西洋菓子店プティ・フール

著者 :
  • 文藝春秋
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本棚登録 : 1683
感想 : 213
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  • Amazon.co.jp ・本 (254ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163904016

作品紹介・あらすじ

女を昂奮させない菓子は菓子じゃないスイーツは誰かの心を不意につかんで新しい場所へと羽ばたかせるスイッチ。下町の洋菓子店を舞台に繰り広げられる鮮烈な六つの物語。

感想・レビュー・書評

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  • 主人公の亜樹があまり好きになれなかった。お客さんを喜ばしたいという気持ちでケーキ作りに夢中になるのはいいのだけど、それだけではなあと思う。自分の事ばかりしか考えてない。というか、自分の事はわからないのかな?途中からそれにイライラしてしまった。祐介をもっと見て。周りをもっと見て。お客さんの喜ぶ顔が見たいという気持ちと同じ事なのに…。最後はそれに気付いてよかった。

    それに気付かしてくれたのは、おじいちゃんだ。おじいちゃんの言葉が毎回心に響く。ハッとさせられる。まるで私に言われているみたいだった。外見を見るだけではだめ。内面をよく見るのが大事。

    亜樹にイライラしてしまったけど、亜樹のパティシエとしての姿は好きだ。探求し続けて、いつか自分だけの特別なケーキを見つけてほしい。

    おじいちゃんのシュークリーム、亜樹のシュークリーム。私だったらどっちが好きかな?食べ比べたーい。

    食べ物系の物語はどうもダメ。食べたくなってしまう。今回は、どうしても食べたくなって途中でケーキをネットで注文してしまった。

    • なおなおさん
      メイさん、おはようございます。

      ケーキをネットで注文してしまったとのこと。
      面白いです。メイさん、可愛いです(^_^)
      ケーキはこれから届...
      メイさん、おはようございます。

      ケーキをネットで注文してしまったとのこと。
      面白いです。メイさん、可愛いです(^_^)
      ケーキはこれから届くのでしょうか。楽しみですね(^_^)/~
      2022/06/07
    • メイさん
      こんにちは、なおなおさん。

      ケーキ買っちゃいました。(^-^)明日、届く予定です。仕事も休みだし、美味しいケーキ、コーヒーでまったりしたい...
      こんにちは、なおなおさん。

      ケーキ買っちゃいました。(^-^)明日、届く予定です。仕事も休みだし、美味しいケーキ、コーヒーでまったりしたいです。

      今日、図書館に行って絵本のコーナーをいろいろ見てみました。なおなおさんの言われたとおり、お薦めの本は表紙が見えるように飾ってありました。私が読みたいと思った絵本が全部あったので、よかったです。また、おいおい読んでいきたいと思います。
      2022/06/07
    • なおなおさん
      メイさん、お返事をありがとうございます。

      ケーキは明日届くのですね。
      まったりタイムに同席したいです。こちらはこちらでやるとしますか…。
      ...
      メイさん、お返事をありがとうございます。

      ケーキは明日届くのですね。
      まったりタイムに同席したいです。こちらはこちらでやるとしますか…。

      メイさんが読まれる絵本も楽しみにしています(^_^)
      2022/06/07
  • 東京下町の商店街にある老舗洋菓子店「プティ・フール」を舞台に繰り広げられる6編の連作短編集…。菓子職人のおじいちゃんとお店を支えるおばあちゃん、そんな2人のもとで働く孫娘の亜樹、新米弁護士で亜樹と婚約中の祐介、亜樹に憧れを抱く元同僚の澄孝、澄孝のことが好きなネイリストの美波、お店の常連でシュークリームを買い込む美佐江…そして、沢山のスィーツもいい感じでストーリーに味わいを添えてくれます!

