生涯投資家

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著者 : 村上世彰
  • 文藝春秋 (2017年6月21日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (276ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163906652

生涯投資家の感想・レビュー・書評

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  • とても面白かったです。最近涙もろいのかこの本でも泣いてしまった。
    村上ファンドの村上さんについてはほんと勝手な話だけれども、「お金儲けのことばかり考えてる」みたいなイメージが作り上げられていて先行していて、これまで村上さんが何考えてきたのかとかほとんど知らずにいたけど、読ませてもらった信念には大変共感しました。
    コーポレートガバナンスを追求し、不健全な経営を健全化することで企業価値を高め、日本経済を発展させていく。
    至極まっとうな考え方だったし、手段としての行動もなるほどと思った。一方で事件の裁判での判断も誤っていたわけではないと思うし、投資の場面への法規制・法適用は難しい問題だなと思いました。
    今やっている慈善事業などの話もとっても共感しました。

  • 村上世彰氏の自伝。当時はライブドアの堀江氏と同じような扱いを受けていたが、彼が意図していることは、国民に全然異なっていることが本書で明らかになった。メディアの伝え方によって、両者の真の意図が全く国民に伝わっていないことは、メディアの責任だと思う。
    村上氏は、コーポレートガバナンスを日本企業が意識するようにしたいという使命を自らに課し、その目的のために様々な手段を使って企業や国民に伝えようとしたが、上記のとおり村上氏の一部の行動のみにフォーカスした報道によって穿った意図が伝わってしまっている。
    村上氏の考えを簡単にまとめると、企業は不要な内部保留をせずに、その資産を株主に還元するか将来の投資に回す必要がある。そうそれば、株主は次の投資先に資産を回すし、投資されればさらなる収益を生み出し、社員や株主に還元され、市場全体にお金が循環し、GDPも上昇し日経市場の時価総額も上昇するというもの。
    メディアの報道を鵜呑みにしてはいけないということを改めて教訓とするとともに、一日も早く正しい報道がなされるようにメディアが変わることを願う。

    ・父はいつも「上がり始めたら買え。下がり始めたら売れ。一番安いところで買ったり、一番高いところで売れるものだと思うな」と言っていた。まさにその通りだった。

    ・大きな企業の役員になるということは、業務執行能力の高さだけでなく、社内の昇進競争を勝ち抜きながら人望を集め、社長によって役員に任命されることを意味している。日本では今でも、今の社長が次の社長を選ぶ、すなわち経営者が次の経営者を指名するのが一般的だ。こんな慣習の下では、役員の方々の素晴らしい能力が、彼らに経営を委託している株主にではなく、自分を役員に選んでくれた社長の意向に沿うことにのみ費やされてしまう。

    コーボレート・ガバナンスとは、投資先の企業で健全な経営が行なわれているか、企業価値を上げる=株主価値の最大化を目指す経営がなされているか、株主が企業を監視・監督するための制度だ。根底には、会社の重要な意思決定は株主総会を通じて株主が行ない、株主から委託を受けた経営者が株主の利益を最大化するために経営をする、という考え方がある。経営者と株主の緊張関係があってこそ、健全な投資や企業の成長が担保できるし、株主がリターンを得て社会に再投資することで、経済が循環していくメリットがある。日本でもコーボレート・ガバナンスの意識な高めることが、日本経済全体の健全な発展のために必要だと、その当時から私は強く信じていた。

    ・私が投資判断な行なうにあたって重要視しくいる指標がIRR(内部収益率、Internal Rate Of Return)だ。手堅く見積もってもIRRの数字が15%以上であることが基準となる。

    ・企業がROEを高めるためには、当期純利益を高くするか、純資産を減らすか、という2つの方法しかない。当期純利益を上げるためには、利益を高める努力が必要た。純資産を減らすためには、自己株式の取得や配当などで投資家へ還元することになる。

    ・日本には上場企業だけで三百兆円を優に超える内部留保がある。そのうち半分が現預金た。普段から資金を手元に積み上げておかなくても、必要になった時に市場から調達できるのは上場企業の大きなメリットだし、そもそもそのための上場であるはずだ。資金を積極的に新規事業や設備投資に使って業績を拡大していくこともせず、株主に還元することもせず、手元に過剰に貯め込んで執着している経営者こそ、将来的かつ長期的な企業の成長を望んでいない張本人である。自分が会社にいるあと数年の間だけ、事業環境が悪化しても潰れずに生き残ることにたげ重きを置いくいるように見える。やはり「守銭奴」と呼ばざるを得ない。

