「自分メディア」はこう作る! 大人気ブログの超戦略的運営記

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163901756

作品紹介・あらすじ

月間200万PVのアクセス数を持ち、熱狂的なファンと、既存メディアに匹敵するほどの絶大な影響力を持つ、おばけブログ「Chikirinの日記」。無名の会社員だった著者・ちきりんさんは、どのようにブログを立ち上げ、どんな方針で運営してきたのか。さらに、著者自身が選ぶ、ブログのベストエントリは? 2013年に著者がkindleで個人出版し、1万ダウンロードを記録した電子書籍『「Chikirinの日記」の育て方』に、ベストエントリを21本を追加。 個人で発信していく時代に、「自分メディア」を作り上げた大成功例として、必読の書。

感想・レビュー・書評

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  • 自己ブランディングの参考本として購入。

    「ちきりん」という名前は随分昔から知っていた。が、正直あまり好ましい記憶がなかった。
    理由は、たぶん当時使っていたSNS、Twitterからの印象だと思う。
    彼女は、私の興味があるトピックで発言していることが良くあり(社会派ブロガー、なのだと今回初めて知った)、そのときの印象はなんとも微妙なものだった。
    その後Twitterもやめたので、彼女の名前を見かける機会もなくなり、ごくごく稀にたまたま読んだネットニュースなどで引用されたブログ記事のさらに引用、くらいの遠い距離感で認識する程度だった。(彼女はきっとずっとネット上では有名だったのだろうが、私はごく一般社会で生きていて、ネットに浸かる生活はしていないから見かけることもなかった)


    ではなぜ本書を読んだのか?
    ただ純粋に自己ブランディングやマーケティングの本を物色していた際に面白そうだと思った、それだけの理由だった。

    だいたい「はじめに」と目次、本文の一ページ目の出だしや数ページパラパラめくれば(私にとって)面白いかどうか当たりはつくものだが、
    本書はネット上で知って、目次や概要から、「かなり中身が詰まっていそう、赤裸々に嘘なく書かれていそう」と思い、注文して取り寄せた。
    …この名前知ってるなぁ、と顔をしかめたが、内容が良さそうだったのと、Twitterをやっていた当時も別に彼女の言説をしっかり追いかけていた訳でもなかったので買うことにした。


    読了しての感想は、大変満足。
    読んでよかった。

    ひとつのコンテンツがどうやって作られ、運営され、いくつかのターニングポイントによってどう変容してきたのか。
    「たまたま当たった」そういう側面と、戦略的にコントロールしてきた点、どちらも赤裸々に語られている。

    なお、世の中に「当たった」人はそこそこいるが、それをこんなに丁寧にわかりやすく書ける人も、書いてくれる人もそういないだろう。
    ブログを必要以上にマネタライズすることに意義を見出していないのも本心だと思う。


    本書の主旨とは若干外れるかもしれないが、個人的に1番の感想は、
    昔は「流行」を読めばよかったが(それも難しいけれど)、今は加えて「テクノロジーの変化」と、さらにそれを使って「どう流れが変わるのか」まで読まないといけないのだと。
    なんとなくわかってはいたが、こんな時代が来てしまったんだなぁと、肝が冷えた。(2013年発刊から7年以上たってるので尚更。そして最近そう感じることが複数の、違う角度から体感としてあって、読むべきタイミングで読めた感が凄い)

    時代を読んで当てつづけることはなかなか難しいが、新しい生き方のひとつとしても大変興味深い一冊でした。





    ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
    補記

    著者のことをなぜあまり良い印象を持っていなかったか?も、本人のブログや活動の変遷その分析の中に見つけることができ、想定外なスッキリもあった。苦笑
    (少なくとも当時、言いっぱなしの言説や、他の人や意見をばっさり切り捨てる姿勢を見かけて、悪印象を持ったのだと思う。
    …ただこれは、彼女も成長途上という一面もあっただろうが、Twitterという装置自体の限界=複雑な議論に向かず、かつ燃えやすい、という性質が多分に影響していたのだろう。実際、私には向いていなかったツールなのでその後やめたのも自然な流れだった)
    そして、しっかり本からブログへ誘導されいくつかエントリーを読むという。笑 久しぶりに何年越しかの食わず嫌いの解消。著者の戦略に完全にはまっているが、良い出会いになった。

