トオリヌケ キンシ

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著者 : 加納朋子
  • 文藝春秋 (2014年10月14日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (254ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163901459

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トオリヌケ キンシの感想・レビュー・書評

  • 「人は病む。人は苦しむ。人は死ぬ。
     老病死はすべての人間に等しく降りかかると言うが、それは完全なる間違いだ。」
    「真に等しいのは、人はこの世に生を受け、そして遅かれ早かれいつか死ぬ、ただそのふたつだけ。」

    人生における様々な苦しみの中にいる人達が、そんな苦しみの中で幸せや救いを見出す物語。
    「いい話」なんて簡単に言いたくないくらい純粋な思いやりや愛に溢れている。
    純粋な愛のお話という言葉が1番しっくりくる。
    それは友情だったり、恋心だったり、家族愛だったり様々だけど、どのお話も愛を感じる。
    優しくて、きれいで、眩しい。
    こんなに美しい想いがあるから人は幸せだと感じることが出来るのではないか。
    そんなことを考えた。

    きっと加納朋子さんにしかこの物語は書けない。
    そんな短編集です。

  • ステキな短編集でした。
    加納朋子さんも好きな小説家です。

    トオリヌケキンシ
    ある時トオリヌケキンシという小径を見つけた。
    進んだ先には「…ボロいうち」があった。
    無邪気な行動の先にあった救い、いつか気づく救い、いつか救われる救いへと繋がっていた。
    気持ちの良い読後感です。

    平穏で平凡で、幸運な人生
    共感覚を持った少女のお話。
    もっと早くに気づいていれば…。
    気持ちを揺さぶってくれました。
    ほっこりする読後感です。

    空蝉
    ちょっと怖いお話。
    ちょっとじゃなかったかも。結構ホラーテイストなミステリー。
    ほっとする読後感です。

    フー・アー・ユー?
    「あなたは誰?」
    僕は顔を認識できない。それがわかった時、世界が変わっていった。
    こんな子どもがたくさんいます。こんな子どもは自分に起きていることを不思議に思いつつ孤独に戦い合っています。
    って、切実な症状を幸せな特徴に昇華してくれる青春を感じた読後感です。

    座敷童と兎と亀と
    「座敷童がね、家の中にいるみたいなんで」
    ユーレイ?のお話と思ったら、家族愛のお話でした。
    おじいさんの特徴が謎解きに。
    ぎゅーっと締め付けられるセリフが印象に残った読後感です。

    この出口の無い、閉ざされた部屋で
    「私はあなたを呪います」
    ネガティヴワードをポジティブワードに変えてしまえる魔法の少女。
    非日常的、だけど現実にある厳しさ、その中に希望を添えてくれる。
    生きていく、それが読後に灯った感情です。

  • 「普通」からちょっとはみ出た自分を意識するあまり生き辛さを感じる登場人物たちに、優しく寄り添った短編集。
    共感覚、明晰夢、相貌失認…など、先天的または後天的な理由でもたらされた能力、あるいは症状により、何らかの不自由さを感じる日常。甘やかで温かい文章が持ち味の加納さんだが、癒される場面がある一方で、虐待に苦しむ子供のシーンは読むのが辛かった。でも、理不尽な状況でもしっかり正面から見据えようとする加納さんの真摯さも感じさせられたのだった。
    それぞれの登場人物らの、紆余曲折を経ながらの一歩一歩を見届けながら、そこにしっかり謎解きの要素を絡めてくるのも加納さんならでは。あっと驚くどんでん返しの展開は相変わらず鮮やか!特に、最終話へのつなげ方は見事でした。どの話も好きだけれど、お気に入りは「ささらさや」のほっこり感を彷彿とさせる「座敷童と兎と亀と」、加納さん自身の闘病体験が反映された最終話「この出口の無い、閉ざされた部屋で」かな。心に引っかかるカバー袖の一文、「とにかくね、一度でいい、愛の告白ってものをしてみたかったの」。どのストーリーでどう登場するのか…そのセリフの重みを知ったときは涙をこらえるのが大変でした。何だろう…いつも読書しながら泣きたくなったときは感情にまかせてだらだら涙を流すのだが、今回は何故だか、安易に涙をこぼしたくないなと思わされたのだった。静かな激しさ…って、矛盾しているかもしれないけど、実際に生と死に対峙した人だからこそ描けるリアリティが胸に迫ってきて、うまく言葉にできない余韻を今も引きずっています。
    よくよく考えたら、加納さんの読者歴は長い。初めて彼女の作品を読んでから20年は経つだろうか。好きだった作家でも、寡作になったり、あるいは自分が離れてしまうこともあるのだけど、以前ほどのペースじゃなくてもコンスタントに作品を発表し、新刊が出るたび「読みたいな」と思わせてくれる存在はありがたいなと心から思うのだ。改めて、病を克服してくれたことが本当に嬉しいです。これからもお体に気を付けて、次作を楽しみに待っています。

