朝が来る

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (346ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163902739

作品紹介・あらすじ

出産を巡る女性の実状を描く社会派ミステリー親子3人で平和に暮らす栗原家に突然かかってきた一本の電話。電話口の女の声は、「子どもを返してほしい」と告げた――。

感想・レビュー・書評

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  • うあっぱよかったぁあああ。
    もう読み終えて涙が止まらなかっぁああ。
    生みの母と育ての父母、どちらの側面からも
    怒涛の勢いで抑えきれないほどの衝撃波を受けてしまいました。
    もう他人事のように読んでられませんでした。
    中学生で出産してからの6年間無茶大変だった。
    あっダメだ、もう少し冷静になってからじゃないとレビュー書けない気がする。
    とりあえず1stインパクトでしたっっw
    深月さん、本当に丁寧に感情を拾いあげて書いてるので、朝斗の事を信じて疑わない両親に深い絆を感じてたのですが、まさかの養子とかそれでも実の子と変わらないそれ以上かもしれない愛情を持って育てていた事に感動。ひかりちゃんもドン底からゲスに落ちる事なく生みの親としての誇りをもって朝斗を見ることができたようで嬉しくなりました。それを促した栗原夫妻の「あなたは誰なんですか?」とゆう冷静な問いかけに実に深い意味が含まれていて心打たれました。
    それにしても、栗原夫妻は夫婦とも人格者であることにただただ感動。傘が足元に転げ落ちるところでもう号泣でした。

    • かなさん
      しじみさん、おはようございます!
      良い読書、できましたねっ(^^)
      私もこの作品読んでいるけれど、
      いい作品でしたよねぇ…私も泣きまし...
      しじみさん、おはようございます!
      良い読書、できましたねっ(^^)
      私もこの作品読んでいるけれど、
      いい作品でしたよねぇ…私も泣きましたもん…。
      ラストに感動しました!
      2023/12/01
    • つくねさん
      かなさーーーん、まだまだ余韻が続いてます♪

      これは絶対お勧めですよね。
      育ての親と生みの親、本当なら会うことNGなのに
      子を得るま...
      かなさーーーん、まだまだ余韻が続いてます♪

      これは絶対お勧めですよね。
      育ての親と生みの親、本当なら会うことNGなのに
      子を得るまでの夫婦と失ったひかりの人生を描き分けてW共感でした。
      特別養子縁組の制度は子のためにあるってところも重要ですね。
      特にラストは超絶震えました!
      2023/12/01
  • 読んでいてずっと、あー辛いな!と
    思いながらも、ページを捲る手が止まらなくなりました。

    子供に恵まれずに長い不妊治療を経て
    特別養子縁組で養子をもらった栗原夫妻。
    中学生で妊娠し、やむを得ず赤ちゃんを栗原夫妻に託した幼い実母のひかり。
    それぞれの葛藤と人生を描いている作品でした。

    登場人物の心情を丁寧に描いているので…
    胸に迫ってきて、たまらない気持ちになりました。

    ひかりは
    教育者である親から、親としての気持ちばかり押し付けられて封じ込められる窮屈さに
    息苦しく感じていたように思う…。
    家族内での居心地の悪さに加え
    思春期の背伸びしたいような気持ちや
    未熟な思考の描写などが…
    リアルに感じられ
    引き込まれました。

    ひかりは決して悪い子ではないと思うし
    だからこそ自分勝手な思い込みや
    幼く無知で、危険な行動の数々をしてしまうところに…
    私は、ハラハラしたり
    かわいそうに思えたりしました。


    そして、ひかりは親からの愛が足りなかったのかな…とも…。

    やっぱり子供にとって親の愛は必要不可欠。
    すべての子供にとって、心から安心できる場がなくてはならない。
    それは血の繋がりは関係ない。
    心身共に穏やかに過ごせて
    自分の心の内を話せたり
    親には頼ったりできて
    いつでも自分は受け止めてもらえる存在なのだと
    信じられるように…。

    親は、血の繋がりがあるという事に甘えないで
    自分の子供にちゃんと向き合わないといけないし
    子供の気持ちも考えないと
    こんなに娘の人生が悲惨なことになってしまう…。

    ひかりが、かわいそうに思えて仕方なかったな…。 
    ひかりの両親は、なんでひかりを探そうとしなかったのだろう…⁉
    家出したひかりを心配していて探していて…
    自分の娘を、最後は助けてほしかったなぁ…!

    でも、ラスト。
    生みの母であるひかりへの感謝を忘れない
    子供を引き取った育ての母である佐都子の
    圧倒的な優しさに救われたようで…
    それはとても良かった…!
    いろいろ考えさせられる作品でした。





    • チーニャ、ピーナッツが好きさん
      辻村深月さんがこの作品を書くにあたって、色々と調べたりして書いたのだと思いますが、この作品に近いようなことが現実にもあるから書いたのだと感じ...
      辻村深月さんがこの作品を書くにあたって、色々と調べたりして書いたのだと思いますが、この作品に近いようなことが現実にもあるから書いたのだと感じましたね。
      特別養子縁組制度も少ないながらもありますね。中高生の妊娠だって、増えていたりするのではないでしょうか…。
      読者にこの作品を通じて色々と考えてもらいたくて辻村深月さんは書いたのだと思いました。
      映画もされてますね。小説より映像がキレイで、内容もアッサリしていて、でもちゃんと伝わるようになってると思います。
      (観たことあります)
      親が自分の子供たちに小説読ませるのは大変でも映画なら観てくれるかもしれないな…などといろいろ思ったりしました…^^;
      2024/02/18
    • かなさん
      チーニャさん、しじみさん、こんばんは(*^^*)
      チーニャさんも、しじみさんも
      熱いレビューとコメントにびっくり!!
      この作品読んでも...
      チーニャさん、しじみさん、こんばんは(*^^*)
      チーニャさんも、しじみさんも
      熱いレビューとコメントにびっくり!!
      この作品読んでもらえて、そして共感してもらえて
      すっごく嬉しいです♪
      ホント、いろんなことを考えさせられる作品でした。
      読んでいて、きつくなったこともあったけれど、
      でも、ラストがすごくよくって…もう涙が止まらかったんです。
      読めてよかった作品だったと思ってます(*^^)v
      2024/02/18
    • チーニャ、ピーナッツが好きさん
      かなさ〜ん、こんにちは(*^^*)

