悪左府の女

  • 60人登録
  • 3.50評価
    • (3)
    • (7)
    • (11)
    • (0)
    • (1)
  • 8レビュー
著者 : 伊東潤
  • 文藝春秋 (2017年6月9日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (408ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163906607

悪左府の女の感想・レビュー・書評

並び替え:

表示形式:

表示件数:

  • 時は久安、12世紀の物語である。
    名にし負う醜女、春澄栄子。
    しかし当時の醜女というのは、小さな顔に二重の瞳、高い鼻、はっきりした頰の線(諸説あるようだが)。
    つまり、現代でいう美女だ。
    この栄子が政争に巻き込まれ、貴族社会から武家社会へと移り変わる時代を生きる。
    女としての悦びを教え込まれ、悪左府こと藤原頼長の手のものとして使われ、そして……。

    この時代のお約束、源姓と藤原姓ばかりだが嬉しいことに一覧、そして系図付きだ!
    ここに手を挟みつつ読むと良い。
    皇帝、上皇、武家、貴族が、力を求めて争う様は現代と似通う。
    皆が自分の利益だけを求めて生きている。

    それにしても平清盛の悪者っぷりたるや!
    気持ちの良いほど悪者だ。
    栄子の腕を掴み無理矢理にでも我がものにしようとする下りなどは許しがたいが「悪者」そのものだ。
    醜女と言われながら多くの男性に心を寄せられ、特技を持って身を立て、誰かを傷つけ思い悩む栄子の姿は少女漫画ファンにもおすすめだ。
    時代背景には取っつきにくい点もあるかもしれないが、面白い作品である。

  • 平安時代の末期、貴族社会から武家社会への移行期真っただ中に生きた主人公の話。女性が主人公のせいか、ややメロドラマというか甘い傾向で話が進むようでもあり、歴史小説としては好みが分かれるのかもしれません。平家と源氏の権力争いの中、きっちり意趣返しまでやり遂げた主人公に拍手。悪左府頼長の失敗は、頭が良すぎで普通の人の動きが読み切れなかったこと、なのだったりしてね。

  • 途中登場人物が多くてついていけなかったが、最後が面白かった。どこまで史実か興味深い。

  • 平安時代末期、保元の乱につながる政治的な荒波に翻弄された女性の話。
    醜女醜女と言われているが、結構色々な人に言い寄られているので、あんまりそんな感じはしない。現代だと美人と思わせる描写だし。
    言い寄られつつ流される描写に、ちょっと「とはずがたり」の二条を思い出した。
    頼長は悪人だが、打つ手打つ手がどんどん裏目に出るのが途中からかわいそうになった。以前読んだ藤原不比等の話はとんとん拍子だっただけに、始まりと終わりはこれほど運命に差があるのだなあと思った。
    最後、鴨長明って名乗っているのは謎。偽名?

  • 初出 2015〜16年「オール讀物」

    平安末期の保元の乱を舞台に、権力者の道具とされ波乱の人生を歩んだ女性の物語。

    没落寸前の下級貴族の娘春澄栄子は、近衛帝の中宮に似ているために、悪左府(左大臣藤原頼長)によって手駒にさせられ帝の子を産む役目を負わされる。
    帝の皇后に仕え、帝とは琵琶の合奏により心を通わせる。契る機会は訪れないものの皇家に伝わる「啄木」という秘曲を伝授される。

    院、摂関家の骨肉の権力争い、信西入道らの院司に加え、源氏平氏内部の主導権・所領争いという複雑な状況の中で栄子は恋をするが、近衛帝の急逝(清盛に殺された?)のあと帝の子を身籠っていることがわかる。
    帝の急逝と鳥羽院の逝去で、政局は武力による権力奪取へと向かい、悪左府が破れ、崇徳院が流され、やがて武士の時代を迎える。

    栄子は鞍馬に身を隠し、尼となって輝仁と名付けられた子を育てる。
    後年鴨長明と名乗る琵琶の名手の青年が、平清盛の前で悪心を抱く者が聞くと罰が下るという「啄木」を奏し、清盛は翌年没する。

  • 面白かったー!!
    タイトル通り、悪左府=藤原頼長に関する話。
    多子に仕える女房視点なので、頼長の動向はいまいち分からない(父忠実が悪い差配だ!って言いに来るので分かるみたいな)のですが、どんどん孤立していくのが分かるしどうにもならなくなっていくのが分かります。
    平清盛はすごい怖い人になってて面白かった。信西も。
    源頼賢はあんまり知らない人だけどこういう感じだったのかなぁ?
    武力に頼ったたら武力に支配されて行ってしまうっていうのはその通りだと思うけど。

  • 前にも書きましたが伊東さんの新著「悪左府の女」を土日で読み終えました。


    平安末期は、それほど興味があった時期では ないですが

    この本を読んで俄然好きになりました。

    前に大河でやった「平清盛」ぐらいの知識しかなかったですが

    おもしろいなぁ~

    個人的に主人公とも言える〝悪左府”こと藤原頼長の行動及び系譜


    そして栄枯盛衰ぶりが何とも言えず興味深いです。


    石田三成とかに通じるものがありますが、基本的に仕事、権力、理想

    そういったものにしか興味がない。

    無趣味に近く、政治につながるようなことのみにしか気がいかない。

    ある意味不器用な男です。

    悪辣非道な部分が多いですが、何か憎めない部分がある。




    政治の腐敗、貴族の衰退、武家の台頭。

    そういった中で、とにかくまた藤原摂関家の力を取り戻そうとした中で

    身内に足をひっぱられ、下だと思っていた武士や僧侶に追い込まれていく

    その過程、結果が歴史の怖さであり、醍醐味かなと自分は感じました。



    そして伊東さんらしくただの歴史小説ではなく、最後にあっと驚くひねりがあります。

    こういう読者の想像を駆り立てる作品がやっぱり好きですね。

    歴史ってこうじゃなくっちゃ。

全8件中 1 - 8件を表示

悪左府の女のその他の作品

悪左府の女 (文春eBook) Kindle版 悪左府の女 (文春eBook) 伊東潤

伊東潤の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
伊坂 幸太郎
澤田 瞳子
宮部 みゆき
葉室 麟
朝井 まかて
朝井 まかて
伊東 潤
馳 星周
澤田 瞳子
宮下 奈都
宮部 みゆき
ピエール ルメー...
木下 昌輝
葉室 麟
高殿 円
桐野 夏生
葉室 麟
伊東 潤
村田 沙耶香
垣根 涼介
原田 マハ
葉室 麟
有効な右矢印 無効な右矢印

悪左府の女はこんな本です

悪左府の女を本棚に「いま読んでる」で登録しているひと

悪左府の女を本棚に「読み終わった」で登録しているひと

悪左府の女を本棚に「積読」で登録しているひと

ツイートする