  • 再び加納朋子さんの作品を読める日が来て、本当によかった。「ささらさや」が映画化されるということもあって、それを再読しようとしていた矢先に、本屋で本書を見つけて即買。短篇集だったのだが、どの作品も、外からはわかりにくい病気がモチーフに使われている。
    だからといって、変な悲壮感やら悲劇ぶったところは全然ない。全然ないのだが、その分とてもリアルにその病気やら障害やらの苦悩が伝わってくる。
    そして、にも関わらず、作品に漂う雰囲気は、やっぱり加納朋子さんらしく、ほんわかふんわりしているのだ。

    しかし、最後の一編にはやられた。
    それまでと同じような系統の話かと思いきや、それまでの作品に登場した人物が次々に登場する。兎野くんまでいる。そして明かされる真実。
    この圧倒的なリアリティは、どうしたって加納さんの事情を思い浮かべずにはいられない。
    でも、そういうことをちょっと横に置いてでも、ラストはつんと鼻の奥が痛くなる。胸も痛くなる。

    やっぱり加納朋子さんは大好きな作家の一人だなと再確認した一冊。

  • 儚さ
    淡い思い
    ハンディを持つことの悲しさ
    それらを綴る時
    加納朋子さんの筆が
    冴え渡る

    大病後
    ますます その辺りの感性が
    研ぎ澄まされているような気がします

    読んでいて
    本当に ほっと させられますね

  • 他人には、なかなか分からない困難、身体的な特色や病を持った人々が登場人物の短編集。

    深いです、とても。
    ストーリーは優しく、ほんわかしたものばかりですが、深刻な問題を含んでいるので、いろいろ考えさせられます。

    それぞれのお話が、先が見える形での終わり方だったのは良かったです。

  • 短編小説
    加納さんの今まで読んだ短編は、微妙に他の話とのつながって、
    全体的に大きく1つまとまっていたりして、すごいな、と思う作品が多かったのですけれど
    これは、別々のお話でした。
    病気、特殊能力ものが多かったです。

  • 障害や病気に焦点をあてた
    短編ミステリーでありながら
    深刻にはならずに
    ほんわかとした雰囲気はくずさない
    ところが流石の加納作品。
    なんとなく聞きかじって知ってはいた
    障害のことも分かり易く
    そういう点でも興味深く読めた。

  • 生きている限り、いいことばかりじゃなくて、みんな何かを抱えて生きている。でも、生きていればこそ。みんなみんな、そこまで苦労した分、幸せになってほしいなぁ。子犬に救われたあずさちゃんと陽くんも、平穏で平凡で幸運で…最強タッグな夫婦も、ちゃんとお母さんをみつけたタクミくんも、お互いの好きの理由がわかった佐藤くんと鈴木さんも、カメを助けたウサギさんも(笑)、…出口を見つけた伊東くんも。 ファインプレーの兎野一家、大好きです。

  • 6つの短編集に共通するのは『特殊』なもの。

    こんなものがあるのか、というほど
    すべて違うもの。
    最後だけ、一体何の夢落ちなのかと思うほど
    前半奇妙な世界。

    2話目の『特殊』は、警察官にでもなったら
    検挙率がよかったかもしれません。
    が、平穏と自分を貫く(?)のが一番です。
    最後の落ちに、こういう女いるな…と思いました。

    5話目の座敷童。
    うまくどうにかいったな、という話。
    しかしおじいさん、己の家の不審に
    とっとと気がつきましょう。
    いやでもタイミングがあれなので
    この立場になると、そう思うかも…。

  • 加納さんの新刊が読めること、ほんとに嬉しい。
    生きててくれてありがとうと思う。
    短編やけどちゃんとミステリしてた。

  • さまざまな能力を持った人たちが登場するミステリ短編集。これって世間的には「病気」なんだろうけど、あえて「能力」と言いたい気もするものもあります。人とは違うことで疎外されがちな辛辣さも含みつつ、あたたかな印象の物語ばかり。
    お気に入りは「空蝉」。一番痛々しかった物語。だからこそその分、読後感が印象的で。ミステリ的な部分にも感服でした。
    「この出口の無い、閉ざされた部屋で」は、作者本人のことを思えばなお一層印象深い一作。切なくて、でもとてもあたたかい一作でした。