      そうですよね、私も読めて良かったです。かなさんのレビューでもずっと気になってましたよ!
      出産を巡る女性...
      かなさ〜ん、こんにちは(*^^*)

      そうですよね、私も読めて良かったです。かなさんのレビューでもずっと気になってましたよ!
      出産を巡る女性の実情が描かれていて、感じましたし考えさせられましたよね…。
      ホント、ラストがよかったですねぇ…・゚・(ノД`)・゚・。

      朝斗・佐都子・そしてひかりに
      幸多からんこと願うばかりです!
      2024/02/18
  • 皆さん、高評価の作品のようです。なかなかに、ヘビーな、内容、みたいですが、ラスト近くで、「朝が来る」ようなので、読んでみたいです。

     2020.9.19
     何度か、読み返した。
    結婚、妊娠、子育て。すべてに経験の無い私だが、登場人物の人生の重み、心情などがリアルに感じられた。 第一章で、佐都子が、息子「朝斗」が幼稚園で起こした事件に対してキッパリ我が子を信じる母としての対応を、尊敬した。
    不妊治療、養子縁組をへて、栗原夫妻は、特別養子縁組として朝斗と名付けた赤ちゃんを、授かる。それまでの、佐都子の、そして夫の清和の心の葛藤。
     そして、朝斗の実の母親である、片倉ひかり。
    まだ中学生のうちに、彼氏の巧との赤ちゃんを出産。養子縁組を仲介する団体「ベビーバトン」によって、栗原夫妻に引きわたされるまでの、自分の赤ちゃんに対する思い。美しい空を見上げて、逃げることも、育てることもできない代わりに、おなかの中の子と、すごくきれいな空を見たことを覚えていよう、と涙したひかりに、心がつまされる。その後のひかりの、つらいつらい人生。
    ラストに、そのひかりが、生きていても仕方ない、雷に、打たれてしまいたい。と思った時、ひかりの事情を理解した佐都子がひかりを抱きしめるシーンに、感動した。佐都子が、「一緒に行こう」と声をかける。  どうか、この先、ひかりが幸せになれますように。皆が希望を持って生きていけますように、と思った。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      りまのさん
      大丈夫!明日は状況変わって良くなりますヨ!!
      りまのさん
      大丈夫!明日は状況変わって良くなりますヨ!!
      2020/11/01
    • kuma0504さん
      映画観ました。
      役者とリアル人とのコラボが自然で、
      凄い作品だと思いました。
      そうか、最後はひかりはそこまで思っていたんだ。
      映画観ました。
      役者とリアル人とのコラボが自然で、
      凄い作品だと思いました。
      そうか、最後はひかりはそこまで思っていたんだ。
      2020/11/27
    • りまのさん
      kuma0504さん
      私はまだ映画観ていないのですが、 凄い作品だったのですね。 コメントありがとうございます!
      kuma0504さん
      私はまだ映画観ていないのですが、 凄い作品だったのですね。 コメントありがとうございます!
      2020/11/27
  • 本作を読み進めるにあたり、予備知識として調べてみた。
    2015年度(平成27年)のデータの出生動向基本調査において、不妊に悩むカップルは5.5組に1組となっている。そのうち何らかの不妊治療を受けている人は50万人もいるようである。
    しかもその費用はは高額で、人工授精が1回当たり約1万円、体外受精・胚移植が約30 万円、顕微授精が約40万円くらいようで、誰も彼もが不妊治療はできない。

    対して、養子縁組においては、親元で育つことができない子どもたちは約45,000人。しかしながら、その約80%が乳児院や児童養護施設などの施設で育ち、施設養子縁組あるいは里親制度は20%にとどまる。
    「里親制度」とは、育てられない親の代わりに一時的に家庭内で子どもを預かって養育する制度で、里親と子どもに法的な親子関係はなく、実親が親権者となる。里親には、里親手当てや養育費が自治体から支給される。
    「養子縁組」は、民法に基づいて法的な親子関係を成立させる制度であり、養親が子の親権者となる。また、養子縁組にも2種類あり、普通養子縁組は跡取りなど成人にも広く使われる制度で、特別養子縁組は特に保護を必要としている子どもが、実子に近い安定した家庭を得るための制度である。

    本作はまさに不妊に悩む夫婦が、特別養子縁組により子供を授かる話と子供を手放さなければならなかった物語りで、まさに、5.5組のうちの1組(18%)でその20%の夫婦の話である。

    栗原清和、佐都子夫妻は子供を授かることができないために、6年前に特別養子縁組で、息子・朝斗を迎える。
    親子3人で穏やかに暮らしていたある朝、息子の無味の親・片倉ひかりと名乗る女性から電話があり、お金を要求される。

    血の繋がりにより親子の絆が生まれるのではなく、一緒に生活し共に人生を積み上げることにより生まれる絆があるということに気づいた。
    産んでくれた親と成長を支える親は、共に子供に対して親としての責任を自覚しなければならないと考えさせられる。
    私の場合、親のありがたさは、自分が独立したときにようやくその大変さと責任を理解することができた。もっと、早くに理解できる方もいるであろうが、本作の高倉ひかりは、この先、親の責任というのを理解できるのであろうか?と、疑問になる。

    子供は思春期、反抗期を迎え、自分の中でその期間に感じる感情を自分なりに受け止め、消化して成長していくと思っている。この時期、自分の意思を整理し理解することがいかに難しいのだろうと悩んだものだ。消化しきれない感情をぶつけた後の感情に苛まれることもあった。自分のことでいっぱい、いっぱいのこの時期に、自分のこと以外を考えることができるのであろうか。若すぎる出産はそれ故にねじれて、片倉ひかりの人生が逸れていってのではないかと思わずにはいられない。子供を手離す葛藤があることは理解できるものの、やはりその行動には同意ができない。