  • ちきりんさんが、オンライン日記としてブログ記事を書くことを心から楽しみ、それが長く続けられた理由で、結果的に大人気ブログと化したことが分かりました。一方で、常に客観的な視点でサイトを俯瞰し、アクセス数が伸びるように、戦略的に構想を練っておられたということも、知ることができました。

    有名ブログに成長するまでに実際行っていた戦略を余すところなく公開しているので、勉強になりますし、分かりやすく読みやすい文章で書かれているので、スラスラ読むことができました。

    前半ではそういった、ブログ運営の戦略や信条が書かれており、後半にはブログの人気エントリーが集められています。一記事あたり、本にして数ページですが、中には目が鱗、価値観に変化をもたらしてくれるような刺さるエントリーもあって、楽しく読むことができました。

  • ちきりんさんのブログを見る→本に興味がわく→講演会にまで行く、というプロセスを経るうちに、ちきりんさんの書いている本を全部読みたくなって買ったうちの一冊。

    ブログを書く起点が、「このことを伝えたい!」というメッセージありき、というところが目から鱗だった。そのあとメッセージを伝えるための論理構成を決め、材料を集め、文章を書く、というプロセスだそう。ブログって、だらだらその日あったことや思ったことを書くイメージだった。伝えたいことを伝わるよう考えて書かれているから面白いのだな、と思った。
    ちきりんさんの処理能力の速さも垣間見えた。例えば取材の申し込み。時間と手間、特定の読者を増やせるか、この2点を判断基準とすると、すぐ処理できる。意思決定にあたって基準を設けることは仕事にも活かせるなと感じた。

    こうした本のレビューも、アウトプットの練習と思って書いているけど時間もかかる。読んだ全部の本を記録したいけど、そこまで時間かけなくてもな本もあるし、ちゃんと判断基準を決めて書こうと思った。

  • ☆2(付箋8枚/P288→割合2.78%)
    いやー、凄い戦略家。成功する先を読んでブログを作り上げたわけじゃあないのだけれど、ブランドというか、自分のこだわりの持続させ方のようなものを感じます。
    後半は代表的なブログの文章が掲載されていて、僕はブログをチェックしていないから、頷きながら読んだ。自分の意見を伝えるメディアにブログをチェックする習慣のない人も呼び込むための本になっている。

    ・こうしたことからいつも感じるのは、「すごいのは私じゃなくて、私を見つけた人たちだ」ということです。スゴイのは、「無名だったのに、500席の講演チケットが完売する人気者になった私」ではなく、なんの権威の裏付けもなく、テレビにも出ていない妙な名前の書き手の講演に、お金と時間を費やしてやってくる人たちが大勢いるということです。そういう人がここまで増えてきたことこそが、今までとは違う時代を作り始めているのです。

    ***以下抜き書き**
    ・自分を変えるとき、変化するためのコツは、「そうすることで良くなるかどうかまで考えない」ということだ。もし悪くなったとしたら、それに気づいた時にまた変えればいい。 ―梅原大吾

    ・大学に入った直後に「もう試験を受けるのは止めよう」と思いました。試験で絞り込まれた人しかいない組織は、まったくおもしろくないと気がついたからです。中学校まではいろんな人がいておもしろかったのに、大学に入ったらあまりに人が似ていて驚きました。そして、「これ以上試験を受けたら、周りの人がさらに画一的になりそう」と怖くなり、法学部だったけど司法試験も公務員試験も受けませんでした。

    ・資格試験も受ける気にならないし、家庭教師もすぐ辞めちゃうし、店舗型接客業も続かなかったし、オペレーターも飽きちゃうし、起業も全然向いてないし、情弱だったけど、「会社員で、お金の力のダイナミズムに触れられて、ビジネスの仕組みが見えて、いろんな人に会える仕事がしたい!」と思っていたら、その通りのキャリアを(その後)進むことになりました。大学生くらいになれば、自分がどんな性格で、どんな生活がしたいのか、だいたいは分かってるということでしょう。
    このように私には、「耐えられなくてすぐ辞めた仕事」がたくさんあります。この、「コレも合わない、今度の仕事もおもしろくない」っていうのを、学生時代ではなく卒業後にやっていたら、いわゆる「職を転々としたが、どれも長続きせず」な人になってしまったはずです。だから、「合わない可能性のある仕事はできるだけ学生の間にやっとけば?」と思います。

