- Amazon.co.jp ・本 (303ページ)
- / ISBN・EAN: 9784163902470
作品紹介・あらすじ
「【アイドル】という職業が背負う十字架を、一度すべて言葉にしようと思いました。すると、不思議と、今の時代そのものを書き表すような作品になりました」(著者)「アイドルって作るものでなく、楽しむものである方が良いに決まってる。なのに、著者はこうやってアイドルを生み出す側にチャレンジした。それも文学の世界で……。なんたる野望。なんたるマニアック。なんたる妄想力」(つんく♂/音楽家、エンターテインメントプロデューサー)★【正しい選択】なんて、この世にない。結成当時から、「武道館ライブ」を合言葉に活動してきた女性アイドルグループ「NEXT YOU」。独自のスタイルで行う握手会や、売上ランキングに入るための販売戦略、一曲につき二つのパターンがある振付など、さまざまな手段で人気と知名度をあげ、一歩ずつ目標に近づいていく。しかし、注目が集まるにしたがって、望まない種類の視線も彼女たちに向けられる。「人って、人の幸せな姿を見たいのか、不幸を見たいのか、どっちなんだろう」「アイドルを応援してくれてる人って、多分、どっちもあるんだろうね」恋愛禁止、スルースキル、炎上、特典商法、握手会、卒業……発生し、あっという間に市民権を得たアイドルを取り巻く言葉たち。それらを突き詰めるうちに見えてくるものとは――。「現代のアイドル」を見つめつづけてきた著者が、満を持して放つ傑作長編!
感想・レビュー・書評
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『ASAYAN』に熱中したつんく♂さん好きの著者が描いたのは、武道館を目指して駆け抜けたアイドルグループの物語。
炎上、白熱、恋愛禁止、卒業・・・確実の今の時代を切り取った1冊でした。
楽しみに購入した朝井さんの新刊です。
AKBをはじめアイドルファン以外の人にもアイドルが随分身近に感じられる時代になりました。
「アイドルはトイレに行かない」なんて言葉がちょっぴり通用しちゃうような偶像としてのアイドルから、今は夢に向かって頑張る等身大の存在としてのアイドルへとアイドル像が変化していく過渡期なのかもしれないですね。
もちろん前者みたいなアイドルを求める人は消えないのだろうけれど、ずっと若くいられないのだから、少女としてだけではなく、人間として愛されることも必要なんでしょうね。
これだけSNSも普及した中で、求められる姿をすべて演出するのには限界もあるでしょうに、それでも真摯に応えようとすればプライベートを犠牲にせずにはいられないはず。頑張っているのに磨り減っていくるりが痛いたしくも切ない。
公私混同禁止は仕事の原則ですが、アイドルのように明確に公私の線引きがしづらいと、しんどくなることもあるでしょうね。
さて、本書もまた物語の大筋とは別にざらっと心に残ることがいくつかありました。
時代を切り取ったこの小説が示す今の時代は、無料でいろいろなものが手に入れられるようになった時代、炎上や膨大な情報をスルーするスキルが磨かれる時代です。受身でいると、周りのものとの距離感が一定になってくるという指摘はまさにそのとおりだと思います。
よく、「本は買って読まないと身にならない」なんて言いますが、やっぱり自分で選び取って入手したものへは思い入れがその分大きくなるし、愛情もまた同様。
ただ流されていると、大事なものが見えなくなっちゃうよ、という警告にも感じます。
選ばなくてもいろいろなものが手に入るけど、自分で選んで、選んだものを正解にしていく生き方をしたいし、愛子のように自分の選択に胸を張って生きられたら素敵ですよね。
恋愛をしちゃいけないことも、大学に行けないことも、「アイドルなんだから」というものの前では理不尽に当然のように扱われて、私はそんなところに違和感を覚えるけれど、アイドルが放つ夢に向かうパワーの大きさには勇気をもらえるし、最後のシーンもとても感動的でした。
私は武道館に行ったことがないけど、「人は、人の幸せが見たいんだって、そう思わせてくれる場所」なんて表現できる場所があるなら、心から行ってみたいものです。
アイドルを消費する人、悩めるアイドルに向けては明確なメッセージを持って、それ以外の人にはこの時代を伝えるエンターテイメントとして楽しめる1冊だったと思います。 -