    そして、片倉ひかりの人生を考えると、栗原清和、佐都子夫妻の人生、しいては自分の人生がどれだけ幸せかということを改めて感じる小説であった。

  • 意図せぬ妊娠でここまで人生が変わってしまうのか、こんなに辛いのに回りは手をさしのべてくれないのか、と世間の闇を垣間見た感じ。

    やっぱり辻村さんの文はとても綺麗で分かりやすい。とても読みやすかった。

  • この作品のテーマは、特別養子縁組…辛い不妊治療の末に特別養子縁組の制度を知り得た清和・佐都子夫婦と、中学生で臨まない妊娠をしたが愛情もって出産し我が子をこの夫婦に託したひかりの視点から描かれる。ひかりの出産した男の子は「朝斗」と名付けられ、素直で聡明に育つ…。あれから6年、ひかりから清和・佐都子夫婦のもとに「子供を帰してほしい、もしできないならお金がほしい」との連絡が入る…。
    すっごくラストがよかったです!感動しました。2人のお母さんの存在は「朝斗」にとって、何物にも代えがたい素敵な財産になると感じました。ひかりにとっても、清和・佐都子夫婦にとっても「朝斗」は、名前の通り素敵な朝を迎えさせてくれる存在になることことに疑いの余地はないでしょう。

  • 幼いながら子を産み、迷い、葛藤しながら生き抜いているひかり。特別養子縁組というかたちで子を託した。その家庭では大事に大事に「広島のお母ちゃん」が存在していた。ずっと親に反発葛藤し生きずらかったけど、「広島のおかあちゃん」は紛れもなく自分だと自信を持ち、自分の足で歩きだした。そこに心打たれました。
    最後、佐都子がひかりを見つけて、なんか唐突だなあと思ったけど、朝斗くんは心ある両親と出会え明るい未来でよかった。ひかりにも明るい未来は来る。

    終始、辛かった。最初の不妊治療のところも。ある場面で、男性側の精子を採取するために、個室が用意されているというところ(よくドラマで見る)。ショックを受ける夫に佐都子は、そのような環境は当然で、具体的な想像力の欠如が、不妊治療における男女の意識の差、といっているが。
    男性にとって婦人科(産婦人科)自体、踏み込みにくい領域だろうから無理もないのに。ともおもった。私が古いのか。
    そして、男性側に原因があったとわかり、その母親が土下座するところ。なにもそこまで…。と思うが(もし女性側に原因あったら責められるのかという感じ)。そこが、結婚イコール子供という意識が強い、少し前の時代背景を映しているように感じた。

    ひかりと巧の場面は、ある部分生々しくて、みてられない感があった。知識ないままに子をはらみ、その先ひかりは苦難の道。広島まで行って。
    見知らぬ土地で短期間過ごすというのは、風景、考え方が変わって、そしてもの寂しくてなんとも言えない哀愁をともなう。世間を知らないひかりが次々と人に痛い目にあって落ちてゆく。今の世でこういうことがあるのかと思った(そう言ってる私は世間知らずなのか)。

    小6の時だったと思う。学校で女子だけ違う教室に呼ばれ、養護の先生から、男女の体の仕組みの違いの話を聞いた。そろそろ生理がという年頃だから。
    ほんの一時間。学校で性の関わる教育を受けたのはそれきりだったように思う。その時間、言葉にはしないが、女子はざわついた。子によって差もあった。きてる子、知っている子(家庭環境の差)の差があったからだ。
    そういう知識は、少女向けの雑誌や友達との会話で情報を得ていた気がする。少しだけだが。
    親とは一切合切そういう話はしたことがない。そういうことは避けて、触れるべきでないという親だったから。時代が時代だったし(そう昔でもないが)。もっと話しやすい環境だったら、もっと気楽だったのになあ。
    この小説をリアル中学生が読んで何を感じるか。
    こちらに登録し、ずっとこの表紙が気になっていた。図書館で目が合い、その翌日、映画化を知り、永作博美さんが番組に出ていた。よい時期に読んで良かった。

  • 辻村深月っていろんな作品をかけるんだなと、まず彼女の才能に脱帽。前回読んだのがアニメがテーマだっただけに振り幅がすごい。

    特別養子縁組に焦点を当てて、母性とは何なのか、血縁とは親子とは何なのかを考えさせられる作品だった。
    養子制度が盛んなアメリカなどとは違って、日本では非常に事例が少ないのだろうと思う。

    でもこの本を読むと育てられない親が育てられる親に子を託すことをもっと柔軟に温かい目でみてあげてもいいんじゃないのだろうかと思わせられる。

    小説の結末はドラマティックすぎて、いやもちろんホロリとしちゃうんだけど、どこかで冷めちゃったかな。とはいえ、やっぱり明るく終わって良かったのかな、タイトル通り。
    一人でも多くの子供が救われますように。
    「朝が来る」、良いタイトル!

    • だいさん
      日本の養子縁組では法律のハードルがめちゃくちゃ高いのではないですか?
      日本の養子縁組では法律のハードルがめちゃくちゃ高いのではないですか?
      2015/09/25
    • vilureefさん
      だいさん、こんにちは♪
      コメントありがとうございます(*^_^*)

      そうかもしれませんね、法律のしばりもあるのかもしれません。
      で...
      だいさん、こんにちは♪
      コメントありがとうございます(*^_^*)

      そうかもしれませんね、法律のしばりもあるのかもしれません。
      でもこの制度をもっと認知させられれば条件をクリアする人が増えるだろうにとも思います。
      あまり知られていないというのが正直な感想です。
      2015/09/29
  • 望まれない子供を持つ親と、子供を持つ事が、出来ない夫婦が、特別養子縁組と言う制度で、養子縁組する。両者共、悪い人はいない。ただ、望まれない子供を産んだのが、中学生で、世間も、何も知らず、周りの人達に、騙され、落ちて行く。最後に、頼るのは、息子を、養子に出した先だけ。
    だけど、頼る方法も分からず、脅迫めいた方法しか、取れなかった。
    彼女の実の母親でさえ、「失敗した」と、彼女を、見放したけど、子供の、養親である、夫婦は、子供に、「広島のお母ちゃん」と、教え、自分たちは「私たちのお母さん」と呼び、その存在を大切にしていた。
    最終章で、漸く、心のざわつきが取れた感じ。

  • 最初は、幼稚園のママ友話かと…。
    でも、全然違ってました。

    望んでも子供を授かれない佐都子夫婦が、不妊治療の末、
    最後にすがりついた「特別養子縁組」の道。
    どれほどの決意と覚悟が必要だったか…。

    そして、周囲に養子であることを隠すことなく育てている。
    その選択に衝撃を受けるとともに、もしも自分だったら…と考えました。
    「この子が周りにどう思われるかということも含めて彼の人生」という別の夫婦と同じ選択をすると思う。
    いや、もしかしたら、本人にも話せないかもしれないなぁと…。

