きみは赤ちゃん

著者 :
  • 文藝春秋
4.10
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本棚登録 : 1889
感想 : 282
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  • Amazon.co.jp ・本 (294ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163900704

感想・レビュー・書評

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  • 電車で読みながら涙ぐんでしまった。

    作家さんってすごいなあ、
    私が妊娠・育児してるなかでモヤモヤと概念的に考えてたことを「そう、その感じ!」というドンピシャな言葉で表してくれるのだから・・
    としみじみ。

    心に残ったフレーズは、
    「おなかの赤ん坊は100%こちらの都合でつくられた命で、100%こちらの都合で生まれてくるのだから、それならば我々はその『生』を100%の無条件で全力で受け止めるのが当然じゃないだろうか。それが筋、ってもんじゃないのだろうか」

    この本を読んで、子どもたちがよりいとおしく感じられるようになりました。

  • 妊娠期をもうすぐ終えるにあたって、芥川賞作家は妊娠、出産をどうゆう視点で捉えたり、描いたりするのかな、と興味が沸いて手にとったところ、これがとても面白かった!妊娠期のパートは分かる分かると楽しみ(ツワリもマタニティブルーも私はほとんどなかったので、すべて共感できたわけではないけど)、産後のパートは、おお〜やはりこうなるのか、、、と。最後は涙しました。アマゾンのレビューとかで、パパになる人も読むべきとあったので、夫にも読んでみてもらおうかなぁ。余談で、文章に平仮名が多用されてて多少読みにくかったのだけあったなぁ。

  • 久しぶりにこんなに良い本を読んだ、と自信を持って言える。年間百冊近い本を読み、いくつか墓場まで持って行きたいものは毎年生まれるけど、その中でもまったく素晴らしい。

    私生活で色々と思うところもあり読んでみたが、こんなにも愛に溢れた本を読んだのは久しぶりだ。

    また、男性こそ読むべきだと思った。それが女性であれ、男性であれ、人生は自分が経験したことからしか学べないのだとすると、前提として他人には自分の痛みは分からないという苦しみがある。(学校の保健の授業も男子は隔離で行われる内容もあるし、教えられないから知らないというのもあるけど、)女性のことをあまりにも知らなさ過ぎて、そういったことが無意識にストレスを与えることになっていたことを痛感して考え方が少し変わった。それは家事を折半したり女性の雇用を促進すれば解決したりする話ではなく、まったく次元の違う話で、女性というのは身体も心も負担を背負っている孤独な人たちなのだ。だから、私たちは他人の決断や知らないことに口を出すべきではないし、優しくならなければならない。

  • 出産前から育児中の今まで、何回も読み返しました。

    どの章も共感ばかりで、気がついたら涙がでたりクスッと笑ったり。
    読み終わった後はなんだか今までのモヤモヤなんだったんだろうと、暗い気持ちが吹き飛びました。

    この本を読んだことで、モヤモヤした気持ちの正体が、命を預かることへの不安や重さを感じていたんだなと気づきました。そしてそれは特別な気持ちではないとも教えてもらえた気がします。

    どの章も好きですが、私はあとがきが1番好きです。毎日、子どもが健やかに過ごせることを祈ります。

  • 妊娠5ヶ月の時に読みました。
    赤ちゃんを妊娠出産して、「嬉しい、かわいい、幸せ」といった気持ちだけでなく、たくさん泣いて孤独を感じたことも真っ直ぐに書かれていて、これから自分にもこういった感情の起伏が訪れるんだ、と心の準備をすることができました。
    赤ちゃんの時間はとても短くて、何にも代え難いかけがえのない時間であることを頭の片隅に置いて、辛いことがあっても乗り越えていきたいと思いました。

  • 結局妊娠や出産、産後の生活ってあまりイメージできなかったけど、この本で包み隠さず書いてくれているおかげで、なんとなく想像がつくようになった。
    それにしても、帝王切開って大変なんだな...普通に生むより切ったら出てくるから楽なのでは?(すみませんめっちゃ失礼)と思ってたけど、「切腹」という表現とともにどのくらい痛かったかも赤裸々に書かれていて、とてもごめんなさいという気持ちになった。
    ご本人のInstagramで息子さんの写真見るととても感慨深い気持ちになる。

  • 出産・育児エッセイ。
    妊娠して、息子さんが1歳になるまでの記録。

    すごく赤裸々で、正直で、母の弱いところも強いところも飾らない文章で綴られており、心に迫ってくるものがありました。体の変化、旦那との関係、産後クライシス、おっぱいがナンになる過程(笑)、仕事との両立、育児の中のかけがえのない幸せ、本当に内容が濃い!濃すぎます。

    わかる〜!と笑いあり、わかる〜!と涙あり。

    出産を控えてる妊婦さん、その旦那さんはもちろん、育児中のお父さんお母さん、子供を産もうかどうか悩んでいる人にも、いやもはや全ての人におすすめ。

  • 妊娠から出産 そして子供が1歳を迎えるまでの 自分も経験したあの凄まじい2年弱の間の出来事を ひとつひとつ代弁してくれているようで 何度も涙がこぼれた。同時になんだか胸がすかっとした。痛くて 辛くて 悲しくて 孤独で。でも時々 そういう何もかもがすべて吹き飛ぶほどの幸せに満たされる あの不思議な日々は 過ぎ去ってみればやっぱりかけがえのない宝物になるんだなあ。ね ね そうですよね 川上さん。と心の中で激しく頷きながら 最後まで一気に読みきった。

  • ラスト、胸がいっぱいになって涙が出た。温かい涙。あのかけがえのない愛おしい日々を思い出した1冊。エアロビの所はこらえられなくて声を出して笑ったよー。本を読んで笑うのは久しぶりだった。

  • 妊娠、出産のエッセイ本。
    最後のあたりの赤ちゃんのことが愛おしい気持ちを素敵な言葉で語られる部分が流石小説家、毎回読むたびに涙が止まりません。愛が溢れる本です。

著者プロフィール

大阪府生まれ。2007年、デビュー小説『わたくし率イン 歯ー、または世界』で第1回早稲田大学坪内逍遥大賞奨励賞受賞。2008年、『乳と卵』で第138回芥川賞を受賞。2009年、詩集『先端で、さすわ さされるわ そらええわ』で第14回中原中也賞受賞。2010年、『ヘヴン』で平成21年度芸術選奨文部科学大臣新人賞、第20回紫式部文学賞受賞。2013年、詩集『水瓶』で第43回高見順賞受賞。短編集『愛の夢とか』で第49回谷崎潤一郎賞受賞。2016年、『あこがれ』で渡辺淳一文学賞受賞。「マリーの愛の証明」にてGranta Best of Young Japanese Novelists 2016に選出。2019年、長編『夏物語』で第73回毎日出版文化賞受賞。他に『すべて真夜中の恋人たち』や村上春樹との共著『みみずくは黄昏に飛びたつ』など著書多数。その作品は世界40カ国以上で刊行されている。

「2021年 『水瓶』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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