生涯投資家

  • 392人登録
  • 4.29評価
    • (52)
    • (61)
    • (13)
    • (1)
    • (0)
  • 48レビュー
著者 : 村上世彰
  • 文藝春秋 (2017年6月21日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (276ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163906652

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
ベン・ホロウィッ...
ブラッド・ストー...
デール カーネギ...
國重 惇史
有効な右矢印 無効な右矢印

生涯投資家の感想・レビュー・書評

  • 一世を風靡した村上ファンドの代表村上世彰氏の著作。
    一冊を通じて村上氏が一貫して資本の論理に忠実に、合理的に動いていることが分かりますね。
    村上氏がスポイルされてしまったのは、狩猟民族的な欧米型思考方法が農耕民族である日本人に受け入れられなかったということなんでしょう。
    今後の氏の行動と、日本市場の行方について興味深いですね。

  • めちゃめちゃ面白かった。上場企業とはなんなのか?上場するとはなんなのか?を本質的にかつ経験を交えて語っている。「会社は誰のものなのか」という問いにはあまり意味はなくて、少なくとも上場しているのであれば、資本主義の論理の上で、どうやってやりたいこと(もちろん社会的に価値のあることという前提だが)を実現するのかを考える方向に進む方がよっぽど生産的。ただ、そのためにはゲームのルールを知る必要があるので、それを知るにはうってつけの一冊だと思う

    P11
    父はいつも「上がり始めたら買え。下がり始めたら売れ。一番安いところで買ったり、一番高いところで売れるものと思うな」と言っていた

    P158
    上場企業が買収されることをリスクと考えるなら、買収防衛策や持ち合いといった保身的な意味での対策を取るのではなく、コーポレート・ガバナンスを徹底し、企業価値の向上に注力することだ。それこそが、買収されるリスクを下げる有効な手段だ。株価の高い企業は乗っ取られない。それは世界の常識だ

    P179
    2003年9月には「旅の窓口」を運営していたマイトリップ・ネットを323億円で買収する。この発表の直後、三木谷氏から電話がかかってきた。「村上さん、もうお金はないですよ!」と知らせてくれる声は、とてもうれしそうだった。

    P234
    ガバナンスの効いていないところでは、必ず資金循環に滞りが生まれる。資金は循環しなければ、何も生み出さない。上場企業であれば非営利団体であれ、その仕組みは全く変わらない

  • メモ


    上がり始めたら買え、下がり始めたら売れ。一番安いところで買ったり、一番高いところでうれるものだと思うな。

    投資とは、将来的にリターンを生むであろうという期待をもとに、資金などをある対象にあてること。投資にはかならず何らかのリスクが伴う。しかし、投資案件の中には、リスクとリターンの関係が見合っていないものがあり、それを探しリターン>リスクとなる投資をするのが投資家。

    村上世彰の投資は徹底したバリュー投資。保有している資産に比して時価総額が低い企業に投資するという極めてシンプルな投資。こうした会社は、経営に問題を抱えていることが多く、株主の立場から働きかけて改善を試みると、ハゲタカと批判されてしまう。

    上場することでIRなど、必要な部署やコストがかかるため、株式発行による直接金融で資金を調達する必要がない企業は、上場を廃止して非上場になることを検討すべき。
    現預金をたくさん保有したり、財務状況がよく銀行からの借入余力のあるような投資先に対して、MBOして非上場化しようという提案を行うと、上場による信用力が無くなる、取引先との関係が維持できないなどの理由で断られることが多い。

    本来は投資家である株主が経営者を選ぶもの。企業が自らの事業計画を株主に説明し、株主はそれを吟味した上で経営者を選ぶのが資本主義の原則。会社法もこれを前提に定められている。
    声をあげなかった株主にも責任はあるが、日本における株主は物を言わない、顔が見えない存在であり、銀行の顔色は伺うが、株主を重視する姿勢はない。

    投資家と経営者では、必要な能力や資質が全く違う。投資家は、リスクとリターンに応じて資金を出し、会社が機能しているかを外部から監視する。経営者は投資家に対して事業計画を説明し、社内の人材や取引先などをマネジメントして最大限のリターンを出す。

