武道館

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著者 : 朝井リョウ
  • 文藝春秋 (2015年4月24日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (303ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163902470

武道館の感想・レビュー・書評

  • P177 L7
    自分は今、歌とダンスを極めているのだろうか。それとも、歌とダンス以外のすべてを、奪われているのだろうか。

    P199 L16
    人の不幸を見たい人は、不幸を見たいと声を上げる。碧の演技を「棒」と呼び、おかしな動画を作ってそこ中にばらまこうとする。だけど、人の幸せを見たい人は、この試合を見守る自分たちのように、きっと、ぐっと口をつぐんで、ぎゅっと拳を握りしめて、その姿を見守ってくれている。だから、人の不幸を見たい人のほうが、まるで多くいるように見えてしまう。自分の選択が間違っていたのではないかと、すぐに不安になってしまう。

    P247 L4
    人数だけじゃない。いろんなことが変わっていくよ

    ライブを授業参観って呼んだり、スキャンダルを撮られた女の子が頭を丸めたり、握手券を付ければCDが売れたり、そんなの、すっごく最近のことでしょ?ここ数年でそうなったことでしょ?だから、これまでみたいに、これからも、いっぱいいっぱい変わっていくの、多分。
    今目の前にあるほとんどは、最近生まれたものばっかり。ずっとずっと昔から当然だと思われてきたことなんて、実はほんのちょっとだけ。だから、目の前にあるほとんどは、これから新しく生まれ変わる。たとえば、握手なんかじゃなくて、歌って踊る姿をもっと見たいとか、そういうふうにまた変わるかもしれない

    なんか変だな、この仕事向いてないのかなって思ったときは、変わっていくってことを思い出して。みんなが直面して、悩まされているもののほうが実は、これから変わっていくものなのかもしれないの。何でも、自分がおかしいんだっていうふうに思って、そこを直していくと、みんな、おんなじ人間になっちゃうから。私、それは寂しいんだ。

  • 主人公やグループのメンバーに、今まさにテレビの中で生きているアイドルたちの姿が重なる。
    今の時代のありのまま。現実を書いていながら、決して皮肉や嫌味は感じない、爽やかで純粋な小説。

    批判や理不尽に慣れて、怒りを出さなくなったら、自分の器の形がわからなくなる。

    色々慣れてしまって、怒らなくなって、それは良いことなのだろうか。怒りは、自分の扱い方を相手に伝えるということだから、ちゃんと怒ることも大切だ。
    と最近よく考えてることと、同じことが書かれていて驚いた。

  • アイドルが、人から理想とされる姿と、自分の気持ちに正直に生きる姿と、そのギャップに悩みながら成長する話。自分もアイドルではないが、他人からどう思われるか、でも自分の生き方はこうだ、というギャップに悩むことがあるので、とても共感できた。

    主人公、愛子と大地の恋愛に感動。
    何もかもどうでもよくなって、ただ、いまその瞬間、その人と一緒に過ごせた時間が、後の自分を支えてくれるようになる、て感じる気持ちって確かにあったよな。
    でも今は人生設計を優先して考えてしまって、そんなに純粋に恋愛ができなくなっている気がする。久しぶりに、フレッシュな気持ちに触れられて、心が満ち足りた気がする。


    今の時代、日々の生活の中で違和感を感じるけど流してしまう心の動きを描かのが本当に上手いなあと。だから朝井リョウの本って止められない。

    無料で何でも手に入って、本当に自分が好きなものとか大切にしたいものを見失ってしまう世の中。その疑問に思う気持ちを忘れないようにせねば。

  • 夢だったアイドルになれて、グループで一心に夢の武道館ライブへ向かって頑張る日々。特典商法、握手会、CDの複数買い、写真誌スキャンダル。諸々の荒波を乗り越えて、武道館へ立てるのか…

    アイドルって素敵!頑張る私たち!と全面肯定したような青春小説なのかしら(それならそれで別にいいし)と思って読んでみたら、かなり痛切に「アイドル」を選択した十代の少女の等身大の物語が踏み込んで描かれていて、読みがいがありました。痛々しくて時折残酷さが顔を出す青春物は、作者はやっぱり巧いです。

    モチーフとなった騒動などを思い出してみると、ほんとうに「幸せな姿を見たいのか、不幸せを見たいのか」「自分たちより上の幸せを得ているアイドルは許せないのか」という言葉のリアリティが迫ります。一個人の言葉と有名人の言葉が同一線上でたたかうこともできる世の中は、本来あるべき壁を見失わせ、正しい距離感を測れなくなっているようにも思うのです。

