戦争前夜 米朝交渉から見えた日本有事

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  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (254ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163903514

作品紹介・あらすじ

日本はすでに戦後ではない、戦前なのだ。安保の現実は沖縄を越え、全国規模になっている。安倍政権が目指した集団的自衛権は、果たして本当にこの現実に即しているのか?自衛隊が密かに持つ「日本有事3計画」をスクープ。また、ワシントン徹底取材で北朝鮮核問題の最前線を分析する。自衛隊㊙「日本有事3計画」日本有事その1朝鮮半島:北朝鮮軍の特殊部隊が難民に化けて上陸をはかったら?日本有事その2台湾:中国軍が、先島諸島まで攻撃を拡大したら?日本有事その3尖閣:中国軍が漁民に偽装して上陸し、退去に応じなければ?朝日新聞エース記者による、超インサイド・レポート!

感想・レビュー・書評

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  •  全体の半分を第一次・第二次北朝鮮核危機と米朝交渉に割いて「主食」とし、残りの部分で日米ガイドライン、尖閣問題、米韓、日韓等を「おかず」として雑多に盛り付けたようである。日本の安全保障の諸課題をまとめて把握するにはよかった。米を中心とする当局者へのインタビューも多いようで、臨場感あふれる記述もある。
     第一次核危機の時に「空爆していれば」という後の米当局者の声。枠組み合意は問題の先送りだったという評価。ブッシュ政権が発足当初から北朝鮮との対話に積極的であれば。金正恩よりも外交に関心があるという金正日がもう少し存命だったら。後から振り返ると北朝鮮の核・ミサイル開発の一層の進展や米朝交渉の停滞という現在の状況よりも少しは改善できていたチャンスもあったのかもしれないが、筆者自身認めるように北朝鮮にそもそも核放棄の意思はなかったのなら、結局のところ結果は同じだったかもしれない。
     書名や、金正恩体制の崩壊が早まっている、日本は「戦後」から「戦前」に移ったといった趣旨の記述は煽り過ぎかという気もするが、筆者の問題意識には頷ける部分もある。
     また、2015年10月発行の本なので、2年弱経った現在では状況が変わっているのが現在進行形の事象を描く難しさだ。それから北朝鮮は既に2回の核実験と多くのミサイル発射を行っており、国際社会には「慣れ」も出ているかもしれない。米国ではトランプ政権が発足し、対北朝鮮政策も対中政策も予測が難しい。また筆者は発行当時の日中・日韓関係の停滞に関し安倍政権を批判しているが、現在では単なる停滞というより不透明になっているようでもある。

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著者プロフィール

朝日新聞ソウル支局長。1965年、愛知県生まれ。早稲田大学法学部卒業後、大阪商船三井船舶(現・商船三井)に勤務し、1991年、朝日新聞社入社。瀬戸通信局、政治部、販売局、機動特派員兼国際報道部次長、全米民主主義基金(NED)客員研究員などを経て現職。著書に『北朝鮮秘録 軍・経済・世襲権力の内幕』(文春新書)、『戦争前夜 米朝交渉から見えた日本有事』(文藝春秋)がある。

「2017年 『金正恩の核が北朝鮮を滅ぼす日』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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