ねないこはわたし

著者 :
  • 文藝春秋
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本棚登録 : 542
感想 : 87
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  • Amazon.co.jp ・本 (125ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163904849

作品紹介・あらすじ

1969年に刊行されてから、いまだにあらゆる幼児に読み聞かせられる永遠の名作絵本『ねないこだれだ』。誰もが見覚えのある独特の貼り絵、そして夜更かししていた子どもが「おばけ」になって連れていかれてしまうという衝撃的なラストで、発行部数は200万部以上です。実はこの絵本はせなけいこさんのデビューシリーズ4冊のうちの1冊でした。当時37歳、2児の母だった遅咲きのデビュー作が、決定的な代表作となり、せなさんはその後も「おばけ」の絵本を描き続けることになります。その『ねないこだれだ』は、子どもを寝かしつけるしつけの本ではなかった、という驚きの告白からはじまる本書は、せなさんが初めて「自分のことを書いた絵本」。各章では、デビュー4冊の『にんじん』『いやだいやだ』『もじゃもじゃ』『ねないこだれだ』などを入り口に、その独特すぎる世界、画風、文体やアイデアの源泉、そして本と絵への愛情をつづっていきます。本書にはまた、貴重な貼り絵の原画の写真が満載。絵本作品ともひとあじ違う見え方で、さまざまな原画を楽しめます。誰もが知る名作はもちろん、絵本デビュー前の雑誌のカットまで、せなワールドをたっぷり楽しめます。子育てをした人、子育てをする人、絵本が好きなこども、すべての人へ贈る、自伝的絵本。各章の内容「ねないこ だれだ」:ねないこは おばけになって とんでいけ と言ったら、うちの子はなんと答えたか?「にんじん」:私は、にんじんが嫌い。せめて子どもには好きになってもらわなきゃ。そこで私がつくったのが……。「もじゃ もじゃ」:もじゃもじゃの髪の毛、細いしっぽ。紙をちぎって、切って、どうやって絵にするか、教えましょうか。「いやだ いやだ」:娘がいつも「いやだいやだ」と言うから、そのまま絵本にしてしまった。けれど、それは本当は、私の言葉だった。――などなど。

感想・レビュー・書評

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  • せなけいこの絵本は最高。何というか不思議でシュールなんだよなあ。せなさん自身「ためになると思って描いたわけじゃない。しつけの本でもない。おばけになって飛んでいきたかったのはわたしなの」と書いていて、その通りその通りと膝を打ちまくり。
    このエッセイはせなさんの自叙伝ぽいかな。小さい頃のことや自分の子どもをモデルにしていることも書いている。旦那さんは落語家だって!

  • 図書館の絵画の書架で見つけた。
    大人の本の中にせなけいこさんの絵本が紛れ込んじゃってるよ〜と気づき、でも知っているようで少し違うタイトルに二度見してしまったwww
    贅沢な本。全ページカラーで、絵本に出てくる貼り絵や原画、資料などが各ページに載っているんだもの…(^o^)
    「初めての『大人も楽しめる絵本』」だそうだ。
    せなけいこさんの絵本が好きな方や、お子さんと楽しんでいる方にオススメ。読み聞かせをするのに作者の想いを知っておくと、別の言葉も添えてもっと楽しい読み方ができるかも。ぜひ読んでほしい。

    作品が生まれた秘話、絵本作家になるまでの道のり、貼り絵の製作方法、使用する紙、紙を大切にしていることなど紹介されたエッセイのような絵本。
    話し言葉で綴られているので読みやすい。
    「あなたはどうかしら?」なんて読者へ問いかけがあるのも楽しい。
    動いているかのような生き生きとした貼り絵もこの本でたくさん見られて嬉しい。