    ・そもそも社外取締役の候補者を経営者が選んでいるのだから、経営者寄りの社外取締役ばかりたくさん出てきてしまう。私も投資先の社外取締役と面談することがあるが、外部から経営のチェツク機能を果たすという社外取締役の役割すら理解していたい取締役もいた。

    ・コーボレート・ガバナンスが徹底され、経営者が株主を向いた経営な行ない、株価が高く維持されている上場企業では、よほどシナジー効果の見込める理由がない限り、乗つ取りや敵対的買収は起きない。上場企業が買収されることをリスクと考えるのなら、買収防衛策や持ち合いといった保身的な意味での対策を取るのではなく、コーボレート・ガバナンスを徹底し、企業価値の向上に注力することだ。それこそが、買収されるリスクを下げる有効な手段だ。株価の高い企業は乗っ取られない。それは世界の常識だ。

    ・上場企業は、成長のための投資に必要な資金より多額の剰余金を手元に持つ場合、自己株取得や配当で還元する、MBOをする、事業を切り離して解散する、などの手段で株主及び低すぎる株価に対して、何かしらの対応をすべきだ。

    ・こうしてIT企業の動きを振り返ると、これらの企業への「期待値」は非常に高いものだったとわかるし、それぞれに長い助走の期間を経て離陸するのだということが理解できる。市場での資金調達が必要なくなり、十分な運転資金を事業から確保できる段階に達したら、次のステップは、成長のための事業投資と併せて、株主への還元を積極的に考えるべきだ。マイクロソフトやAppleは、すでにそのステープに立っている。リターンを得た投資家は必ず次の投資を行なうものであり、その資金が有望な企業に回って成長するきっかけを生み出し、そのリターンがまた次の世代へ回る......という好循環を生み出すからだ。

    ・将来この国は、どうなっていくのだろうか。GDPは、もう四半世紀伸びていたい。成長なきところに、投資は起きない。投資家にとっては、成長性こそ最重要事項と言っても過言ではないからだ。成長とは,投資家にとっては将来のリターンであり、投資をする理由そのものだ。だから日本の株式市場はGDPと同様にこの四半世紀、成長してこなかった。上場企業の資本効率は世界的にみても低い水準のままだし、したがって評価も低い。日本市場は投資家にとって魅力的とはとても言い難く,投資の対象として厳しい状況にある。
    ・日本の株式市場の規模は、およそ5~6百兆円。アメリカの株式市場らの規模はおよそ二千兆円たから、日本の三~四倍の規模となっている。しかし上場している企業数は、いずれも二千数百社と大して変わらない。違うのは株価倍率(PBR)だ。日本のTOPIX企業の平均のPBRが1~1.3倍程度なのに対し、米国のS&P500のPBRは三倍弱となっている。これは純粋に、同じ規模の純資産を保有する企業であるにもかかわらず、日本企業の価値は株価に反映されていないということを意味している。日本の企業が将来的に、現在の資産以上の価値な生み出すと期待されていない、と言い換えることもできる。

    ・2014年に発表された「伊藤レポート」では、「企業と投資家、企業価値と株主価値を対立的に捉えることなく、「筋創(協調)」の成果として持続的な企業価値向上を目指すべき」という概念を示し、「中長期的にROE向上を目指す「日本型ROE経営」が必要」だとした上で、「8%を上回るROEを最低ラインとし、より高い水準な目指すべき」と、具体的に数値目標も掲げている。

    ・米国のS&P500企業の数値でみると、傾向として、毎年ほぼ利益の全購額を株主還元に回し、新規の事業への投資などは借入によって賄っている。こうして適度なレバレッジを掛け、自己資本を減らす効果は、ROEの向上のみにとどまらない。不要な手元資金をリリースする一方で、必要に応じて資金な銀行から借り入れれぱ、銀行は貸し出しを新規に行なえる。銀行に眠っくいる巨額の預金も、有効に活用されるのだ。銀行の貸付資金が長期で見ると減少傾向にある点を見ても、いかに資金が循環していないかがわかる。必要以上に内部留保な積み上げる理由が、私には全くわからない。