    ROE(Return on Rquity)は、投資した金額に対して利益がどの程度生まれるかを示す。すなわち、当期純利益/純資産という式で算出できる。投資家にとっては、自らの投資したお金がどれだけ効率的に利益を生んでいるかを知る指標。
    企業がROEを高めるためには、当期純利益を高めるか、純資産を減らすかしかない。投資家はROEの改善を求めるが、経営者は安定経営のために手元に資金を確保したい考えが強い。それが純資産の過剰な増大につながるため、日本は米国に比べROEが著しく低い。

    余剰資金を貯めこむのではなく、より高い利益を求めて積極的に投資に回すか、投資の機会がなければ投資家に還元すべき。投資家は経営陣に対して、銀行預金で僅かな金利収入を得ることを求めていない。投資家はその資金を、成長のために資金を必要とする別の企業に投資する。そうしてお金が循環し、経済がまわっていく。

    ROEのグローバル水準は8%。

















  • かつて村上ファンドで世間を騒がせた村上氏が、自身の投資に対する信念を紹介しながら、過去の出来事を振り返った1冊。面白いし、投資、市場、経営の勉強になります。

    日本の市場でしっかりと資金を循環させるためにコーポ―レートガバナンスを実現することが彼の目指してきたことだそうです。1990年代~2000年代前半の日本市場は、今よりももっと閉鎖的で、大企業間の株式の持ち合いが多かった中で、当時の彼の行動は正直なところかなり奇異に感じられました。(ライブドアの堀江氏と行動が重なったために、強烈なイメージが倍増したこともある)しかし、東京スタイル、ニッポン放送/フジテレビ、阪神電鉄に対する物言う株主としての言動は、コーポレートガバナンスの実現を目指した戦いだったと説明されると、かなりの納得感があり、正論をかざして戦った彼のパワーに敬服もしてしまいます。

    当時からはかなり変わったとはいえ、まだまだ日本企業の経営や、それに対するマスコミの論調には、古き良き高度成長期へのノスタルジーを感じさせるものが見受けられるように感じます。第一線からは引退という村上氏ですが、彼の知見が受け入れられ、活かされるのはこれからではないでしょうか。本書をきっかけに、まだまだ発言を続けていただきたいと願います。

  • おもしろくて一気に読める。

    コーポレート・ガバナンスの重要性
    上場の意義とメリット
    逆に無意味、無目的な上場が実在していること
    投資のおもしろさ
    保守層を動かすことの難しさ

    を学べた。

  • 当時大学生だった自分に経済と金融に興味を持たせたのは堀江さんと村上さんだった。
    村上ファンドの行動に時代が追いついていなかったのは間違いなく、当時の日本には刺激が強すぎたのだろうがそんな日本にその後に続く風穴を開けたのは間違いない。
    にしても手金での投資はファンドのプレッシャーから解放されて楽しそうに感じるなー。

    もっと若かりし頃、個人的に村上家にちょっとした繋がりがあったことはまた別の話、、、笑

  • 官僚から「もの言う投資家」に転身し、一世風靡したファンド運営者の著者が半生を振り返っている。全盛期の頃の著者の講演を実際に聴いたことがあるが、その頃から主張は一貫している。株式会社の使われていない資金を循環させることが、日本をよくすると信じて行動してきた。その信念の実現のためには、人間関係が壊れることも辞さず摩擦を恐れなかったことには清々しささえ感じる。世の中を変えようとした努力が評価されなかったのは、汗水たらさず投資で莫大な利益を得ることへの嫌悪感が日本人にあることが理由の一つだろう。一方で、その信念は100%なのかと思うこともある。全般を通じては、著者の行動力と豊かな人間関係には改めて驚愕した。

  • 官僚から投資家として世間を賑わせた村上世彰氏の今までの投資家としての道程と日本市場への提言や自身の信念などを書いた一冊。

    東京スタイルのプロキシーファイト、フジテレビとニッポン放送や西武・阪神など鉄道会社との出来事や自身と交流のある方々とのエピソードやコーポレートガバナンスについてなど投資家として株式市場や経営を第一線で見てきた氏の相場観や経営者論は非常に参考になりました。そのなかでも取締役選任の累積投票制度は画期的だと感じました。

