羊と鋼の森

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (243ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163902944

感想・レビュー・書評

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  • 2016年 本屋大賞 受賞

    ピアノは弾けません。
    「ド」がどの鍵盤なのかも知りません。

    なんですが、
    鍵盤を叩けばハンマーが動き、
    弦を打って音が出ることは知っています。
    その動きが美しいことも知っています。

    非常に興味深く読みました。

    ピアノって名の箱。
    極めて小さい内部空間が、
    無限の広がりを持った。

    本書の感想では無いが…

    自分の中のイメージ。
    スケールでかくなった。

  • 本を閉じれば余韻に浸れるような、最初から最後まで心が浄化されるような、本当に綺麗な本だった
    タイトルがピアノをmade byで表していて、そのピアノをまるで大自然の1部であるかのように表現する。
    その表現をする人が、田舎暮らしの、特に強みもない男の子だが、町立に魅了されて1本の人生をあゆみ出すのもとてもピアノの魅力に引かれた
    https://t.co/RocQOLijU3

  • すごく美しいかった。文章も、物語も美しくキラキラしていた。
    「たとえば、実家にいる頃ときどき祖母がつくってくれたミルク紅茶。小鍋で煮出した紅茶にミルクを足すと、大雨の後の濁った川みたいな色になる。鍋の底に魚を隠していそうな、あたたかいミルク紅茶。カップに注がれて渦を巻く液体にしばらく見惚れた。」
    「森の中で、熟した胡桃がほとほもと降る音。木の葉がしゃらしゃら擦れる音。木の枝に積もっていた雪が解けてちょろちょろ流れ出す音。」
    言葉にできない日常の風景を大切に紡ぎとっている感じがとても心地よかった。

  • ピアノとの寄り添い方が変わった本。

  • これはいい本です。

    心温まる鳥肌本ですね。

    『極める』ってなんなのか?

    極めたって誰が決めるの?

    たぶん答えは果てしない。

    終わりなんてないし、
    自分で折り合いをつけて、
    自分で評価して、
    誰かに褒められて、

    これでよかったのかって気づくんですよね。

    森の入口はどこにでもあって
    大事なのはどうやってその森を進んでいくのか。

    答えなんてないから
    叶えたい夢が叶わなかっても
    また次の夢に出会えるんですよね。

    スモールワールドの中の
    ふかーいピアノ調律師のお話でしたー!

    ほっこりしたい方におすすめです!

  • たったいま読了。ラストへ迫るにつれて、泣きっぱなしだった。美しく、朝露のような儚さが、絶対も、正しいも、役に立つも、無駄も外されて変わっていく過程。ピアノの森の中で必死に迷いながら揺れながら、やさしく、強く生きていく理由。
    きっと、これから礼儀や社会のルールを知って、おいしくなっていく。どんなに小さなものだろうと、たった一つのものをきちんと創り上げることに捧げられた人生は、すごいと思う。若き日の好奇心、開かれた心、子供のころの常に知りたがるあの感覚、そこに生まれる関係性、なんとなく小さな目標がぼくを導いていくんだなと思った。

  • ピアノ調律のお話。
    無知でも読めるいっさく

  • 何だろう、調律師の話だとも知らず手に取った本だったけど、すごく惹き込まれて読んだ。

    ピアノの調律師との偶然で運命的な出会い、きっとそういう出会いは世の中にある。素直にそれに向かって成長する姿に、心を打たれた。色々悩んだり悔しい思いもするけど、周りの先輩にも恵まれて、いいお客様にも出会えて、良かった。これからどんどん素敵な調律師になっていくんだろう。

    納得の本屋大賞でした。

  • >無数の星々の間からいくつかを抽出して星座とする。調律も似ている。世界に溶けている美しいものを掬い取る。その美しさをできるだけ損なわないようそっと取り出して、よく見えるようにする。

    静謐な文体と比喩のミルフィーユが独特の世界を醸し出していた。私は数学は苦手だけど、数学的な美なるものを感じた。
    例えば絵を描くとき、どこまで描いたら「完成」とするのに画家は頭を悩ませる。
    数学も、パキッと割り切れるようでいて、案外割り切れずにどこまでも延々と続く深淵がある。
    調律という仕事にも似たような面があるのだろう。
    ピアノを弾くとき、演奏者は絶対的な孤独の中に身を置いて、その場限りの狭い狭い世界を支配する。演奏者に向けて、客に向けて、音がポーンと真っ直ぐに届けられるよう、影から支える調律という仕事のストイックさがずしりと胸を打った。

  • 2016年の本屋大賞受賞作。
    2018年には映画化もされてるけど、完全に初見・前情報無しで読みました。

    非常に、良き!! 1つのことに誠心誠意向き合うことの素晴らしさを感じられた。
    この感覚は『舟を編む』以来だと思う。

    タイトルが良いです。
    読んでみて意味がわかる。

    ここ数年の流行りの「もしも野球部のマネージャーが〜」みたいなのは嫌いなので、本のタイトルのお手本って感じ。

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著者プロフィール

1967年、福井県生まれ。上智大学文学部哲学科卒業。2004年、第3子妊娠中に書いた初めての小説『静かな雨』が、文學界新人賞佳作に入選。07年、長編小説『スコーレNo.4』がロングセラーに。13年4月から1年間、北海道トムラウシに家族で移住し、その体験を『神さまたちの遊ぶ庭』に綴る。16年、『羊と鋼の森』が本屋大賞を受賞。ほかに『太陽のパスタ、豆のスープ』『誰かが足りない』『つぼみ』など。

「2018年 『とりあえずウミガメのスープを仕込もう。   』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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