きみは赤ちゃん

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著者 : 川上未映子
  • 文藝春秋 (2014年7月9日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (294ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163900704

きみは赤ちゃんの感想・レビュー・書評

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  • ものすごく面白かった。
    エッセイ読みながら声を出して笑っちゃったのって久しぶり。
    「帝王切開 まじやばい」
    とか、今時の話し言葉全開でぐいぐい読めちゃう。
    おまけに友人との会話が関西弁ていうのがまた良いんだよね。
    妊娠から育児までここまで赤裸々にエッセイで語るって難しいような気もするのだけれど、そんなこと微塵も感じさせないスピード感だった。

    出産経験の有無にかかわらずどんな人が読んでもこの面白さは伝わるんじゃないかなとは思うけれど、特に読んでほしいのはやはり世の中の男性達!
    これだけあなたの妻は、もしくはあなたの母は大変な思いをして子育てをしている(してきた)んですよ。
    へろへろになりながら眠る暇も歯も磨く暇もない過酷な状況下で赤ちゃんの面倒をみつつ家事をし夫の相手をし。
    是非読んでもらいたいな~。

    川上未映子は言う。
    「社会で働き続けなければならないのはいまや女性もおなじであって、産んで、授乳してすぐ復帰せねば、もうもどれなくなるんである。出産のダメージはいったいどれほどのものなんだろう」

    夫であるあべちゃんは一般的な男性陣に比べて家事には非常に協力的だし、妻の泣き言もちゃーんと受け止めてくれる。
    でもそもそも「協力的」と言うのが間違っているのだ。
    だって二人の子供なのだから。
    対等な関係を築いている作者でさえ妊娠を機にいままで潜んでいた性差にたじろいでいるのだ。
    その辺の気持ち、分かってほしいのよね妻は。

    妊娠出産にまつわるエッセイとしては素晴らしい本だとは思うけれど一点だけ。
    川上さんはまだほんの小さな胎児ともよべない頃から自分の子供に対して深い愛情を持っている。
    それは絶対にゆるぎないものだ。
    母性神話を否定している川上さんですら一気に母になっていくのが良く分かる。
    でも、全ての母親となる女性がこうはいかないと思うのよ。
    妊娠も出産も子育ても非常に個人的な出来事でその人の抱える事情も体調も感情も人それぞれ。
    自分に照らし合わせて読むと、全力で子供を愛していたとは自信をもって言えないだけにちょっと凹んだ。
    まあそれも過ぎ去ったことなのだけれど。
    と言うわけで☆4つです。

  • 妊娠、出産の経験もなければ予定もないけれど、でも読んで良かったなぁと思う。
    このエッセイは全力で受けとめなくてはならない類の文章で、何と言ったらいいのか、とにかくすごい。
    つわり→食欲爆発→マタニティブルー→エアロビ→陣痛→出産→授乳→ぜっぺき対策→産後クライシス→離乳食→発熱→保育園→1歳の誕生日
    こうしてキーワード(と勝手に思うこと)を書き出すだけでくらくらしてしまう。
    私が出産や育児の本当の苦しさ、つらさを全く理解出来ていないだろうことは確実だけども、それでもこの本を読んでその恐ろしさの一端に触れた(はず)。
    お母さんが流す涙にはたくさんの言葉に出来ない感情が込められていることも知った(はず)。
    悲しくても泣き、悔しくても泣き、嬉しくても泣き…
    その感情の振れ幅にただただ圧倒される。
    どうにも精神的に弱っている時に同じように泣くしかなくなる時があるけど、それの延長線上に(もしかしたら)ありながらもそんなのとは次元の違う涙なんだろうな。

    自分の問題として読むことが出来ない現状ではこの本に書かれていることの80%くらいが「怖いこと」なのだけど、一度妊娠したら(又は出産したら)、この本を読んで涙を流すようになるんだろう。
    不思議とそんな確信がある。
    確かめる機会があるかどうかはあやしいけれど、もしも我が身に降りかかることがあれば(この表現が不適切なのは解っているのですがつい…)絶対にもう一度この本を読んでみようと思う。

