- Amazon.co.jp ・本 (318ページ)
- / ISBN・EAN: 9784163900971
作品紹介・あらすじ
金井ファン待望、痛快痛烈な最新小説
アキコさんの趣味は手紙を書くこと。料理、裁縫、映画、イヤな男、「お勝手」の話題を毒気たっぷりに認める著者真骨頂の書簡小説。
感想・レビュー・書評
-
出版直後に買って読み始め、序盤でしばらく放置、また少し読んで放置…と読むのに少し時間がかかってしまった。
そこそこご高齢のご婦人・アキコさんが同い年くらいのお友達(みんな女性)に書いたお手紙をずらずら並べた書簡体小説。まあとにかくだらだら書く書く。一応先方のご家族の様子は慮っているものの、それはあくまでもご挨拶的なもので、用件をちょこっと記しただけで、ただただ自分の思ったことをあからさまに、しかも嫌味をまじえてだらだらと書きつらねる。簡単にいえば、こじゃれたレストランで繰り広げられる、おばさまランチタイムトークのお手紙版。複雑なストーリー展開がありそうでなさそうで、自分に関係なければただただイラつく感じも同じだ(笑)。
とはいえ、このおばさまトークは下品ではなく、毒舌をくるんだ優雅な趣きがむしろくせになる。現在アキコさんが気になることを連ねつつ、そのつなぎ目に山のように出てくる映画や文学作品から見え隠れする、「若いころに文化資本をがっちり蓄積したミッション系ばあさま」感が只者ではない。「優雅なる冷酷」とはこのことか、それほど冷酷でもないけど。というか、『ダウントン・アビー』でマギー・スミス演じる老婦人、ヴァイオレット様のような「めんどくさいけど正しさを提示する」感じがする。
私もアキコさんのような優雅な毒舌オババの老後を送りたいものである。しかも遅くに結婚した旦那は朴念仁っぽい。最高じゃないか。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
自分勝手かつ皮肉にまみれ、しかも話が飛びまくり。
実に苦痛で、心が折れ、挫折した。
女とはこういう生き物なのでしょうか。
私はこうはありたくない。 -
金井美恵子流饒舌毒舌健在、老齢に差し掛かった自称「手紙の吸血鬼」たるアキコさんがしたためる書簡体小説。こんなイヤミなババアクソクラエと吐き出してしまいたいはずなのに、実に急所を突いているもんだから共感を呼んでしまう。困ったもんだ。現時点において、このおばさんに太刀打ちできる人物は皆無なのではないか? 数々の小説や映画、流行歌時事ネタ風俗を折り込みながら、奔放に脱線しつつ、昭和の記憶を呼び起こす(しかも辛辣な)手腕は見事、痛快だ。一言で一蹴されているハルキさん哀れだけど、ちょい笑ってしまった。ゴメンネ。
「そういえば、『ノルウェイの森』という有名な小説があったわね。とっても幼稚な、若い男の子が夢精をするような青春ポルノ小説ですよ」 -
老嬢の手紙なのだからエネルギーに溢れている訳ではない筈なのに、なぜか読むとぐったりしてしまう。
Kさんが著者の小説の中では、「なかなかもののわかっている」風なのに、去勢されていない感じがするのは何故だろう?
アキコさんと結婚するには去勢されていては(夏之さん、中野勉など)無理だからかな。 -
いるいる、こーゆー人。
初老の女性の他人への悪口、嫌味と自分の自慢。
自分は、上品だと思っている。
読むのが辛かった。 -
書簡体小説ってかなりの技術が必要だと思うのですけど(返信無しで状況を分からせなくてはいけないので)それを考慮しても今まで読んだ作者のどの作品よりもグッと読み易いです。
シニカルであけすけな物言いのアキコさんのパワフルさはいつも接していると疲れそう(笑)ですが、書き綴られる雑感の中に鋭さと身についた教養が見え隠れするのが、イイとこの出自なのね、という感じを醸し出しています。 -
文学
-
おかしくて何度も噴き出しそうになる。こんなお友達がいたらたまらない。
-
書簡体小説というにはあまりにも一方的で、お勝手というよりは身勝手な日記のような、手紙魔アキコさんの饒舌な手紙集。『快適生活研究』の続編のような位置づけと捉えていいかしら。中上健次を読んでると家系図が欲しいと思うけど、金井美恵子読んでると人物相関図欲しくなりますね。
相変わらず悪気なくアケスケに失言をまき散らすアキコさん、失礼なんだけどなんか笑っちゃうし痛快でもあり。愚痴と悪口と皮肉、でもそこに映画や読書のそれなりの知識(そこそこのお嬢様ですもんね)が見え隠れして、なんていうんだろ、こういうの「エスプリ」?だからギリギリのところで下品にはならない感じ。
アキコさんくらいの年齢になったときにまた読み返したい。装丁も可愛いけどポストカードが付録についてるのも可愛いです。 -
お手紙の本です。
時代が合って(50年前くらいに青春期をおくった人)、映画好きな人には楽しいと思います。
私には古すぎてわからないことが多すぎでした。