    普段あまり本格的なスイーツには縁のない私ですが、作中に出てきたスイーツを検索して、あぁ~これ!おいしそうっ♪みたいな感じでちょっと幸せな気持ちになりました!でも一番食べてみたいのは、おじいちゃんの作るオーソドックスなシュークリームだったりします…。

    ストーリー的には登場する人々が葛藤を経て、最終的には自分を認めてあげられるようになる…ような印象の内容でしたね。私的には亜樹は新しいものを「プティ・フール」に取り入れて自分のカラーを前面に押し出したい気持ちもわかるけれど、ここまでおじいちゃんとおばあちゃんが守ってきた伝統みたいなものも大事にしてほしいと思ってしまいました。まっすぐでぶれない気持ちを亜樹も美波も持っているけれど、美波を応援したくなりました。

  • いつまでも「女子」である20〜30代の女性のための本だった。
    髪も顔も服も手先も、うんとかわいくお洒落をして、そしてうんとお気に入りのパティスリーで美味しいケーキを食べて、楽しくて贅沢な時間を過ごしたい気持ちになった。

    甘くて、だけどほろ苦さもあって、少し酸味もある。まさに、人生や人間関係をスイーツに例えたような本だった。
    みんながみんなそれぞれ、「大事にしているもの」やこだわりを持っているのが良かった。
    それぞれ違うこだわりを持っているからこそ、気持ちがすれ違ったり、関係が変わったりする。

    シュークリームが食べたい。ピーチメルバも、エクレアも、フォンダンショコラも。ラム酒がうんと効いたスイーツも。あったかい紅茶つきで。

    話の中では「ロゼ」が好きだった。

  • 下町の西洋菓子店を舞台にした連作短編集。祖父の洋菓子店で働く””亜樹”を中心とした6つの片思いの話。皆、自分の気持ちを言葉にして伝えようとしないので、もどかしく感じました。

    本や章のタイトルから受ける、甘いイメージとは異なり、やっかみや嫉妬といった苦い感情表現が多いのが印象に残りました。片思いといえども、恋というには重い。仕事や立場も相まって、どんよりとした空気がたちこめます。それでも、各章の終わりには、各々が自分の気持ちに答えを見つけるので、少し晴れやかに。

    おじいさんのシュークリームのように、相手に寄り添う優しさを忘れないようにしたいと思いました。

    老舗の洋菓子店のケーキと、フランス菓子店が提供する本格的なケーキ。どちらもすごく美味しそうに描かれています。読んだら食べたくなるに違いありません。

  • 下町のケーキ屋さんを舞台に描く人間模様。
    ものすごく美味しそうなスイーツと絡めつつ、視点が変わるたびに文体も変わる連作短編です。

    寂れかけた商店街にある、昔ながらの西洋菓子店プティ・フール。
    懐かしい味のお菓子をきっちり作るじいちゃんの店に、
    本格的なスイーツを創作もする孫娘・亜樹が加わりました。
    店番には、優しいばあちゃんも欠かせない。

    子供の頃から祖父母の店が大好きだった亜樹。
    中学の時に美しい同級生と親友になり、魅入られるようなひとときを過ごした鮮烈な思い出。
    その子のために、初めて菓子を自分で作ったのでした。

    クールな先輩だった亜樹に憧れている若いパティシエの澄孝。
    亜樹が店をやめた後も気になって仕方がなく、勉強のためのケーキ屋巡りのついでを装って、亜樹のいる店を訪れます。

    澄孝のことが好きなミナは、ネイリスト。
    綺麗なものが大好きで、オシャレには気が入ってます。
    まったくの片思いと知りつつ、澄孝に付き合い‥?

    店の常連客の美佐江は、悩みを抱えている様子。
    店にあるお菓子を大量にまとめ買いしていく。おそらくは‥
    そんな買い方を亜樹は断りたい気持ちだったが‥

    亜樹の婚約者は、人のいい弁護士の祐介。
    大手事務所をやめて、今は商店街にある小さな事務所でご近所の人の愚痴を聞くことも。
    仕事に打ち込む亜樹に惹かれたのだが、しだいに亜樹との間にずれを感じて‥

    それぞれに大事にしているもの、打ち込むものがあり、その上での動揺や変化があります。
    軽薄にも見られかねない若い女の子ミナが、やりたいことがはっきりしていて、気持ちいいですね。
    うじうじしていた美佐江さんも、最後には?