    だんだんと少女の取る選択が見えてくる終盤、けれど彼女の選択は正しいものだったと納得させられる深い心情の描写がとても細やかでよかったです。

    ずっと変わってなかった感情が、いつのまにか禁止されていた。変わっていったのは周りなのに、非難の矢面に立たされるのは少女本人。矛盾でしかないのに、それがまかりとおるのが、芸能界。

    おそろしいところだと思いました。
    けれどもっと怖いことに、それでも戻りたいとも思える魅力をも含むのですよね…。

    なんだ魔界はここにあったのか、なんて思ったのでした。

  • アイドルとして、一人の女の子として駆け抜けた青春。

    アイドルグループのNEXT YOUのメンバーである高校生の愛子。

    小さい頃から歌とダンスが好きで
    応援してくれるファンに感謝しながらも
    疑問に感じるところも多々あった。

    助言してくるファンの存在、
    些細な事で過剰に反応する世間
    卒業していくメンバー、恋を知ってしまったメンバー。

    幼馴染に抱いていた思いが好きだということに
    気付いてから、愛子が選択して、決心したこと。

    アイドル好きです。
    男性スキャンダルは、やっぱり嫌だなって、思っちゃう現代人です。

    愛子と大地のスキャンダルは絶対出ると思った。

    やっぱり、著者のお話は、キラキラしていて眩しすぎるうううう。

  • 若者向け。30代のおっさんが読む本ではないな。

  • アイドルの道を歩む女子高生と幼馴染の少年。芸能活動も恋愛も、そんなに上手く階段上っちゃうのか?そしてそれを挫く元凶はそんなとこなのか?

  • 読みやすかったのでさくさく読了。アイドルなんだけど普通の女の子の、夢だったアイドルであることの葛藤。
    夢だったはずなのに、夢だからこそ、
    家庭、学校、恋、アイドルグループのメンバー、無理ない設定なのもよかった。
    実際のアイドルに起きたことなんかも織り交ぜつつ。
    とはいえ特に心に残る感じはなかった。
    あ、印刷会社経験から、裏方の苦労はうんうん、てな感じ。

  • 「この教室にいる皆は、これから、今は想像もしていないようなものにたくさん出会う。大学に行って留学するかもしれない、就職していきなり大きな仕事を任されるかもしれない、好きな人にとんでもなくひどい振られ方をするかもしれない。自分が何になるかもわからない中で、何になってもいいような土台を作るために、これから生きていくのだ。」

    「選ばれる道、選ばれない道。何が正しい選択かなんて、ほんとうに、誰もわからない。」

    「言いたいことは、いつだって、言葉にならない。伝えたいことは、言葉にできないことばかりだからこそ、誰かに分かってもらいたくてしかたがない。」

    「正しい選択なんてこの世にない。たぶん、正しかった選択、しか、ないんだよ。何かを選んで選んで選び続けて、それを一個ずつ、正しかった選択にしていくしかないんだよ。」

  • ストーリーとしてはアイドルが武道館を目指すという単純なものなのですが
    ・ネットで何でも無料で手に入れようとするようになったこと
    ・ネットによって特定の個人に振りかざされる正義感(炎上問題)
    ・アイドルの握手券でのCDの売り方に対する批判
    などなど今まで何となく違和感を持っていた事に対して
    作者の個人的な意見だとは思いますがとても上手く
    言葉として表現しているなと感じました。
    こういう言葉にするのが難しいことを上手く表現できるのが
    小説家の小説家たるゆえんなのかなとそんな事を考えました。

  • 構成が練られていて、物語の中にちりばめられたエピソードたちが終盤になるにつれて、ああここに落ち着くための伏線だったのかと解っていく。パズルのピースが上手くはまっていく気持ちよさがあった。

    テレビやラジオから感じていた朝井リョウさん御本人の面白さから小説を期待していたんだけれど、上手に書かれているな、現代の空気を観察しているな、という印象に留まってしまったのは残念。こっちが勝手にこじらせた話を期待してしまっただけなのですが。

  • 図書館で借りたもの。

    面白くて一気読み!!
    これ、高校生とか若い人に読んでほしいな~。
    逆に私の親世代だとわからない用語が多そう。(親子時計やまとめサイトとか)

    女性アイドルグループ『NEXT YOU』のお話。
    モー娘。やAKB48、ももクロをミックスしたような感じのグループ。
    熱愛発覚で頭を丸める、握手会での事件など実際あったことも絡めつつ。
    アイドルだって、普通の女の子だなぁ。
    『歌が好きなことも、ダンスが好きなことも、かわいい衣装を着るのが好きなことも、大地を好きなことも、小さなころからずっとずっと、変わらないんです。だけど、大地を好きなことだけが、あるときから急に、ダメなことになってたんです』