    引き渡す場面と、手離す子に宛てた手紙は、目頭があつくなりました。
    だから、突然現れた女性がその時の母親だとは最後まで信じられなかったし、信じたくなかった。

    親への反抗心ばかりで、深い考えもなく妊娠してしまった幼いひかり。
    愚かで未熟なまま、とうとう罪を犯してしまう。
    そこまで落ちてしまったひかりの人生はこの後どうなるのか。
    「私が広島のお母ちゃんだよ」と胸を張って朝斗に言えるように、
    今度こそ自分のしたことへの責任をとって、生き直して欲しい。

    血のつながりとか、家族のあり方とか、そしてなにより「普通」って何だろう…って考えながら読みました。

    • koshoujiさん
      杜のうさこ様。

      日本代表が南アフリカに勝ちました───。

      大学に入学し、国立で初めて見てから、ラグビーを好きになり、
      母校の応...
      杜のうさこ様。

      日本代表が南アフリカに勝ちました───。

      大学に入学し、国立で初めて見てから、ラグビーを好きになり、
      母校の応援もしましたが、それ以上にラグビーという
      スポーツの虜になりました。
      1月2日は、20歳の時から、毎年国立競技場にいました。
      暮れに帰省して、元日の夜に東京に戻りました。
      大学選手権の準決勝を見るために。
      ラグビーのHPを18年前に作り始めました。
      日本中の人たちにラグビーの素晴らしさを伝えたいと。
      仕事でもないのに、一生懸命頑張りました。
      多くの人たちが見に来てくれました。
      多くの人たちから励ましのメールを貰いました。
      ラグビー協会の広報委員長とも友達になりました。
      ラグビー日本代表の人とも友達になりました。
      そして、今日、夢が叶いました。
      素晴らしい試合でした。

      私の感動は、急遽開設した下記のブログに綴られています。
      http://blogs.yahoo.co.jp/rugby_okame_hatimoku
      是非、ご覧いただければありがたいです。<(_ _)>
      もう4時半になりました。もうすぐ朝ですが、今から寝ます。
      それではまた。<(_ _)>
      2015/09/20
    • koshoujiさん
      なんと!!!

      中学校の同期会に参加できることになりました!!!

      中学の同期会掲示板に書き込みがあったのです。
      今週の26日土曜...
      なんと!!!

      中学校の同期会に参加できることになりました!!!

      中学の同期会掲示板に書き込みがあったのです。
      今週の26日土曜日、担任だった畠山先生
      (ひょっとして、うさこさんもご存知では?)
      を囲んでのクラス会を開催するとのこと。
      しかも、12~13人集まるらしいです。
      それに、是非参加してください、って。

      夢のようです。信じられません。
      先日の歓喜の南アフリカ戦勝利と言い、
      中学同期生からの連絡と言い、
      うれしいことが立て続けに起こり、
      何と言っていいか、言葉が見つかりません。
      人間、努力と継続がいかに大事か、
      をあらためて実感しているところです。
      諦めなくて、本当に良かった───。

      恐らく河北を読んで、気が付いたのだと思います。
      杜のうさこさんのおかげです。
      感謝、感激、雨、嵐(笑)。
      ありがとうございました。<(_ _)>

      すみません、本当に。
      本とは全然関係ないコメントばかりになっちゃって。お許しを。<(_ _)>

      追伸:でも私にもようやく「朝が来た」のかもしれません。お粗末<(_ _)>
      2015/09/22
    • koshoujiさん
      業務連絡です(笑)。
      と、すぐに書き込みしようと思いましたが、このコメ欄から、全てが始まったのですね。
      読み直し、あらためて感動してしま...
      業務連絡です(笑)。
      と、すぐに書き込みしようと思いましたが、このコメ欄から、全てが始まったのですね。
      読み直し、あらためて感動してしまいました。
      さて、この本に関する業務連絡です。
      もうご存知かもしれませんが。
      ※6月4日スタートの東海テレビ・フジテレビ系ドラマ『朝が来る』(毎週土曜23:40~24:35、全8回)。
      ということで、この作品、フジテレビ系列でドラマ化されるようです。
      主演は安田成美さんで、10数年ぶりの主演とのこと。楽しみに待ちたいと思います。
      追伸:ようやく「花は咲く」アニメスターバージョン完全版を録画できました。
      2016/05/09
  • 「本の雑誌」を読んでいたら、「本の雑誌が選ぶ2015年のベスト10」発表という座談会の冒頭で、この「朝が来る」が真っ先に推薦された。
    (最終的には第三位になったけれど)
    そういえば───この本のレビューを書いていないことに気付いた。

    「スロウハイツの神様」や「名前探しの放課後」を読み終えた後、あまりの感動に号泣し、何度も何度も最終章あたりを読み返し、それ以来、ファンになった若き天才作家“辻村深月”。
    しかも、女性の奥底のドロドロとした心情を描く“黒辻村”作品ではなく、いつも最後に涙が頬を伝わり落ちる“白辻村”の作品だったというのに。

    何故に書かなかったかな? 
    この本を読んだ頃は、出張ばかりで、仕事がやたらと忙しく、お決まりの「冒頭部分の引用」さえもできなかったからだ。

    と、ここまで書いて、とりあえず「朝が来る」とタイトルを付けてワードで保存しようとしたら“同じ名前の文章がすでにあります”という“アラート”が出た。

    うん? 書いたのか? ブクログに載せていないだけだったのか? 
    と思いながらファイルを開くと、ほんのさわり部分だけ書いて、途中でレビューは終わっていた。

    ───読了後、涙が止まらなかった。
    いつの間にか、“ひかり”に感情移入していた。
    ラストで救われた。
    先も気になるけれど、それまでの展開から想像しそうになった悲しい終わり方でなくてよかった。

