朝が来る

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著者 : 辻村深月
  • 文藝春秋 (2015年6月15日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (346ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163902739

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朝が来るの感想・レビュー・書評

  • 辻村深月っていろんな作品をかけるんだなと、まず彼女の才能に脱帽。前回読んだのがアニメがテーマだっただけに振り幅がすごい。

    特別養子縁組に焦点を当てて、母性とは何なのか、血縁とは親子とは何なのかを考えさせられる作品だった。
    養子制度が盛んなアメリカなどとは違って、日本では非常に事例が少ないのだろうと思う。

    でもこの本を読むと育てられない親が育てられる親に子を託すことをもっと柔軟に温かい目でみてあげてもいいんじゃないのだろうかと思わせられる。

    小説の結末はドラマティックすぎて、いやもちろんホロリとしちゃうんだけど、どこかで冷めちゃったかな。とはいえ、やっぱり明るく終わって良かったのかな、タイトル通り。
    一人でも多くの子供が救われますように。
    「朝が来る」、良いタイトル!

  • 「本の雑誌」を読んでいたら、「本の雑誌が選ぶ2015年のベスト10」
    発表という座談会の冒頭で、この「朝が来る」が真っ先に推薦された。
    (最終的には第三位になったけれど)
    そういえば───この本のレビューを書いていないことに気付いた。

    「スロウハイツの神様」や「名前探しの放課後」を読み終えた後、
    あまりの感動に号泣し、何度も何度も最終章あたりを読み返し、
    それ以来、ファンになった若き天才作家“辻村深月”。
    しかも、女性の奥底のドロドロとした心情を描く“黒辻村”作品ではなく、
    いつも最後に涙が頬を伝わり落ちる“白辻村”の作品だったというのに。

    何故に書かなかったかな? 
    この本を読んだ頃は、出張ばかりで、仕事がやたらと忙しく、
    お決まりの「冒頭部分の引用」さえもできなかったからだ。

    と、ここまで書いて、とりあえず「朝が来る」とタイトルを付けて
    ワードで保存しようとしたら
    “同じ名前の文章がすでにあります”という“アラート”が出た。

    うん? 書いたのか? ブクログに載せていないだけだったのか? 
    と思いながらファイルを開くと
    ほんのさわり部分だけ書いて、途中でレビューは終わっていた。

    ───読了後、涙が止まらなかった。
    いつの間にか、“ひかり”に感情移入していた。
    ラストで救われた。
    先も気になるけれど、それまでの展開から想像しそうになった
    悲しい終わり方でなくてよかった。

    ひかりは、可哀想な子だと思う。───

    これだけだ。
    でも、今あらためて、このレビューの書き出しを読むと、この短い文だけでも、
    この作品の素晴らしさを鮮明に思い出すことが出来る。

    ───子供に恵まれず「特別養子縁組」という手段を選んだ母親。
    ───子供を産みながら、手放さなければならなかった中学生の母親。

    その狭間で、純粋無垢に育った可愛らしい男の子。

    手元に実際の本がないので、それぞれの固有名詞は忘れてしまったが、
    あわやという場面で、“ひかり”が救われたシーンが脳裏に蘇って来た。
    たしか「みーつけた」というような台詞があったように思う。
    このシーンを読んで、涙があふれ止まらなくなったのを覚えている。

    「闇が深ければ深いほど、最後は明るい光が射し込んでくる。
    これからも気取ることなくハッピーエンドを提示していきたい」
    作者である辻村深月は、2009年7月に発行された文芸誌
    「野生時代」のインタビューで、そう語っていたはずだ。

    それが何故か直木賞を意識し始めた辺りから、作風が変わった。
    女性の嫌な内面を炙りだすような作品を世に出し始めた。
    彼女にどういう心境の変化があったのか、ぼくには分からない。

    彼女はその路線の作品「鍵のない夢を見る」で直木賞を受賞した。
    文学的観点から見れば、その作品のほうが完成度は高いのかもしれない。
    でも、それまで彼女を支えてきた、或いは彼女のデビュー時からのファンだった
    読者は裏切られた気持ちになったのではなかろうか。
    ぼくたち、わたしたちが読みたいのはこんな「辻村深月」ではない、と。
    「ベタでも、ハッピーエンドを提示する作品を書いていきたい」
    と言っていた彼女は何処に行ったのだと。