    ・小学生にとってお年玉の5000円は、自力ではとても手に入れられない大きな額です。欲しくて欲しくてたまらなかった(でも親には買ってもらえなかった)何かを買っておけば、「やったー!! うれしい!!」という強い記憶が残るでしょう。ところが数年が過ぎて高校生になると、貯金していた5000円はもはやそこまで大っきな額ではありません。バイトをすれば一日で稼げる額になってしまったからです。この段階で貯金を下ろして使っても、小学生の頃に使っていれば得られたほどの感激は、もう手に入りません。

    ・輸入豚肉は安い肉ほど高い関税率が適用されているので、この関税があることで一番ソンをしているのは「安い豚肉を頻繁に買う消費者」です。育ちざかりの子供がいる子育て世帯、少額の年金で暮らしている高齢者世帯、母子家庭など経済的に厳しい世帯、などですね。
    豚肉の関税を維持するという判断は、こういう人たちに少しずつお金を(豚肉の値段に関税を上乗せすることで)負担してもらい、そのお金を、養豚業者に移転する、という判断です。

    ・学生が大企業ばかり受けて中小企業に人が集まらないと言われてますが、企業が「応募検定料」を取り始めたら、学生側は受ける企業を厳選し始め、有名企業だけでなく、自分が受かりそうな、活躍できそうな企業を探そうとするでしょう。そうすれば中小企業への応募者だって今よりずっと増えるのです。
    …学生側が検定料を払うシステムなら、企業は全員にテストを受けさせるでしょう。大学名で足切りをする必要はありません。めちゃくちゃ応募者の多い一流大学だって、高校名で受験生を足切したりしないでしょ?あれは、入試を受けてくれる人が多くても、入学検定料でそのコストがまかなえるからです。同じシステムになれば、企業だって大学名による履歴書不合格や、セミナーからの締め出しなんてことを、やらなくなるでしょう。結果として、みんなが求めている「大学名不問採用」が実現するのです。今の大学受験市場において、高校名が不問であるようにね。
    …もしも大学受験で入学検定料が廃止になったら、「慶応は受けときたいな。かっこいいし」みたいな高校生が激増し、人気大学にはものすごい額のコスト負担が降りかかります。そうなれば大学側は慌てて「高校名での足切」を始めるはず。地方での入試実施だって止めてしまうでしょう。そして高校生側には、「20校落ちた」とか「30校受けたのにどこも通らなかった」みたいな人が現れるのです。

    ・アジアや南米、アフリカを旅した時、旧市街の迷路の奥にある薄暗い小売店で、ニベアやネスレの商品を目にして驚きました。南米のジャングルの中の国境事務所脇にある売店の棚にも、ユニリーバやナビスコの商品がありました。「こんなところにまで商品を届けるなんてすごすぎる」と驚きました。今から考えればよくわかります。こういった企業は、そもそも自分の国(欧米)に留学してきた人、移民でやってきた人の二世や三世を、自分の国の人と同じように雇用し、訓練し、彼らに事業を任せています。
    …これからの時代、「すべての重要なビジネス判断は日本人で行う。そのために英語ができる人材を採用する。採用した日本人に海外経験を積ませる」などと悠長なことを言っていて、ホントに間に合うのでしょうか?グローバリゼーションとは、日本人に英語を習わせることではありません。それは、世界の人を受け入れること。世界の多様性を受け入れることを言うのです。

  • ちきりんが出来上がるまでのあれこれがわかる本でした(´°ω°`)っので、そ〜んなに感想って言うのがないけど…
    読み終わってからちゃっかりブログをチェックするよーになりましたとさ…σ(・´ω`・)

