ねずみに支配された島

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制作 : William Stolzenburg  野中 香方子 
  • 文藝春秋 (2014年6月13日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (301ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163900810

ねずみに支配された島の感想・レビュー・書評

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  • カカポの存在は、テレビ番組で知った。
    ぷっくらした緑の可愛い鳥だった。
    そんな、先住動物が、外部からやってきたネズミに駆逐されていくという現実には、「はっ」とさせられた。

    動物愛護と自然保護との間にひろがる確執も、たしかに納得させられた。

    イースター島の滅亡も、実はネズミの仕業だという説には、驚いたが、言われてみれば確かにあり得る。

  • 表紙とも相まってデストピアと誤解、内容は普通

  • 島の孤立した環境に適したが故に他の種と競合する能力を失ってしまった種達がいる。
    ニュージーランドの飛べない鳥キウイやオウム、ほかの海鳥たちだ。彼らは外敵がいない環境で暮らし鳥の象徴ともいえる飛行能力が無いという独自の進化を遂げている。そんな楽園に外来種がやって来たことで彼らの生態系が一変する。

  • 小さな島で天敵がいないと動物は異常繁殖する。そのために生態系が壊されて、弱い動物は全滅する。この本は島で異常発生したブタ、ねずみ、ヤギなどから無防備な先住者を保護するための作戦を描いている。ねずみが大量発生した島になど上陸したくない。ホラー映画にでもなりそうだ。

  • 何百万年ものんきに過ごしてきた、芳しい香りを放つ、肉づきのよい、大きな飛べない鳥。襲ってくださいと言わんばかりの絶滅危惧種カカポを救うため立ち上がるのは、ホームレスのヘンリー。万能の便利屋にして博識のナチュラリストである彼は、一度は人生に絶望し自殺を図るのだが死に切れず、何かに導かれるようにしてカカポの救世主への道を歩んでいく。この森の人ヘンリーもそうだが、罠師のウッドも、狩る側から転向した絶滅を阻止しようとする草の根活動の戦士と、本能のままに食い尽くす、情け容赦ないネズミなどの移入種との戦いは壮絶だ。

    あとがきにもある通り、原書にはない写真や図を読者の便宜のために添付する決定をした編者と訳者に感謝。1ページ目のカカポの愛くるしい写真を表紙絵にしていれば、ネズミに嫌悪感を抱く読者にも幅広く手に取ってもらえたかもしれない。

    科学ジャーナリストである著者の文章もすばらしい。
    「つまるところ、どれほど残酷な造物主でも、カカポほど無防備な鳥、つまり、陸生の肉食動物の鼻先でおいしそうな匂いをぷんぷんさせて、その殺戮本能を刺激する鳥は、作れなかったにちがいないのだ」
    「初めてその怪物に遭遇した人間が逃げ出したかどうかは記録されていないが、その後まもなく - 化石記録が示すように - 彼らは追う側に転じた」
    「もう岩に激突する、これで終わりだと、全員が死を覚悟したその瞬間、恵み深い大波が、満身創痍の聖ピョートル号と船員を持ちあげて岩礁を越えさせ、浜の前に広がる静かな海に下ろした。風はおさまり、砂丘と雪をいただく山々が並ぶ地平線の上に、三日月が浮かんでいた。この奇跡は、聖ピョートル号の乗員にとっては生涯で最大の幸運だった。だが、彼らの前に広がる土地の動植物にとっては最大の不幸だった」
    「ビッグ・サウス・ケープはもはや原始ニュージーランドの野生が脈打つ場所ではなく、はらわたを抜かれた本土の縮図になっていたのだ」
    「新たに誕生した地球村は、エレクトロニクスや大豆をやりとりしているだけではない。雑草、病気、害虫も運び、さらに多くの場違いな哺乳動物を各地にばらまき、それらが爆発的に数を増やしているのだ」