    仕事一途な亜樹は職人気質というより、天才肌のアーチスト的な印象。
    まだ若くとんがっていて、時には周りが見えない。
    片思いの連鎖はわかりやすいけど、それで‥
    微妙にすっきりしないのがなんでかなと考えてましたが、この終わり方だと、亜樹自身が何をどう受け止めたのかがはっきりしないからかも。
    じいちゃんの指摘はキビシイけど、なんとも的確ですね。
    そんなじいちゃんの隣を歩いてきた、ばあちゃんの余裕も、とても素敵。

    亜樹の作る濃厚なスイーツを、特別な日に、優雅なお店で食べたい!
    ただ毎週食べたいのは、じいちゃんのシュークリームでしょうね☆

  • 祖父の西洋菓子店で一緒に働くようになった亜樹を中心とした6つの物語。
    ソフノ作る昔ながらの優しいケーキと亜樹の作る斬新なフランス菓子がうまく対比して、それぞれの主人公が抱える表と裏の部分を表しているようだった。
    お菓子の描写も繊細で、千早さんらしさを感じた。
    ラストは、ここで終わっちゃうの?という尻切れトンボな印象。

  • 昔ながらのケーキ屋さんを中心に短編集。
    定番と新作、おじいちゃんと孫。
    スッキリとはしない終わりかただけど、少し前向けそうな形。

  • まず、このカバーのデザインと色合いが涼やかで、とても気持ちがよかったです。

    そしてなぜか主人公の亜樹よりも、
    主婦・美佐江と、ネイルサロンで働くミナを応援したくなりました。

    次から次へと、美味しそうなお菓子が登場します。
    でも読んでいて一番食べたくなったのは、
    じいちゃんのやわらかい皮のシュークリーム。
    パティシエではなく、菓子職人だというじいちゃんが作る昔ながらのほっとした味。

    そういえば、有名パティシエの作った大人気のスイーツ、
    おしゃれで美味しくても、たまにピンと来なかったりするのって、そういうことなのかなぁ…。

    印象的だったのは、「夫婦は他人で作るものだと思う。」の一言。
    そっか…一見冷たく感じてしまうけれど、
    他人だからこそ感情的にならずに対処できることもあるんですよね。

    お菓子も人間関係も、甘くてやさしいだけじゃだめ。
    時に厳しく、互いに尊重し合えることが大事。
    このあたりまえのようなバランスが難しいです。

    そして、じいちゃんの上手をいくばあちゃん。うふふ。

  • 昔ながらのケーキ屋さんは私の地元にはないのですが、社会人として住み始めて2年目のこの街にはあります。
    繊細な味の芸術的なケーキではなくて、なんだかほっとする懐かしい味が食べたくなることってありますよね。
    お店は大きくないけれど、おじいちゃんパティシエの地元の人に愛される優しいケーキ。

    そのお店を思い浮かべながらこの小説を読みました。

    今年もモンブラン買いに行こうかなぁ。


    嗜好品ってのは、捌け口の対象になりやすい。
    けどね、どんな食べ物も口にする人の幸せを願って作られているんです。
    だから、楽しく味わってやって欲しい。


    We sometimes want to eat a cake which has a gentle taste.
    It makes me feel relaxed.
    We can be more kind to others when we have something sweet.

  • 洋菓子店を営む祖父と孫、周囲の人々、それぞれの視点で各章が描かれるオムニバス形式の短編集。

    仕事と結婚、恋愛感情、不倫と摂食障害、昔の秘密…登場人物たちの悩みや葛藤が丁寧に描かれている。

    めちゃくちゃ刺さるわけではないけれど、わかるなぁとじんわり響く、そんな感じ。
    軽くてサクサクと読み進められた。

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著者プロフィール

1979年北海道生まれ。2008年『魚神』で小説すばる新人賞を受賞し、デビュー。09年に同作で泉鏡花文学賞を、13年『あとかた』で島清恋愛文学賞、21年『透明な夜の香り』で渡辺淳一賞を受賞。他の著書に『からまる』『眠りの庭』『男ともだち』『クローゼット』『正しい女たち』『犬も食わない』(尾崎世界観と共著)『鳥籠の小娘』(絵・宇野亞喜良)、エッセイに『わるい食べもの』などがある。

「2021年 『ひきなみ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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