注文の多い美術館 美術探偵・神永美有

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (318ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163901701

作品紹介・あらすじ

美術探偵・神永美有とワトソン役の美大准教授・佐々木の名コンビ!佐々木が密かに思いを寄せていた教え子・琴乃が結婚。嫁ぎ先の家宝「支倉常長が持ち帰ったタペストリー」を、琴乃は偽物と断じたが?

感想・レビュー・書評

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  • 「注文の多い美術館」門井慶喜著

    1.購読動機
    「家康、江戸を建てる」「銀河鉄道の父」で、小説の幅広さを知ることができたため。

    2.内容
    大学教授、助手、古物商出自の若者の3人。
    テーマは、うさんくささ溢れる古物の真贋を見極めるということ。

    1.の著書が相当の裏付けをもとに構成された小説に対して、この「注文の〜」は、完全にフィクションの物語である。

    3.読み終えて
    1.の著書と比較するには距離があるのだが、1.の色合いを期待しての購読であったため、⭐️5個にはならなかった。

    骨董品、フィクション、ドタバタ風な展開が好きなひとは、ぜひに!

  • いよいよ三作目。これまでより増して、議論が二転三転していろんな時代のいろんな人物を頭の中の引き出しから引っ張り出してきているので、本当に体系的に歴史の知識が。身に付いていると読むの楽しめる。歴史って本当に全てが繋がっているんですね。

    一話目を例に挙げると、榎本武揚が、テクタイト黒曜石が、ナポレオンが、エドモンド・ハリーが…と美術的・歴史的論理展開をしていくために知識が幅広いなぁと。そして最終的に落ち着くに至るまでハラハラします。まだ反論が出てきて土台からひっくり返る可能性を最後まで油断できないから。本当に最後の最後まで。だって、え?ここまできて最後に坂本龍馬!!??ってなりましたよ。

    三話目で語り手佐々木が「また日本史か」と零しているシーンがあるが、これはまさに作者の言葉では?と。本書2014年発行でその少し前に「シュンスケ!」「かまさん」(←榎本武揚!!)を発行していることからも、日本史にまつわる歴史小説分野に進出しつつある自身の展望を予期しているようです。ただ日本史とは言っても日本だけで完結する話はほとんどなく来歴や留学経験など少なくない海外からの情報が関わってくるのが面白いです。

    ■流星刀、五稜郭にあり
    ■銀印も出土した
    ■モザイクで、やーらしい
    ■汽車とアスパラガス
    ■B級偉人
    ■春のもみじ秋のさくら―神永美有、舌にめざめる

    最後の最後にフランソワで吹き出すほど笑いました

  • 美術関係のミステリーかなと思って読んだら、ちょっと違ってた。これはこれでおもしろい謎解きではあったが、原田マハに感化されているいま、ちょっと物足りない感じ。

  • 美術探偵 神永シリーズ3
    美術ミステリー短編集

    世界的コンサルタントに成長した神永
    イタズラ小僧っぽくゆとりある姿、佐々木やイヴォンヌと登場人物を中心にポップに描き、蚤の市や庶民の目線に近い古美術品の解釈など興味の尽きない作品です

    神永視点の佐々木との衝撃の出会い編に爆笑しました

  • シリーズものとは知らず。

  • 美術ミステリー。内容はキチンとしてるけど軽い口調のため肩のこらない人の死なないミステリー。
    登場人物は大学教授や学芸員たちなので、素人にはちょっと敷居が高かったけれど、雑学を仕入れたって考えればお得。
    ひとりひとり個性的で他も読んでみたくなる。

  • 美術史だけではなく歴史的背景などの説明も多買ったので興味深かったです。

  • シリーズものみたいだが、この作品から読んでしまった。
    だからなのか、登場人物のキャラの濃さに慣れるのに時間がかかった。
    美術作品の時代や素材、モチーフなどからその作品の真贋を見るー…というストーリーなのだが、ちょっと物足りなかった。

  • これは好きになれない。
    作者の力量は確かだけど、作品で展開される、美術品や骨董の取り扱いが嫌いだ。作品の背景を考えることは大切なことだけど、事実ではなく、相手に信じ込ませることで価値を創造するなんて。こういうのは関わり合いたくないや。

  • タイトルが面白くて手に取りました。
    シリーズ物のようで、もっと前のものがあるようです。
    「神永美有(かみながみゆう)」という名を見て、女性だと思ってしまったり、甘みと苦みで美術品の真贋が分かるという説明を読んで、舐めるのかと思ってしまったり…滑稽な誤解をしたまま読み始めましたが…
    面白かったです。

    歴史的な検証や、学術書で調べて推理して…という、アカデミックな方法の謎解きなのだけれども、登場人物たちの言動や人間関係がドタバタしていて、コミカルな雰囲気で気軽に読めました。

    イヴォンヌのお姉ちゃん…意外にお勧めだと思います。

    『流星刀、五稜郭にあり』
    佐々木の教え子、里中琴乃の実家に伝わる、先祖が榎本武揚から貰ったという【サーベル】

    『銀印も出土した』
    佐々木の勤務するZ大学の、新校舎建築現場から、【銀印】が発掘された。
    学長の樽坂は大いに大学の宣伝に役立て、学生を増やしたい。

    『モザイクで、屋―らしい』
    札幌R美術館で学芸員を務める里中琴乃から、地元の農家の持ち物である、百科事典くらいの大きさの【モザイク画】の鑑定を依頼される。
    真ん中にカエサル、周りを4人の男がぐるり取り囲む。
    本当に古代ローマのものなのか?

    『汽車とアスパラガス』
    悪徳美術商「しろねこ堂」山崎恭子との、攻防。
    ペリーが徳川家定に送った【蒸気機関車の模型】(4分の一)って本当?

    『B級偉人』
    集英社版 学習漫画「日本の伝記」に取り上げられているのがA級の偉人(byイヴォンヌ)
    支倉常長が遣欧使節から持ち帰った【タペストリー】、方や「紫衣事件」の【紫の袈裟】

    『春のもみじ秋のさくら』
    神永の学生時代、美術品鑑定の面白さに目覚めた話。
    ついでに(笑)佐々木との出会い。
    美術品には、その見た目だけではなく、背景事情や深い意味が込められていることに感銘を受ける。
    境内に桜が咲き、お参りする家族の少女の着物には紅葉の模様。
    矛盾をはらんだ【七五三の絵】

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著者プロフィール

1971年群馬県生まれ。同志社大学文学部卒業。2003年、第42回オール讀物推理小説新人賞を「キッドナッパーズ」で受賞しデビュー。15年に『東京帝大叡古教授』が第153回直木賞候補、16年に『家康、江戸を建てる』が第155回直木賞候補となる。16年に『マジカル・ヒストリー・ツアー ミステリと美術で読む近代』で第69回日本推理作家協会賞(評論その他の部門)、同年に咲くやこの花賞(文芸その他部門)を受賞。18年に『銀河鉄道の父』で第158回直木賞を受賞。近著に『ロミオとジュリエットと三人の魔女』『信長、鉄砲で君臨する』『江戸一新』などがある。

「2023年 『どうした、家康』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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