朝井リョウが描く芸能界ものということで興味津々で読んだ。アイドルグループNEXT YOUが武道館を目指すサクセスストーリー…簡単に要約すればそうかもしれないが、朝井さんがそんなにわかりやすい物語を描くわけがなく。ライブシーンの臨場感、それぞれのメンバーの細やかな心理描写、どれもがリアルで鳥肌が立った。
人気メンバーの脱退から始まり、これまでとは違う売り出し方に戸惑いながらも少しずつ注目を集め、ステップアップしていくNEXT YOU。実際にあった、アイドルグループを巡る事件を絡めながらの展開なので、時々ぞくっとする。「何者」を読んだときにも感じた、ネット社会の「今」を巧みに落とし込んだ描写がちょっとした悪意をダイレクトに反映させるから、ザワザワ感がハンパない。
ヒロインの愛子はオーディションで入った素人だということもあり、脇の甘さが時々どうなのと思わなくもないが、その普通さに救われることもあり。対して、とことんストイックな最年少のメンバー、るりかは息苦しいなーと感じたが、その高すぎるプロ意識の是非は置いといて、必死な姿勢に多少は共感できた。
読み進めるほどに、この作品を通して朝井さんが何を言いたいかがじわじわと伝わってくる。感じ方は人それぞれだろうけど、読んでいて私はとにかく胸が痛かった。それは幾通りもの痛み。甘さや苦さや儚さ、残酷さ。様々な思惑に翻弄され、そんな中で自分らしさを貫くのはなんて苦しいことだろう。
印象的だったのは、メンバーのセンター・碧のセリフ。
「自分が恥ずかしいって思いながらしたことって、絶対、相手にも伝わるの。あいつ恥ずかしがってる、だから笑ってやろうって」「そんな入り口は、絶対に与えてやらない」
この毅然とした言葉が、深く深く、心に刺さった。
そして、あちこちに張り巡らされた伏線にも、ぎょっとさせられた。後から読み返し、その緻密な仕掛けに驚き。何だか泣けてしまいました、涙腺弱いなぁ。
以前放送していたドラマは1回で挫折してしまったが、この物語の入り口が小説でよかった。活字でこの世界観を味わうことで、アイドルに対する意識が変わった気がする。そして、様々なことが「無料」で享受できてしまう「今」に対しても。改めて、機会があればドラマも見たいと思う。 -
冒頭───
右手で母の手を、左手で父の手を握っていた。
「こうでもしていないと、愛子はすぐ踊ったりしちゃうから」
危ないのよほんとに、とぼやく母の照れくさそうな横顔が、通りを走る車のライトに照らされている。
「踊りながら道路に飛び出したりしてな。変質者だと思われるぞ」
続けて父がそう言うと、後ろを歩いている大地の両親がおかしそうにくすくすと笑った。両親と手をつないでいるようすを大地に見られるのはなんとなく恥ずかしかったけれど、両親の言うことは本当だし、実際、そんなことを気にしていられないくらい、愛子の心の中は忙しかった。
遥か昔、ステージ上で「普通の女の子に戻りたい!!」と泣き叫んで、芸能界を引退したアイドルグループがいた。
今から遡ること40年近くも前の話になる。
「普通の女の子」。
その気持ちは、取りも直さず、
“若くて、女の子で、歌うことと踊ることが大好きで、大好きな人のことも大好きだという状況は、どうして成り立たないのだろう”
という、この作品の中に出てくる気持ちに近いはずだ。
彼女たちは「普通の女の子」と同じように、友達を作ったり、何かを学んだり、誰かに恋をしたりという、ごく当たり前のことがしたかったのだ。
この発言から約半年後、人気絶頂の最中、彼女たち三人は揃って芸能界から去ることになる。
「キャンディーズ」から「普通の女の子」に戻って、自分を見つめ直すために。
アイドルはアイドルとして存在し続けるために、様々な制約を課せられる。
その中で最も重要な掟は、恋愛禁止。彼氏や彼女を作ってはいけない。
それは、昔も今も同じだ。ファンの幻想を壊せば、アイドルとしての価値はなくなるのだから。
アイドルとして生きていくのか、普通の女の子に戻るのか、結局自分自身の意志でどちらかを選ぶしかない。
この作品の主人公「愛子」は、本当の自分として生きていくために、大好きな人を大好きだと言うために、アイドルの地位を捨てることを選択する。
この作品は、アイドル好きだと公言する作者朝井リョウ君の目線で見たアイドル論だ。
ただし、単なるアイドル論として語れないのは、彼女らに限らず、人間誰もがその成長の過程で、進むべき道を自分で選び取って生きて行かねばならないからだ。