    彼女自身もそれを薄々自覚していたようで、その後「白辻村」「黒辻村」と
    分類分けされるようになった作品群を発表するとき、
    「白辻村」路線の作品を書いた時には、
    “昔からわたしを支えて来てくれたファンの方のために書きました”
    という発言もあった。

    小説というものの存在意義は何処にあるのだろう。
    あまりに難しすぎて、とてもいい加減なことは書けないけれど、
    ごくごく個人的な希望だけを言えば、ぼくは面白い小説が読みたい。

    面白いという言い方には語弊があるかもしれないけれど、
    読み終えて、心が豊かになる。カタルシスを覚える。感動の涙でむせび泣く。
    こ... 続きを読む

  • 最初は、幼稚園のママ友話かと…。
    でも、全然違ってました。

    望んでも子供を授かれない佐都子夫婦が、不妊治療の末、
    最後にすがりついた「特別養子縁組」の道。
    どれほどの決意と覚悟が必要だったか…。

    そして、周囲に養子であることを隠すことなく育てている。
    その選択に衝撃を受けるとともに、もしも自分だったら…と考えました。
    「この子が周りにどう思われるかということも含めて彼の人生」という別の夫婦と同じ選択をすると思う。
    いや、もしかしたら、本人にも話せないかもしれないなぁと…。

    引き渡す場面と、手離す子に宛てた手紙は、目頭があつくなりました。
    だから、突然現れた女性がその時の母親だとは最後まで信じられなかったし、信じたくなかった。

    親への反抗心ばかりで、深い考えもなく妊娠してしまった幼いひかり。
    愚かで未熟なまま、とうとう罪を犯してしまう。
    そこまで落ちてしまったひかりの人生はこの後どうなるのか。
    「私が広島のお母ちゃんだよ」と胸を張って朝斗に言えるように、
    今度こそ自分のしたことへの責任をとって、生き直して欲しい。

    血のつながりとか、家族のあり方とか、そしてなにより「普通」って何だろう…って考えながら読みました。

  • 冒頭を読んでママ友とかタワーマンション内格差とかそういうドロドロはちょっとなぁ...と思ったのですが、お話は全く別の方向へ。
    そういうお話だったんですね。

    不妊治療の末、養子を決意する夫婦と中学生で妊娠し我が子を手放さざるを得ない少女。
    双方の葛藤や決意が切なかったりやさしかったり。

    特別養子縁組については、まあ偏見とかいろいろきれいごとで済まされない問題もきっとあるだろうし、「普通」の子を「普通」の家庭で育てている私が是非を判断できる問題ではないけど、不妊治療に苦しむ夫婦が少しでも減って、望まない妊娠をする女性が少しでも減って、子どもを欲しい夫婦が子どもを持てる環境が少しでも整って、生まれてくるどんな命も救われる社会になって欲しいと思います。

    養子をもらった夫婦がとても毅然としていてもはや理想的な家庭を築いているのに対して、実母の少女は家にも居場所がなくなりもがいてもうまくいかない。
    中高生での妊娠なんて人生狂わすだけでロクなことがないってのが真理に近いと思うの。
    こういうことを美化だけは絶対にするべきではないから。

    国が「女性は22歳でいちばん妊娠やすくてそこから徐々に低下して30超えると可能性はぐんと下がる」的なことを少子化対策の一環として高校生に知識として与えるというようなニュースがありましたが、ほんとオジサンの考えることは...
    事実だけどさ、だから?ってなるよね。
    実際22歳で子供産んで生活していくのすごく大変なのに分かってるのだろうか。

    ちょっと話がそれたな。
    うん、結末もこれでいい気がした。
    これは物語だから皆ハッピーエンドなのがいちばんだから。
    私は基本的にハッピーエンド至上主義なので都合良過ぎでも現実ではこうはいかなくてもハッピーな方がいい。

    辻村さんがこういうお話を書くことがすごく自然になった。
    次も楽しみ。

  • 帯に書かれている『子どもを、返してほしいんです」
    この言葉がかなり強烈で、頭の中で勝手に想像してしまっていた。
    「子どもを返してほしい」生みの親と「自分たちの子どもだ」と言い張る育ての親。
    いつの間にやらそんな想定が勝手に出来上がっていたのだが…
    当たり前だけど、そんな単純なストーリーではなかったのです。