    ひかりは、可哀想な子だと思う。───

    これだけだ。
    でも、今あらためて、このレビューの書き出しを読むと、この短い文だけでも、この作品の素晴らしさを鮮明に思い出すことが出来る。

    ───子供に恵まれず「特別養子縁組」という手段を選んだ母親。
    ───子供を産みながら、手放さなければならなかった中学生の母親。

    その狭間で、純粋無垢に育った可愛らしい男の子。

    手元に実際の本がないので、それぞれの固有名詞は忘れてしまったが、あわやという場面で、“ひかり”が救われたシーンが脳裏に蘇って来た。
    たしか「みーつけた」というような台詞があったように思う。
    このシーンを読んで、涙があふれ止まらなくなったのを覚えている。

    「闇が深ければ深いほど、最後は明るい光が射し込んでくる。これからも気取ることなくハッピーエンドを提示していきたい」
    作者である辻村深月は、2009年7月に発行された文芸誌「野生時代」のインタビューで、そう語っていたはずだ。

    それが何故か直木賞を意識し始めた辺りから、作風が変わった。
    女性の嫌な内面を炙りだすような作品を世に出し始めた。
    彼女にどういう心境の変化があったのか、ぼくには分からない。

    彼女はその路線の作品「鍵のない夢を見る」で直木賞を受賞した。
    文学的観点から見れば、その作品のほうが完成度は高いのかもしれない。
    でも、それまで彼女を支えてきた、或いは彼女のデビュー時からのファンだった読者は裏切られた気持ちになったのではなかろうか。
    ぼくたち、わたしたちが読みたいのはこんな「辻村深月」ではない、と。
    「ベタでも、ハッピーエンドを提示する作品を書いていきたい」
    と言っていた彼女は何処に行ったのだと。

    彼女自身もそれを薄々自覚していたようで、その後「白辻村」「黒辻村」と分類分けされるようになった作品群を発表するとき、「白辻村」路線の作品を書いた時には、“昔からわたしを支えて来てくれたファンの方のために書きました”という発言もあった。

    小説というものの存在意義は何処にあるのだろう。
    あまりに難しすぎて、とてもいい加減なことは書けないけれど、ごくごく個人的な希望だけを言えば、ぼくは面白い小説が読みたい。

    面白いという言い方には語弊があるかもしれないけれど、読み終えて、心が豊かになる。カタルシスを覚える。感動の涙でむせび泣く。
    この本に出逢えて良かった。まだまだ人間も捨てたものじゃない。
    そんな気持ちを抱かせてくれる小説を読みたいと思っている。

    辻村さんの初期の作品群で抱いたぼくの感想はそういうものばかりだった。
    そして、そのような感動を覚える小説家の作品には、なかなか巡り合えない。

    だから辻村さん。
    今後もできるだけ多くの「白辻村」路線の作品を世に送り出して欲しいと願っているのです。
    そんな小説を読み終えたとき、頑張ろう、頑張って生きていこう。
    そう思えるような、優しい光が射し込んで来る気がするのです。
    これからもよろしくお願いします。<(_ _)>

    • 杜のうさこさん
      koshoujiさん、こんばんは~♪

      あけましておめでとうございます!

      待ってましたよ~!!!
      なんと4か月ぶりとは!

      ...
      koshoujiさん、こんばんは~♪

      あけましておめでとうございます!

      待ってましたよ~!!!
      なんと4か月ぶりとは!

      私も辻村深月さん、好きな作家さんなんですが、
      このレビューを拝見して、好きなんて言えるほど読み込んでないなぁって思いました。

      どちらかといえば遅読なので、
      読みたい本がありすぎて追われてしまうのも原因の一つなんですが。

      今年はもっと一冊々をじっくり読みたいです。

      素敵なレビュー、バンバン書いてくださいね♪
      期待度Maxです!

      今年もどうぞよろしくお願いします(*^-^*)
      2016/01/06
    • 杜のうさこさん
      koshoujiさん、こんばんは~♪

      業務連絡(笑)、了解しました~!
      いつもうれしい情報ありがとうございます!
      全然知りませんで...
      koshoujiさん、こんばんは~♪

      業務連絡(笑)、了解しました~!
      いつもうれしい情報ありがとうございます!
      全然知りませんでした。
      どうもその手の情報に疎くて。
      安田成美さん、美しい演技派の方で良かったです♪
      楽しみですね!
      好きな作品が映像化されるのは、大歓迎なんですが、
      キャストが残念だと、がっくりしますからね。

      そして、
      >「このカードは認識できません」と機械は宣うのである。もう一度入れ直したが、同じことを言いやがる(交換機が)。

      この瞬間、またしても??と、わくわく(笑)

      >「ふざけるな!! グルルルル!!」と狼のように吠えたかったが、

      「吠えて下さい~~!」(笑)

      最近どうも、センパイのアクシデントに期待してしまう悪い癖がつきました(笑)
      完璧な人の”やらかし”が楽しみな、ギャップ萌えの悪魔です!(笑)
      2016/05/09
    • 杜のうさこさん
      キャー、センパイ!
      いいね!ありがとうございます!

      「あんこ好き仲間増殖計画」にご協力くださったんですね(笑)
      ためしに、センパイ...
      キャー、センパイ!
      いいね!ありがとうございます!

      「あんこ好き仲間増殖計画」にご協力くださったんですね(笑)
      ためしに、センパイもビールのおともに、
      あま~いあんこいかがですか?^^
      2016/05/09
  • 帯に書かれている『子どもを、返してほしいんです」
    この言葉がかなり強烈で、頭の中で勝手に想像してしまっていた。
    「子どもを返してほしい」生みの親と「自分たちの子どもだ」と言い張る育ての親。
    いつの間にやらそんな想定が勝手に出来上がっていたのだが…
    当たり前だけど、そんな単純なストーリーではなかったのです。

    子どもを望んでも望んでも恵まれない夫婦。
    望まぬ妊娠をしてしまう女性。
    手放さなければ生きていけぬ事情を持つ女性。
    様々な立場の中で、もがき苦しむことは想像できる。
    欧米とは違って、「血」や「家」を重視する風潮がまだまだ強い日本。
    養子を迎えるという選択はものすごくハードルが高い。
    特別養子縁組。
    言葉は聞いたことはあるし、TV番組を見た記憶もある。
    しかし、ここまで深く考えたことはなかった。
    養子縁組は誰のためのものか?
    子どもが欲しくて欲しくてたまらないのに子どもに恵まれない夫婦のためのもの?
    育てられない女性のためのもの?
    否!
    そうではない!
    当たり前のことなのに…
    子どものための制度なのに…
    その考えが希薄になっている自分に愕然としたり…


