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太陽の棘(とげ)

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著者 : 原田マハ
  • 文藝春秋 (2014年4月21日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (238ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163900537

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太陽の棘(とげ)の感想・レビュー・書評

  • 沖縄を旅した時、観光地だけを見るのは気が引けて、ひめゆりの塔にも行った。衝撃だった。この物語を読んで、沖縄を立つ最終日に、海を望む丘の上の小さなカフェで、目の前に続く深い緑とその先の青い海を見た時のなんとも言えない感情を思い出した。沖縄は凄く綺麗なところだな。明るさの底に、凄く悲しいものを抱えたところなのだなと。
    主人公のアメリカ人青年と、沖縄の画家たちとの交流を描いた作品。国や立場を超えた友情の証、太陽の棘が胸に迫った。日差しの強い夏に読みたい一冊。

  • 2017/7/18
    最近の原田マハさん 凄いと思う!
    これは戦後、沖縄駐屯を軍から任命されたアメリカ軍医たちと沖縄の画家仲間の友情を描いた物語です。
    あの悲惨な戦争があった島で偶然出会い、絵画を通して友情を深めあい お互いを思い合いながら故郷へ帰っていく。
    男同士の友情に涙がでました。
    あの沖縄にも、こんな素晴らしい出会いがあったなんて、少し救われました。
    一気読みするほど素晴らしい作品でした!

  • 沖縄軍に派遣された精神科医師と「ニシムイ」に暮らす芸術家達との人種を超えた心温まる交流…と、雑にまとめるとそういう話。
    いまひとつ盛り上がらず淡々と終わる感が否めないけれど、もうそれも筆者の味かと。あと主人公の性格がピュアすぎるからかなぁ…??
    遠く異国で働いてる息子から次々とその地のアーティストの作品が贈られてくる日々というのも楽しいかも、と不謹慎ながら思ったり。こういう経緯だと美術品を集めるのも自然と生活の一部になるんだろうなぁ。

    米軍兵士による近隣住民への「悪さ」は最低を極めるけれど、戦争で100人・1000人単位で殺した後ではなぜ1人殺めるのがいけないんだという錯乱状態になっていても…おかしくはないのかもしれないと思ってしまった…。

  • 楽園のカンヴァスを読んで以来、好きな作家のひとり。実話をもとに書かれているとのことで、手に取りました。第二次世界大戦後の沖縄の歴史は、恥ずかしながら学校教育、軍事問題等ニュースレベルの知識しかない。小説を通じて沖縄の心に触れる体験を得ることは、とても貴重であり、日本人として大切なことだと思いました。

  • フィクションとノンフィクション
    知らない歴史
    面白かった。

  • エドとニシムイの画家たちが友情を結ぶ様子に感動した。タイラやヒガなどのニシムイの画家たちの生命力の強さや、絵を描くことに命を捧げる芸術家としての誇りが強く伝わってきた。この物語の舞台が、戦後の沖縄であり、アメリカから派遣された絵画好きの精神科医と、沖縄の芸術家が集まって暮らす特別な場所で生きている画家たちを中心に繰り広げられていることに、深い意味を感じた。表紙の絵もインパクトがあって好きだ。

  • 悲惨な沖縄戦終結直後、沖縄がアメリカ統治になったばかりの時代。沖縄に配属された精神科医は、ニシムイの丘の美術村でいきいきと絵を描く村人達と偶然に出会う。
    敗者と勝者の立場を超えた、壁も境界線もない友情に心打たれる。それはこの小説のベースにあるものが真実をもとに書かれているからであろう。本のカバーの絵画は、まさにこの小説にでてくる沖縄の画家(棚那覇正吉)が描いたアメリカ人軍事医の肖像画である。純粋に絵が好きなアメリカ人と純粋に心のままに絵を描きたいと思い続ける沖縄の芸術家たちの交流に、ぐいぐいと引き込まれる小説だった。「私たちのあいだには、何枚かの絵があった。ただそれだけだった。それだけでよかった」キュレーターであった原田マハさんだからこそ描くことができたのだなぁ。