    子どもを望んでも望んでも恵まれない夫婦。
    望まぬ妊娠をしてしまう女性。
    手放さなければ生きていけぬ事情を持つ女性。
    様々な立場の中で、もがき苦しむことは想像できる。
    欧米とは違って、「血」や「家」を重視する風潮がまだまだ強い日本。
    養子を迎えるという選択はものすごくハードルが高い。
    特別養子縁組。
    言葉は聞いたことはあるし、TV番組を見た記憶もある。
    しかし、ここまで深く考えたことはなかった。
    養子縁組は誰のためのものか?
    子どもが欲しくて欲しくてたまらないのに子どもに恵まれない夫婦のためのもの?
    育てられない女性のためのもの?
    否!
    そうではない!
    当たり前のことなのに…
    子どものための制度なのに…
    その考えが希薄になっている自分に愕然としたり…


    辛い不妊治療に耐えても子どもに恵まれなかった栗原夫妻。
    子どもを手放してしまった片倉ひかり。
    6年の歳月を経て、息子を巡って再びかかわりを持つことになった、夫婦とひかり。

    夫婦とひかりが出会うまでの道のり。
    生みの親、育ての親として再会するまでの夫婦とひかりの歩んだ人生。
    栗原夫妻の決意、覚悟。
    とても胸に響いた。

  • 穏やかに暮らす夫婦と子供一人の家族。日々ささやかな問題は起ころうとも平和といえる日常。そのさなかに掛かってきた一本の電話が、さざ波を立てる…

    という出だしで始まりますが、その電話によってもたらされる動揺や困惑が綴られる物語ではありません。電話を始点として、かかわる二人の女性の過去がそのまま綴られていきます。二人の生き様を丁寧につづった、物語でした。

    「現在」は幸せな家庭を営んでいる妻は、かつて結婚して不自由なく暮らしていたはずが、いつのまにか子供を持たなければいけない、という強迫観念に近いものにおびやかされる日々へと変わっていっていた。そのなかで出会った「特別養子縁組」によって、妻は、夫婦は救われていくことになる、という養子を迎えたほうの女性の物語。
    そしてもう一つが、電話を掛けざるを得なくなる、子供を産んだ実母の物語。中学生の身で身ごもった彼女にいったい何が起こったのか。彼女の視点から描かれるのは、あまりにも幼い自覚と、思春期ならではの周囲への反発、初めて覚えてはまってしまった恋愛の沼。愚かだと一言でいえるかもしれない彼女の行動はけれど、ではどこで引き返せば良かったのか、と問われると、どれもが繋がりあっていて、立ち止まるにはとても難しい大きな流れに彼女はいつしか、乗ってしまっていた。

    そのやるせなさがつらく哀しく、希望がはらはらと剥がれ落ちていくばかりな人生は、あまりにもむごい、と思わされました。

    そうして二人の人生が交錯して迎えた物語の終盤には、かすかな救いがもたらされます。といっても、それはほんとうに淡いものです。けれど、いつしかきっと、彼女にも「朝が来る」ことを祈ってやみません。

    そういう「祈り」を読むほうへもたらせてくれる、美しいラストシーンでした。

  • 「子どもを、返してほしいんです」親子三人で穏やかに暮らす栗原家に、ある朝かかってきた一本の電話。電話口の女が口にした「片倉ひかり」は、だが、確かに息子の産みの母の名だった・・・。子を産めなかった者、子を手放さなければならなかった者、両者の葛藤と人生を丹念に描いた、感動長篇。

    最後にひかりのことを朝斗ママが見つけてくれるまで、ずっと張りつめたような気持ちで祈るように読み進めていて、ようやくほっとして読み終えました。個人的に不妊治療の難しさやつらさを身近に感じる立場なので、やめたいという気持ちもとても分かる。子供を育てたくても世間の目や家庭の状況から難しい人もいることは分かっていましたが、もしもひかりのような人生を歩む人がいるのならすごく悲しい。彼女のような人がいたら迷いなく手を差し伸べられる大人でありたい・・・。この後ひかりは救われるんだろうけど、もっと一歩先を踏み込んで書いた話も読みたかった気がする。