    そして悩んでいるのは出産間近な友人にこの本を薦めるかどうかということ。
    エッセイを読む限り予定日まであと1月以上ある今ならまだ本も読めるのかな?
    これから起こるかもしれないあんなことやこんなことが、彼女を絶望させることはないだろうか?
    それとも赤ちゃんへの愛が溢れる文章が彼女の希望になってくるるだろうか?
    とてもとても悩んでいるのだった。

  • 笑って、ホロッときて、うーむと考えさせられて、要するに面白くて一気読み。川上未映子さんが、初めての妊娠から出産、子育てをセキララに語っている。

    川上さんの文章が好きだ。関西弁を交えた、独特のリズム感というか疾走感があって、読んでいて本当に気持ちいい。こんな風に言葉が紡げたらどんなにいいだろうなあといつも思う。

    その文章の勢いで笑わせながら、しばしば非常に重い問いも投げかける。子供を産むって至極普通のことだけど、同時に、すごい一大事でもある。そこらへんの感覚がとてもよくわかる。

    そして、小説家というのは本当にたいしたものだなあと思わずにはいられない。凡人は「あれ?これってどうなの?なんか引っかかるなあ」と思っても、多くの場合あまり突き詰めて考えないが、川上さんは、そこでのたうち回り、違和感を言葉にして、全身全霊で苦しんだり、喜んだりするのである。その振幅の大きさに恐れすら感じてしまう。

    ここには嘘がない。そのように生きていくのはとてもキツイだろうけど、夫のあべちゃん、息子のオニ君と三人でいることの幸福感もまた、とてつもなく大きいのだろう。

    小説や詩を書く人というのは、何かが過剰で、どこかが足りないのだとよく思う。普通に丸くはならない、そここそが値打ちなんだから、芸能人みたいに扱って、当たり障りのないことを言わせたりしたらアカンよなあ。

  • つわりから始まり出産、夫婦関係まで…
    クスッと笑いながら読めるのが良かった!
    見たこともないオニの成長を一緒に見守っていったような気がして 最後の章はうるっとしてしまった。
    なにより、結婚したーい 子どもほしーいと何度も思った

  • 川上さんは、とても自然なというか素直な心の声をそのまま文章にできる人だと思う。

    そんな川上さんがつづった産前産後。
    特に、「ダンナにたいする怒り」のところは共感を得るのでは。

    「赤ちゃん」は実際に自分の子を生んでみると、かわいいだけじゃないことに気づく。
    授乳に悩む日も、夜泣きが続き眠い夜も、普通に汚いうんちを拭くのも、いらいらしながら、こっちも泣きたい気持ちになりながら、不安な気持ちになったり、ときどき笑ったり、喜んだりして、子どもと一緒にすごしていく。
    そんなリアルな体験がとてもよく伝わってくる。

  • しばらくレビューをさぼっていた。気付けば旦那所蔵の漫画を読み漁るのみ。まだ妊娠のにの字も関係ないが、備える知識は早めに、、、ということで以前から気になっていたこちらを。

    あの有名な痛みに耐える自信がない、という理由で無痛出産に臨んだ川上氏。つわりの壮絶なしんどさや、出産後すやすやと眠る夫に殺意を感じるあたり、聞きしに勝る…といったところか。

    クリフムは知人が来院していたので存じており、わざわざ川上さんが行くくらい有名なのか、と改めて。

    周りでも級友が続々とママになっていくが、はたして自分もなれるのだろうか。旦那は大きい体をした三歳児くらいの感覚なのだが、、そうなる日が待ち遠しいようなまだまだ自由を満喫していたいような、そんな日々。

  • 妊娠期をもうすぐ終えるにあたって、芥川賞作家は妊娠、出産をどうゆう視点で捉えたり、描いたりするのかな、と興味が沸いて手にとったところ、これがとても面白かった!妊娠期のパートは分かる分かると楽しみ(ツワリもマタニティブルーも私はほとんどなかったので、すべて共感できたわけではないけど)、産後のパートは、おお〜やはりこうなるのか、、、と。最後は涙しました。アマゾンのレビューとかで、パパになる人も読むべきとあったので、夫にも読んでみてもらおうかなぁ。余談で、文章に平仮名が多用されてて多少読みにくかったのだけあったなぁ。