    ・企業の無借金経営は、倒産のリスクな避けられるし、金融機関の干渉も受けないから望ましい、などという考えはとんでもない間違いだ。資金循環を滞らせると同時に、負債活用度の数値な下げることになり、ROEを低くしてしまう要因となる。それであれば、自社株を購入して非上場企業にするべきである。

    ・日銀は、直接的に株式を保有でまないためETFを通じた投資となっくいるが、運用する証券会社を巻き込んで明確な議決権行使のルールを実施する。投資家として、より直接的に投資先企業へのメッセージを明確に伝え、日本という国が上場企業に対して何を期待しくいるのか、当事者間のみならず海外を含む市場参加者全員に伝わる環境を整えてほしい。

  • なんとはなしに悪い奴、とぐらいにしか思ってなかった村上ファンドの村上氏。
    なにを目指してきたか、ということが分かりやすく記されている。
    持って生まれた才能も、熱意も、環境も、全くかなわないということを感じつつも、目指すところには共感できるというのが、感想。
    騙されてるのかもしれないけど。

  • すごく面白かった。

  •  モノ言う株主で一世を風靡した作者が、表舞台から姿を消した今になって、言いたいことや言いたかったことを書いたと称する本である。
     確かに作者の主張が述べられており、それは多分正しいと思うのだが、どこか上滑りしている感がある。多くの著名なビジネスマンや会社が登場し、作者の名を高めた事件を振り返っても、その説明に終始しているようで何か新しいことが書かれている気がしない。
     唯一、最後のほうで家族のことに触れたところで、そんなことがあったのね、と初めて作者の心情の深いところに触れたように思った。どうも弁が立つせいか、なかなか信じきれないキャラクタの作者は、一皮向けるともっと面白くなると思う。作者は、そんなことで名を売るのは不本意かもしれないが、あと2-3作書いたらもっと良くなると思うけど、どうだろうか。
     

  • まさにコーポレートガバナンスの教科書的な内容だった。上場する意味、株主に対する考え方等全てが参考になる。娘さんが流産してしまったことには気の毒でならない。

  • 投資家として当たり前のことをしていたのだなぁと納得。ネットワークが凄い!

  •  村上ファンドで一躍有名になった村上世彰さんが、村上ファンド(M&Aコンサルティング)を通して成し遂げたかったことを語った本。旧通産省の官僚時代のことは詳しく書かれていなかったが、自分のライフワークとして取り組んでいた投資に対して詳しく語っている点で、村上さんの半生記的な側面がある。
     村上さんが逮捕されたときは、インサイダー取引が何かもよく分からないくらいだった。しかし、この本を通して彼がファンドマネージャーとして利益の追求だけでなく、コーポレートガバナンスの浸透にどれだけの熱意をかけていたかが分かった。
     正直、企業統治とかコーポレートガバナンスについてはあまりよく分からないが、日系の大手上場企業にはあまり企業価値向上の努力をしていない企業があり、それを態度を是正するために村上さんが取った行動はかなり理に適っているように感じた。ただ一方で、やり方が先進的過ぎたのと、発言や行動に自信が溢れすぎていたのが世間や裁判官の反感を呼んだとも感じる。
     ひとつ疑問に思うのは、理念追求型である程度資金が集まっていたのであれば、絶対的なリターンにしか興味がない外国人投資家からは資金を預からないという選択肢もあったのではないかという点だった。まぁ、それがなければ反感を買わなかったかは分からないが。

  • 村上ファンドの村上世彰氏。保守的な日本の株式市場に風穴を開けたのは間違いない。一方で歯に衣着せぬモノ言いから、彼が本当にやりたかったことは、センセーショナルに取り上げるメディアに依って霞んでしまったことも否めない。著者の子供の頃のエピソードは「なるほど」と思わせ、「モノ」の真価に対して、それが「高いのか」「安いのか」、例えば、お好み焼き屋で自分が出した金額に対して「お腹いっぱいになれるかどうか」、言うなれば関西風の合理的な考え方を彼が子供の頃より醸成させたんだろうということも感じ取れた面白い本でした。

  • 著者の考え方や性格がよく伝わってくる。時代より先に進みすぎて同調圧力の強い日本では上手く行かなかったが、考え方は素晴らしい。

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