サロメ

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著者 : 原田マハ
  • 文藝春秋 (2017年1月16日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (322ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163905891

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サロメの感想・レビュー・書評

  • 読ませる、読ませる。
    なのに、★四つにしたのは、出来るならばもう少し長く、この作品の中に存在していたかったという、贅沢な物足りなさからである。

    『サロメ』を巡る、ワイルドとビアズリー姉弟の物語。

    今回は現代パートは限りなく省かれていて、ほとんどが姉メイベル・ビアズリーの視点で語られている。
    『サロメ』の話自体は知っていたけれど、ワイルドの『サロメ』と、ビアズリーの挿絵にそんな大きな関係があったとは知らなかった……。

    なのに、その二人をも凌駕してしまうメイベルの化け物感が凄すぎる。
    結局、誰が誰を愛し、憎しみに駆られたのか。
    もちろん原田マハの得意とする絶妙なフィクションが織り交ぜられているとはいえ、こんなドラマがあるのなら、ワイルドの『サロメ』を読まずにはいられないなぁ……。

    『楽園のカンヴァス』からずっと、驚かされている原田ドラマ。
    ああ。今回も素敵だった。


    20170817

    早いけれど、再読。

    クライマックス〜エンディングがパッと思い浮かんで来なかったので、自分のために詳しく残す。
    以下、ネタバレ注意。

    メイベルの執念。
    弟を愛することと、自らが光を得ることの両方を遂には肯定し、ワイルドとダグラスを舞台から引きずり降ろすことに成功する。

    彼女が求めたのはオーブリーの首だったのか。
    ダグラスに英訳を求めたと嘘を吐くことで、オーブリーが喀血をした際の口付けに由来する。

    そして、姉の計略によって遠からずオーブリーは亡くなってしまう。

    そのオーブリーが求めた首は、今回の核になっている「ワイルドの首」だった。
    エンディングでたった一夜、たった一人の観客を前にサロメを演じたメイベルは、その演技を以てワイルドの息の根を止める。
    そこに、絵を埋めて。

    手に入らない愛しき男の首を欲するファムファタル。
    幕間が非常に上手い。

  • 【退廃の世紀末。二人の天才を、“運命の女”が悲劇へといざなう】十九世紀末のロンドン。美貌とスキャンダルで時代の寵児となった作家オスカー・ワイルドと、天才画家ビアズリーの愛憎を描く。

  • オスカー・ワイルドとビアズリー姉弟の愛憎物語。
    ビアズリーの挿絵は強烈に焼き付いているが本人のことは何も知らなかったので(これを20歳くらいの若さで描いていたなんて!)、新鮮で興味深かった。
    ただ、現代パートとの結びつきやラストがちょっと雰囲気で流した感じがあって、置いていかれた気分。
    「カフーを待ちわびて」も、最後そんな印象だったな…。

  • 私と一緒に地獄に堕ちよう

    帯のインパクトがすごい。
    泥沼愛憎劇。

    2017年 文藝春秋
    装丁:大久保朋子

  • (2017.04.24読了)(2017.02.28入手)(2017.02.05・第2刷)
    挿絵画家のビアズリーの物語です。主人公は、姉のメイベル・ビアズリーです。舞台女優です。オーブリー・ビアズリーの代表作は、オスカー・ワイルドの戯曲「サロメ」の挿絵です。僕も、1980年に岩波文庫版の「サロメ」で見ました。一度見たら忘れられない絵です。
    オーブリー・ビアズリーとオスカー・ワイルドとの交友の様子などが描かれ、どのようにして「サロメ」の挿絵を描くことになったのかというあたりも書いてあるのですが、メインのテーマは、「サロメ」の英訳を誰がやったのか、ということです。
    イギリスでは、聖書に取材した演劇を上演することは許されなかったということで、ワイルドの「サロメ」は、フランス語で書かれ、私家版として印刷されました。英訳と英訳版の挿絵をビアズリーが担当したかったということですが、挿絵しか担当していません。どうしてなのかという謎に迫ったのがこの作品です。(英訳は、アルフレッド・ダグラス)
    「楽園のカンヴァス」や「暗幕のゲルニカ」と同様、現代からはじまりますが、前の二作品ほどの重要な位置を現代の部分が持っているわけではありません。
    (ビアズリーの英訳版の原稿が見つかったという設定にはなっていますが)
    ラファエル前派のバーン=ジョーンズやフランスの象徴主義の画家、ピュヴィス・ド・シャヴァンヌなどが登場したりミュシャがポスターを描いて有名な女優のサラ・ベルナールも出てきて、どのような時代にビアズリーやワイルドが活躍したのかがわかります。
    ビアズリーの絵の印象は、ものすごく退廃的なので、ビアズリーやワイルドをもっとえげつなく描いてほしかったのですが、原田マハさんにそれを期待するのは無理があるので、他の人の描いたワイルドやビアズリーの伝記にでもあたってみたいと思います。
    ビアズリーの絵の影響を受けた人は何人かいるようですが、その中に米倉斉加年が挙がっていました。なるほどとうなずけます。