  • 戦後、アメリカ占領下の沖縄を舞台に新米軍医ウィルソンとタイラを中心とした職業画家の出会いと友情を描いた物語。

    芸術を通して心を通わせ、お互いを尊重しながら友情を深めるが、ある日、ウィルソンが何気なく放った言葉がタイラの逆鱗に触れてしまう。

    彼らは職業画家として生きていくために、売れる絵をかかなければならないが、それが画家として描きたいものとイコールではないとウィルソンは考えが及ばなかったのである。

  • 戦争後の沖縄という場所で出会った、アメリカ人医師と沖縄の画家達の友情を描いた、事実を基にした物語。

    戦争に負け、アメリカに占領され、絵を描くための道具が手に入らない状況。それでも、全てを受け入れて、前を向き、絵を描き続ける姿に胸を打たれた。
    また、人種や立場の違いなど、関係なく、芽生えた友情に感動した。

    以下の文が特に心に響いた。

    「おれには妻もいる。小さい娘もいる。どうしたって、売り絵を描かなきゃならない。自分が描きたいものは、後回しにせざるを得ない。・・・だけど、ヒガは、ほんとうに自分が描きたいものしか描かないんだ。それが、あいつにとって、たったひとつの生きていく理由だから」
    生きるために、描く。
    それは、ヒガの思いであり、タイラの決意でもあった。

    セイキチ・タイラは、物怖じせずに、ウィルと握手を交わし、流れるような英語で、エドはどうしているのか、困ってはいないか、自分たちが力になれることはないかと尋ねた。まっすぐな、きらきらと輝く目をして。
    このいかにも汚れて貧しげな沖縄人が、アメリカ陸軍のドクターの力になりたいと、堂々と申し出たことが、ウィルは無性におかしかった。そして同時に、静かに胸打たれた。

    原田マハさんの作品は、面白い。

  • 2016.12.3
    戦争の話か。重いな。読むのは最後にしよう。
    そう思い、手にした本。
    読み始めたらもう夢中。
    ニシムイのタイラたち、芸術家が愛おしい。
    戦後のすさんだときに
    暑苦しい、湿気も半端ない沖縄での友情。
    すごい。

  • 原田マハさんの本を初めて読んだ。
    主人公は米軍に所属し、終戦直後の沖縄に派遣されていたアメリカ人の若い精神科医。そこで偶然見つけた画家が集まる村落に通うようになり、もともと絵画が趣味だった彼は画家たちとの交流を深めていく、というお話。
    ストーリーラインや文体はそれほど印象深くないが、最後にこれが実話に基づく話だとあり、感想が変わった。表紙と裏表紙は主人公と画家の自画像なのだろう。心にじんわりと温かく残る。
    沖縄に行ったことがないが、とても魅力的な場所のように思える。このニシムイも実在の場所と知り、沖縄に行く機会があれば、ぜひ訪れてみたい。

  • 終戦記念日間際に読んだのはぐうぜんか。圧倒的な迫力。空気や空まで感じられるような筆致。

  • 実際の史実をもとにした美術小説。
    沖縄という土地は本当に複雑な側面をもっているなぁと改めて感じさせる。戦後も続いたアメリカの統治下のもとで、「表現する」という行為を切実なまでに求め続けた画家達。
    アートは国境を越える。
    言葉も越える。
    その想いは伝わる。
    「表現する」という行為そのものの根源的な力強さを感じる1冊。

    2014年 文藝春秋
    装幀:大久保朋子
    玉那覇正吉

  • 終戦から数年、アメリカ占領下の沖縄に赴任した若い米国精神科医と、当地にあった芸術家集団"ニシムイ"の画家たちの交流を描いた物語。
    事実に基づくお話とのこと。

    いかにも原田マハさんらしい爽やかな書きぶりのお話の中に、第二次世界大戦前後に沖縄が直面した問題が織り交ぜられています。
    ただ、この方のどの作品にも共通して言えることですが、そういった歴史的な事実も、この方の書き方だと、文の運び方のせいか、スピード感ある展開のためか、あくまでもお話のための付属品というか材料という感じです。
    結果的に人々の生の一部を扱う迫力や深みというか、胸に迫る感じが出ないのはちょっと残念なところですが…。

    でも、美術への愛は伝わります。

    とはいえ、60年も前の記憶のよすがとして、当時沖縄で買い求めた絵を手元に大切に残しているサンフランシスコ在の80歳をとうに超えるご老人が実際にいらしたことに思いをはせると、人生って不思議なものだなあ、と思わされます。

  • 実際の絵を見たい
    表紙だけじゃ足りない
    もうちょっと長くてもよかったんじゃない?