  • 「この子はうちに、朝を運んできた。」

    1章・2章は一気に読めて面白かったんだけど3章で冷めてしまった。3章1番長いと思ったら、辻村さん、書いてるうちにひかりサイドを深く書きたくなってこのボリュームらしいね(なんかのインタビューでみた)私は佐都子サイドをもっと読みたかった。

    個人的にはひかりにもひかりの母親にもイライラ。こんな娘も母親も嫌だわ。笑
    辻村さんが前述のインタビューでひかりはその時々の感情に素直な子って話してたけどそれも限度を超えてて浅はかにしか見えなかった。
    確かに周りの大人や彼氏に恵まれなかったかもしれないが、それにしたってもう少し自分でしっかり考えられるでしょ。今時女子中高生だってそれなりに計算して生きてます。

    養子の制度や不妊治療についてはじめて知ることも多くてその点では勉強になった。きっとたくさん取材されたんだろうな。
    教本的な意味で色々な人に読んでほしい。すぐ結婚だ子どもだって言ってくるような人たちとか妊娠についてのイメージが希薄な男性とか。

  • 子どもを授かることが不可能な夫婦と、生んでも育てられない子どもを身ごもった少女が特別養子縁組みで繋がる。
    ただ、ひとりの赤ちゃんをめぐり全く別のふたつの物語が描かれているように思う。
    辻村深月さんは文章が上手い。どちらの立場も想像でしかないのだけれど、すっと共感できる部分が多かった。 少女があまりにも愚かで痛々しくて辛かったけれど、最後は本当に救われた気持ち。

  • 望んでも子どもを持てない夫婦。そんな夫婦が特別養子縁組を希望し、子どもと一緒に暮らす。
    子どもを持つという望みは叶えられ、子どもにもきちんと産みの母について話す。
    子どもの母親は中学生で望まない妊娠をしてしまう。育てようにも育てられない環境。
    自分の産んだ子どもと離れて暮らすというのは耐えられないに違いないが、子供の将来を考えての決断。
    どちらもがうまくいったと思えたのに、何かにつまづくとそこに原因を持って行ってしまいそうになる。
    難しい問題ではあるが、子どものための制度。子どもの朝斗が幸せにすくすくと育っているのが1番の救い。
    広島のお母ちゃん、早まらないで良かった。
    佐都子の配慮に涙が出た。
    そう、きっと朝は来る。

  • 初っ端から惹きつけられるように読みました。時折かかってくる無言電話は、幸せな家族に何かが起こる前触れのように思えたし、幼稚園で起きた怪我をめぐってのトラブルはとてもリアルで、どう決着するのかハラハラしました。加害者になるより被害者の方が気が楽、というのもよく分かります。そして、そのトラブルが決着した頃、電話で子どもを返して欲しいと言われた佐都子…。実は息子、朝斗は特別養子縁組で迎えた子だった、という話。
     不妊、望まない妊娠による出産等、背景には重いテーマが見えます。子どもが欲しい夫婦、子どもを育てる環境にない母親、双方にとって良い制度のように思えますが、現実は理想通りにいかないことも多いでしょうね。子どもを育てる、一人の人間を育てる、というのは大変なことです。
     朝斗の産みの母であるひかりは当時中学生。まだまだ本人も子どもです。ひかりがどんなに親に反発心があったとしても、まだ社会で独り立ちできる状況ではありません。ひかりの両親が妊娠をなかったこととして、再スタートさせようと思ったことも親の立場なら当然だと思います。
     結局、喪失感を埋められず、ひかりは家を飛び出してしまいますが、世の中は厳しいものでした。世の中を知らないが故に転落していくひかりの姿が痛々しいです。 佐都子夫婦が朝斗を迎えた時、“朝が来た”と思えたように、ひかりにも朝が来て欲しいと思いました。 家族とは何かを考えさせられる本でした。 三浦綾子氏の『氷点』を思い浮かべ、血のつながりについても考えずにいられませんでした。