    最後に紹介されるニュージーランドの保護の現状が感慨深い。固有種の半分を喪失した島国の市民は、森に入るのに双眼鏡とバネ仕掛けの罠を持参する。保護のための駆除は、選択ではなくもはや義務となってる。

  • レビュー省略

  • 処女作の「捕食者なき世界」でトッププレデターのいなくなった生態系を数々紹介したウィリアム・ソウルゼンバーグが次に目をつけたのは外来生物の侵入による生態系の破壊だ。琵琶湖のブラックバスのように人間が意図的に放したケースもあるがネズミの場合は人間の活動範囲が拡がるのに連れて新世界に紛れこんだ。原題のRAT ISLANDはアリューシャン列島にある島の一つで1780年に日本の漁船が座礁し数匹のネズミが紛れこんだ。元々「入口」「歓迎」という意味であったハワダスク島を1827年に訪れた探検家はこの島を「ラット・アイランド」と名付けた。この島で起きた出来事はこの本の舞台となるニュージーランド、バハカリフォルニアと並んで一つの例だが島は陸地の面積の5%に過ぎないが、鳥と爬虫類では種の絶滅の2/3は島で起きた。特に元々プレデターのいない隔絶された島の生態系は外来生物の侵入に弱い。襲われることを知らない先住者達はあまりにも無防備だった。

    ハワイですらクック船長が訪れた時には既に抜け殻のようになっている。そしてクックとエンデバー号は既にマオリ人が住み着き彼らが航海の保存食と入植地での食料として持ち込んだキオレと言うネズミに続いて中国原産のドブネズミとネズミを退治するネコを連れてきた。他にもヒツジとウサギが持ち込まれると、ウサギが牧草を食べ尽くし、ニュージーランド政府は兎を狩るためにフェレット、イタチ、オコジョを野に放った。しかしイタチ達はウサギよりも楽に捉えられる獲物に気がついた。飛べない鳴鳥キウイ、ウェカそして走るオウム、カカポなどだ。イタチは鳥を襲い、ウサギは変わらず牧草を食べ続けた。

    1894年、ニュージーランド政府は南島の南端にあるレゾリューション島を保護区とし、管理人にリチャード・ヘンリーを雇った。アイルランド移民の息子でアボリジニに学んだヘンリーはカカポの生態を誰よりも良く知る在野のナチュラリストとして外来種の導入に反対し続けたが学者達には相手にされなかった。もはやほぼホームレス状態で保護活動に絶望したヘンリーはリボルバーで自分の頭を撃ったが自殺に失敗する。管理人のオファーを受けたのはその1週間後だった。ヘンリーは大半はカカポの572羽の鳥を島に移した。しかし島と本土を分ける海峡は狭すぎイタチの侵入は防げなかった。

    アリューシャン列島でラッコの毛皮を目的にロシア、アメリカ、イギリス、スペインそして日本からハンターが訪れラッコ、オットセイを取り尽くしシュテラー海牛は絶滅した。次にホッキョクギツネに目をつけたハンターは島々に見事な毛皮を持つブルーフォックス移住させた。海鳥の楽園はキツネの天国になり鳥が減るとその糞を養分として育った草木が姿を消し殺風景な風景に戻って行く。キツネを駆除したがそこにはネズミが残った。

    悪役のネズミも仲間が殺されると人間同様に感情を昂らせ、毒餌で苦しむ仲間を見て学習するため毒が効かない。そこで新たに開発されたのが血が固まらないようにする遅効性の薬で眠るように死ぬためネズミは警戒しない。幾つかの小さな島で殲滅作戦は成功したがネズミの駆除に反対する人達もいる。希少動物の命はネズミよりも重要なのか?それを人間が決めることは許されるのか?そしてネコやイタチの導入のように殺鼠剤は新たな失敗を生まないのか?