    メイベル・ビアズリー オーブリーの姉
    オーブリー・ビアズリー 挿絵画家
    オスカー・ワイルド イギリス・作家
    サラ・ベルナール フランス・俳優
    エドワード・バーン=ジョーンズ イギリス・画家
    ピエール・ピュヴィス・ド・シャヴァンヌ フランス・画家
    フレデリック・エヴァンズ 「ジョーンズ・アンド・エヴァンズ」書店の店主
    ジョン・エヴァンズ レットン劇場の劇場主
    アルフレッド・ダグラス クィーンズベリー卿のご子息
    ジョン・ダグラス クィーンズベリー候
    甲斐祐也 東京国立近代美術館・研究員
    ジェーン・マクノイア ロンドン大学大学院・研究員

    【目次】
    プロローグ 二〇××年九月上旬 サヴォイプレイス ロンドン
    一八九八年三月上旬 マントン フランス
    一八九一年七月 ロンドン
    一八九一年八月 ロンドン
    一八九一年九月 ロンドン
    一八九二年三月 ロンドン
    一八九二年六月 パリ
    一八九二年七月 ロンドン
    一八九三年二月 ロンドン
    一八九三年四月 ロンドン
    一八九三年五月 ロンドン
    一八九五年四月七日 ロンドン
    一八九八年三月十六日 マントン フランス
    エピローグ 二〇××年十一月末 ブフ・デュ・ノール劇場 パリ
    一九〇〇年十一月三十日 ブフ・デュ・ノール劇場 パリ
    主な参考文献

    ●<サロメ>(13頁)
    <サロメ>があったからこそ、ビアズリーはその名を広く知られることになった
    ビアズリーの挿絵があったからこそ、<サロメ>は永遠に人々の記憶に残るものとなった
    ●新約聖書、聖マタイ伝(21頁)
    ユダヤのヘロデ王は、兄弟の妃であったヘロディアを娶ったが、これに意見した預言者ヨハネ(ヨカナーン)を牢につないだ。ヨハネに、ヘロディアは殺意を抱くが、ヨハネが聖人であると知っているヘロデ王はそれを許さない。ヘロデ王の誕生日に、ヘロディアの娘が踊りを披露し、喜んだ王は、なんでも褒美をつかわすと約束する。娘は母と相談して、ヨハネの首が欲しいと言う。衛兵が獄中のヨハネの首を刎ね、盆に載せて娘に差し出す
    ●絵を描くこと(57頁)
    「絵を描くことは女が進んですることではない」という通念が一般的だった。
    ひょっとすると、画家はヌードモデルを相手に創作をしなければならないから、女性が画家になるなんてはしたない、という道徳的観念があったのかもしれなかった。
    ●模写(109頁)
    やがてケイト・グリーナウェイの絵本を描き写し、バーン=ジョーンズやウィリアム・モリスの絵を模写するようになり、彼らの絵を一ミリたがわず完璧に写し取るのを、なんて巧いんだろう、と驚きを持ってみつめた。
    ●魔法(162頁)
    一瞥しただけでもう忘れられなくなってしまう。それがビアズリーの魔法なのだとエヴァンスは言った。
    ●共通点(170頁)
    「ビアズリーが新時代の寵児なら、さしずめこの書き手(オスカー・ワイルド)はいま現在の風雲児だ。しかし、この両者には共通点がある。挑発的で、魅惑的で……悪魔的なところがね」
    ●上演禁止(200頁)
    ロンドンでの初演(<サロメ>)を企画して、懇意にしている劇場主と話を進め、実はリハーサルまでこぎつけていたのだが、突然、当局から「上演禁止」を言い渡された。聖書の登場人物を舞台で演じてはならない、という法律に引っ掛かったのだ。