    辛い不妊治療に耐えても子どもに恵まれなかった栗原夫妻。
    子どもを手放してしまった片倉ひかり。
    6年の歳月を経て、息子を巡って再びかかわりを持つことになった、夫婦とひかり。

    夫婦とひかりが出会うまでの道のり。
    生みの親、育ての親として再会するまでの夫婦とひかりの歩んだ人生。
    栗原夫妻の決意、覚悟。
    とても胸に響いた。

  • 冒頭を読んでママ友とかタワーマンション内格差とかそういうドロドロはちょっとなぁ...と思ったのですが、お話は全く別の方向へ。
    そういうお話だったんですね。

    不妊治療の末、養子を決意する夫婦と中学生で妊娠し我が子を手放さざるを得ない少女。
    双方の葛藤や決意が切なかったりやさしかったり。

    特別養子縁組については、まあ偏見とかいろいろきれいごとで済まされない問題もきっとあるだろうし、「普通」の子を「普通」の家庭で育てている私が是非を判断できる問題ではないけど、不妊治療に苦しむ夫婦が少しでも減って、望まない妊娠をする女性が少しでも減って、子どもを欲しい夫婦が子どもを持てる環境が少しでも整って、生まれてくるどんな命も救われる社会になって欲しいと思います。

    養子をもらった夫婦がとても毅然としていてもはや理想的な家庭を築いているのに対して、実母の少女は家にも居場所がなくなりもがいてもうまくいかない。
    中高生での妊娠なんて人生狂わすだけでロクなことがないってのが真理に近いと思うの。
    こういうことを美化だけは絶対にするべきではないから。

    国が「女性は22歳でいちばん妊娠やすくてそこから徐々に低下して30超えると可能性はぐんと下がる」的なことを少子化対策の一環として高校生に知識として与えるというようなニュースがありましたが、ほんとオジサンの考えることは...
    事実だけどさ、だから?ってなるよね。
    実際22歳で子供産んで生活していくのすごく大変なのに分かってるのだろうか。

    ちょっと話がそれたな。
    うん、結末もこれでいい気がした。
    これは物語だから皆ハッピーエンドなのがいちばんだから。
    私は基本的にハッピーエンド至上主義なので都合良過ぎでも現実ではこうはいかなくてもハッピーな方がいい。

    辻村さんがこういうお話を書くことがすごく自然になった。
    次も楽しみ。

  • 三人の穏やかな日常の幸せを噛みしめる様に暮らす栗原家。
    無言電話が掛かり始めたのは、ここ一ケ月の事だ。
    悩むと言う程の頻度ではないが、気持ちが良いものではない。
    ある朝、電話が鳴った。佐都子はまた…と、思ってた。
    しかし、幽霊の様に生気のない声がした。
    その女は「子供を返してほしいんです」と告げたーー。


    不妊治療との長く辛い闘いの末に、栗原夫婦が悩み苦しんだ末に
    選んだ道は、特別養子縁組だった。
    不妊治療の苦しみや葛藤、朝斗を迎える迄の複雑な心理描写が、
    丁寧に描かれていて、引き込まれました。
    また、物語の序盤佐都子が朝斗を信じる場面がとても印象的でした。
    そして、実母を名乗る若い女と対面での夫婦の姿に、
    人となりがとても良く表れていました。
    朝斗を産んでくれた小さなお母さんは、自分達と朝斗両方にとって
    大事な〝お母さん〟その大事なお母さんを軽んじたり
    貶めることは誰にも許されない…。
    そう思ってる二人が、素晴らしいって感動しました。

    中学生で妊娠し、産まざるをえなくなったひかり。
    すっごく特別な子かと思ったが、違ってた。
    家族への反発心や嫌悪感をもっている。
    でも、思春期には大きさは違っても心の内に抱く子沢山いると思う。
    やはり、辻村さんは思春期の女の子の内面の描き方がとっても上手。
    普通の子が少しずつ、そこからはみ出してしまう様子が
    息苦しい位、とっても丁寧に描かれていました。
    子供を手放した後、元の生活に戻るんだけど、
    彼女はある意味凄く正直で、真っ直ぐなんだって思った。
    だから、元の生活に戻れなかった…。
    彼女の母親や叔父の言動の無神経さ・浅はかさに本当に腹が立った。
    ありのままの姿のひかりと、しっかり向き合って欲しかった。
    幼くて、考えが浅くて危うくて…。
    彼女が転落の人生を歩んでゆく姿が何とも切なかった。悲しかった。

    終わりに光が見えてホッとしました。
    朝が来て良かったです。

  • 「命は大切」そんな生易しい話ではない。

    不妊治療の末に実子を諦め、特別養子縁組で子どもを持つことを決めた佐都子夫婦。幸せな生活に無言電話が掛かり始め…。

    読んでる途中、何度も胸が締めつけられ涙する。いろんなことを考えた。血脈とは、親になるとは、子を育てるとは。少子化や若者の貧困問題へもつながる話でもあると感じた。

    「母になるとは、強くなること」これは間違いないでしょう!

    辻村深月作品は目の前にその人が現れるようなリアリティがあるのだ、推したい!

  • 読み終えて一晩明けて、まだ余韻が残る。
    むしろ、時間が経つほどに込み上げてくるものがある。
    特別養子縁組をして迎えた子の物語だ、と読む前にどこかで聞いていた。構成の巧みさに思わず引き込まれたし、日本ではまだ馴染みの薄いであろう「特別養子縁組」についてとてもリアルに感じられた。
    何よりも心を動かされたのは、子どもが、かけがえのない子どもこそが暗い世界を照らす希望であり、尊いものだという祈りのような、願いのような、なんと言葉にしていいかわからないけれど深い感謝や愛情の念に溢れていたことでした。

    未読の方には構成の巧みさも味わってほしい、と思うと、あまり内容を記載してしまうのもよくないかもしれない。なので詳細を書くことは控えるけれど、私にとっては身近で、気になるキーワードが盛沢山でした。

    「特別養子縁組」というと、別の世界の物語のようにも思うけれど、登場するのは実は、自分たちと大きく違う人たちではない。
    一歩違えば、私もそうなりえた。
    それは、いいとか悪いとかではなく、一歩違った先には違う人生があった、という当たり前のことに過ぎない。
    歩みを進める先には、偶発的な様々な出来事が待ち受けている。その一歩が後々の人生を大きく崩すこともあれば、輝かせることもある。その積み重ねが、私たちの日々なのだと思う。

