僕が殺した人と僕を殺した人

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著者 : 東山彰良
  • 文藝春秋 (2017年5月11日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (335ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163906430

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僕が殺した人と僕を殺した人の感想・レビュー・書評

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  • 両親と別れて過ごすことになったユン、幼馴染みのでぶのアガン、喧嘩っ早いジェイ。3人少年が出会い、かけがえのない日々をともに過ごす。30年の時を経て、彼らは連続殺人鬼、国際弁護士、成功した商売人となり再び人生が交錯する。
    それぞれが複雑な家庭環境のなかでもがき苦しみながらも精一杯生きていくが、同時に両親もまた日々の苦しみにもがき続けている様が綴られる。ミステリーというより、友情や孤独を描く青春小説。面白かった。

  • サックマンという連続殺人犯と台湾を舞台にした1984年の悪ガキ三人組.二つの重ならないはずの物語が交差した時,震えが来るほどの衝撃を受けた.どこで運命が狂ったのか,どこにも持って行きようのない運の悪さに,哀しみだけが残った.表紙の絵もどことなく不気味な予感がして,いい.

  • 著者初読み。
    直木賞を受賞した作家さんであることは知っていたけど、受賞作にはあまり興味がなく、この作品もネットニュースで取り上げられていたこと、タイトルからミステリーだと思い込んで読んでしまった…
    7人の少年を殺害したことで、アメリカで逮捕された「サックマン」この事件の謎を解く話かと思いきや、「サックマン」が犯罪に手を染めてしまった原因があったと思われる青春時代の話を描いている。
    「サックマン」の正体、この物語の書き手である「わたし」が分からないように、ストーリーが展開する。青春時代である1984年と、「サックマン」が逮捕された2015年を行ったり来たりする展開だが、主点が変わるので、私には読みにくかった。舞台が台湾なので、普通にカナ表記されるものを漢字で表しているのも、かなり苦戦した。
    友情の物語と称賛している意見も多いが、少なくても、私はこの4人に感情を移入することも出来ず…残念…

  • 『流』に続いて2冊目。東山さんの文章は、金城一紀さんに似ていて好きだな。

    さて、今回もやっぱり台湾が舞台。現在の『私』と小学生から中学生までの『僕』とで、2つの時代の物語。

    現在では、「サックマン」なる連続児童殺人鬼が捕まり、その弁護士としての「私」の目線から一人称で語られる。
    また、1980年代には、悪ガキたちの瑞々しい日々を「僕」目線で一人称で語られる。

    現在と過去が交互に語られるわけだが、サックマンはあの男なんだろうなぁと思いながら読むも、終盤でえっ⁉︎となった。
    私が勝手に騙されたのか、全くの思い違いをしていることになる。

    この物語は、サックマンが誰かという点と、何故連続児童殺人鬼になったのかという点がメインになっている。誰かという点についてはすっかり騙されてしまったが、何故という点については、少し弱いような気も。
    でも、逆に納得できたかも。でも、切ない。

    それはさておき、この作者、悪ガキの日常を描かせると本当に上手い。痛いほど少年たちの心情が伝わって来るし、私自身、その少年たちの仲間になったような気持ちで読むことができた。
    ミステリとしても、青春ものとしても良い小説でした。

  • 良かった、とても良かった。

    アメリカを騒がす連続殺人鬼サックマン
    30年前、わたしは彼を知っていたーー
    13歳だった頃の、3人の少年たちのことがていねいに描かれ、その合間にサックマン事件のエピソードが差し込まれる。
    後半で、過去と現在がつながる、という構成。

    読みやすいのに隙のない精緻な文章で、
    比喩表現も優れているのに然り気無く嫌味がない。
    日本語で書かれた小説であるが、翻訳ものを読んでいるような錯覚に度々陥った。アメリカ人の台詞回しがすごくアメリカっぽかったり。

    台湾に行ったこともないのに、暑さや、日光や、路地のにおいが、ありありと目に浮かぶようだった。
    そんな街で展開する、すこし粗っぽいけれどキラキラと煌めく青春。それも、やがてひりひりと痛いものになっていく。

