僕はこうして科学者になった 益川敏英自伝

著者 :
  • 文藝春秋
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本棚登録 : 58
感想 : 11
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  • Amazon.co.jp ・本 (230ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163904931

作品紹介・あらすじ

2008年にノーベル賞を受賞した著者の初の自伝。宿題を一回もしなかった少年は、いかにして世界に名だたる物理学者になったのか? 科学者を目指す人はもちろん、理系・文系の進路に悩む人にもお勧めです。「大してうれしくない」「バンザーイ、なんてやらないよ」 受賞の報せについ口をついた憎まれ口。実はノーベル財団からの電話が高飛車で、腹を立てていたのだった――。 2008年にノーベル物理学賞を受賞した物理学者・益川敏英氏の初の自伝。中日新聞・東京新聞での連載中から近年にない大きな反響を呼んだ記事を単行本化。 率直な発言の醸し出す自然なユーモアで人気となった益川氏が、いかに科学者となりノーベル賞を受賞したのか。その研究者人生を様々に愉快なエピソードを交えつつ、飾らない語り口で綴る。 1940年に名古屋市で家具職人の長男として生まれた益川氏は、科学や技術の雑学に詳しかった父親の影響で、科学に興味を持つ。しかし学校の勉強は大嫌いで、宿題など一回もやったことがなかった。次第に数学や理科は進んで勉強するようになるが、英語嫌いは今に至るも直っていない。英語の論文は書かないし、ノーベル賞受賞記念のスピーチも初めて日本語でやらせてもらったくらいだ。 高校の成績も悪かったが、新聞で名古屋大の物理学者・坂田昌一教授が発表した画期的な学説を知り、大学進学を決意。父親との大ゲンカの末に進学を果たす――。 同級生との激論や、思わず吐いてしまう暴言の影響などものともせず、益川青年は研究に取り組み、ノーベル賞を受賞することになるテーマ「CP対称性の破れ」に出会う。ほかに結婚30年目に知った妻の真実、湯川秀樹博士に意見したエピソードなど、数々の逸話が魅力的だ。 ノーベル受賞記念講演(日本語)も全文収録。

感想・レビュー・書評

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  •  ノーベル物理学賞を受賞した益川さんの自伝です。収録されている文章の初出は,2016年1月~3月まで『東京新聞』『中日新聞』に連載したものです。
     益川さんと言えば,受賞当時には歯に衣着せないもの言いで,なかなかユニークな談話を発表していました。ノーベル賞のスピーチの際に過去の日本の戦争に言及したところ「不謹慎だ」「賞になじまない」と騒がれたことをもネタにして,今の日本の危うさにも言及しています。そもそも「ノーベル賞」とは,ノーベル自身が発明したダイナマイトによる大量殺人を憂いた彼の遺産を元にできた賞であり,まさに,最初から平和を願う賞なのですから。
     好きなことができると夢中になるという勢いが,ノーベル賞を受賞するほどの業績を上げることに繋がったんだなあということがよく分かります。師匠である坂田昌一先生とのやりとりも面白い。坂田先生の早世は残念でなりませんが。

     小学校の宿題はせず,あげくに苦手な英語は捨て,大学院の入試試験でもドイツ語の答案を白紙で出した。研究者になって結婚してからも物理の謎解きと組合活動に明け暮れた。少し早く帰宅するようになったかと思えばオーディオに凝り,家じゅうにスピーカーを置いてクラシックばかり聴いていた。(p.212)

     だからといって,小学生から宿題をしない子とだけを真似をしてもダメだけれども,好きなことにとことん取り組む姿勢は,どんどんマネしてほしいです。

  • 軽妙洒脱な語り口で繰り出されるエピソードの面白さに引き込まれ、一気に読んだ。型にはまらない自由奔放さ、父親から知らずに受けていた科学者としての薫陶、得意分野に対する徹底した注力、大学での恵まれた交友環境等、ノーベル賞受賞へのセレンディピティの積み重なりを感じた。生き様としてのダイナミズムが素晴らしい。

  • <学生選書コメント>
    2008年にノーベル賞を受賞した著者の
    初の自伝。宿題を一回もしなかった少年は、
    いかにして世界に名だたる物理学者と
    なったのか?その物語が記された一冊‼  

  • 1つ1つの話が区切られていて読みやすかった。世界の最先端を行く物理学者がどのような道をたどって今に至ったかが書かれている。最後のノーベル賞の受賞スピーチを読むと、これまで読んできた厚いページがまとめられた話になっていて、最後だけ読んでも良いかも。スピーチ内は物理用語満載のため全部は読めないが…。
    井の蛙になるな!ドンキホーテになれ!

  • 最近、科学者のエッセイというか、自伝というか…こういうのを読むのが好き。

    私の人生にはなかった考え方。選択肢。

    いろんなことを知るって大事。

  • 益川先生の本は、以前、読んだことがあり、それと大きな違いはありませんでした。
    が、ノーベル賞受賞時のエピソードとして、ノーベル賞の連絡を受けたときの話は、益川先生らしいな、と思い、印象に残りました。

    今の時代、益川先生のような人は育ちにくいような気もしますが、本当にできる人は、どのような環境に置かれてもできるようになるのかも、と思ったりもします。

  • 289.1

  • 中日新聞・東京新聞に連載されたコラムをまとめたもの。
    易しい文章で書かれているので誰にでも読める。
    (ただし物理の専門的な事柄の理解は読む人の知識量に依る。)
    ノーベル賞受賞後に繰り返しTV等で伝えられたことではあるが、こうして本でまとめて読むと考えさせられるところがある。
    理系に興味のある中学生・高校生に読んで欲しい。

  • ノーベル賞の会見からも、とても魅力的な人だと感じていました。研究の内容はタイトルくらいしか分かりませんが、ユーモアあふれる人間性にとても好感が持てますね。

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著者プロフィール

1940年生まれ
理論物理学者

「2014年 『人生を考えるのに遅すぎるということはない』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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