    実際にアリューシャン列島でのネズミ殲滅作戦では死んだネズミを食べた捕食者が被害をこうむっている。その内の一つがアメリカを代表し保護されるべき白頭鷲だった。それらの被害を受け入れれば生態系を元に戻す可能性は残されている。保護されたカカポは126羽にまで増えたが近親交配の為に将来は危うくリチャード・ヘンリーの名を受け継いだ齢100歳を超える老オウムの繁殖力にかかっている。しかしこの本の執筆後カカポのリチャード・ヘンリーは亡くなり3匹の子供達はまだ繁殖期を迎えていない。

    ガンバの冒険ではアホウドリの羽の上ではしゃぐネズミだが、一番弱いハツカネズミですら生きたアホウドリを襲い食べる。「カモメはうたう 悪魔のうたを 帆柱に朝日はのぼる けれど夕陽はお前と仲間のドクロをうつす」ネズミのドクロを見たカモメは歓喜の歌を歌うべきなのだ。

  • 2015年2月新着
    ほ、ホラーのような一冊・・・。
    これに適当なストーリーを与えて実写化したら、さぞかしこわいだろうなー。ネズミの残虐さもそうだし、そのネズミに対する人類の残酷さもそう。ネズミに対してだけではない。「種」を保護するために、それを脅かす「種」に対する手段は、結局のところ、殺すということになってしまうようだ。それも、大量に。
    絶滅寸前(ほんとに寸前)の生物を探しまわる困難さ、それを生かす難しさ、さらに殖やすことの苦難ときたら、読むだけで胸が痛む。
    誰も好きで殺しているわけではない。生きものは自らの命を生きて殖えているだけだし、種を保存する人も虐殺が目当てではない。ページを繰るうちにやりきれなくなること多し。それでも読んでしまう。ここにあるのは、とてつもないが真実だとぐいぐい迫ってくるのである。

  • パワー・ブラウジング。
    生態系にいなかったネズミが人類の行動に伴って離島に持ち込まれると、どれくらい深刻な影響を与えるか、その駆逐がどれだけ困難かを、実例たっぷりに紹介していく本。
    前から気になっていたけど、それにしてもネズミやばい。

  • 【選書者コメント】生態系のもろさ、について書かれた本ということで気になりました。
    [請求記号]4800:208

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ねずみに支配された島の作品紹介

現在、大規模な野生動物の救出作戦が世界中で進められている。その舞台は、大海原に散らばる島々だ。余り知られていないが、地球の陸地の5パーセントに過ぎない島嶼に、危機的な状況にある生物の半数が棲息している。それら絶滅危惧種にとって最大の脅威は、本土から人間によって持ち込まれた動物たちだ。ネズミ、ネコ、イタチ、ブタ、ヤギ……。人類が地球全体に広がった時期に島々に侵入した捕食者たちは、無防備な先住者たちを襲い、その環境を破壊し続けた。 本書は、ニュージーランドの「飛べないオウム」カカポや、アリューシャン列島のウミスズメ、バハ・カリフォルニアの海鳥など、外来生物によって絶滅の危機に瀕した生物と、その保護に立ち上がった人々の苦難の歴史を描く。しかし、物語は悲劇では終わらなかった。近年になって、意欲的な自然保護グループが登場し、島の固有種を救出し始めたのだ。現在、地球上の800以上の島々で、生態系を破壊する動物の駆除が進められている。その手法は驚くほどスピーディーで徹底的だった。なにしろ空中からヘリで毒餌を散布し、敵を皆殺しにするのだから。その「非人道的」な駆除方法に対して、学者や動物愛護団体から激しい反撥が起きる──。 著者は科学ジャーナリストのウィリアム・ソウルゼンバーグ。地球的規模で起きている生物多様性の減少が、人類が1万5千年前に大型捕食動物を次々と絶滅に追い込んだゆえに起きたことを指摘した『捕食者なき世界』の著者で、本書はその続編ともいえる。ひとつの種を救うためには、ネズミなどの外来生物を一匹残らず殺戮する必要があるというパラドクスを描いた、サイエンス・ノンフィクションの傑作。

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