ギブ・ミー・ア・チャンス

著者 :
  • 文藝春秋
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本棚登録 : 392
感想 : 84
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  • Amazon.co.jp ・本 (326ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163903507

作品紹介・あらすじ

「人生やりなおしたい!」と思ったことありませんか。でも、夢を追い続けるのも楽じゃない。人生の転機を迎えた人々の悲喜こもごもを掬いあげる、笑いと涙の「再チャレンジ」短篇集。若年性アルツハイマーにかかった中年男性とその妻の日々が感動を呼んだ『明日の記憶』、クレーム係への左遷されたサラリーマンの奮闘ぶりが、口コミで話題となった『神様からひと言』、東北の古民家へと移住した一家の再生を感動と笑いを交えて描く『愛しの座敷わらし』など、人生のターニングポイントを迎えた人々の悲喜こもごもを、見事に掬いあげる名手、荻原浩が描く、「仕事」と「再チャレンジ」をテーマにした短編集。全八編。尾行しても、すぐに気づかれてしまう残念な元相撲取りの探偵「探偵には向かない職業」、超人気連載マンガのアシスタントを務めながら、連載の終了におびえるマンガアシスタントの苦悩「夜明けはスクリーントーンの彼方」テレビに出る夢をかなえたい……こどもの頃を夢に突き進む元柔道少女「追いしれの国の女王様」CAからグリーン車のキャビンアテンダントに転職した女性の奮闘「アテンションプリーズ」小柄ゆえ不人気ゆるキャラ「たけぴよ」の"中の人"に決まった若手公務員の「たけピヨサイドストーリー」営業のドサ回りをする売れない演歌歌手の本当の夢「冬燕ひとり旅」夫の殺害方法を考えながらミステリー新人賞に応募し続ける妻「リリーベル殺人事件」。相方を失っても、コンビニのバイト中にツッコミ練習を続けるお笑い芸人「ギブ・ミー・ア・チャンス」

感想・レビュー・書評

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  • 夢を叶えようとする人たちが、挫折や失敗を繰り返しながらも前を向こうとする話を8編集めた短編集。

    それぞれの主人公は、夢を叶えるには年齢的にも才能的にも難しそうな人ばかりで、厳しい現実にさらされる。
    それでも、一発逆転を狙って背水の陣で進もうとする姿は、時には痛々しくもあるけれど、心からがんばれと応援したくなる。
    辛い経験が結果的に吉となり笑いに代わる元相撲取りと、ロックバンドのボーカルから売れない演歌歌手となった女性の話が、とくに印象に残った。

    現実の世界において、どれほど涙ぐましい努力を重ねても、それが報われるとは限らない。それでも、くじけずに前進しようとする姿勢は貴重であり、たとえ成功はしなくても得るものは大きい。
    どの話にも、わずかながらでも希望の光が灯っているところに、弱者に対する作者の優しさや温かみが感じられる作品集だった。

  • 夢を追うのも楽じゃない。
    それでも、挑み続ける人の姿を描いた8編の短編集

    ・探偵には向かない職業
    ・冬燕ひとり旅
    ・夜明けはスクリーントーンの彼方
    ・アテンションプリーズ・ミー
    ・タケぴよインサイドストーリー
    ・押入れの国の王女様
    ・リリーベル殺人事件
    ・ギブ・ミー・ア・チャンス

    尾行してもすぐ気づかれてしまう残念な体重153㌔の元相撲取りの探偵。
    ロックバンドのボーカルからアイドルデュオそして今は売れない演歌歌手。
    超人気連載漫画のアシスタントを務めながらデビューを夢みる青年。
    国際線のCAだったが、今はローカル列車「みかん号」のCAの女性。
    小柄ゆえに不人気ゆるキャラ「タケぴよ」の中の人に決まった公務員。
    バラエティタレントが夢だが、仕事は街頭キャンペーンガールばかりの女の子。
    小説家志望の専業主婦。
    お笑い芸人が夢の青年。

    どのお話の主人公達は何らかの挫折だったり、苦悶だったりがある。
    ここは、自分のいる場所じゃないもっと輝きたいって思ってる。
    目指す夢は異なるけど、その道でやって行きたいって頑張ってる。
    その姿が、その頑張りが痛々しかったりもするんだけど、
    その痛々しさも愛おしかったりした。
    必死なんだけど、悲壮感はなくって微笑ましかったり、笑ってしまった。

    世の中は、思い通りには行かなくって辛い事も多いけど、
    頑張ろうって思えた。
    夢を追うのは、人生を変えるのは楽じゃない!