    今、コーポレートガバナンスやスチュワードシップコードなど氏が提唱してきた上場企業の株主目線での経営が日本でも盛り上がりの機運が高まってきており、氏の活動に時代が追いついていたということを感じるとともにこの国の未来の経済成長において内部留保するのではなく、資金を循環させ経済を発展させるという目的を持って氏が様々な活動をされていたことも知りました。
    そして2006年の逮捕から約10年間の氏の活動、そして想いも知ることができ、今後氏が行おうとしている投資教育の分野でも活躍を期待したくなる一冊でした。

  • この本を読むことで今までの村上世彰氏に対するイメージが180度変わる。
    そして今世間を騒がせている加計学園"問題"と同じで、いかにマスコミが印象操作を行なっているかが思い知らされる。
    村上世彰氏の投資に対するイメージ熱い思いと、世間からのバッシングによる悔しい思いが文章に滲み出ている。
    そしてあとがきではショッキングな内容が明かされる。それでもこうして本を出版されたことに敬意を表したい。

  • [物言いの物言い]ニッポン放送をめぐるインサイダー取引の容疑で2006年に逮捕された村上世彰。「物言う株主」として注目と批難の嵐を集めた男が,自身の歩みを振り返りながら,投資家とは何か,日本企業に欠けている理念と視点とは何かについて語り尽くした作品です。

    本年の暫定ベスト。ノンフィクション,自伝,そして学術書の良いところを全て凝縮したような仕上がりになっており,とにかく抜群に面白い。本書が出た後も村上氏の考え方には賛成・反対が出てくると思いますが,間違いなく同氏の位相を変化させる一冊になったと思います。この本を元手にいろいろと議論が進みそうな作品です。

    〜「意義や必要性はわからないが,とりあえずステータスとして上場していたい。でも,自分が嫌いな相手には株を持ってほしくない」という姿勢は,上場企業として通用しない。〜

    人の話を直接聞くことの重要性を再認識☆5つ

  • 文藝春秋2016年3月号と文藝春秋2017年7月号の池上彰さんと村上世彰さんの対談を読んだことがきっかけで、この本を買った。
    「期待値」と「コーポレートガバナンス」と村上世彰さんの個人的なこと(ひたすら「考える」時間を過ごしていること、「出汁」に対するこだわり)を興味深く読んだ。

  • 経営者、投資家、株価そしてコーポレート・ガバナンスへのこだわり。村上ファンドが何を目指してたのかを読めるのはとても興味深かった。

  • 村上ファンドの責任者で、フジテレビをめぐるニッポン放送株取得、阪神鉄道株取得などでマスコミに取り上げられた村上世彰氏と言えば、ほとんどの人がご存知かと思います。それら一連の騒動を通して村上氏が何を考えて行動しておられたのかをご自分の言葉で語る自叙伝的な本です。
    当時のマスコミ報道から受ける印象としては「株式売買でがめつく稼ぐことだけに執着する人」みたいなマイナスイメージが大半だったのでは。この本を通じて感じるのは村上氏がアメリカ市場に比べて閉鎖的だった日本の株式市場を何とか改善しようと最初はルール作りの官僚として、次にプレーヤーの投資家として働きかけてこられた様子です。
    ただ儲けるだけを目的に手段を選ばず投資するのではなく、企業をあるべき姿に近づけるための働きかけというルールを設けた中での行動であったという首尾一貫した主張は理解できます。
    ただ、私は未だに「企業は株主の物」、「株主利益の最大化が企業の目的」と言い切るには何かしっくりこない部分が残っています(それが正しいかどうかは分かりませんが)。
    当時の村上氏の話し方が結構高圧的で主張の内容云々に関係なく反感を買ったのはご本人も認めておられますが、本書は村上氏の言いたい事が”冷静に”まとめてある本だと感じました。ただ、その主張に共感できるかどうかは読者によって異なると思います。

  • 投資家なら知らぬ人は居ない、また「村上ファンド」と言う言葉を知っている人も多いと思いますが、一般的には良いイメージを持っている人が少ないと思います。今回、本人が当時の出来事とその投資家故の考え方を記していますが、そこは本来の氏の姿とイメージの乖離が大きくあり、読む毎に本当の姿が知りえる感じです。