    ☆関連図書(既読)
    「サロメ」ワイルド著・福田恒存訳、岩波文庫、1959.01.05
    「女のかたち」吉行淳之介著・米倉斉加年絵、集英社文庫、1979.10.25
    「楽園のカンヴァス」原田マハ著、新潮社、2012.01.20
    「ジヴェルニーの食卓」原田マハ著、集英社、2013.03.30
    「暗幕のゲルニカ」原田マハ著、新潮社、2016.03.25
    「デトロイト美術館の奇跡」原田マハ著、新潮社、2016.09.30
    (2017年4月25日・記)
    内容紹介(amazon)
    現代のロンドン。日本からビクトリア・アルバート美術館に派遣されている客員学芸員の甲斐祐也は、ロンドン大学のジェーン・マクノイアから、未発表版「サロメ」についての相談を受ける。
    このオスカー・ワイルドの戯曲は、そのセンセーショナルな内容もさることながら、ある一人の画家を世に送り出したことでも有名だ。
    彼の名は、オーブリー・ビアズリー。
    保険会社の職員だったオーブリー・ビアズリーは、1890年、18歳のときに本格的に絵を描き始め、オスカー・ワイルドに見出されて「サロメ」の挿絵で一躍有名になった後、肺結核のため25歳で早逝した。
    当初はフランス語で出版された「サロメ」の、英語訳出版の裏には、彼の姉で女優のメイベル、男色家としても知られたワイルドとその恋人のアルフレッド・ダグラスの、四つどもえの愛憎関係があった……。
    退廃とデカダンスに彩られた、時代の寵児と夭折の天才画家、美術史の驚くべき謎に迫る傑作長篇。

  • 「暗幕のゲルニカ」「楽園のカンヴァス」ほどに力を入れて書いてないと思うけれども、サラっと読めるし、それなりに魅力的。オスカーワイルドとビアズリーの退廃的な関係。姉の女優メイベルが病弱で才能のある弟に寄せる濃すぎる姉弟愛。メイベルはワイルドに対する憎しみの入り混じった複雑な感情。これに「サロメ」のサロメが熱望した愛するヨカナーンの首が捧げられるシーンがリンクして・・・。題材自体興味深いし、相変わらず、原田マハはその絵の魅力の伝え方がうまいと思う

  • 姉のキャラがブレてないか?

    戯曲サロメを書いた男色家で魅力的なオスカー・ワイルドと、サロメの挿絵作家である天才画家オーブリー・ビアズリー、そして姉のメイベルの話。

    まず、素材としては最高ですね。

    サロメの話自体が刺激的だし、ビアズリーの挿絵も不思議な魅力がある。

    なんで只の白黒の絵があんなに目を惹いて、印象に残るのか、それこそが天才の技なのか…

    残念なのは、よくよく思い返すと大したドラマがないって事なんだよな〜、なんかワイルドとオーブリーの心の内が描かれてないような…

    もっとワイルドとビアズリーの絡みを中心に書いていたら、さらに面白くなったのでは?と思わざるを得ない。
    (姉視点だからしかたないのだが…)

    ついでに、姉のメイベルのキャラがぶれてるような気がするのがどうにも違和感があった。

    売れない女優が主演を掴みとるとか、初心な女が狡猾な策略家になったりとか、まー変化はあって当然なのだがその変化の過程がないような気がする。

    総論としては、材料は良いけど味付けと煮込みが足りない感覚。

    うーん、オススメしたいような、したくないような微妙な本です。

  • 凄い本だ。原田マハさんの本はたくさん読んでいるけど、これはベストスリーに入る。愛する男の首が欲しいと願ったサロメ。表紙は、サロメがヨハナーンの首に口づけをするシーン。なんて狂気に満ちているのだろう。間に挟まれる黒いページが、舞台が暗転したようにも、物語に死が訪れたようにも感じられ、ゾクっとする。装丁は大久保明子さん。

  • 刺激的で、ドキドキし、焦り、不安で、物語の中で溺れるような
    そんな感じでずっと読んでいた
    ネットで見たオーブリー・ピアズリーの絵は不思議で
    その不思議さがこの小説を支配しているような気持ち
    すごい時間を過ごしたけれど、疲れた