  • 短編集。
    前半は、ほっこり。
    後半は、じーんとくる話が多かった。
    読んでいてきつい場面もあるが、最後はどれも読後感がいい。
    困ったり、悩んだりしていても、何かを見つけられるから。
    本人はもちろん、周りの人々のあたたかさがいい。
    最後の話は、経験者たる筆者ならでは。

  • 加納さん、復帰後2冊目ということは、本格復帰を
    期待してもいいのかな。
    とても嬉しい。
    この短編集も、いかにも加納さんらしい優しい
    お話が詰まった素敵なものだった。
    特に2つめの作品が好き。
    最後のは、彼女の経験が生きてるのかな。

  • 兎野くんは次男の方?

  • 人の顔が認識できない主人公とか ちょっと設定が特殊。

  • つらいことやキツイことがあってもその先には光というか希望が見える、っていうメッセージが全話共通で伝えたいことなのかなって言う内容だった。だからか、各話しんどいシーンがあったりで読んでるこっちまで気分がしんどくなったりでちょっと疲れたかな。まぁ、その話の先にはちゃんと良い感じで終わるようにはなっているんだけど、そこまで辿り着くのに読んでいて気持ち的に少し疲れる作品だった。

  • 「トオリヌケキンシ」「平穏で平凡で、幸運な人生」
    「空蝉」「フー・アー・ユー?」「座敷童子と兎と亀と」
    「この出口のない、閉ざされた部屋で」
    6篇の短編だけれどどれも内容が濃くて印象に残るお話ばかりだった。

    前半からの話の流れが後半にはがらっと違う着地点であったり、
    あっ!そうだったのか!!と心地よく騙されていたりと
    その展開の見事さに嬉しくなった。

    周りからは理解されにくい障害というか特異体質?
    自分ではどうすることもできない病気、ただただ、
    優しい視点とそれでもどうにもならないリアル。
    胸がいっぱいになってしまった。
    温かくて泣きそうになる、そんな読後感。

    特に「トオリヌケキンシ」と「空蝉」の印象が強い。

  • ちょっと理解出来ない部分が多かったな…。
    特に3話目は怖くて読めなくてこれ以降先に進めなかった。

  • ああ、よいですねー。
    やっぱ加納さんのはどこかあたたかみがあってとても好きです。
    全ての短編でちょっと特殊(?)な障害を扱って、
    その特性を活かしたお話に仕上がっていて、
    うまいなあーっと。
    しかもラストのお話では、ほかの短編ででてきた子たちが
    総出演で、おおっとゆー感じ。

    座敷童でなく、左側が知覚できていなかったため気づいていなかった、とか、なるほど~~!!な展開
    しっかし児童虐待は、実感ないんだが、ニュースとかみると
    増えてるみたいだし、読んでて心が痛かった。
    生んだ命に責任もてよ、とつくづく思う。

  • 一番笑ったのも一番泣けたのも、ほっこりきたのも、座敷童と兎と亀と、でした。

    短編集かと思いきや、最後に繋がる短編連作で、収束されたとこに、すごくストンと落ちると同時に驚きだった。
    加納さんの話は、決して幸せいっぱいのものではないけど、やわらかくてじんわり染みるなぁ。

  • 見た目には分からない、色々な病気を抱えた人たちの優しい愛しい物語。どれも心が温かくなりますが、「空蝉」は怖かった。子どもの気持ちを思うとやりきれない。最後にちゃんと着地できて良かったけど、しばらく引きずりました。

  • 短編集

    困難な出来事があっても前へ進める
    力の湧くお話

    再読したい

  • ひきこもり・場面緘黙症・共感覚・ネグレスト・相貌失認・脳梗塞・血液のがん
    並べると暗い話ばかりに思えるが、ほぉと感心したあと
    「面白い!」と言えるような内容ばかり。

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トオリヌケ キンシの作品紹介

人生の途中、はからずも厄介ごとを抱えることになった人々。でも、「たとえ行き止まりの袋小路に見えたとしても。根気よく探せば、どこかへ抜け道があったりする。」(「トオリヌケ キンシ」より)他人にはなかなかわかってもらえない困難に直面した人々にも、思いもよらぬ奇跡が起きる時がある――。短編の名手・加納朋子が贈る六つの物語。

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