右へ行くか、左へ行くか、人生が一度きりのものである以上、選択肢は常にひとつ。後戻りはできない。
選んだ道が正しかったかどうかは、自分のその後の生き方で決まる。
でも実際には、本当に正しい道を選んだかなんて、誰にも分からない。
“「正しい選択なんてこの世にない。たぶん、正しかった選択しか、ないんだよ」”
そう思い込んで生きていくしかないのだろう。
キャンディーズが活躍していた頃と同じ時期、ラジオの深夜放送「落合恵子のセイヤング」を聴いていた高校時代の私の心の中に今でも刻まれている言葉がある。
リスナーから送られてきた手紙の内容は、田舎から東京に一人で出てきたものの、寂しくて、辛くて、哀しい毎日を送っているというものだ。
でも、その手紙の最後の台詞がこうだった。
「誰が選んだ道じゃない。自分で選んだ道だもの」
結果的に苦しい選択をしたとしても、それは飽くまで自分で選び取った道なのだ───。
自分の歩んできた道をあらためて考えさせられる作品だった。
アイドル話をここまでの作品に仕上げる朝井君の手腕はさすがだ。
ただし、この作品では、これまでの彼独特のキラキラ光るような比喩があまり見られなかったのが残念でもある。
さて、東宝を退職し、会社員生活との二足の草鞋を辞めて、作家業に専念するこれからの朝井君。
今後どんな作品を産みだしてくれるのかは、別の意味で楽しみだ。-
初めまして!杜のうさこです。
花丸をありがとうございます!
実は…後輩です(#^.^#)
ここにはっきりとは書きませんが、 kosho...初めまして!杜のうさこです。
花丸をありがとうございます!
実は…後輩です(#^.^#)
ここにはっきりとは書きませんが、 koshoujiさんにはわかっていただけるかと…
まず、希望の泉(通称、絶望のため池)校歌の口笛(今はないそうですね)
そして、今はなき安部球場、提灯行列のあの感動は今も忘れられません!(応援帽、今も持ってます)青春でした~
そしてなにより、キャンディーズの大ファンです!教室の後ろで、休み時間に友達とよく踊ってました。
5枚組の卒業アルバムは今も大切な宝物です。
これからも、どうぞよろしくお願いします!2015/07/24
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アイドルのイメージって、可愛くて、ぶりっ子で
フリフリの服が似合う女の子って感じ。
そんなアイドルの内心を見つめた話だったよー。
NEXT YOUのメンバー、愛子が主人公。
まだまだ知名度の低い彼女らが、
武道館というステージを目指し頑張る。
そんな中、メンバーの卒業、炎上、熱愛…
いろいろなものを通して、自分は何を
選択して生きてきたのか見つめる。
アイドル好きだったら、もっと楽しく読めたかもー。
あんまり、興味のない分野だったからか、
自分とは縁遠い話だからか、
グイグイ引っ張られることがなかったー( ノД`)… -
アイドル好きにはわかる〜!なネタがふんばんに散りばめられていてよかった。
アイドルという職業を選んだ以上、恋愛は発覚してほしくない…という気持ちはありつつ
アイドルも人間だよねって思った。
そして女性アイドルって悲しいことに寿命短いよなあ…って思った。 -
最近のアイドルは恋愛禁止ではないのだろうか?あまりアイドルについて詳しくないのだが、昔よりインターネットが普及した現代は、アイドルはもとより、有名人になるのは、本当に勇気がいるだろう。
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武道館を目指す女の子のアイドルグループの話。
小人数なのに、どんどん脱退‥
愛子は「NEXT YOU」のメンバー。
歌が好き、踊りが好き、だからアイドルになりたかった普通の女の子。
子役体験があったり、とくに容姿に恵まれたほかのメンバーに比べたら、やや地味な存在だった。
同じマンションに住む幼馴染の大地とは、子供の頃から親子ぐるみの付き合い。
家の前や学校で一緒にいるだけの写真が、意味ありげに報道されてしまう。
実際、二人は好き同士ではあるんですけどね。
級友の嫉妬によるものらしい‥
三周年に、ついに武道館コンサートが出来ることになったのに、その直前に、メンバー二人の恋愛スキャンダルが発覚という。
二人は、グループはどうなる‥?!