  • 作家川上未映子の妊娠、出産、そして1歳までの子育てのエッセイ。私の娘に近い歳の著者であるが、今までに体験したことのない妊娠、出産、育児ということに直面しての悲喜こもごもは今も私が体験した時も変わらないと感じた。ただ、現代は職業を持ち、働き続ける母親が多い。その大変さや葛藤等は私が体験した子育て時代とは大きく違うだろう。また今の時代、妊娠、出産、育児に関する情報、グッズ等は比べようもなく多く、便利で選択肢も多いのだと驚かされる。
    もう忘れてしまっていた妊娠時の不安やふわふわした幸福感、出産時の痛さ、そして出産後常に感じていた(1年くらいは)睡眠不足、自分の時間が全くないこと、閉塞感等このエッセイを読んで鮮やかに思い出した。しかしそれは辛さばかりではなく、ベビーとのたった一度だけの「密」な時間であり、幸福な時間でもある。私にとってこの本は当時の甘い思い出を振り返ることが出来た一冊だ。

  • 久しぶりにこんなに良い本を読んだ、と自信を持って言える。年間百冊近い本を読み、いくつか墓場まで持って行きたいものは毎年生まれるけど、その中でもまったく素晴らしい。

    私生活で色々と思うところもあり読んでみたが、こんなにも愛に溢れた本を読んだのは久しぶりだ。

    また、男性こそ読むべきだと思った。それが女性であれ、男性であれ、人生は自分が経験したことからしか学べないのだとすると、前提として他人には自分の痛みは分からないという苦しみがある。(学校の保健の授業も男子は隔離で行われる内容もあるし、教えられないから知らないというのもあるけど、)女性のことをあまりにも知らなさ過ぎて、そういったことが無意識にストレスを与えることになっていたことを痛感して考え方が少し変わった。それは家事を折半したり女性の雇用を促進すれば解決したりする話ではなく、まったく次元の違う話で、女性というのは身体も心も負担を背負っている孤独な人たちなのだ。だから、私たちは他人の決断や知らないことに口を出すべきではないし、優しくならなければならない。

  • 電車で読みながら涙ぐんでしまった。

    作家さんってすごいなあ、
    私が妊娠・育児してるなかでモヤモヤと概念的に考えてたことを「そう、その感じ!」というドンピシャな言葉で表してくれるのだから・・
    としみじみ。

    心に残ったフレーズは、
    「おなかの赤ん坊は100%こちらの都合でつくられた命で、100%こちらの都合で生まれてくるのだから、それならば我々はその『生』を100%の無条件で全力で受け止めるのが当然じゃないだろうか。それが筋、ってもんじゃないのだろうか」

    この本を読んで、子どもたちがよりいとおしく感じられるようになりました。

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35歳ではじめての出産。それは試練の始まりだった! 芥川賞作家の川上未映子さんは、2011年にやはり芥川賞作家の阿部和重さんと結婚、翌年、男児を出産しました。つわり、マタニティー・ブルー、出生前検査を受けるべきかどうか、心とからだに訪れる激しい変化、そして分娩の壮絶な苦しみ……妊婦が経験する出産という大事業の一部始終が、作家ならではの観察眼で克明に描かれます。時にユーモラスに、時に知的に、子供をもつということの意味を問いかけます。 さらに出産後の、ホルモンバランスの崩れによる産後クライシス、仕事と育児の両立、夫婦間の考えの違いからくる衝突、たえまない病気との闘い、卒乳の時期などなど、子育てをする家族なら誰もが見舞われるトラブルにどう対処したかも、読みどころです。 これから生む人、すでに生んだ人、そして生もうかどうか迷っている人とその家族に贈る、号泣と爆笑の出産・育児エッセイ!

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