    「特別養子縁組」というものについて大事なことを1つ書くとすれば、それは子どもがほしい親が子どもを探すためのものでなく、子どもが親を探すためのもの。つまりは子どもの福祉のため、という点です。
    私は仕事柄、特別養子縁組で子を迎え入れた人も、子を託した人も、またそこを繋ぐ機関である民間、行政の人たちも知っている。民間など特にお金が介在すると知った人から「人身売買じゃないか」なんて言われてぎょっとしたりもしたけれど、特別養子縁組を通して救われた人がたくさんいることは揺るぎない事実なのです。

    望んでも子ができない、予定していないのに妊娠してしまった、自分たちではどうにもならない、と思える局面に遭遇したときに、一人で抱えて辛い日々を過ごすのではなく、相談しながら前向きな未来に向けて歩んでいける日々があるといいと思う。
    暗いトンネルのような日々の先にも光がある、ということがどれだけ救いになるか。すべての子どもたちが幸せであるといい、という祈りにも似た想いで胸がいっぱいです。

    • ほくほくあーちゃんさん
      とてもキレイな感想で思わずコメントさせていただきました。
      まさしく、「子どもが親を探すため」の制度が特別養子縁組ですね。
      私は不妊治療の中で...
      とてもキレイな感想で思わずコメントさせていただきました。
      まさしく、「子どもが親を探すため」の制度が特別養子縁組ですね。
      私は不妊治療の中で何度もダメで、特別養子縁組も考えました。
      今思えば、子どものことよりも自分のことしか考えてなかったなぁーと思ってます。
      結果、子どもは授かることができましたが、今でも特別養子縁組のことは頭の中にこびりついてます。
      少しでも、子どもたちが幸せに暮らせたら本当にいいですよね!!
      文章になっておらず、すみません( ;´・ω・`)
      2021/08/18
    • yocoさん
      素敵なコメントありがとうございます!
      本書にも書かれていたような里親さんたちが特別養子縁組をした経緯や近況など話された「里親講座」なるもの...
      素敵なコメントありがとうございます!
      本書にも書かれていたような里親さんたちが特別養子縁組をした経緯や近況など話された「里親講座」なるものに参加したことがあるのですが、参加者も里親さんも含めて子どもがほしいけどなかなか授からない…という方が多かったです。
      入口は何にせよ、特別養子縁組をするまでには行政でも民間でもそれがどういうものなのか知る機会はありますし、実際幸せになっている子がたくさんいることを思うと、大事な制度だなぁと思います。
      子どもの家庭体験等のために、週末だけお子さんを預かる週末里親、なんてものもあったりして、私も不妊治療を経て妊娠中でしばらく余裕もなさそうですが、いつか自分にできる何かができたらいいなぁ、なんて思ったりもします。
      私もうまくまとまっておらずですが、フォローを含めてどうもありがとうございました。今後もよろしくお願いします(・w・。
      2021/08/18
  • ひかりさんの人生は読んでいてホント辛かった。
    最後に見つけてくれた時は涙が出た。
    ありのままの、1人の人として受け入れてもらえるということが、どれほど有難くて、貴重なことか、と思う。
    血の繋がりとか関係なく、分かり合える人は分かり合えるし、家族でも、自分の考えを押し付けるだけしか出来ないままの人もいる。
    こうのとりのゆりかごの本を数ヶ月前に読んだので、リアルに読めました。

  • 平和に暮らす三人家族のもとに一本の電話がかかってくる。
    「子どもを、返してほしいんです。」

    後半部分、気の毒でかわいそうで読むの辛かった。号泣。


  • ひとりの少女と、少女が産んだ子どもを養子に迎えた40代の夫婦の物語。
    冒頭から引き込まれ、一日で読み終えた。

    様々な家族を通して、血のつながりってなんだろう?と思った。

    養子縁組という制度に違和感を感じる主人公夫婦の親世代。
    「我々夫婦ももとは他人同士」と腹を括り、育てる決意をする、養子を迎えるある夫婦。
    正しく生きることが普通であると考え、そこから頑なにはみ出せない少女の親。
    そして、自分にはお母さんと産んでくれたお母ちゃんがいる、育ててくれている両親を信頼し、心のどこかでお母ちゃんのことも忘れない6歳の子。

    心が荒んだり洗われたり、忙しい小説だったな。

  • 子どもの頃は生まれたらそこに家族があった。
    大人になった今は自分で結婚、出産、不妊治療、住居、仕事、、、生き方を、自分で選んで、自分で決めていく。
    決断をする人たちの物語だと思った。

  • 苦しい苦しい話だった…

    ママ友トラブルから始まったと思いきや、息子の朝斗は養子で、夫婦の元へ産みの親が脅迫してきたところで朝斗を迎えるに至るまでの話になった。
    35歳になっても子供がいない夫婦のことを女親は無自覚に土足で踏み込み、心配している、あなたのためという印籠を見せて傷つける…
    読んでて苦しかった。
    次は、14歳で朝斗を産み、特別養子縁組に出したひかりの話。
    幼いなりに色々なことを考え、感じているのに、養子縁組の団体以外誰も寄り添わず、傷つける大人たち。子供を所有物のように、思いと逸れると失敗作のような対応をする母親。
    ひかりを心配しているのではなく、世間体を心配している…。そのことを責めて、ぶつかり合えばいいのに…ともどかしく思う。
    家出して、必死に働き、誰も頼れないのに、騙されて勝手に保証人にされ、相談する人がいないから逃げることしかできない…。

    でも、救われたのは朝斗を育てる夫婦がとんでもなく良い夫婦だったこと。朝斗の母は朝斗を信じておおらかに包んでいる。朝斗の父も朝斗を大事に思って、決して妻任せにしない。向き合い、寄り添い合う家族だったこた。
    そして、ひかりがそんな家族に脅迫しに行ったことが良かった。

    途中、あまりに苦しくて読むのやめようかと思ったけど、読み切ってよかった。最後の数ページで救われた。

  • 映画公開前の予習です。里親も特別養子縁組も諸外国から遅れをとる日本。そんな世間に押しつぶされることなくまっすぐに生きる栗原親子。中学生で出産することになったひかりのその後は...。河瀨直美監督がこの作品をどう仕上げたのか、10月23日が待ち遠しい...。