歌が好き、踊りが好きなだけ、彼のことも好きなだけ、というのは、はっきり言って、甘い。
アイドルは歌と踊り、それだけじゃないでしょう。
夢を売る仕事だし、ただの歌手以上に握手会などで擬似恋愛感覚を煽ってますからね。
でも恋愛がそれほど悪いことなのか?っていうと、それもまた確かに、違うと思いますね。
そんなにまで大騒ぎするほどのことなのか‥
数年後に、みんなで顔を揃えることになるあたりに、ほっとしたり。
いろいろ調べて、アイドルをめぐる問題がわかりやすく描かれていると思います。ってなんか偉そう? いや何となく~アイドルのことって、もう知ってることが多かったから。
自分も(大人の女性ですが)テレビを楽しく見て元気を貰っているので~好きなんだなと思いました(笑) -
先日、朝井リョウさんがトーク番組で、この本を紹介されていたのをみて読んでみました。
いつ頃からでしょうか?
タレントさんが「アイドルやってます!」って言うようになったのは。
その発言を聞いて、「えっ?自分で言っちゃうの?」って思ったりもしたんですが…
そうか、もうアイドルという職業が存在するんだなぁ…ってこの本を読んで思いました。
誰でもなれるものじゃない、輝ける星を持って生まれた、ほんの一握りの人達。
ファンの立場からすれば、できれば私生活なんて知りたくない。自分だけの憧れの人でいてほしい。
でも”アイドル”達だって、恋もする。ときには人目を気にせず遊びたい。
プロなんだから。仕事なんだから。自分が選んだ道なんだから。
そんな風に自分に言い聞かせて頑張っているんだね、きっと。
いつの時代も、レンズの向こう側の人々に、夢の世界を見せてくれる存在。
教室の後ろで、歌マネをして憧れた女性が、素敵に年齢を重ねて活躍されているのを見ると嬉しい♪
でも、それとは別に、かつて憧れたアイドルたちが「あの人は今」的な番組に出演して過去を語ってほしくはないなぁと…。
まったく、ファンというのは勝手なものです。-
うわあ、うわあ。うわああああ。
あまりの驚きと嬉しさと感動に、何から書いて良いやら悩んでいます(笑)
中学も大学も後輩ですか!! 綿矢さ...うわあ、うわあ。うわああああ。
あまりの驚きと嬉しさと感動に、何から書いて良いやら悩んでいます(笑)
中学も大学も後輩ですか!! 綿矢さん、朝井君の先輩でもある(笑)
校歌の口笛───たしかに私の時も口笛だったはずです。
提灯行列───杜のうさこさんは、全行程歩きましたか?
私は卒業前の最後の秋、阪神に行った岡田君がいた時代。
神宮球場から信濃町、千駄ヶ谷、代々木、新宿、早稲田までの全行程を歩きました。確か最後は文学部の裏あたりの広い場所で、総長を引退することが決まっていた清水さんが、酔っ払ってはしゃいでいたのを覚えています。
キャンディーズもファンでしたか!!
スーちゃんの葬儀に参列した時の模様をアップした
私のYOUTUBEサイトも是非見てください。
https://www.youtube.com/watch?v=6kua1XhHdPE
これもすでにご存じだったでしょうか?
ブクログの私のプロフィールには、HPとしてブログサイトを載せているのですが、それもすでにご存じだったでしょうか。
http://blogs.yahoo.co.jp/koshouji
こちらこそ、今後ともよろしくお願いします。
そうですか、杜は、その『杜』の意味ですか。
でも、今は『杜』にお住みではないんですよね。
杜の都は、ジャズフェスやゴスフェスなど、市民参加型のイベントが多く、昔よりなお一層楽しい街になって来ているようです。
まだまだ書き足りないのですが、長くなるので、とりあえず、またあらためてコメントさせていただきます。
好きな作家や本の話も含めて。(^^)/
2015/07/24 -
こんばんは~!返信ありがとうございます!
私も初めてkoshoujiさんに花丸をいただいたときに、本棚からYoutubeを拝見しました...こんばんは~!返信ありがとうございます!