    作品ができるまでの秘話をちょっと紹介。
    「ねないこだれだ」…しつけのためではない、怖がらせるつもりもなかった。おばけは怖い、でもかわいい、見てみたい。息子が友達になれるおばけを描いてみた。
    「にんじん」…私と旦那さんはにんじんが嫌い。うーん困った。息子には好きでいてもらわなきゃ。にんじんがどんなに美味しいか描いてみることにした。

    せなけいこさんが子どもや動物と向き合って、自身も子どもの世界を楽しんでいる様子が分かった。子どもと接する中で自然に生まれた作品というのも素敵だなと思った。
    そして子ども心を忘れない、優しくて可愛いらしい方だなと思った。
    ご高齢なので、元気でいてほしい。

  • 息子さんや娘さんを絵本に登場させていたが、大きくなると嫌がったそう。
    息子さんが妹さんに言った言葉に思わずウフフ。
    「いい子にしてないと、またママに本にされちゃいますよ!」

    せなけいこさんのおばけや子供たちがたくさん登場します。
    千代紙をちぎった切り口や、包み紙を使った和服の柄など、めくるページ全部素敵です。
    せなさんの語り口も、柔らかくて読み聞かせされているみたい。
    貼り絵を額に入れて飾りたいくらい素敵な世界です。
    子供がいなかったらめがねうさぎやおばけに出会えなかったと思うと、我が子たちに感謝!またおばけの本を読み返したくなりました。

  • せなけいこさんの絵本で育ち、せなけいこさんの絵本で子育てをした。久々に表紙のめがねうさぎとおばけを見て、懐かしさがこみ上げました。
    「大人も楽しめる絵本」と銘打った本書は、優しい語り口とたくさんの原画で構成された自伝で、そういえばせなさんのことを何も知らなかったなと今更ながら気付く。母に反発して女子大に進まず武井武雄氏に弟子入りし、ご主人は落語家さんだったなんて。ユーモアたっぷりの、あの懐かしい「せなけいこ」節は健在だが、行間から滲み出る、絵本作家としての情熱。
    「勇気だらけだった。だって他には何も持っていないもの。」
    シンプルながら心にひっかかる文章。もし完全大人向けの自伝だったら、きっと濃くずっしりとした内容になっただろう。それもいいだろうけど、本作のように漢字にルビを振り、絵本の雰囲気を崩さず素朴な文で生い立ちを綴った本書だからこそ十二分に読みごたえがある。
    ご主人が落語家ということで、落語が身近にあったおかげで絵本のアイディアが浮かんだとか。「落語の世界は、子どもの世界と案外近いのかもしれない」という一文には納得。他、お子さんとのエピソードなど、クスッと笑えるところもふんだんにあり、貴重な原画も含め、ファンにはたまらない。
    また、せなさんの絵本を読み返したくなった。

  • せなけいこ先生といえば、「ねないこだれだ」の、こちらをみてくるおばけが怖くて印象に残っている。

    この本を読むまで、恥ずかしながら、そんな「おばけ」が貼り絵で作られていることを知らなかった。
    貼り絵とは、紙を切ったり破いたりして、下地となる紙に貼って絵を完成させる技法だ。

    絵の具で描くことと違い、ちぎることでできる線のぼやけは、動物の毛羽立ちだとか、線の柔らかさを表現することができる。
    また、貼り絵の名の通り、立体的に見せることができ、絵具のように一気に描きあげなければならないという制約はない。しかし、思った通りにならないこともあり、それがおもしろいのだそう。

    子供向けの作品でも、作るのは大人だから、どうやって考えているのかがいつも気になるのだが、「子供の世界観に寄り添う」のが、せな先生流。

    だから、「ねないこだれだ」も、早く寝ないとお化けに連れて行かれてしまうよ、という教訓めいたことを描きたかったわけではない。
    子供の頃おばけが好きだったから、おばけに連れて行かれたいな、お化けの世界に行きたいな、という思いから作られたそう。