  • 4.3
    泣けました。
    自分の子供は娘ですが、もう一人欲しかったけど一人娘です。なので、
    ついつい重ねて読んでしまいました。
    守りたい親心と理想を求めたくなる親心も両方分かり、逃げたくなるひかりの気持ちも分かり、
    面白かったか?と問われれば微妙ですが、インパクトがありしばらく忘れられない一冊になりそうです。
    衝撃的ではありましたが、感想が上手く言葉にできません。
    一読の価値は大いにあると思います。
    ラストが好きです。

  • ハラハラしながら読んだ。10代には重すぎる現実を抱えて、必死に生きてきたひかりを思うと、涙が出た。彼女の心境はとってもリアルで心が痛かった…
    救いのあるラストのように思えたけど、どうなんだろう。これから先彼女が幸せに生きていけたらいいなと願わずにはいられない。

  • 立場の違う2人の女性の人生の葛藤の中にそれぞれ不妊治療から養子縁組、若年齢妊娠・出産という大きなテーマが盛り込まれており、大作な気がします。また、辻村深月さんの新しい一面を知ることが出来ました


  • 2つの家族の間の特別養子縁組の話。

    子を望む夫婦の子を授かれない苦悩は辛かったけど人としても親としてもできた夫婦
    幼稚園のトラブルは胸がキューっとなってしまった。我が子を信じる。信じるっていうのは正しいか正しくないかだけではなくて、もしかして正しくないかもしれない。でもそれごと受け止めて子や世間と向き合う覚悟。
    もう一つの家族、ひかりが望んでいたものが全てそこにあるんだなと感じた。

    ひかりパートでは、10代では色々なことに反発して大人びた行動していたにもかかわらず、終盤20代になったひかりの幼さ、惨めさに私がショックを受けてしまった。

    どちらの通ってきた道も辛く、そしてお互い別の方向から朝を迎えた。そのまま暗いトンネルに戻らず抜けて行って欲しい。リアルも間違った方向に進むことがあっても、人と人、助け合いながら暗いトンネルから抜けられる希望ある世の中であってほしい。

  • 穏やかに暮らす夫婦と子供一人の家族。日々ささやかな問題は起ころうとも平和といえる日常。そのさなかに掛かってきた一本の電話が、さざ波を立てる…

    という出だしで始まりますが、その電話によってもたらされる動揺や困惑が綴られる物語ではありません。電話を始点として、かかわる二人の女性の過去がそのまま綴られていきます。二人の生き様を丁寧につづった、物語でした。

    「現在」は幸せな家庭を営んでいる妻は、かつて結婚して不自由なく暮らしていたはずが、いつのまにか子供を持たなければいけない、という強迫観念に近いものにおびやかされる日々へと変わっていっていた。そのなかで出会った「特別養子縁組」によって、妻は、夫婦は救われていくことになる、という養子を迎えたほうの女性の物語。
    そしてもう一つが、電話を掛けざるを得なくなる、子供を産んだ実母の物語。中学生の身で身ごもった彼女にいったい何が起こったのか。彼女の視点から描かれるのは、あまりにも幼い自覚と、思春期ならではの周囲への反発、初めて覚えてはまってしまった恋愛の沼。愚かだと一言でいえるかもしれない彼女の行動はけれど、ではどこで引き返せば良かったのか、と問われると、どれもが繋がりあっていて、立ち止まるにはとても難しい大きな流れに彼女はいつしか、乗ってしまっていた。

    そのやるせなさがつらく哀しく、希望がはらはらと剥がれ落ちていくばかりな人生は、あまりにもむごい、と思わされました。

    そうして二人の人生が交錯して迎えた物語の終盤には、かすかな救いがもたらされます。といっても、それはほんとうに淡いものです。けれど、いつしかきっと、彼女にも「朝が来る」ことを祈ってやみません。

    そういう「祈り」を読むほうへもたらせてくれる、美しいラストシーンでした。

  • 子供を産んだけど育てられない母親と、特別養子縁組でようやく子供を授かった母親。両者のサイドから物語はつづられていく。文章は淡々と語られており、分かりやすく、この作者さんは学園物のイメージが強いだけに意外だった。
    ただ、「子供を返してください」のキーワードに自分が勝手に振り回されて、ミリテリーだと思っていたので、終わり方はちょっと微妙・・・

  • 長く、苦しい話だった。
    早都子とひかり、2人は全く異なる立場だけど、それぞれの苦しみや葛藤等、その心情が本当に実在する人物のように描かれているのがすごい。とてもリアルで、こちらの感情も彼女達に引き込まれていく。

    物語後半、ひかりの話は読んでいて辛かった。
    でも最後の最後、白くて強い光が、ひと筋差し込んだような情景が目に浮かんできた。まさに、朝が来たような。
    その後どうなるのかは分からないけれど、少なくともそのひと場面において、ひかりの気持ちは、確実に、少しでも、救われたんだと思う。そうであってほしい。

    読み返したいかは別だけど、苦しいながらもどんどんページをめくってしまう、そんな力がある話だった。

  • おすすめされて読んだ辻村深月さんの本

    テーマは重くともすらすらと読めてしまうのが辻村さんの凄いところ
    読んでいて
    最初から間違ったことをしていたわけではないのに周囲の道徳感情で決めつけられていくのが辛かった

    同時に自分自身とも重ねてなんとも言えない罪悪感にも駆られる

    染み込んだ価値観ってなかなか消えない

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著者プロフィール

1980年山梨県生まれ。2004年『冷たい校舎の時は止まる』で第31回メフィスト賞を受賞しデビュー。11年『ツナグ』で第32回吉川英治文学新人賞、12年『鍵のない夢を見る』で第147回直木三十五賞、18年『かがみの孤城』で第15回本屋大賞を受賞。『ふちなしのかがみ』『きのうの影ふみ』『ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。』『本日は大安なり』『オーダーメイド殺人クラブ』『噛みあわない会話と、ある過去について』『傲慢と善良』『琥珀の夏』『闇祓』『レジェンドアニメ!』など著書多数。

「2023年 『この夏の星を見る』 で使われていた紹介文から引用しています。」

辻村深月の作品

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