コンビニ人間

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著者 : 村田沙耶香
  • 文藝春秋 (2016年7月27日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (160ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163906188

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コンビニ人間の感想・レビュー・書評

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  • 著者の作品は二作目。
    初めましてだった『しろいろの街の、その骨の体温の 』で大打撃を受けたので、
    恐る恐る読み始めたんですが、意外と読みやすかったです。

    ただ、中盤からのお風呂場で餌~押し入れになったとき、やや危険信号。
    なぜか吸い寄せられ、ページをめくってしまう感覚に、また振り回されそうになりました。

    そして、主人公はこのままでいさせてあげればいいのに。
    と思う反面、難しいんだろうな…とも。
    何が普通で、何がそうじゃないのか、とか、
    あちら側とこちら側、自分も知らず知らず区別してはいないだろうか…。とか、
    頭の中がぐるぐる。

    それでもやっぱり、彼女からコンビニを取り上げて欲しくはないかな。

  • 読後、自分の立ち位置がぐらぐらと揺らぐような感覚に襲われた。淡々とした文章が読み易く、一気に読了したものの、何とも複雑な感情が渦巻いて、簡単に面白い/面白くないとジャッジできないような余韻を今も引きずっている。そういう意味では、これまで読んできた芥川賞受賞作ではインパクトの強い作品だと言える。
    コンビニのバイトを18年続けている、未婚36歳の恵子。「普通」であることがわからないから、何とか世の普通に合わせようと振る舞う彼女の行動に、結構共感しながらもチリチリと痛みも感じた。完璧なマニュアルの存在するコンビニでの仕事に安らぎを感じる、というところにも。私自身コンビニ仕事の経験はないけれど、事細かに描写されるコンビニのシーンが一番好きで、職場が自分の居場所…のような感覚がすごく理解できる。
    バイトの新入り男性・白羽が現れてから、恵子の歯車が狂っていくが、同時に自分の価値観も引っ掻き回され、何が正しくて何が間違っているのかがわからなくなっていく。白羽がなかなかに曲者で、彼と関わっていく後半は個人的には引く部分もあり。村田さんは初読みだったが、ここまで描いてしまうのかという彼女の思い切りの良さというかストレートさに戸惑いつつも、読むことを止められなかった。
    色んな角度から心をえぐられたにもかかわらず、もっと村田さんの作品を読みたいなという気になっている。

  • ★3.5

    36歳未婚の古倉恵子。
    大学一年の時から始めたコンビニのバイト。
    大学卒業後も就職せずに、コンビニのバイトは18年目。
    日々食べるのはコンビニ食、夢の中でもコンビニの仕事をしている。
    完璧なマニュアルの存在するコンビニこそが、私を世界の正常な
    「部品」にしてくれ、安らかな日々を過ごさせてくれていると思っている。
    ある日、婚活目的の新人、白羽君がやってきて…。

    芥川賞受賞作は面白くないという偏見をもっていました。
    この本は、軽快で面白くとっても読み易かったです。
    主人公の恵子はまさにとっても「変わった人」
    喜怒哀楽という感情が乏しく、他人の感情や心理理解も不得手。
    そして、目的を達成するためにとる行動が非常識に思われる。
    子供の頃から普通でない考えと、行動をする恵子。
    自分の何処が変なのかわからないものの、
    親に迷惑を掛けないため、無口を通す。
    コンビニでも細心の注意を払って言葉を紡ぎ、顔の筋肉を動かし続けている。
    とっても生き辛いだろうなぁ。苦しいだろうなぁって思った。
    しかし、甥っ子も他の赤ん坊も「赤ん坊」という種類の同じ動物にしか見えない。
    その甥っ子が泣いて、妹が慌ててあやして静かにさせようとしているのを見て、
    小さなナイフを見ながら静かにさせるだけならとても簡単なのにって、
    思っている姿はゾッとした。
    白羽くんは、最低最悪のとんでもなくクズ。
    もーーー読んでて凄く嫌で、モヤモヤした~(*T^T)
    彼に取り込まれ、世界との葛藤の中良かれと思ってした一つの選択がきっかけで、
    彼女の世界が崩れてしまう…。
    その混乱した様子が凄まじい。どうなってしまうのか凄く心配した。
    でも、彼女は逞しかった。失ってしまったものをもう一度選ぶ。
    それこそが存在する意味で、生きてゆく理由だと。
    本当に良かったです。

    普通から外れている彼女の生き辛さが随所から伝わってきた。
    100人いれば、100の個性、それぞれ一人ずつ違ってて「普通」って何だろうって思った。
    普通に生きるってどういうことかについて、考えさせられた作品でした。
    社会性がなく不器用で、他者の心理状態が読み取れない人は、
    現代社会の中で沢山いらっしゃると思います。
    一人でも多くの人がこの問題に興味を抱き、
    ムラが全ての異質を飽和できる社会になると良いんだけどなぁ…。

  • 芥川賞受賞作品。クレイジーじゃなくって読みやすかった。読みやすすぎて肩透かしを食らった。

    白羽を風呂場で飼って餌をやって…というあたりで、ぞわっとしたけど違う方向に進んで行ったのでホッとした。(けど正直物足りなかった…狂気が足りない)

    「白羽さん!今は現代ですよ!」で吹き出してしまったし恵子と白羽のやりとりが他人事とは思えず、共感したしホッともしたけど客観的に見るとやっぱり普通じゃないという怖さも感じた。