  • ちきりん著「自分メディアはこう作る!」文芸春秋(2014)
    *一冊の本の中で、これをいいたい!、この点も伝えたい!と複数のメッセージが浮かべば、メッセージごとに別のエントリを書き、何日かにわけて1冊の本を紹介します。つまり、ブログん起点はこの本を紹介する、ではなくて、このことを伝えたい!なのです。
    *(1)伝えたいメッセージが決まる、(2)そのメッセージを伝えるための論理構成をきめる、(3)文章に必要な情報をあつめる、(4)文章を書く
    *人を育てるのは、数万円の貯金ではなく、こんな世界が世の中にはあるんだ〜、という若頃の未知なる遭遇から得られる驚愕であり、感動なのです。

  • メディア戦略の前半は真似してみたいところもあって面白かった。過去のブログ記事を掲載した後半は、ネット環境のある私からしたらもったいないかな…。ブログのトップにでもこの書籍用にまとめた入り口を作ってくれればそこから読むし、ブログにも誘導できて良かったのでは。と。この本を読んで私の中に残ったエッセンスは「作者は自分がしたくないことに人生の時間を使いたくない人」なんだな、ということ。ストイックなまでのその姿勢は、シンプル〜に生きたい私には参考になりました。

  • ちきりんBlog(http://d.hatena.ne.jp/Chikirin/)はたまに読んでいたけど、ここまで完全に戦略的に運用されているとは知らなかった。

    Blogは多角的視点から独自の鋭い分析されている記事が多いのにも関わらず、なぜだか他の難しいBlogに比べてエントリの最後まで読むことが多い。
    その無意識的に最後まで読ませる秘密として、やはり意図的に難しい言葉を避けて解りやすい文章を書くことを心がけているとのこと。

    前半にそんなBlogに対する自分ルールや優先度等のポリシについて書かれており、後半はベストエントリ集。
    Blogの記事とほぼ同じな後半のエントリ集も、前半のポリシを一読してから読み直すと、不思議と構成や文章について改めて凄い!と驚かせる文章に気づく。

    ちきりんBlogを見る目が変わる一冊。
    心がけている通りの読みやすい文章になっているので、ゆるーい気持ちで読みきる事ができた。

  • 大人気社会派ブロガー「ちきりん」さんが、自らのブログをどういった思想で運営してきたを述べた一冊。

    やはり人気のブログというのは、読者のターゲットと自分の書きたいものが明確だと感じる。

    運営していく中で少しづつブログの運営方法も変化していっているが、価値観が明確なのでどんどん人気があがっているのだろう。

    自分のコンテンツを作っていくために参考となった。

  • 人気ブロガー・ちきりんさんの、ブログ運営心得を知ることのできる「裏を読む」編と、実際の人気エントリ(記事)を掲載した「表を読む」編の2部構成。最初に「どっちから読んでもいいよ」と著者からの助言があったので、ちきりんさんのブログを読んだことのない私は、後半の「表を読む」から読んでみました。

    結果、ちきりんさんの意見に賛同できるエントリが多かったし、面白かったので、制作秘話に当たる前半、「裏を読む」を読むことにしました。

    そして、予想を上回る理念を持った運営に、ただただ感心。やはり人気ブロガーになる人は、それだけの理想や信念を持って書かれています。
    誰にでも当てはまるやり方ではないですが、ブログ上では見せないであろう、運営していくにあたっての考え方と覚悟を知れる内容でした。今度ブログも見てみよう。

    そんじゃーね。
    (↑早速ちきりんさんのアイコン言葉を取り入れるバカ)

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著者プロフィール

ちきりん

関西出身。バブル最盛期に証券会社で働いた後、米国の大学院留学を経て外資系
企業に転職。2005年に書き始めた社会派ブログ「Chikirinの日記」は日本有数の人
気ブログとなり、ツイッターのフォロワーは30万人を数える。2011年からは独立
し、文筆活動に専念。デビュー作となった本書のほか、『自分のアタマで考えよ
う』(ダイヤモンド社)、『社会派ちきりんの世界を歩いて考えよう』(大和書房)、
『未来の働き方を考えよう』(文藝春秋)などの著作がある。

ブログ    https://chikirin.hatenablog.com/
ツイッター  https://twitter.com/InsideCHIKIRIN

「2013年 『ゆるく考えよう』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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