    『この人たちが恋愛をしてはいけなかった理由を、今、誰が説明できるのだろう。』

  • わあ。ちとチャラい。
    時間がたつだろう演出はわりと早めに思い当たった。
    フレッシュ感はあるけど、目新しい感じはなく。
    タイトルももう少し考えても。
    朝井さんならもっとあつく、面白くてきるはず。

  • ハロプロにAKB要素を足しつつ、あくまで女性アイドルに重きを置いて書いてる感じがする。男性アイドルはまた周りの雰囲気とかも違うので 笑
    大人になるにつれて自分の中での優先順位って変わってくるし、その時の周りの状況でも判断は大きく変わるんだろうなあ。

  • 人生の中での「選択」が良かったか、悪かったか、なんて、「選択」する時に分かるものではない。結果論にしかすぎない。
    でも、私たちは「選択」することをしなくてはならない。
    誰かがその「選択」を悪いというかもしれない。けれど自分にとって良いならそれでいいのだ。
    絶対とか、自由とか、禁止とか、そんな言葉に囚われて、自分が消されてしまう「選択」なら私はいらないと思った。

  • 朝井リョウさん好きだけどこれははまらなかったな。

  • アイドルの苦悩が今風に切り取られていて面白かった。

  • 自分の大切な人や好きな人の幸せを喜ぶことも自分の選択を正しいものにすることも難しけど大事なことだと思いました。

    比べたり羨んだり妬んだりせず自分で選択していきたい。

  • アイドルの果てとは。その選択とは。
    朝井リョウさんは、自分の意見を物語で描く人なのね

  • アイドルだって人間である。
    喜んだり泣いたり悩んだり、ハッピーエンドとは言い難いけど、後味が悪いわけでもない。

    アイドルマスターシンデレラガールズでも、愛子と同じように自分の周りの変化に戸惑う卯月がいたが、愛子の進んだ道と卯月の進んだ道は全く違うものだった。卯月には彼氏はいなかったし、そもそも選び取ることすらしていなかったが。
    恋は譲れない、その気持ちはどこかロマンチックさすら感じる。このまま駆け落ちしてやる!くらいの(?)。
    それでも、ファンとしては納得できれば恋路は応援したくなるものなのである。個人的な心情としては。

  • 久しぶりの朝井リョウ。
    アイドルが武道館目指していく、サクセスストーリー的なものかと思ったけど、やっぱり朝井さん。そう一筋縄にはいきません。
    人生の中の、選択がテーマ。
    賛否両論あるとは思うけど、アイドルっていう看板だったりレッテルが一人歩きして、いつも笑顔で、恋愛はしなくてっていう虚像が定着してて。アイドルだって人間なのにと思う反面、応援してくれてるファンの夢を壊さないっていうのも求められてて。
    あんまりアイドルに興味はないけれど、彼ら彼女らも多分いろんな選択だったり守らなきゃいけないルールに雁字搦めになっているんだろうなー。
    先が気になってガツガツ読んでしまったのでもう一度一言一句噛み締めながらゆっくり読みたいかも。
    「桐島部活やめるってよ」以来、朝井さんの本は一人称を意識して読んでるんだけど、今回も主に愛子目線で話は進むけど、「私」は愛子じゃなかった。

  • アイドルものって聞いてどんな話かと思ったけど、これは選択の物語でした。

    子どもの頃、とくに中高生の時期って本当にひとつひとつの選択が未来をすべて決めてしまうような気がして、その選択の重さに押しつぶされそうになる。それでも選択を前したら、選ぶかもしくは選ばないのかを決めなくてはならないし、子どもだからこそ、決断を待ってはくれません。

    主人公の愛子やメンバーたちは子どもと大人のちょうど境で、様々な選択に迫られます。父と母、アイドルか普通の女の子か、夢か恋人か。
    大人になった今だから、自分の選んできた選択と、愛子たちの選択をつい重ねて読んでしまいました。

    そして、「何者」のように、ネットの世界を生きていくということがこの作品でもそこここに出てきます。これを書いている自分の言葉もどこかの借りものなのかもしれないと思うとちょっと怖いし、いったいどれが自分の考えなのか、何を表現したらいいのか不安になります。
    それでも作品やコンテンツを好きな気持ちを、やっぱり自分の感情で大事にしていきたいし、大好きだって思ったら、きちんとその気持ちを言葉にしたい。
    そんなことを、アイドルという女の子をとおして、改めてて感じた作品でした。

  • アイドルって何なんだろう。アイドルになりたい娘たちの夢が叶った瞬間ていつなんだろう。好きな歌やダンスが趣味から仕事になるのはどのタイミングだろう。

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