トオリヌケ キンシ

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (254ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163901459

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  • 希望はある--行き止まりでも、袋小路でも

      トオリヌケキンシ
     高校に入って引きこもりになった陽
     ある日、彼の家に一人の少女が訪ねて来た…。

      平穏で平凡で、幸運な人生
     同じ形をを見付ける不思議な力を持つ女子高生
     それ以外は、全く平凡
     不思議な力を生物の先生は共感覚という…。

    ● 空蝉
     やさしかったおかあさんは、おそろしいバケモノにたべられてしまった。

    ● フー・アー・ユー?
     僕は人の顔が識別出来ない。相貌失認だ。
     そんな僕がある女の子から告白された…。

    ● 座敷童と兎と亀と
     長年連れ添った奥様を突然亡くして気落ちしている亀井のおじいちゃん
     「--座敷童がね。家の中にいるみたい…」

    ● この出口の無い、閉ざされた部屋で
     大学入試に失敗した僕は引きこもりに…外に出るのが不可能…。
     明晰夢を見たい!夢だけが、ただ一つの脱出路だと思い
     必死でやってきたのに…。


    他の人にはなかなかわからない障害や症状や病
    困難を抱えた人達の6つの短編集

    どのお話も最後には主人公達が報われ、前に進んでいく。
    温かく、希望に満ちていました。
    幸せな気持ちにさせてくれました。
    「空蝉」は読んでいるのが、辛かったですが…。
    どのお話も素敵なお話でした。
    相貌失認の彼と醜形恐怖症の彼女のお話
    「フー・アー・ユー?」が、とても微笑ましくて良かったなぁ。
    小学生の頃、そうとは知らず場面緘黙症のあずさを救っていて、
    今は、逆に救われた陽
    「トオリヌケキンシ」も涙が零れそうになりました。
    「この出口のの無い、閉ざされた部屋で」のミナノの手紙にも
    涙が溢れました。

    初めて加納さんの著書を読ませて頂きましたが、
    とっても、ライトな印象を抱く描き方をされてました。
    きっと、優しい方なんでしょうね

  • 軽やかで陰のない乙一、といった印象。短編集で、爽やかな読後感のお話が多かった。設定は特殊でも、人物像にインパクトがあるわけじゃなくて、それなのに魅力的。それぞれのお話が最後にリンクするのもとても良かった!

  • 人とは違う感覚を持っている人達にそれが原因で起こる出来事を語る短編集。優しい母が変貌してしまい虐待を受ける話のように苦しいものもあるけど基本優しく結ばれるので軽く読んでいたら最後で思い切りひっくり返された。困難の中に小さく光る希望が切ない。

  • 生きている限り、いいことばかりじゃなくて、みんな何かを抱えて生きている。でも、生きていればこそ。みんなみんな、そこまで苦労した分、幸せになってほしいなぁ。子犬に救われたあずさちゃんと陽くんも、平穏で平凡で幸運で…最強タッグな夫婦も、ちゃんとお母さんをみつけたタクミくんも、お互いの好きの理由がわかった佐藤くんと鈴木さんも、カメを助けたウサギさんも(笑)、…出口を見つけた伊東くんも。 ファインプレーの兎野一家、大好きです。

  • 「たとえ行き止まりの袋小路に見えたとしても。根気よく探せば、どこかへ抜け道があったりする。目の前を塞ぐ扉は、硬貨一枚で開いたりしまったりもする。それがどこへつながっているかは、誰にもわからないことだけれども。」(34 ページ)

    『トオリヌケ キンシ』とは、
    ここからどこかに通りぬけられる、ということだ。

    ぱっと見、どこにもつながっているとは思えない道でも、
    体はムリでも、心だけでも外に出してやる。

  • 座敷童と兎と亀と、がすき。

  • 兎野くんは次男の方?

  • 人の顔が認識できない主人公とか ちょっと設定が特殊。

  • つらいことやキツイことがあってもその先には光というか希望が見える、っていうメッセージが全話共通で伝えたいことなのかなって言う内容だった。だからか、各話しんどいシーンがあったりで読んでるこっちまで気分がしんどくなったりでちょっと疲れたかな。まぁ、その話の先にはちゃんと良い感じで終わるようにはなっているんだけど、そこまで辿り着くのに読んでいて気持ち的に少し疲れる作品だった。

  • 特殊な病気や体質に悩む人々、その悩みに打ち勝ち前を向いて進んでいく、そういう鼻の奥がツンとなるような6つの物語でした。読み始めるとついつい引き込まれてしまいます。。

著者プロフィール

1966年福岡県生まれ。’92年『ななつのこ』で第3回鮎川哲也賞を受賞して作家デビュー。’95年に『ガラスの麒麟』で第48回日本推理作家協会賞(短編および連作短編集部門)、2008年『レインレイン・ボウ』で第1回京都水無月大賞を受賞。著書に『掌の中の小鳥』『ささら さや』『モノレールねこ』『ぐるぐる猿と歌う鳥』『少年少女飛行倶楽部』『七人の敵がいる』『トオリヌケ キンシ』『カーテンコール!』『いつかの岸辺に跳ねていく』『二百十番館にようこそ』などがある。

「2021年 『ガラスの麒麟 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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