なんでわざわざ中年体育

著者 :
  • 文藝春秋
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感想 : 55
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  • Amazon.co.jp ・本 (262ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163905358

感想・レビュー・書評

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  • 角田さんがボクシングジムに通っているのはだいぶ前から知っていたが、その後スポーツクラブに入会し、走るのが嫌いと言いながらランニングを始めたときは、ただただ「偉いなぁ…生真面目だなぁ…」と他人事のように思っていた。それがいつの間にかマラソン大会に出るまでになり、本書ではトレイルランニング、登山、ボルダリング、ヨガにまで挑戦している。角田さんがますます未知の世界に足を踏み入れているように感じていた。何しろすさまじい運動音痴の私、大好きな角田さんのエッセイとはいえ、この内容を楽しめるか不安な思いを抱えながら読み始めた…が、びっくり、意外とハマりました!
    色々な運動に挑戦の前半は、体験談という印象が強かったが、トレイルランニングやマラソンなど「走る」ことに軸を置いた後半は、どうやってタイムをのばしていくかという目標が明確になり、紆余曲折を経ながら少~しずつ成長していく過程が面白い!とはいえ、走る、登る、の苦しそうな描写はこちらまでしんどく感じられてしまい、ダメな人はダメかもな…。あぁ、私まで息苦しい~と辛くなってきたところで美しい風景の描写!活字を追いながら、苦しみも楽しみも疑似体験できるなんて、ちょっとビックリした。黙々と走るのが目的だと思っていたフルマラソンも、景色や沿道の応援、そして飲食を楽しみながら走ることができるなんて、初めて知った。ボルドーのワイン飲みつつマラソンなんて楽しそうだな~。ステーキとか牡蠣とか、おいしそうだった。
    本書きっかけでスポーツに開眼…はしないだろうけど、無縁だと思っていた世界の一部を覗かせてもらって、すごく新鮮でありました。

  • 角田さんはやっぱりすごい。
    かっこいい。
    マラソン大会で走っていて歩きたくなった時、「ここで歩いたら自分にばれる」と走り続けるそうです。
    かっこいい。
    怖いのは他人の目ではなく、お天道様でもなく、自分の目なのだ。
    負けない姿を自分に見せ続けることで、頑張り続けられるのかもしれない。

    マラソンはつらそうで、やってみたいなんて思えない。
    でも、ちょっとだけ、自分にも出来るのかどうか試してみたくなる。
    そんな本でした。

  • 走ることは楽しいけれど同じぐらい辛かったりする。共感満載!「旅先でランニング」の章が読んでいて一番楽しかった。こちら関西なので、手記にある興味深い山にはたぶん行けないだろうなというのが残念。

  • 「ぼくたちは習慣でできている」内で この本に言及していて、
    面白そうなので読んでみる。

    言わずと知れた人気作家である角田光代さんだが、
    10年以上マラソンを始めとした運動をしているそう。
    だが、運動が好きというわけじゃなく、
    いつも「やめたい、苦しい」と思いながらやっているのが面白い。
    かと言って、「健康になる」とか「体力をつける」とかが
    運動の目的ではなく、むしろそういうのがあるものには手を出さない。
    苦しいものしか続かないような感じでさらに面白い。

    とはいえ、毎週のランニングもほぼ欠かさないし、
    むしろフルマラソンとかも走っちゃうからすごいなぁ。

    私自身は300mくらいしか走れないけど(笑)
    以前読んだ「自転車で痩せた人」と同様、
    楽しそうだなぁと思うし、ちょっと身体を動かしてみようかなぁ、
    と頭をよぎったりする。
    逆に、嫌々やってるところが自分と同じ人種だから
    読んでてやる気がわくのかもしれない。

  • 読み始めて笑ってしまった。
    自分と全く同じ人がいる!!!と(笑)