私も初めてkoshoujiさんに花丸をいただいたときに、本棚からYoutubeを拝見しました。
えっ?もしかして先輩?キャンディーズファンまでご一緒!と嬉しさと驚きのあまりトリハダが立ちました(#^.^#)
本当はフォローさせていただいたときにすぐご挨拶しようと思ってたのですが、コメントについ尻込みしてしまう小心者です。
ブログも先ほどお邪魔して、懐かしい校章にうるっと来ました。
転勤族で仙台には数年しか住んでなかったのに、一番懐かしいです。
提灯もって、歩きましたね~今思うとすごい距離ですよね。
あれは軽いトランス状態とでも言いましょうか…若かったです。←遠い目
ああ~懐かしくて本のお話そっちのけですいません。
ちなみに、今、koshoujiさんおすすめの『名前探しの放課後』読んでます。ハマってます(笑)
では、これからもよろしくお願いします。ちょくちょく遊びにいかせてくださいね♪先輩(#^.^#)2015/07/25 -
こんにちは。提灯行列楽しかったですね。
確かに一種のトランス状態なのかもしれませんね、あの距離を延々と歩いたのですから。
youtube...こんにちは。提灯行列楽しかったですね。
確かに一種のトランス状態なのかもしれませんね、あの距離を延々と歩いたのですから。
youtubeはご覧いただいてたのですか。ありがとうございます。
一度嵌ると凝り性なもので、あの時初めてムービーメーカーなるものに挑戦したのに、一晩で創り上げた自慢の作品です(笑)
ブログは今日二本もアップしてしまいました。
しかも一つは、またまたYOUTUBEの映像を作って仕上げました(笑)中学時代や大学の時の写真なども入れ込んでいます。
お暇なときに是非ご覧ください。
オフコース時代の曲は、自分で収益を挙げようとしない限り、使用可能なのに(i tuneに飛ぶようになっています)
何故か小田和正になってからの楽曲は、YOUTUBEでは悉く削除の憂き目にあうようです。
ですので、これもすぐに削除されてしまうかもしれませんが。
「名前探しの放課後」最後の場面で私はこの年にも拘らず号泣でした。
ちなみに「スロウハイツの神様」もお薦めです。
この作品、最初はかなり重ったるいのですが、第十章と最終章で、それまでの伏線が見事に回収されて、こちらも号泣でした。
その二つの章は何度も何度も読み返しました。
今読んでも、また涙する自信があります!(^^)!
それでは、こちらこそ今後ともよろしく。
後輩のうさこさんへ。2015/07/26
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20150609
普段文庫ばかりを読んでいますが、今回は朝井リョウ×アイドル、ということで文庫化を待たず買ってしまいました(しかも直筆サイン入り)。
「武道館」からは「もういちど生まれる」や「少女は卒業しない」とはまた違った印象を受けました。これまで朝井さんは少年少女の「普通」をキラキラした言葉にして表現されていました。しかし、今回は「異物」な「アイドル」を言葉にして表現しています。
アイドルは私にとって憧れの存在です。歌って踊って、いつも笑顔で。それを見てくれる人がいるから頑張れる、それがアイドルなんじゃないかと思います。だからわたしも、るりかの気持ちに自然とすごく共感してしまいました。愛子の大地をどうしようもなく想ってしまう気持ちや、碧ちゃんの菅野さんに会いたくて東京を飛び出してしまった気持ちもすごく分かる。でも、それに涙する、るりかの気持ちだって痛いほど分かる。愛子や碧ちゃんがるりかよりアイドルを疎かにした、とかそういうことではなくて、るりかは今はまだアイドルの器しか持ち合わせていなくて、それはとても小さな器で、だから、きっと愛子の言ってることが分からなかった。でも、それはそれで素晴らしいことだと思うのです。どうしても消費者目線になってしまうけど。るりかに共感せずにはいられませんでした。
それから、武道館は人の幸福を願える場所、というような言葉も印象に残りました。武道館には一度だけ行ったことがあります。確かにそうでした。あの瞬間は誰も他人の不幸のことなんて考えてなかった。素敵な場所でした。
私がこれから選び取るもの。それを正しかった選択にするのは、私自身。これからの自分の背中を押してくれるような言葉でした。
でも、やっぱり少年少女の「普通」を書いた作品の方が好きかな。「少女は卒業しない」は素晴らしい。 -
アイドルとは現代における磔刑だ、とは誰の言葉だったか。
人生ゲームのコマを進める度に「選択」していく。ひとまずのゴールは武道館だ。「卒業」や「恋愛」を選択してフェードアウトする者もいれば、生き残るためのニッチを見つけてそちらへ進む者も。