    アンソロジー『ラブレターズ』に収録されている村田さんの「コンビニエンスストア様」も読むとさらに楽しめると思う。

  • 社会の一員だと“認識”するためにコンビニで働く――少し癖のある36歳未婚女性の生き方。

    企業に勤めて、恋人を作って、結婚して、子供を産んで…大多数の人が歩む、あるいは歩もうとする道を「普通」と呼ぶのであれば、そこから外れたら「普通じゃない」のでしょうか。
    主人公の恵子は現状に満足しています。しかし周りがそれを認めようとしません。恵子の今を「変えるべきだ」と意見し、「変わりたいだろう」と決めつけ、「変わりたいのであれば」と勝手に手を差し伸べてきます。自分と周囲との考え方のギャップに板挟みになりながらも、どうにか周囲に、社会が良しとする「普通」に近づこうと模索する恵子をとても健気だと思うし愛おしくも感じます。
    結末の幸か不幸かはさておき、進むべき方向を自ら見定めた人は強いと思います。そしてあっさりとした平和なラストだと思いました(個人的にラストは掃除用具のモップを振り回しての警察沙汰もありうると予想していただけに…でもそこは流石「コンビニ人間」です)。

    私自身も普段、何気なく“こちら側”と“あちら側”との境界を作ってはいないか。人の考えも生き方も十人十色。日頃の自分を振り返るきっかけになる本でした。

  • 最近読んだ芥川賞受賞作の中では、とても良かった。傑作と思う。
    この主人公は、かなりヘンな人なのだが、実際のところ、主人公がヘンなのか、世の中がヘンなのかは定かではない。ただ、主人公をヘンな人だと思う人間が圧倒的多数なので、主人公がヘンなことになってしまう。そこに苦悩するのが従来の文学には多かったのが、あっけらかんとして、ユーモアさえあるのが新しいというか、オリジナルだなと感心した。
    だいたい、かけがえのない人なんて、ごくごく一部の芸術的な天才だけで、殆どの人は交換可能な部品であるのだから、主人公のように生きて何が悪いのかわからない。こういう人を変人として扱う社会の方がおかしい気がする。テンプル・グランディンのことも思い出した。
    つまらないことに一喜一憂し、下司の勘ぐりを楽しみに生きている所謂普通の人間に対する強烈な皮肉でもある。
    孤高の主人公の潔さに美しささえ感じた。

  • 読み終わったあと、淀んだ気持ちになりました。

    18年間コンビニで働く古倉という女性が主人公。
    小さいときから「普通」じゃないと言われ、でも、それが自分では理解できない。
    唯一「コンビニ店員」でいる時はその「普通」の世界に溶け込める。
    殺人も恋愛も起こらない、淡々とした話でした。
    古倉さんは多分サイコパスなんだけど、古倉さんの周りの人もおかしな人ばっかだなぁ。
    きもちわるいなぁ。
    って思いながら読みました。
    すごい本だと思ったけどもうあんまり読みたくない。

  • 村田沙耶香の本はぜんぶそうだけど、これもホラーだよホラー。

    白羽さんみたいなこと言う人、ネットでよく見るけど まだ現実でお目にかかったことないや。けど普通にいるんだろうなあ。
    毒をもって毒を制すみたいな妖怪大戦争。
    でも誰が、主人公の友達やその旦那みたく、他人を勝手に見下してないって言えるんだろうなあ。言えねえよなあ。

  • 「治る」って言葉がとても気持ち悪いですね。
    その人の特性を異常なものだと捉えているから、それはつまり「治る」ものだと思ってしまう。正常がどこかにあると思ってしまう。
    しかしその人にとっては、特性ごと自分なのだから、それを「治せ」と言われるのはつまり、自分を自分ではなくしてしまえと言われているのと変わらない。
    理解がないことの不幸。白羽氏もまたその不幸を身に受けてる人間の一人なんだけど、二人の特性は違うものだから、交わらない。コーディネーターがいないのだ。

    世界は異物の塊なのに、異物を認めない。
    不幸だな。

  • 読み始めは、主人公は変な考え方の人だなあと思っていたが、
    読み進めるうちに「主人公は別に異常な人じゃなくないか?」と感じるようになった。
    人間は別にあらゆる場面で社会的に正しい振る舞いができるわけではないと思う。
    昔学校の先生に、「社会人よりも社会に出る前の学生の方が社会一般の肌感覚を理解できている。社会人は『所属する会社の常識や論理』にしか接しなくなるから」と言われたことがある。
    彼女は「コンビニ」という社会でのみ正しい振る舞いができる。それだけなのではないか。

    面白かったです。

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コンビニ人間の作品紹介

第155回芥川賞受賞作!36歳未婚女性、古倉恵子。大学卒業後も就職せず、コンビニのバイトは18年目。これまで彼氏なし。オープン当初からスマイルマート日色駅前店で働き続け、変わりゆくメンバーを見送りながら、店長は8人目だ。日々食べるのはコンビニ食、夢の中でもコンビニのレジを打ち、清潔なコンビニの風景と「いらっしゃいませ!」の掛け声が、毎日の安らかな眠りをもたらしてくれる。仕事も家庭もある同窓生たちからどんなに不思議がられても、完璧なマニュアルの存在するコンビニこそが、私を世界の正常な「部品」にしてくれる――。ある日、婚活目的の新入り男性、白羽がやってきて、そんなコンビニ的生き方は「恥ずかしくないのか」とつきつけられるが……。現代の実存を問い、正常と異常の境目がゆらぐ衝撃のリアリズム小説。

コンビニ人間のKindle版

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