    私は女なので、13歳の男子たちの友情の有り様や流儀は知らないのだけれど、リアリティを感じた。
    結局は子どもはどんなに抵抗しようと反抗しようと、大人によって運命を左右されてしまうのだというやるせなさや、
    怒り、失望してもなお、親に囚われてしまう心理に、非常に共感した。
    その澱から生まれる破壊的な衝動も、わかるように思う。
    それぞれの少年の抱えるものの重さが、辛かった。

    キャラクターもいい。
    アホンさんの、ちゃらんぽらんのロクデナシなんだけど憎めない感じが好きだ。

    最も印象的だったのは、ユンが蚕になるという場面。あの、現実なのか白昼夢なのか曖昧な、だけれどとても真実味のある怖さ。
    この場面まで読んで、本当に優れた作家だと思った。そしてその思いは最後まで裏切られなかった。

    物語のどんでん返しも、着地点も文句なし。
    辛い青春ではあるものの、読後感は爽やか。
    本当に良い小説だった。

  • 20015年アメリカで7人の少年を殺した連続殺人鬼が逮捕された。犯人は台湾人…。というところで舞台は80年代の台湾に移る。兄を亡くし両親と別れて暮らすユン、牛肉麺屋のアガンとその弟、喧嘩っ早いジェイ。4人が過ごした少年時代が描かれる。その中の一人が後の殺人鬼に?!。牛肉麺屋で煮立つ八角とスープの香り、街の雑踏や、暑い夏の空気…。目の前にありありと浮かぶような描写の数々…。ストーリーは映画「スタンド・バイ・ミー」や「ミスティック・リバー」を思い出させます。青少年時代のノスタルジックで苦い思い出と現在の交錯する傑作小説!

  • とても良かった!兄を亡くし、両親と別れて過ごすことになったユン、でぶのアガン、喧嘩っ早いジェイ。3人が過ごした少年時代が描かれている。ページを開くと、一気に1984年の台湾に連れて行かれる。蒸し暑く、いろいろな匂いの入り混じった台湾の夏。ところどころで現在の殺人鬼サックマンの話が差し込まれるが、とにかく少年時代の濃密な日々に惹き寄せられる。彼らはどこかで決定的に間違えてしまった。「これから彼といっしょに、長い長い螺旋階段を降りていくことになる。楽園にたどり着けるとは思わない。ただ、いっしょに歩いていく」

  • 初東山彰良。一気に読めた。
    話は全然違うけど、ミスティック・リバーやワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカの雰囲気を纏う良い感じでした。
    読もう読もうと思っていたブラック・ライダーへの起爆剤になりそうです。

  • 東山さんによれば『流』が光を『僕が〜』が影を強調したとのことで。台湾を舞台に青春と影を。友情と街の雰囲気、ストーリー展開は良かったかなあ。ですが、私のど真ん中にはきませんでした。好き嫌いの問題かなあ。サックマンは誰か判明したあとは、多少引き込まれました。

  • 1980年代の台湾。3人の少年が出会い、かけがえのない日々をともに過ごし、そして別れていった。やがて二十数年後、彼らは連続殺人鬼、弁護士、その依頼人として再び運命を交える。

    連続殺人鬼になったのは誰か?という部分に関して著者は謎解きを重視していない、というレビューを読んだ。
    確かに最も重要な部分はそこではない。
    でもミスリードを誘った上での謎解きも、十分読みごたえがあり素晴らしい。

    それぞれ家庭の影の部分を背負い押しつぶされそうになりながら生きていく少年たち。 何度倒れても立ち上がるのは、動物的な生存本能に突き動かされているから。 絶望の中の一瞬の光を彼らは生きる。

    両親もまた日々の苦しみにもがき続けている。
    親たちの選択がまたその子たちを苦しめる。
    日本よりも家族の絆が強い台湾の、血のしがらみが深く彼らを傷つける。

    「流」以上の、心に届く物語。

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