  • なかなか素晴らしいお話でした。
    好みというわけではないけれど、マハさんらしくそして考えさせられるお話。
    人と人としては分かり合えるのに、国家同士としては分かり合えないもどかしさ。そして、結局犠牲になるのは弱者。それでも少しは望みが持たせてくれるお話。
    戦争や、沖縄の話は得意ではないけれど、とてもいい本でした。

  • 2016,5,15読了
    終戦直後の沖縄
    アメリカ軍精神科医師と、ニシムイの画家達の心のふれあい
    命をけずって苦しみながら、生み出す、描く
    読み終わって、表紙の2枚の絵の意味がわかりました

  • 原田マハだから書けた作品だね。感想を書きたいけどうまくまとまらない。清々しいようで禍々しい。さらっとしているけどとても濃厚なストーリー。しみじみと心に染み入って、いつまでも残るような。沖縄を愛する人も、心配している人も、よく知らない人も、みんな読んでほしい一冊。

  • 図書館の本 読了

    初めての原田マハ。
    この後が知りたい。作家たちのその後、エドのその後。
    繊細であるということは生きにくいのでしょうが、生きやすくなるための愚鈍さは美しくないのだと改めて思う。
    それが男女間で見えるのはとても悲しい。

  • 戦後の沖縄。事実に基づいた小説化。
    本書の表紙と裏に描かれている絵が、小説に出てくる自画像と主人公の顔。
    と絵を感じながら読むとイキイキとしてくる。
    沖縄に行ったら美術館に寄りたい。

  • イマイチ盛り上がりがなかった。
    終戦後沖縄に来たアメリカ人医師と沖縄人画家の話。
    終戦直後、日本でもアメリカでもなかった沖縄で、沖縄人は生きることが本土以上に辛かったんだろうな…。

  • 精神科医と沖縄のニシムイの画家達との交流がとても、ゆったりと丁寧に描かれていて、良かった。

  • 終戦から3年後の沖縄を舞台にした、アメリカの軍医と沖縄の画家の交流。戦後の状況下において、アメリカと沖縄、軍人と画家、勝者と敗者、大きな隔たりがあるにもかかわらず、自然と結ばれた友情。そして、戦争で破壊されながらも、立ち上がる強さを感じさせる沖縄の地や人々、画家の誇り、ラストの「太陽の棘」の意味。こんなに胸を打つエピソードの数々が、わずか238ページに収められているのに驚かされました。「夏を喪くす」から読まず嫌いになっていた作家ですが、今、この作品に出会えてとてもラッキーでした。

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太陽の棘(とげ)の作品紹介

サンフランシスコにある医院のオフィスで、老精神科医は、壁に掛けられた穏やかな海の絵を見ながら、光と情熱にあふれた彼らとの美しき日々を懐かしく思い出していた……。
結婚を直前に控え、太平洋戦争終結直後の沖縄へ軍医として派遣された若き医師エド・ウィルソン。
幼いころから美術を愛し、自らも絵筆をとる心優しき男の赴任地での唯一の楽しみは、父にねだって赴任地に送ってもらった真っ赤なポンティアックを操り、同僚の友人たちと荒廃の地をドライブすること。
だが、ある日、エドは「美術の楽園」とでも言うべき、不思議な場所へと辿り着く。
そこで出会ったのは、セザンヌや、ゴーギャンのごとく、誇り高い沖縄の若き画家たちであった。
「互いに、巡り合うとは夢にも思っていなかった」その出会いは、彼らの運命を大きく変えていく。

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