DeNA創業者、南場智子さんが自著で、「(トップとは)決断したからには、それが正しい選択だったと仕向けるしかない。」と言っていたが、トップ経営者に通ずる選択を迫られるプレッシャーに耐えながら、他人から選択され消費され尽くすことに反旗を翻し、自ら選択していき、正しい選択だったと落とし込むしかないのだ。
苦悶と悦楽は表裏一体、相反する欲望を満たすアイドルとは『下界に舞い降りた異物』。サイリウムの海の中、少女達は自ら処刑台に乗る。誇らしげに可愛らしく。 -
帯をつんく♂が書いてくれていると言うだけで作者は大興奮じゃなかろうか。アイドルヲタク、朝井リョウの本領発揮。ハロプロファンを公言している氏が書くアイドル小説。現実の事件も盛り込まれており、どこかでこのアイドルが活動しているのかなとさえ思わせる。AKB48峯岸みなみの丸刈り事件、AKB握手会襲撃事件。私の中では主人公の所属するアイドルグループNEXT YOUのメンバーの碧のイメージは元ももいろクローバーの早見あかり、真由はももクロの佐々木彩夏、るりかは私立恵比寿中学の柏木ひなただ。冒頭で脱退するメンバー尾見谷杏佳のモデルは他でもないモーニング娘。オーディション落選者の尾見谷杏奈ですね。NEXT YOUのコンセプトはライブを学芸会と称したり、メンバーに出席番号を割り当て、脱退を転校とするなどしている私立恵比寿中学に近いかな。女だらけの世界にありがちなぎすぎすした毒々しさがないのはおそらく作者が男性で、どこかでアイドルに夢を見ているからだろうか。華々しい活躍と言うよりも、偶像たるアイドルと普通の思春期の女の子との間で揺れ動く少女の心の揺らぎを書いている。なぜアイドルを目指し、誰のために、なんのためにアイドルでいるのか。終盤が素晴らしい。何かを選ぶためには何かを犠牲にしなければならない。主人公が選ぶ道は。
最後に、矢吹美久はHKT48の年少人気メンバーなこみくこと矢吹奈子+田中美久で牧野はるなはモーニング娘。の新メンバー牧野真莉愛+尾形春水(はるな)ですね。望月美音はAKB48の向井地美音から名前を取っているのかな。
アイドル好きは作中の小ネタにひっかかるところがいろいろあるはず。たぶん私が気づいていないところもあるはずだ。 -
最後切なすぎるストーリー
アイドルも女の子で生活するし、恋もする。
その恋や日常が暴露されるとやっぱりファンは嫌だよね。年をとった今ならわかるけど、10代の私ならわからないだろうな。
愛子の恋。小さい時からずっと想ってて私は何も変わらないのにって気持ちわかるなんだ。
でも、アイドルなんだよ。複雑。
最後に作者は、モーニング娘。それともAKB
ももクロ、そんな事を考えてたw -
アイドル、高校生目線だからか
それとも著者耐性がついたのか
グサグサ感が和らいで読めた。
曖昧だけど、恋愛禁止と言われる中で
我慢できる恋愛は恋愛じゃない、結婚しますって言ったアイドルもなかなか好きだし、
はたまた
アイドルの卒業を待ってから交際し結婚して
今もキラキラ活動してる元アイドルもとても好き。
大人になると怒ったり泣いたりして
現れる器の形を見られたくなくて堪えるね。
限りある時間とお金の使い方で
自分の好きなこと、自分がどんな人間かがわかる。
正解を選ぶのではなく、選んだものを正解にしていく。 -
人生は選択の連続。何かを選ぶということは、その他の選択肢を捨てるということだ。自分の選択は正解なのか?他の選択肢を選んでいればどうなっていたのか?それは後になってからしかわからない。何が正しくて、何が間違っているのか?わからないけれど、自分で選ばなければならない。
『アイドル』という職業を選択した主人公の愛子は、自分の選択した答えに思い悩む。可愛くなければならないが、恋愛禁止。お金を稼がなければならないが、お金持ちになることは許されない。泣いたり笑ったり表情豊かでなければならないが、ネットの書き込みに怒ってはいけない。
アイドルは様々な矛盾を抱えた存在だと気づく。
やがて、社会から与えられた答えではなく、自分自身が導き出した答えをだす。たとえ、それが社会から受け入れらえなくても。
社会には沢山の模範解答が存在する。友達を大切にする。家族と仲良くする。愛する人と結婚する。子供を育てる。
どれもが正しいけれど、それは自分で出した答えではない。
朝井リョウはそんな世の中の当たり前に一つ一つ疑問を提起する。もちろん答えはないが、当然と受け入れていたことを考え直すことができる。 -
アイドルが、人から理想とされる姿と、自分の気持ちに正直に生きる姿と、そのギャップに悩みながら成長する話。自分もアイドルではないが、他人からどう思われるか、でも自分の生き方はこうだ、というギャップに悩むことがあるので、とても共感できた。
