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永い言い訳

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  • 269レビュー
著者 : 西川美和
  • 文藝春秋 (2015年2月25日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (399ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163902142

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永い言い訳の感想・レビュー・書評

  • 妻をバス事故で亡くした作家が同じ事故で妻を亡くしたトラック運転手の家族を手伝う。重松清っぽい。

  • 人と深く付き合うことが苦手?な私は
    何だか主人公に肩入れしてしまう。
    (妻に対しては、そんな事は無いですよ)

  • どんな家族関係であれ、長年一緒に生活を共にして来た人を突然亡くすという事実を受け入れるのには相当な感情の整理や自分自身の納得が必要であるあるということ。また、その想いの整理には、生前考えもしなかった、気づきもしなかった出来事や自分の思いにも向き合っていくという、心が削れて痛む作業も伴う。相手が生きている人ならば直接聞けるであろう事も、相手が亡くなっていれば聞く事も出来ない。そこから来る亡くなった人の言動への想像は生きている者の心を千々に乱れさせ、波うたせる。当事者のそういう小さな細かい心の動きや変化が丁寧に描かれている。実際同じような事を経験したことはないが、自分自身ならどの様に感じるのか、読後に色々考えさせられる作品。

  • すごく良かった。最後の方は泣いてしまいました。何と感想を書けばよいのか、自分の言葉で書きたいんだけど難しい。今は静かに余韻に浸っていたい気持ちです。「妻へ」の全文は、何度も読み返して、忘れたくない文章でした。
    「愛するべき日々に愛することを怠ったことの、代償は小さくない。」

  • 2017/6/19
    良い。

  • 妻主体の章もあるので、そこから突然の事故で亡くなることにすごい喪失感。

  • 小説家の妻がバス事故死。学生時代の女友達と一緒
    トラック運転手と小6(受験生)と4歳の娘がいた
    小6の塾通い継続のために週二回小守にゆく
    事故遺族のドキュメンタリー番組に出演
    家族のような生活
    実験女先生が近所に住んでいて小守をかわる
    トラック運転手が自殺未遂
    受験は失敗
    執筆活動
    ようやく妻の死に涙

  • 面白かったです。
    淡々とした文章と描写ではあるのですが、心を揺さぶる、えぐる言葉が多く、淡白な印象とは裏腹にぐいぐい引き込まれていきました。

    事故で妻を亡くした二組の家族。主人公は作家で(よくある)華やかに見える生活を送っていて、もう一方はトラック運転手を続けながら幼い兄妹を育てる(がさつだけど)真っ直ぐな男。
    妻同士は親友だったが、主人公のみが交流がない状態。遺族会でこの二人の男が出会うところから、苦悩と再生の奇妙な共同生活が始まります。

    主人公が本当に下衆い。言う事やる事は知識人らしく真っ当なのだが、頭で考えた事が先行し、心が入っていないことを、作者が直接的な表現や嫌味な表現を使わずに、うまく読み手に感じさせるので、モヤモヤが蓄積していく。

    ぶち壊しては再生し、再生してはぶち壊す主人公の生き様。いや、再生というよりは取り繕うか。
    妻が残した言葉に打ちのめされ、しかし、それが自分の人生だったと後悔を告白する主人公に若干の救いはあるものの、主人公の心の闇と孤独が、優しい物語を全編に渡って薄く覆う毒となり、ある意味、重厚な世界を構築しているところが、この作品の読者を引き込むポイントだったと思う。

  • バス事故で妻を亡くした作家と、同じ事故で母を亡くした家族の交わりが描かれています。
    偏屈な人があたたかい心を取り戻す話、と言ってしまえばそうなのだけれど、葛藤とか紆余曲折とかは読みごたえがあって面白かったです。

  • 初☆西川美和作品
    色んな思いが交錯して上手くレビューがまとまらない
    何か簡単な言葉でキレイな感想にしたくない
    映画はもう一度原作を読み直してから観てみたいと思います

  • 良い評価をちらほら目や耳にしていたので期待して読み始めた。が、いまいち作者の主張が分かりづらかった。
    永い言い訳というタイトルではあるが、言い訳めいた感じはしなかった。その微妙感がリアルで良いということだろうか。解説が欲しいところ。

  • バス交通事故で妻を亡くした小説家・津村を主人公に、同じ事故で母親・ゆきを亡くしたトラック運転手の父・陽一と幼子2人(真平と灯の兄妹)の家庭との出会い。また鏑木優子という科学館の女性。彼らとの生活の中で、家族、小さい子供たちを愛することを教えられていく淡々とした記述が爽やかな読後感を与える。妻・夏子の携帯が息を吹き返し、未発信の下書きメールを見つけた時の驚きは衝撃的である。そして最後の喪失感、涙の場面は、ここまで辿り着いたことの静かな感動の場面。