  • 人生の再起をかけた物語。
    荻原浩のテイストがたっぷり詰まった短編集。笑いあり、でも、ちょっとホロっとしたり。それぞれの短編の主人公の先が気になるような、応援したくなるような、そんなお話。

  • 荻原浩さんらしい迷い道低空飛行から人生一発逆転に向かって行く連作短編。相変わらずユーモアがあるんですが、ちょっと現実が辛すぎてか、主人公が痛すぎてか共感できない話もあった。
    大体登場人物は自意識過剰で誤った方向に、そして懸命に模索しているのですが、なんだか吹っ切れる瞬間がくるのが爽快。
    その後、が光って見える終わりなのが好きでした。勘違い多めの低空飛行模索って冷静に見るとあれ?なんですが、そこが人として愛すべき所でもあるかもしれない…。吹っ切れるのも必死にあがいたからかもしれない、と思わせてくれる。個人的にはタケぴよが好き。

  • 探偵、演歌歌手、漫画家、CA、ゆるキャラ、モデル(女優!?)、作家、お笑い芸人とそれぞれ目指す職業は異なるけれど、その道でやっていきたいと頑張る人が登場。
    あ、ゆるキャラは流れでって感じだったか。
    「うまくいったのか」
    と聞かれれば
    「?」
    だけれど、それなりに道が拓けてきている雰囲気に救われる。一人くらい見ていてくれる人はいるもんだ。

  • 全編に流れる「仕事をなめるな」の思いが心地よい。

  • 評価は4.

    内容(BOOKデーターベース)
    「人生やり直したい!」と思ったこと、ありませんか?でも、夢を追うのも楽じゃない。それでも、挑み続ける人々の姿を描いた少しだけ心が強くなる短編集。

    短編集は話に入るにも時間がかかるし、折角のめり込んでもすぐに終わってしまうので少々苦手。
    個人的にこの作家の言い回しが好きなのでどの話も主人公の自分への突っ込みを楽しみながら読了。

  • 探偵には向かない職業
    ☆3
    荻原浩らしいサスペンスコメディ。
    久しぶりに読んでもこの笑いの取り方は荻原浩だなと思い出させてくれる。
    オチも秀逸。

    冬燕ひとり旅
    ☆5
    短い中でも多くの情報があり、売れない演歌歌手の悲哀を書いている。
    読後感が良い。

  • 元相撲取りの探偵。尾行も張り込みも苦労の連続だがーー「探偵には向かない職業」。

    元バンドのボーカルの演歌歌手。どんな営業でもこなすがーー「冬燕ひとり旅」。

    漫画のアシスタント。睡眠時間を削り限界を突き抜けた先に見たものとはーー「夜明けはスクリーントーンの彼方」。

    元キャビンアテンダントの車内販売員。スチュワーデスに憧れて入った夢の世界。はじき出された先にーー「アテンションプリーズ・ミー」。

    ゆるキャラの中身になった市役所職員。なんの取り柄もないはずの俺が着ぐるみを着て見た世界一ーー「タケぴよインサイドストーリー」。

    売れないモデル。懸命な努力もなかなか報われないがーー「押入れの国の王女様」。

    小説を書き始めた専業主婦。思うようには筆は進まない。出版社の営業の夫もアドバイスをくれるがーー「リリーベル殺人事件」。

    お笑い芸人を目指すコンビニ店員。相方すらおらず時だけが過ぎていくーー「ギブ・ミー・ア・チャンス」。

    人生捨てたもんじゃないと思わせる短編集。

  • 元相撲取り、売れない演歌歌手、プロ志望の漫画家アシスタントetc
    挫折を経た人たちの再起をかけたもがきを描いた短編集
    前向きにひたすら前向きに!
    そんな気持ちにさせてくれます

    特に好きなのは「冬燕ひとり旅」
    恰好いいぞ!

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著者プロフィール

1956年、埼玉県生まれ。成城大学経済学部卒業後、広告制作会社勤務を経て、フリーのコピーライターに。97年『オロロ畑でつかまえて』で小説すばる新人賞を受賞しデビュー。2005年『明日の記憶』で山本周五郎賞。14年『二千七百の夏と冬』で山田風太郎賞。16年『海の見える理髪店』で直木賞。著作は多数。近著に『楽園の真下』『それでも空は青い』『海馬の尻尾』『ストロベリーライフ』『ギブ・ミー・ア・チャンス』『金魚姫』など。18年『人生がそんなにも美しいのなら』で漫画家デビュー。

「2022年 『ワンダーランド急行』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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