主人公、愛子と大地の恋愛に感動。
何もかもどうでもよくなって、ただ、いまその瞬間、その人と一緒に過ごせた時間が、後の自分を支えてくれるようになる、て感じる気持ちって確かにあったよな。
でも今は人生設計を優先して考えてしまって、そんなに純粋に恋愛ができなくなっている気がする。久しぶりに、フレッシュな気持ちに触れられて、心が満ち足りた気がする。
今の時代、日々の生活の中で違和感を感じるけど流してしまう心の動きを描かのが本当に上手いなあと。だから朝井リョウの本って止められない。
無料で何でも手に入って、本当に自分が好きなものとか大切にしたいものを見失ってしまう世の中。その疑問に思う気持ちを忘れないようにせねば。 -
女性アイドルという、自分とは
職業も性別も異なる別世界の話がテーマ。
彼女たちは刹那的な時間の中で
シビアな活動を迫られる。
(本当、相対的にみると
自分はのんびり過ごしてるなーと感じる。)
そんな中で各メンバーは
意識的にか無意識的にか
大きな選択を行っていく。
その選択のきっかけを印象的に
描写するのが上手いなあと感じた。
茎わかめと麺を一緒に食べようとするシーンであったり、
前髪を崩される瞬間であったり、
父親からの一言を受けた瞬間だったり。
多分、赤の他人から見たら何気ない瞬間なのに、
読者から見たら「おぉ」と思える描写だな、と。 -
アイドルのお話。
リアルなようなファンタジーなような。
歌と踊りが大好きだった少女が夢を叶えることと、選択していく現実。
10代の移ろいやすくでもひたむきな感性が、なんかかゆいところに手が届く的な、上手く言葉に出来ずにもどかしい感じをそのまま言葉にしてくれるような、そんな感じで描かれている。
ラブシーンの下りは、なんだろうな、朝井リョウが書いてると思うからか、妙に恥ずかしかった。(笑)
アイドルとはいつの時代も、夢中になって追いかけてても、大して興味なく傍から見てても、不可思議で実態のつかめない存在であるけれど、夢を壊すような壊さないような感じの仕上がりでいいと思う。
エピローグは、ちょっと苦笑ですが。
17歳か、確かに特別ですね。 -
仕事のため、やりたいことのためにどこまで自分の気持ちや情動を抑え込めるのか、それが尊いことなのか、おかしいのかといったことに思いを巡らせました。
正しいことなんてない、正しかったことだけがある。
そのセリフに自分が正しい生き方を求めすぎてしんどくなってしまっているようなことを感じる。自分のしたいこと、そういうものに素直になれるように生きたい。 -
10代アイドルの苦悩を書いた話。
彼女たちはアイドルである前にひとりの女の子である、というメッセージを感じます。
アイドルは人々にとっては身近なモノであるけれど
アイドルの視点というのは彼女たちならではなのでとても新鮮です。
私が一番ハッとさせられたのは
学業とアイドルの両立です。
当たり前のことのようにこなしているし、
自分で決めたのなら両立させなければならないのでしょうが
その生活は社会人の私なんかより忙しそうで、
かつ、アイドルと学校の2つに環境を持つことは
どこでも気が抜けない、気を抜けるのは家族だけでしょうし、ストレス溜まりそうです。
しかも、主人公愛子は子供の頃に両親が離婚し
母親とは音信不通で…
愛子の、大変な環境でも頑張る姿勢に
私も怠けてられないなと思わされます。
「アイドルはこうであるべき」と
法律もないのに暗黙のルールが渦巻く世の中ですが
アイドルである前にひとりの人間として
彼女たちをいきいきとさせてあげることが
ファンのできることかもしれませんね。
-
夢だったアイドルになれて、グループで一心に夢の武道館ライブへ向かって頑張る日々。特典商法、握手会、CDの複数買い、写真誌スキャンダル。諸々の荒波を乗り越えて、武道館へ立てるのか…
アイドルって素敵!頑張る私たち!と全面肯定したような青春小説なのかしら(それならそれで別にいいし)と思って読んでみたら、かなり痛切に「アイドル」を選択した十代の少女の等身大の物語が踏み込んで描かれていて、読みがいがありました。痛々しくて時折残酷さが顔を出す青春物は、作者はやっぱり巧いです。
モチーフとなった騒動などを思い出してみると、ほんとうに「幸せな姿を見たいのか、不幸せを見たいのか」「自分たちより上の幸せを得ているアイドルは許せないのか」という言葉のリアリティが迫ります。一個人の言葉と有名人の言葉が同一線上でたたかうこともできる世の中は、本来あるべき壁を見失わせ、正しい距離感を測れなくなっているようにも思うのです。
だんだんと少女の取る選択が見えてくる終盤、けれど彼女の選択は正しいものだったと納得させられる深い心情の描写がとても細やかでよかったです。