  • 多くの投資家は、リターンが0円になる可能性がある程度高い(例えば20%)高いと投資しないが、自分は全て「期待値」で判断する。期待値を的確に判断するには、投資対象の経営者の資質の見極め、世の中の状況の見極め、経験に基づく勘など、様々な要素が含まれる。まずは現場における「期待値」を導き出し、その「期待値」を少しでも上げるために、外部要因や将来予測などを冷静に見極めながら、様々な戦略を立てていくのである。

    「期待値」のほか、投資判断を行うにあたって重要視している指標がIRR(内部収益率)。手堅く見積もっても、IRRの数字が15%以上であることが基準となる。資金循環こそが将来のお金を生み出す原動力。企業がその投資資金によって新たな資金を生み出し、加速度的に事業を大きくしていくことができるかどうかを、相手の商慣習や国ごとの政治的なリスクも踏まえて見極める。

    「期待値」とIRRにリスクの査定を加味した3点から、投資するか否かの最終的な判断を行う。リスクを査定する際には、定量的な分析よりも定性的な分析が重要なポイントとなる。数字や市長の判断よりも、経営者やビジネスパートナーの性格や特徴をつかむことだ。

  • 控え目に、控え目に書いているように見えて文章から実はドロドロしてる&きつい性格であることを隠してる感がありありとわかってしまう感じだった。

    だが、面白い。

  • スタートアップ界隈で最近話題な本、らしい。

    理解できたのは4割くらい。日本にはとても残念な企業(特に古い企業とか大企業とか)がたくさんあるんだろうなぁと思った。村上さんの信念に触れられたのは良かった。信念があり、何かをなした・なそうとした人の話を知るのは非常に面白い。

    以下所感。
    読んでいて確かにとは感じるものの、まったくすべてが腑に落ちたわけではなかった。

    腑に落ちなかったポイントは、「株式価値を最大化するのが企業の使命」というところ。

    村上さんの考えの大筋は、
    ・株式価値を最大化するのが企業の使命。
    ・日本の企業は株主を軽視しすぎ。
    ・その状況を正すためにコーポレートガバナンス向上。

    というもので、たしかにそう。だけどなんかしっくりこない。

    株式価値の最大化が企業の使命、なのだろうか。

    もやもやしてまとまらないが、本を読む限り、
    株主へ金をリターンするのが企業の目的、
    金を増やすのが投資家の仕事、
    というような感じを受ける。もやもや。

    企業の存在意義は、第一に事業を通じて社会に貢献することであって、利益はその対価であり証拠であり、次の貢献への原資。

    投資家の役割も、企業の社会貢献の資金面のサポートであり、リターンは、企業が社会に貢献するための資金的サポートをした対価。

    企業も、投資家も、理想は、社会貢献が第一義的使命であり、利益(・株式価値増加)は二次的なものであるはず。なのに、利益や株式価値がなにより大事。いう風な感じを本書から受け取ってしまった。

    いや、確かに、株式価値を最大化することは、基本的に利益をしっかり出すこと(もしくは将来的に出すという期待感があること)であって、利益がでる = 社会に貢献している証、なので、株式価値を最大化することが企業の使命といえばそうなんだけど、このもやもやかんは何なんだろう。

    もう少し色々学んで誰かと話したい!!!

  • インサイダー取引で逮捕された村上世彰氏が何を目指したのかが書いてある本。出る杭は打たれる。当時、時代が村上氏について行けてなかったのだと思う。

  • これも超面白い。一つにはあの当時の裏話を結構正直に書かれている。(しかしまだ書かれてないことも山のようにあると思われる。一冊限りと言っているけど次作に期待) そしてコーポレートガバナンスコードなど、彼に時代が追いついて来た面もある中で、まとまった主張が読めたのも良い。基本的に妥当なことを言っているし、なぜ彼がわざわざ日本のためにそこまで、というのは、彼自身の利得と方向性が一致するからということを割り引いても、思う。

全48件中 26 - 48件を表示

生涯投資家のKindle版

ツイートする