  • 妻や子供を大事にしないと行けないと改めて強く思わされた。

  • 祝!映像化で手に取る。

    事故で妻に先立たれた作家と同じ事故で母を無くした家族の話。主人公も同じ境遇の家族と共に過ごすことで、家族の大切さに気付き、亡き妻の想いと向き合っていく話。

    私も同じ様な年齢の娘が居るので、同じ状況になったら、友達が同じ状況になったらと心を傷めながら読む。
    まあ、よくまあ好きになれないキャラの主人公だなと思いながらも読む物の、いや人間とはそんなものだよなと思ったり。
    生きることへの応援と、続く生活の中で忘れがちな大切な事を教えてくれる一冊。

    「ゆれる」を書いた人なんだ。本著者の他の作品も読んでみようと思う。

  • 著者により映画化もされた物語である。

    衣笠幸夫。職業、小説家。筆名は津村啓。
    漢字は違うが、著名な野球選手、衣笠祥雄と同名であったため、小さい頃からよくからかわれてきた。しかし、実のところ、幸夫が生まれた頃、衣笠選手はまだそれほどは有名でなく、名前はまったくの偶然だった。幸夫=津村啓は、鉄人と呼ばれた衣笠選手とは正反対のまったくの優男で、本人は名付けた父を恨んでいた。
    一度は出版社に務めたものの、勤めを辞めて、物書きになる夢に賭けた。売れない時代は糟糠の妻に食わせてもらっていた。妻は腕のよい美容師で、詰まるところ文字通り、「髪結いの亭主」だったわけだ。ようやくここのところ少し売れてきて、テレビのバラエティ番組などにも出るようになった。
    しかし、そうこうする間、妻との間は冷え切っていた。ともに暮らし、散髪の際には必ず妻に切ってもらっているものの、互いに対する関心も薄れ、子のない2人の間には会話もほとんどなかった。
    妻が女友達と年に一度の旅行に出かけた日、幸夫は浮気相手と自宅で逢瀬を楽しんでいた。
    まさにちょうどそのとき、妻の乗った夜行バスが下りカーブを曲がり損ね、ダム湖に転落していたのも知らずに。

    映画のキャッチフレーズは「妻が死んだ。これっぽっちも泣けなかった」である。前半はまさにその通りの物語と言ってよい。
    主人公はなかなかにいけ好かない男である。夫婦がすれ違うのは双方に理由のあることではあるが、それにしても妻が死んでしまったというのに、この夫の見せる冷淡さにはいささか辟易する。それはある意味、正直さの裏返しでもあるのだが。
    ある程度の著名人である彼は、「被害者家族」として「被写体」になることを求められ、また事故を題材にして作品を書くよう薦められる。
    だが、彼の抱え込んだ「思い」は、実は紋切り型のお涙頂戴からは遠いのだ。

    妻とともに出かけた女友達も犠牲になった。彼女には夫と2人の子がいた。
    幸夫はこの夫、陽一と、被害者向けの説明会の席で出会う。驚いたことに、妻はこの家族としばしば一緒の時間を過ごしていたという。
    トラックの運転手として一家を支えている陽一は、家を空けることも多い。6年生の真平とまだ保育園児の灯がけなげに頑張っている姿を知り、幸夫は柄にもなく、手助けを申し出る。
    日を重ねるにつれ、子供たちとの絆は深まっていく。疑似家族のような関係に充足感を感じ始める幸夫だが、さてこのユートピアは強固なものたりえるのか?

    実は、先ほど触れた映画のキャッチフレーズには続きがある。
    「そこから愛しはじめた」。
    陽一家族との交流が始まっても、失ってしまった妻との溝はもちろん埋まらない。それどころか、遺品の中から、2人の仲が修復しようもなかったことを示唆するものさえ現れる。
    一方の陽一家族とて傷ついている。大きな存在を失い、心に黒いものを抱え、やりきれない思いを晴らす術もない。それは大人も子供も同じことだ。
    ある事件をきっかけに皆のそれが噴出する。
    けれども無様だけれども、不器用だけれども、かれらはそれを乗り越える。そしてようやく、幸夫は気付くのだ。不在の妻の「存在の大きさ」に。

    幸夫はまったく嫌なヤツなのだが、その独白には、自虐的な軽みもあって、ところどころシニカルな笑いを誘う。
    どこの家もこんな大きな悲劇に見舞われるわけではないが、どこの家にもある程度のすれ違いややりきれなさはある。
    どうしようもない思いを抱えつつ、それでも私たちは生きていく。生きているんだから生きていくのだ。無様でも、卑怯でも、言い訳がましくても。

    衣笠幸夫はいけ好かない男である。けれど津村啓の書くものは、案外とよいのではないか。そんな気がしている。


    *映画の主演は本木雅弘。何だか当て書きのように、... 続きを読む

  • (2017.02.25読了)
    もう愛していない。
    そんな妻が、バスの事故で突然亡くなってしまう…。
    ジワジワきます。
    ですが、そのジワジワがゆっくりすぎて中だるみ。
    また、いろいろ他にやることもあり、読了までに1ヶ月近くもかかってしまった。
    時間かかった分、感動も薄まってしまったような気がします。ちょっともったいなかったな。