ずっと変わってなかった感情が、いつのまにか禁止されていた。変わっていったのは周りなのに、非難の矢面に立たされるのは少女本人。矛盾でしかないのに、それがまかりとおるのが、芸能界。
おそろしいところだと思いました。
けれどもっと怖いことに、それでも戻りたいとも思える魅力をも含むのですよね…。
なんだ魔界はここにあったのか、なんて思ったのでした。 -
現在形のアイドルの葛藤。「武道館ライブ」を目標に、日々葛藤するマイナーアイドルグループのメンバー。「握手券付きCD」「恋愛発覚で坊主になる」「ネットでたたかれる彼女たち」まるで、「あのグループのあの人のことですよ」と言わんばかりの強気の文章。この本は、今というタイミングで読んだのが良かったのだろう。アイドル戦国時代の今。「今」のアイドルとして生きる彼女たちの姿がリアルだ。これがどう変化していくのかは誰にも分からない。この話は、ところどころに、第三者の視点が挟まれてくることでグッと引き締まった感じを覚えた。
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自称アイドル好きの著者が満を持して(?)描いたアイドルの小説。
「アイドル」の少女の視点から、期待される偶像としてのアイドルと、それを担う生身の自分自身との狭間で揺れる少女の葛藤を描いている。
ご本人によれば、主人公が所属するアイドルグループのモデルは、ハロプロのあのグループなのだそうだ。
彼の小説やエッセイにはよく、何かを得ていると同時に何か失っているものがある、というような表現が出てくる。
今回もキーワードは「選択」だった。
選ぶということは、同時に、何かを選ばなかったということ。人生の中で人は常に何かを選びながらその道を進んでいるわけで、そこには同時に、選ばなかった、失った別の進路もあったということだ。もしそっちへ行っていたらどうだったのか、は誰にもわからない。だから、今進んでいる道を後悔しないように、間違っていたと思わないために、「正しかった選択」にするために、今を生きる。前向きに。
アイドルの姿を描きながら、「生きる」ことを見つめた、そんなお話。
はじめのうち、正直あまり興味のない題材で、う~ん若いな~、面倒臭いな~、やめよっかな~、と思いつつ惰性で読んでいたのだが、最後まで読んでよかった。朝井リョウ応援団なのだし!
だがしかし…ファンのつもりだったのだけれど、彼がアイドル好きだったなんて…知らなかったぁ(汗)
ファン失格か?! -
現役アイドルや、プロデュース関わっている人、そしてアイドルファン全員にぜひ読んでもらいたい傑作。
自分にとって何が本当に大事なのかを、人に決めさせてはいけない。例え歴史がそれを正解だと示していても、世界は変わり続ける。常識はいつまでも常識のままではなく、移り変わる。だから、他人からの「こうあるべき」に縛られちゃいけない。
まさかアイドルの成長を通してそんなことを考えさせられるとは・・・。 -
少女たちの心を丁寧に追いながら、まあそうしかならないだろうな、というカタストロフに向けてストーリーはまっすぐ突き進んでいく。でもそこから先のエンディングは、ヲタの願望の込められた妄想のユートピアだ。大甘だ。呆れながらも共感せざるを得ない。この小説を読んで救われた気持ちになる現実のアイドルもいるかもしれない。あるいは鼻で嗤うのかもしれないが。
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どうやったらこんなにアイドルの事が描けるのか、元アイドルだったのではと勘ぐりたくなるぐらい中身が具体でとても濃い。テーマがテーマだけに全体を覆うトーンは少し暗くて重め。
アイドルには「恋愛禁止」のほかにも、「大学進学」や「ブランド物を持つ事」も嫌悪されるとのこと、自由がないと言うかなんと言うかもはや人権が無いに等しいのかも。これに有名税も勿論ついてくる始末。なんて因果な商売なんだろう。
その点バンドマンってまだマシなのかも。もっとマシなのはやはり市井の暮らしを営む、一般人ってやつか。それが望んで選択した道ならそれ以上の選択はないのかもなぁ、と考えたりしました。
自分の知らない世界を垣間見れることの楽しさや発見に加えて、中身の濃さまで約束されたなかなかに贅沢な1冊だと思いました。 -
アイドルって特殊でリスキーで期間限定な仕事だなとあらためて思った。正しい選択なんてない、正しかった選択しかない。
パッと咲いて風に舞って散っていく花のような物語。 -
最後まで読んで、最初からもう一度読みたくなった。アイドル好きとして色々感じるものがあったし、アイドルの話を抜きにして自分のことに当てはめて考えさせられた。