    絵の世界を解釈するときに、どうしても自分の経験というフィルターが入ってしまうから、作者の意図と違った捉え方をしてしまうこともある。

    もちろん、考え方は自由なので、感じたことは大切にするべきだが、どういう意図で作られたのかを知ることは、新しい発見になる。

    その発見が、違った世界へ連れていってくれることもあるのだ。

    …やはり絵本って素敵。めくったとき、見開き1ページに絵があると、びっくり箱を開けたような、わっと驚いた気持ちになれる。
    そんな、めくる楽しさ、冒険心をくすぐられるのがいい。

  • 『ねないこ だれだ』のせなけいこさんのエッセイ。
    『ねないこ だれだ』は、子どもへのしつけのために書いたのではなかった!
    『にんじん』は、せなさんご自身がにんじん嫌いだったので、子どもたちには好きになってほしいと思って書いた絵本。
    などなど、数々の絵本の制作話が読めてとても面白かった。

    完全にしつけのための絵本と思い込んでいたけれど、このエッセイの中の言葉
    「子どももけっこう大変ね。
    思い通りにならないらことがいっぱいある。」
    の通り、子ども目線で物事を見ようとするせなさんの姿勢が垣間見える。
    「ただ、子どもがよろこぶと思うから描いているのだ」
    それを知ってから、せなさんの著書を読むと、今まで親目線で読み聞かせていたのとは違う、子ども目線で楽しく読める。

    貼り絵もたくさん掲載されていて、目でも楽しめる大満足な一冊。

  • #ねないこはわたし
    #せなけいこ
    #文藝春秋
    #読了
    せなけいこさんの有名な絵本制作にまつわるエピソードなどが描かれる。どのページにも写真や貼り絵がある大人の絵本。こんな本、もっと増えたらいいのになあ。ページをめくるたびにワクワクした気持ちになった。

  • ロングベストセラー絵本の筆頭、「ねないこだれだ」「めがねうさぎ」などを生み出したせなけいこさんの自伝。原画展を見に行き、そのあたたかくやさしさに満ちた世界にすっかり魅了されて購入。絵が多く語り口調で読みやすい。
    貼り絵の素朴さがとてもいいし(子どもを見ながら作業するのに、絵の具よりもすぐ中断・再開できて適していたらしい)子どもの気持ちに寄り添うようなお話は時代に左右されずストレートでおもしろい。
    自分の子育てが終わった後は、公園や図書館を利用しながら・・・目の前で起こる反応を絵本に取り入れていった、というエピソードも。

  • 絵本の作成工程や、おはなしを考えてた頃の作家さんの心の背景まで見せてくれます。

    絵本とは、美術品としても優れていると、再認識した本です。

  • 「ねないこだれだ」、「いやだいやだ」や、めがねうさぎで有名な絵本作家せなけいこの自叙伝的絵本。19歳の頃、画業で身を立てるべく実家を飛び出してから18年、自分の息子、娘の読み聞かせ用に作っていた自作の絵本が、ふとしたきっかけで出版され、サンケイ児童出版文化賞を受賞したことで一気に人気作家の仲間入りをした。

    いかにも昭和一桁生まれらしい、ものを大切にする人で、それが後作においてもうさぎの服に同じ柄を使うことを可能にし、著者のアイコンとも言える柄となったという逸話は面白い。

    お兄さんが妹を「いい子にしてないと、またママに本にされちゃいますよ!」と言って叱る家は、きっと楽しい家に違いない。

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著者プロフィール

1969年生まれ。『新幹線しゅっぱつ!』(福音館書店)、『はしる! 新幹線「かがやき」』(PHP研究所)、『ごみしゅうしゅうしゃの ぽいすけくん』(岩崎書店)、『うちのくるまはバン!!』(アリス館)、『しゅつどう! しょうぼうたい』(金の星社)など多くの著書をもつ。『はこぶ』(教育画劇)が、第61回青少年読書感想文全国コンクール課題図書に選定されている。

「2023年 『せなけいこ ちいさなたまねぎさん ピクチャーパズル』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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