デブを捨てに

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (215ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163901992

感想・レビュー・書評

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  • なんだかどうしようもない人たちについて書かれた短編小説集。デブを捨てに行くという話しはばかばかしくて笑ってしまった。

  • 基本的に全てが面白かった。
    印象に残っているのは、「マミーボコボコ」と表題の「デブを捨てに」。
    「マミーボコボコ」は大家族のドキュメンタリーを皮肉ってる感じ。ラストが胸糞悪かった!

    基本的に平山さんの描く世界は、低俗でクソみたいなどうしようもない世界なのに、嫌いにならないというか。そんな中で登場人物が築いていく人間関係は、すごく低俗で自分なんかとは全然住む世界が違うと感じるのに、清々しいもののように思える。

    あと、平山さんの作品に登場するデブキャラは、どこか愛すべきところがあると思います。この作品のデブといい、他作品「Ωの聖餐」のデブといい。

  • ちょっとイっちゃってる文体で好き嫌いが分かれそう。

  • 短編なのに読み応え十分。

  • 【マミーボコボコ】
    「あんた、そんな約束したの?」
    「約束はしてない」
    「なんだって! ー あんな云ったじゃんか。来たら今回のギャラは二万だって」
    「約束はしてない。二万だとは云った。だが約束はしてない。そこからの展開は流動的だ」
    「嘘つき!」
    「嘘じゃない。俺は嘘は吐かん。ただ不快な気持ちにさせたのなら謝る。すまん」

    「こんなとこで何やってんの?」
    「仕事に決まってるじゃん。援助交際さ。あたしさあ、あんなゴミみたいな親のところから早く逃げ出したいんだよね。あいつら、人間の屑どころじゃないから、生き物として生物としても屑だから。」

    「最後の生理が終わって十ヶ月も経ちゃ餓鬼は出てくる。あたしは褒められたくて褒められたくて妊娠する度に次はいつ孕んでやろうかって、そればっかり考えていたんだ。子どもなんか欲しくないよ、ただ孕みたいだけ。孕む為ならなんだってしてやろうって気でいるんだよ。」

    【顔が不自由で素敵な売女】
    「嘘だろ」
    「みんなそう云うんだけど、本当よ。ちょちょみ。〃に美しいで〈〃美〉。女の子だから分かり易い

    「あたしに名をつけたのが孤児院の院長で、そいつはボウズでシャブ中だったもの。葬式行く前なんかよくポンプ打ってた。あれすると線香とかお供物の臭いが凄くよくなるって。それに読経に集中できて死体とも話ができるって云ってた」

    「お客さん、また酔ってるのか。悪い酒たね、あんたの酒は」
    「悪い? 悪いってのはこんなものじゃない。あんた、見てくれよりも世間が薄いな」

    「あの人が、やれっていうんだもん。やらなきゃ別れるって」
    「そんな…おまえ、別れりゃいいじゃないか」
    「だめよ、愛してるんだもん。あたしはこうみえても一途なんだよ。処女を捧げた人だし」
    「ヒヨコか、おまえ」
    「あんたにはわかんないのよ。寂しい人にはわかんないの」
    「本当にわかんねえよ」

    【デブを捨てに】
    「ロバは飼い葉桶、四杯も飯を喰う。おかげで朝から晩まで糞をしどおしだ。ウチじゃあロクに人様の喰う物もないのにロバばっかりが飯を喰うんで、親父が頭に来て、家族の糞やロバの糞を餌に混ぜたんだ。すると、それでも喰う。糞も餌も同じように喰うんだ。あれは一体、どういうわけだ」

    「一日中、ネットで遊んでいたんで有名な大食いチャレンジ店の場所は憶えてるんです」
    「店の名は」
    「クソ豚野郎」
    「なんだと」
    「店の名です」
    「嘘だろ」

    〈へぇい! クソ豚! 一丁!〉
    〈大クソ豚、バリカタ、味薄め、ドロ油、ニンニクましまし!〉
    〈味噌クソ豚野郎、クソのクソ盛り!〉
    〈クソつけ、麺クソ盛り、クソ汁カラメ!〉

  • ご飯食べる前後に読むのはお勧めできない。
    そして、思ったよりいい感じに終わる。もっとどうしようもない感じで終わるのかと思ったのに。

  • 昔読んだ「ダイナー」が強烈だったけど面白かったので久しぶりにこの著者の本を読んでみました。

    短編だけど中身は「ダイナー」を彷彿させるようなグロ描写が多々。

    読んでいて気持ちが良い内容ではないのだけど読後は不思議な爽快感があります。

  • 暴力の描写とか
    本当にエグいのですが
    何でしょうこの
    読後の清涼感
    ヨーグルト?だからですかね?

  • 2017年、3冊目は久々の平山夢明の短編集。

    「いんちき小僧」「マミーボコボコ」「顔が不自由で素敵な売女」「デブを捨てに」の4編収録。

    今作は全体的に、鬼畜度、絶望度はかなり低め。不条理フレイバーの言葉遊びと、ブラックなユーモア満載。感触的には、『暗くて静かでロックな娘』に近い。

    日本社会のカースト、その下層に属する人々、そこから弾き出された人々。そんな彼ら、彼女らが繰り広げる、とんでもなくイビツなヒューマンドラマ。これは、まさに、愛すべき与太話達である。

  • 顔が不自由で素敵な売女のラスト三行、不謹慎だけど笑ってしまった。

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著者プロフィール

1961(昭和36)年、神奈川県川崎市生まれ。法政大学中退。デルモンテ平山名義でZ級ホラー映画のビデオ評論を手がけた後、1993年より本格的に執筆活動を開始。実話怪談のシリーズおよび、短編小説も多数発表。短編『独白するユニバーサル横メルカトル』(光文社文庫)により、2006年日本推理作家協会賞を受賞。2010年『ダイナー』(ポプラ文庫)で日本冒険小説協会大賞を受賞。最新刊は『俺が公園でペリカンにした話』(光文社)。

「2023年 『「狂い」の調教 違和感を捨てない勇気が正気を保つ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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