  • これはすごい。ワイルドとピアズリーの関係をサロメに擬えた傑作。
    真実は知らない。でもこうだったらいい。
    原田さんの作品を読むたびにそう思ってしまう。
    オーブリーの最期も、オスカーの最期も、これでよかったのではと思わせてしまう。
    愛と憎しみは表裏一体で元を辿れば同じものに辿り着く。
    誰もが誰かを全力で愛して憎んで、その首をと願う。
    サロメのごとく狂気に満ちた物語。タイミングを間違えて読んでしまったら此方側に戻れなくなりそうな気がする。

  • 2017年早々凄い本が出た…
    何この愛憎劇は…
    オスカー、ビアズリーを中心に皆んなの2人へ対する愛と言うより所有欲が凄まじくて地獄のような展開に。
    世紀末のロンドンで、2人が天才同士、男同士にも関わらず深い関係だからこそ起きた歴史の一幕。
    史実はどうか分からないけど、もしこれが本当の話だったら凄い事件だなと思った。
    人間誰しもサロメになり得る…
    泥沼っぷりが最高でした。

  • 現代のシーンはなくてもいい

  • サロメになぞらえた、ワイルドとピアズリーの物語。退廃芸術と愛憎が上手に表現されていて、読み物として面白かった。ピアズリーの姉メイベルの強欲さ傲慢さにイライラしたけれど。。英語版サロメの未発表作が見つかった…という呈で始まっているので仕方ないのだけれど、現代シーンの二人のところは、要らないかな。

  • 面白かったけど、甲斐裕也とジェーン・マクノイアの絡みはイランのんとちゃう??

  • 19世紀末のイギリス人作家オスカー・ワイルドと、挿絵画家オーブリー・ビアズリーとの戯曲「サロメ」を巡る物語。
    もともと画家たちの史実に基づいたフィクションがお得意の原田氏だが、ワイルド作の「サロメ」自身の持つ狂気性と全編に漂う奇怪的な雰囲気のために、特に本作はどこからどこまでが史実なのか全く分からない。
    だがまるでこの本作自体が禁断の書であるかのように、怖いもの見たさでページを捲る手は止まらない。
    もはや史実はどうでもよく、不健全で耽美的な世界観を存分に味わった。
    ただ、どうせフィクションならフィクションで、オスカーに惹かれていくオーブリーの心情とか、オーブリーを裏切るオスカーの心変わりとか、メイベルの弟を思う気持ちとかをもう少し分かりやすくドラマチックに描いて欲しかったとは思う。
    2017/10

  • これまでの原田マハさんの感じとは違う。少しおどろおどろしくて、私が読みたいマハさんとは違った。読後感がよくない。

  • 表紙の絵に見入ってしまいました。ピアズリーのサロメの挿絵。ビアズリー姉弟の危うい生き様に目が離せませんでした。オーブリーもまたサロメだった?
    原田マハの絵画モチーフの小説はどれも面白いです。

  • オスカー・ワイルドとオーブリー・ピアズリーが生み出した「サロメ」に纏わるお話。原田マハの作品はいつもそうなんだが、フィクションなのかノンフィクションなのか分からなくなる、良い意味で。恋情が人を狂わせる。誰よりも執念深く、罪深いのはサロメ-メイベル-自身だったわけだ。「僕らは、ひとつになるんだ、永遠に」という台詞に身震いした。

  • 激しい上昇志向と、抑えきれないそれぞれの激情が、
    サロメの妖艶な踊りとともに胸に迫ってくる……。
    まさに、狂気の世界。
    やはり、私にとって原田マハさんはこうでなくっちゃ。
    重厚で濃密なストーリーをたっぷり楽しませていただきました。

  • 『サロメ』を巡る、作家のオスカー・ワイルドと挿絵画家メイベル・ビアズリー姉弟の愛憎物語。

    表紙のインパクトもすごいが「私と一緒に地獄に堕ちよう。」と帯に書かれてて凄い!と思った。

  • メイベルにイライラした。

  • あゝ、あたしはたうとうお前の口に口づけしたよ、ヨカナーン-

    文は映像をイメージさせ、絵は言葉を紡ぐとする。
    その二つがおそろしい程に嵌まった時のその力の凄さを実感する。

    閉じた時にイエローブックに気付く仕掛けも見事!
    現代ターンが少し中途半端に思えたのが残念でした。

  • 図書館本。原田マハは3作目。
    世間の評価が高かったので期待していたが、誰の愛憎にも共感できずに終わってしまった。
    ワイルドの『サロメ』はまったく別経由で読んだことがあるが、それもまた自分には響いて来ない話だった。しかしながら改めてビアズリーの絵を見たくなった。
    170908読了。

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