  • タイトル通り、曙光を感じるラストで安堵。ひかりがずるずると道を誤っていくさまが読んでいて辛かったから。
    血が繋がっていても心の通い合わない親と子の姿が寂しく、自分の姿はそうなってはいないかとおそれる。
    呆気なく子どもを授かることもあれば、どんなに望んでも叶わないこともある。どちらであっても、その後も続く人生を、どうやって生きていくのか。その瞬間人生の全てのように感じる出来事も、いくつもある通過点のひとつなのだと感じる。

  • 特別養子縁組で、子を授かった佐都子、中学生で望まぬ妊娠で子を生んだ母、ひかり。現在の佐都子と、二人が今に至るまでの話。

    特別養子縁組については、先日別の本で知ったばかり。個人的には、必要なシステムではあると思っています。
    最初の章での佐都子達夫婦を読んで、そこに繋がるとは思わず、ちょっとびっくり。
    話が進むにつれ、どんどん引き込まれて読みました。

    ひかりの章では、幼さゆえの間違いがあまりにも気の毒で、同じ年頃の娘を持つ立場としては、親のせいを思わずにはいられませんでした。

    まだまだ先はあるだろうけど、とりあえずのハッピーエンドに、ホッとしています。
    朝斗君を含め、みんなが幸せでいられることを祈ります。

  • 「特別養子縁組」の実の母と育ての親がどういう経緯でそこまでに至り再び出会ったのかが、それぞれの目線で語られるので、物語に引き込まれた。中学生で妊娠して出産したひかりが、実家に自分の居場所を見出すことが出来ず、家出して住み込みで働きながら暮らすさまが孤独で寂しく、その精神は少しも成長することなく中学生のままなのが哀しい。最後に一人さまようひかりを育ての親である佐都子が見つけた事がきっかけとなってひかりにもようやく新しい朝がくるのだろうと信じたい。

  • 子どもを産んだ母親。
    子どもを産めずに、養育する母親。
    どちらの方が子を思う気持ちが強いかなんて、比べることはできないし、子を産んだから絶対に子を愛するとも限らない。
    子どもを産めずに養子として育てている母親、産みの母親、様々な視点から、それぞれの女性の生き方が描かれている。子を産み、手放した女性、子を産めなかった女性。
    どちらの女性の歩んできた道は、とてつもなく険しいと思った。
    帯にあるような号泣はなかったけれど、子を持ったこともないけれど、読後ずっと胸の奥底に残る話だった。
    結末は曖昧だけれど、最後は二人の女性に日が差したのではないかと思う。読後は悪くなかったです。

  • 保育者を目指す中で、特別養子縁組のことは勉強していました。でも、その時は、たぶんなにも"わかって"いなかった。

    ふたりの母親が幸せになれば良いと思う。
    心の底から、思う。

    辻村さんが描くこのストーリーは、モザイクがかけられたお涙頂戴のドキュメンタリーより、よっぽどリアルだ。

    この本は、たくさんの人に読まれるべきだ。
    たくさんの人に読んでほしい。

  • 後味悪いけどそういうもの

  • 不妊のため養子を育てる夫婦と、その子どもを仕方なく手放した女性と、両方の視点から描いた作品。

    ママ友とのトラブル後、産みの母親を名乗る女性の出現による不穏な空気に、ミステリー路線に走るのかと思いきや、一転して過去の不妊治療に話は飛ぶ。
    養子をもらうことを決断するまでの夫婦の苦しみは、切実だ。養子であることを公言する潔さも、真の親としての強さが備わるまでには相当な苦労があるはず。綿密な取材に基づくと思われる過程は、不妊に悩む人たちだけでなく、結婚=出産と信じて疑わない人たちにこそ読んでほしいと感じる。

    後半の、中学生で妊娠した挙げ句、転落していく女性の話も辛かった。本当の愛情も自分を大切にすることも知らないままに、好きだと思い込んでいた人の子どもを妊娠する。その後の行動も、悲しいくらい幼稚だ。
    ただ、前半の夫婦の苦しみに比べると、その原因が厳しい教育者の親との確執という点は、やや描ききれていない感もある。

    私自身、子どもを授かったのは遅かったこともあり、妊娠や子育てがらみのテーマは深く考えてしまう。年をまたいで慌ただしい時期に読んだ1冊だが、よい作品だった。

  • 衝撃的だったけれど、、、良かった。考えさせられる。すごい泣けた。

  • もうすぐ出産する。出産前に読んで良かった。産みの親、育ての親どちらも大事な存在。朝斗くんはほんとにいい子だと思う。
    頑張れひかり。まだ21歳、大丈夫!

