の物語。サクセスストーリーの王道を行ってて面白かった。
    読み所は多いが、大坂冬の陣を前に、本田正信に嫌疑をかけられ召喚されたときの申し開きが感動的。

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著者プロフィール

小前亮/1976年、島根県生まれ。東京大学大学院修了。専攻は中央アジア・イスラーム史。2005年に歴史小説『李世民』(講談社)でデビュー。著作に『賢帝と逆臣と 小説・三藩の乱』『劉裕 豪剣の皇帝』(講談社)、『蒼き狼の血脈』(文藝春秋)、『平家物語』『西郷隆盛』『星の旅人 伊能忠敬と伝説の怪魚』『渋沢栄一伝 日本の未来を変えた男』「真田十勇士」シリーズ(小峰書店)、「三国志」シリーズ(理論社 / 静山社ペガサス文庫)などがある。

「2023年 『三国志 5 赤壁の戦い』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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