    トレイルランをやったり、毎週必ず走ったり、フルマラソン5時間切り。ってところは、全く異なる(自分はやらないし、6時間すら切れない)が。。。

    まず、運動を始めたきっかけ。
    著者が、『30数年間、1度も積極的にやったことのない運動をはじめたきっかけは、失恋』と断言。
    そう、自分もフルマラソンに出るきっかけになったのが、まさにそれ(笑)

    そして、著者が『最初に断言するが、私は走ることが好きではない。』と、書いてある点。
    自分も、フルマラソンに出るようになって、いろんな人に「走るのが好きなんですね」と言われて、否定をすると「変なこと言う」と、言われ続けてきた(笑)そう、私も走ることが好きではない。

    走っている最中の「歩いちゃおうかな」の葛藤。
    あー、やっぱりそう思っている人が自分以外でもいるんだなーと。

    そして、旅先でのランニング好き。
    走ることは好きではないが、これは好きなのよねー。
    本末転倒なのだが、このためだけに、旅に出たくなるほど(笑)

    なんだか、読み終わって、仲間を見つけた様な感覚。
    まあ。。。そのレベルは段違いだけど。
    たぶん、自分も、走ることは好きではないが、これからもフルマラソンなんかにエントリーして、「なんでエントリーしたんだ。。来年は辞める」を繰り返すのだろうな(笑)

  • 巻末の”中年体育心得8カ条”が、貼り出しておきたいくらいつぼを心得ていてとても良い。

  • 角田光代さんの運動記録。ランニングをしてる友人たちの飲み会に混ざりたかったから自分も始めたという理由が面白い。
    そして一度始めてしまえば「嫌だ嫌だ」とぶつくさ言いつつなんやかんや辞めない、というのは私もそういうもったいない根性の持ち主なので似てるなぁと思いました。私はまだランニング始めて数ヶ月だけど、角田さんみたいに10年後も走り続けていたい。

    それにしてもレースの記録が細密ですごい。走りながら考えたことや感じたこと、目にした風景や身体の痛みなどなど、こんなにも覚えたまんま文章にできるってものすごい。一緒にそのレースを走っているかのような気持ちで読める。特にトレランの山の生き生きとした描写や、レース中に沿道から差し出される食べ物のその美味しそうなこと。走るのは嫌いだ、と言いながらもとても楽しんでいるのが伝わってきます。
    代々木公園でヨガ、那覇マラソン、鎌倉トレラン、高尾山ナイトハイク、それにメドックマラソン!羨ましい!
    ずっと一人で黙々と走ってたけど、仲間といっしょにイベント感覚で走るのもすごく楽しそうな気がしてきた。
    日々のランニングと東京マラソン完走へのとても良いモチベーションになりました。あぁ今すぐ走りたい。

  • 自分も同じくマラソンや山登りをするので、共感する部分が多く、面白かった。。それにしても、その体験の中の場面場面での心のうちや情景を、どのようにして文章にしているのだろうか。特にマラソンなんかメモを取る余裕もないし、走り終わったら細かなことは既に忘れてるし、自分にはとても文章にできない。

  • 読んでて楽しかった。やろうとは思わないけど。

  • エッセイとしては面白い。
    山に登りたい

著者プロフィール

1967年神奈川県生まれ。早稲田大学第一文学部文芸科卒業。90年『幸福な遊戯』で「海燕新人文学賞」を受賞し、デビュー。96年『まどろむ夜のUFO』で、「野間文芸新人賞」、2003年『空中庭園』で「婦人公論文芸賞」、05年『対岸の彼女』で「直木賞」、07年『八日目の蝉』で「中央公論文芸賞」、11年『ツリーハウス』で「伊藤整文学賞」、12年『かなたの子』で「泉鏡花文学賞」、『紙の月』で「柴田錬三郎賞」、14年『私のなかの彼女』で「河合隼雄物語賞」、21年『源氏物語』の完全新訳で「読売文学賞」を受賞する。他の著書に、『月と雷』『坂の途中の家』『銀の夜』『タラント』、エッセイ集『世界は終わりそうにない』『月夜の散歩』等がある。

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