四月になれば彼女は

著者 :
  • 文藝春秋
3.23
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感想 : 295
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  • Amazon.co.jp ・本 (269ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163905532

感想・レビュー・書評

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  • ジャケ買いした小説はひさしぶり。なんとなく惹かれてパラパラめくって、買ってしまった。こういう時って残念だったな、、と思ってしまうことが多い。確かに読み始めは確かにセリフが説明多いなぁとか、手紙パートもフィクション感出過ぎてるなぁ、とか好き勝手に思ってましたが、こう胸を鷲掴みにされる感覚というか、切なくて読みたくないような早く続きが読みたくなるというか、、とにかく誰かと共有したいと思える小説でした。
    月と太陽とが一瞬ぴったり重なるような瞬間。恋。

  • [登場人物]
    伊予田春
    藤代俊
    坂本弥生
    タスク
    大島


    [内容]
    なんとなく、はっきりとしない藤代を中心として、物語は進んでいく。
    愛とはなんなのかを登場人物たちが深く考えていく。
    キャラクターが身近にいそうな感じで、勝手にイメージしやすかった。

  • 四月。

    藤代のもとに届いた
    ハルからの手紙。

    胸によみがえる
    ハルとの出会い、そして恋。

    そんな藤代は、
    婚約者の弥生との結婚を
    間近に控えていた…

    序盤から中盤までは
    学生だったころの藤代とハル、
    そして
    現在の藤代と婚約者・弥生の様子が、
    交互にえがかれます。

    正直、中盤までは
    「読みにくい話だな…」と思いながら、
    なんとか読み進めた感じでした。

    過去と現在が交錯するため、
    登場人物の関係性が
    アタマ中で混乱してしまうからです。

    藤代と弥生は
    結婚を控えているにも関わらず、
    2人の間には隔たりが感じられ、
    読み手は違和感で
    もやもやしてしまいます。

    そんな読み手のわたしに
    転機がおとずれたのは、
    「十一月の猿」の章でした。

    藤代とハルの過去が
    藤代と弥生の過去の話になり、
    現在に近づいていく。

    藤代と弥生、ハルの心のうちが
    だんだんと見えてくるにつれ、
    もやもやした気持ちのピースが
    カチッとはまりあっていき、

    「そういうことだったのか…」と
    ぼう然としてしまいました。


    過去は取り戻せないけれど、
    過去がなければ
    今の自分はいません。

    それぞれの歩んできた道が
    あるからこそ、
    それぞれの思う「愛」のかたちが
    できていく。

    「二月の海」で藤代が
    ハルが本当に撮りたかったものに
    気づいたとき、

    読み手のわたしのこころも、 
    そこにうずくまって
    動けなくなりました。

    236ページのシーンは、
    つかめない白い雲を
    それでも夢中で
    ぎゅっと抱きしめずには
    いられないような、

    そんな気持ちでいっぱいに
    なるシーンです。

  • 自分の人生の思い出と共にある本。

    買ったきっかけは、きれいな淡い水色の表紙に引き込まれて。
    この本なら、私の心を落ち着けてくれるのではないかと思い、大学の合格発表の行き帰りのお供に選んだ。

    予想に反することなく、実際、物語も言葉も繊細ですごく優しい本だった。

    12ヶ月間で構成されているので、「行きのTXで9月まで読んで、残りの半年分は結果をみてから読むんだ...。」と電車の中で、緊張と闘いながら読んだ。その時の私の、少し不安な感情を支えてくれた本。

    落ちてるの覚悟、もしダメでも気持ちを前向きに切り替えるために、はるばる筑波まで掲示板見に行ったこだけれど。

    結果的には合格していて、帰りの電車で残りを読んだ時は「嬉しい...!!!」という、高まった幸せな感情で心がいっぱいで、ちゃんと味わって読めなかった覚えがある。

    多分一生失くしたくないし、読むたびに自分の大学受験への充実感を思い出す。その意味で唯一無二の大事な大事な本。

    記録できてよかった〜感覚思い出したなぁ嬉しい〜

  • みんなそうなんだよ。一瞬でも想い重なったならいいんじゃない。

  • 主人公の藤代さんを中心に男女の恋愛から結婚・夫婦のあり方が語られている
    月ごとに場面が変わり後半には、それぞれが伏線として結び付いて物語は進んでいく
    『自分を大切に思う以上に相手を大切に思える』と言うことが人を愛すると言うことなのだと思う
    悲しいが、人は失ってからしか気づけない事がある

  • 自分の生き方とか価値観とかを考える機会を与えてくれる系の本。夜寝る前に布団の中で深みを得ながら読むのが良いんだなー

    人って結局自分本位で、誰かに愛を求めてみたり誰かを愛してみたりするけど、結局それって自分っていう輪郭をはっきりさせるためなんだって気付かされた。人間ってもろいんだね、、

    ウユニ塩湖とかアイスランドとか?行ってみたい!!
    映画も楽しみ!!

  • #間に合わぬ朝日何度も撮る四月僕を愛する愛する君と

  • 愛することで、愛される。
    一瞬でも重なり合った奇跡は、永遠じゃないかもしれない。
    だけど、それを大切に、重なる部分が薄れても、重なるために、カケラを拾い集めていくこと。

  • 曖昧な感想にはなりますが、情景のひとつひとつが素敵だったことが印象的でした。
    しかし、藤本と弥生が話している時などに、映画の情報を入れられてくるのは、少しイライラしてしまいました。マルチタスクを強要される文章も楽しめるように、自分の脳の容量をもっと増やしていきたいです。

著者プロフィール

かわむら・げんき
1979年、横浜生まれ。
上智大学新聞学科卒業後、『電車男』『告白』『悪人』『モテキ』『おおかみこどもの雨と雪』『寄生獣』『君の名は。』などの映画を製作。2010年、米The Hollywood Reporter誌の「Next Generation Asia」に選出され、’11年には優れた映画製作者に贈られる「藤本賞」を史上最年少で受賞。’12年に初の小説『世界から猫が消えたなら』を発表。同書は本屋大賞にノミネートされ、佐藤健主演で映画化、小野大輔主演でオーディオブック化された。2作目の小説にあたる本作品『億男』も本屋対象にノミネートされ、佐藤健、高橋一生出演で映画化、’18年10月公開予定。他の作品にアートディレクター・佐野研二郎との共著の絵本『ティニー ふうせんいぬものがたり』、イラストレーター・益子悠紀と共著の絵本『ムーム』、イラストレーター・サカモトリョウと共著の絵本『パティシエのモンスター』、対談集『仕事。』『理系に学ぶ。』『超企画会議』。最新小説は『四月になれば彼女は』。


「2018年 『億男 オーディオブック付き スペシャル・エディション』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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