  •  映画を観た時も思った。
    なんて、ダメなやつなんだこの男は・・・って。
    面倒くさい、子どもみたいな・・・いや、子どもから純粋なところを抜いた、身体ばかり大きくてものすごく厄介で思考が子どもみたいな男だ、幸夫という人は。
    それに話し方が、気持ち悪い。こう、人をおちょくるような、上からな感じの話し方が、生理的に受け付けない。
    何度も、この男は!(怒)と思いながらも、頁をめくるのをやめられない。
    映画でもこんな台詞があっただろうか?と思いながら、ずんずん読み進めていくと、映画よりも小説は言葉が直接頭に飛び込んでくるようで、ダメダメな幸夫が発した言葉が今度は自分に鋭く突き刺さってきた。

    「愛するべき日々に愛することを怠ったことの、代償は小さくはない。(略)人間死んだら、それまでさ。俺たちはふたりとも、生きている時間というものを舐めてたね。」

     物語も後半になってくると、ダメ男は実にいいことを言う(書く)ようになる。
    喪ったものを総括し、挽回できないことを自覚して、そしてこれからも男の人生は続いていく。

     単に映画の原作本という枠には収まらない、小説単体としても、痛くて刺さる台詞がたくさん詰まった、素晴らしい作品だった。

  • 愛する日々に愛することを怠ったことの、代償は小さくない

  • 妻への愛を喪失した夫と愛する妻を喪失した夫のどちらも残酷だった。対照的なのにどちらも惨めさが浮かび上がってくる辺りに男の弱さが表れている。それでもそんな大人を必要とする子供達がいることで喪失した過去となんとか向き合って、ぎこちなくても立ち直れるきっかけを作れたのは子供の偉大さの証なのだろう。

  • 途中で挫折。なのに ★4つ? 
    この本はなかなか読み進めない。進まない。おもしろいのになんで、言い訳だから?
    またいつか読もう。

  • 西川美和監督の映画は、「ゆれる」「ディア・ドクター」「夢売るふたり」を見ていて、人間の描き方にスゴさを感じていた。見たくない、気づきたくないない部分までしっかり抉って表現する人だなあと。
    この小説も気にはなっていたのだが、映画監督としてすごいと思っていただけに、もし小説に失望したら嫌だなあという気持ちもあり、読んでなかった。映画が公開され、それも見逃していたが、引っ越して初めて行った図書館で、バーンと目の前に現れた(一気にその図書館が好きになった)。

    映画作品同様すばらしかった。失望など全くしなかった。
    ストーリー全体もよかったと思うが、随所随所で今の私にグイグイ来て、いろいろ考えてしまうので、なかなか読み進められなかった。

    たとえば、
    食べていけない時に、奥さんに経済的に支えてもらっていたのに、自分が稼げるようになった途端、奥さんを裏切るような行為をする男性がたくさんいる。これでは奥さんとしてはやりきれないよな、と常々思っていたが、そのところの解説?のような箇所があり、感心したというか、納得したというか。
    それほど男の人にとって屈辱的なことなんだとわかった。無意識のうちに復讐せねばならないほど恥だと思うんだってことが。
    でも、やっぱり奥さんはやりきれないと思う。

    主人公を好きになれず、この人が最後改心するんだろうけど、甘っちょろく改心させたら怒るぞと思いながら読んでいた。どういう流れの改心なら納得がいくのかわからなかったが、うまい具合の終わり方だったと思う。すごいなと思った。

    本筋とあまり関係ない部分もあるかもしれないが、自分が引っかかったところ、引用しておきたい。


    "女たちのこの態度を僕は知っている。どうせ役立たずだと思ってるんだろ。あなたが余計な提案さえしなければ、物事はもっとシンプルで、まともだったのよ。何もかも、ややこしくするのはいつもあなたで、割りを食うのはいつも私。口に出さないだけ優しいと思ってよ、と言いたいんだろ。"139ページ

    "一度良い目を見たら同じような幸福が続くと期待する。続かなければ不満に感じる。幸福は不幸の種だ。"140ページ


    "旅行に行ったり、美味しいものを食べに出掛けたり、絵や映画を見たりというような、何かふたりが、ふたりで居る時間を噛みしめながら、満ち足りた気持ちをわかちあってしまいそうな行動が億劫だった。そんなもので我が家の土台に起きている根腐れを表層的にごまかす空々しさに耐えられなかったのだ。"  205ページ

    "またしても忘れていた。人生が百八十度変わるのに、一日は、十分すぎる長さなのだということを。"  267ページ

    ”鈍いのか。抜けているのか。それともこれが度量というものなのか。”  286ページ

    ”真実が白日の下に晒されて、満ち足りた気持ちに浸るのは往々にして晒した当人だけである。一度ひらかれてしまえばふたたび裏には返せないのが「真実」だ。嘘つきと思われても、後で返す裏がのこされているほうが、まだ未来があるのではないか。”  286ページ

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