山崎豊子先生の素顔

著者 :
  • 文藝春秋
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感想 : 9
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  • Amazon.co.jp ・本 (283ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163903057

作品紹介・あらすじ

『白い巨塔』『華麗なる一族』『大地の子』『沈まぬ太陽』『運命の人』……。現代のタブーに迫り、戦争と平和を問い続けた国民的作家・山崎豊子。その素顔と創作の現場を、52年間支えた秘書が明かす。「秘書、求む」の張り紙を見て訪れた先は、「あんさん、二、三年持ったらええほうでっせ」と怖れられる女性作家の家――。それが、山崎豊子という渦潮に巻き込まれる歳月の始まりだった。「意見なき者は去れ」が信条の作家は、新人秘書にも絶えず感想を求め、小説をめぐって熱いバトルが続く。「小説はテーマで50点」などの小説作法から取材秘話まで。「文藝春秋読者賞」受賞の回想録に大幅加筆した決定版!

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  •  1939年生まれ、野上孝子さん。大学の掲示板に「秘書、求む」の張り紙を見つけて応募。1962年大阪女子大卒業後52年間、山崎豊子が亡くなる(2013.9.29、享年89)まで秘書として勤務。「花宴」「不毛地帯」で盗用事件に晒された山崎豊子(私は知りませんでした)に対し、秘書として山崎豊子の真実の姿を描き、人間性、作家魂を伝えるために書いた回想記とのこと。「山崎豊子先生の素顔」、2015.8発行。山崎豊子さんは「きらめく星座」「雨のブルース」「人を恋うる歌」の3曲が好きだったそうです。

  • 好きな作家は?と問われたら間違いなく筆頭に出てくる。就職活動を始めたころ、総合商社に行きたくてOB訪問をしたときに不毛地帯は読んだか?と聞かれて、何の話しか分からず怒られた。帰り際に買って貪るように読んでからすっかりファンになり、そこから一期に全シリーズを読破。再読する数少ない作家。

    そんな山崎豊子さんの秘書を50年近く務めた筆者の回顧録。あのシリーズにこんな秘話があったのか?と新鮮な気持ちで作品と向き合う時間をくれた一冊。間違いなく一度作品を読んでいるほうが圧倒的に共感と感動を覚えるが、ダイジェスト版としても役にたつかもしれない!

  • 女子大卒業後、山崎豊子氏の秘書として52年間従事した野上氏による山崎豊子の回想録。秘書に採用された経緯から、事件に巻き込まれた作品とその時の事情や状況、名作ぞろいの作品を執筆するまでの壮絶かつ緻密、時間を費やした取材やインタビューの裏側と実相が綴られている。

  • まず気をつけねばならないのは、山崎豊子の主要作品のあらすじと結末が、所々で明記されてしまっている事。未読の読者には完全にネタバレになっており、これから読むつもりの人は其処を読み飛ばさざるを得ない。もう少し配慮して欲しかったところ。

    ただ既読の読者にとっては、作中の具体的な出来事に対するエピソードとして興味を持って読める。全体的には、山崎作品が好きな人には面白く読める回想録になっており、圧倒的な取材量、人脈、取材旅行は、これらがあってこそのあの大作なんだと感慨深くなる。間近で見てきた秘書ならではの、作家のバイタリティ溢れる逸話も楽しかった。

  • なぜ、長きに渡って秘書業が務まったのかという疑問は解けぬまま。

  • 山崎豊子の小説は大好きだが、これほどまで周りを巻き込んで、関係者総出で実地調査されていたとは知らなかった。彼女は小説家であり、正義のジャーナリストでもあったのだなと改めて感じる。そのうち、彼女の生涯がドラマや映画化されるかもしれないなあと思ったり。こんなに熱い人は最近なかなかお目にかかれないが、日本の昔の男性以上に男気のあるパッションの塊のような人だったんだなと感じ入った。

  • 山崎作品の制作の裏側を知ることができて、とても面白かった。「白い巨塔」のタイトルが生まれるまで、「メスとハサミ」という案もあったとか。(山崎先生が即却下、提案してきた編集者に激怒)

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