  • 不妊治療の末に養子をもらった佐都子の話と、中学生で妊娠し出産し養子に出したひかりの話。

    私にとって、どちらの女性の立場も決して他人事じゃなく、本人の心の揺れのようなものや、本人にしか分からない気持ちの描写が、とてもリアルに現実的に描かれていた。

    子供を持つ年齢のタイムリミット、出口があるのかも分からない長いトンネルの日々、やっと夜が明けて"朝が来た"と感じた瞬間、子供に名付けた「朝斗」という名前、「普通ではない」家庭を持つことの周りの反応。

    これって実際に経験してみた人でないと、こんなに細かく丁寧に描けないと思う。

    未成年で妊娠したひかりの話も、とてもリアルだった。自分には何一つ決定権がない弱い立場、母親の反応が、自分の母親とあまりにも酷似していて読んでいて苦しかった。母親の偏った価値感による「正しさ」、一番理解して欲しい人に、永遠に理解してもらえないもどかしさ、完全に見離されてしまった救いようのない寂しさ、家も学校も自分の居場所としてふさわしくないという違和感。頼れる人も、心の拠り所も、相談する相手もいない現実。度々巻き込まれる不運の数々。

    最後にはひかりにもやっと「朝が来た」のかな。
    佐都子とひかりは、年齢も違えば、全く別の種類の困難や苦しみや悲しみを経験してきたのだけど、それでも、どこか共通する部分があって、そのキーワードはやっぱり「我が子」を大切に想う気持ちなのかもしれない。

    とても良かったです。

  • 本当に良かった。一章と二章は辛い不妊治療の末、特別養子縁組をした栗原夫婦の物語。三章と四章は、養子になった朝斗の実母・ひかりの物語。栗原夫婦を脅迫しようとしたひかりのことを、栗原夫婦はひかりじゃないと言い切る。朝斗のお母さんは、そんな人ではない、と。泣きました。佐都子さんが本当にいい人。守ってくれる人がおらず、1人で悪い方に悪い方に来てしまったひかり。佐都子さんに会って、ひかりにも朝が来たね。窃盗と横領で警察が動いていて、これからもひかりが普通に生きることは難しそうだけど、どうか幸せになってほしい。

  • 特別養子縁組をテーマとして、子供を産む側、受け入れる側の葛藤やその後を描くストーリー。
    ドラマにもなってたのね…。
    この本は男性にも是非読んでほしいな。
    子供を身ごもること。産むこと。育てること。
    男性にもその段階ごとにいろんな心情はあるのだろうけど、子供って女性の人生をいろんな方向に揺るがせる…。
    ひかりと佐都子。もう少し双方の心のうちを覗きたかったかな。

  • 赤ちゃんの時に養子を迎え、6年間育てている栗原夫婦。幸せに暮らしていたがある日突然、産みの母だと名乗る女性が現れて子供を返して欲しいと言い出した…。
    栗原夫婦の視点、そして産みの母片倉ひかりの視点それぞれから描かれる出会いまでの人生の軌跡。痛く苦しい体験もあり、幸せな思い出もある。そしてラスト、じんわりと心が暖かくなってきて、泣ける。一気に読んでしまうくらい面白かった。

  • なんだか哀しい話だった。

    最後は少し救われる終わり方だったが、反抗期の少女が親への反発や友人達への優越感を感じる為に生き急ぎ堕ちていく‥その過程が哀しい。女の子を持つ身としては心苦しかった。

    望んでも子供を持てない夫婦
    望まぬ妊娠をしてしまう少女
    その両者を結び付ける特別養子縁組。
    大切な制度だと思った。

    朝斗くんを育てる家庭にも日常の色々な問題はあるけど、いい両親との出会い(縁)があって本当に良かった!

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朝が来るの作品紹介

出産を巡る女性の実状を描く社会派ミステリー親子3人で平和に暮らす栗原家に突然かかってきた一本の電話。電話口の女の声は、「子どもを返してほしい」と告げた――。

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