コンプレックス文化論

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著者 : 武田砂鉄
  • 文藝春秋 (2017年7月14日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (303ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163906829

コンプレックス文化論の感想・レビュー・書評

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  • 「早くに母親が離婚して新しい男に有り金を貢いで私は明日のごはんにも困るくらいだったけどそこから這い上がった歌手」と、「親が金持ちで何不自由なく中高一貫の優秀校に通っていたらお父さんが文化祭に知り合いのプロデューサーを連れてきて目にとまった歌手」、このどっちの音楽を聞きたいかといえば、多くの人は前者だと答えるはず。(「第5回 親が金持ち」)
    思わず吹き出しました。
    しかし、当人(後者ね)にとっては、笑いごとではないかもしれません。
    親が金持ち。
    結構なことではないかと、良くも悪くも中庸の家庭に育った私などは思うわけですが、これはこれでコンプレックスらしいのですね。
    たとえば、冒頭の例です。
    前者か後者のどちらの音楽が優れているかは、本来、それぞれの出自や来歴とは全く関係ないはず。
    しかし、世間はそうは見ません。
    私だって、どっちの音楽を聞きたいかと問われれば、迷わず前者と答えますもん。
    音楽だけでなく、「親が金持ち」の人は、あらゆる場面で、「親が金持ち」であることがひも付けされる宿命を負っています。
    勉強ができるのは、「親が金持ち」だから。
    スポーツが得意なのは、「親が金持ち」だから。
    料理が上手なのは、「親が金持ち」だから。
    禁煙できたのは、「親が金持ち」だから。
    注文したパンケーキが早く来たのは、「親が金持ち」だから。
    成功できたのは、「親が金持ち」だから。
    逆に、つまずいてしまったのは、「親が金持ち」だから。
    これはこれでしんどいだろうな、と思う。
    しかし、世間から寄せられるのは、大半が妬み嫉み。
    ことほどさように、当人が抱えているコンプレックスというのは、外からはうかがい知れないものらしいのです。
    本書は、気鋭のライター武田砂鉄さん(ファンです)が、世の中の代表的なコンプレックスを俎上に載せて、うだうだと考察したもの。
    コンプレックスは、「親が金持ち」のほか、「天然パーマ」「下戸」「解雇」「一重」「セーラー服」「遅刻」実家暮らし」「背が低い」「ハゲ」の全部で10個。
    かつ、それぞれのコンプレックスを抱えた著名人に果敢にインタビューし、コンプレックスの正体と被害の実相を明らかにしていきます。
    いや、実に面白い。
    コンプレックスは文化であることが、よく分かりましたよ。

  • 天パについて、本当に真剣に考察してて、読み始めからおもしろい。笑

    武田砂鉄の本は文章はフランクだし、「この人今真面目な顔して面白いこと、言ってんな」って思わせちゃう文章なんだけど、中身が本当に細かいとこまで調べてたり考察したりしてるから、ただの軽いノリの本ではない。

    天パ、チビ、ハゲ、遅刻グセ、親が金持ち、実家暮らし、一重、下戸。

  • 武田砂鉄『コンプレックス文化論』
    天パー、下戸、解雇、一重、親が金持ち… コンプレックスがあったからこそ生まれたものの論考とその当事者たちへのインタビュー。
    抱えたコンプレックスはちがっていても、同調やありきたりな解決との距離のとりかた、表現するものへの正直さと優先度の高さが似ていたところが面白かった。
    泰平さんの「実家暮らし」と中村佑介さんの「セーラー服」がハイライト。

  • 意表を突く「文化論」
    相変わらず、冴えています
    武田砂鉄さん
    「コンプレックス」をキーワードに
    縦横無尽の論旨の展開が興味深い

    趣としては
    「路上観察学会」の雰囲気ですね

    読み進めていくうちに
    どんなことがあっても
    なんとか なるだろう
    という気分に
    させてもらえます

  • 天然パーマ、下戸、一重、遅刻、実家暮らし、背が低い、ハゲなど他人に理解できない、同情されるコンプレックスを持つ当事者へのインタビューと著者の見解からコンプレックスを考える。当事者が特別に思えるのは自らを常人と思いたいからだろうか。‬

  • <目次>
    はじめに
    第1章  天然パーマ
    第2章  下戸
    第3章  解雇
    第4章  一重
    第5章  親が金持ち
    第6章  セーラー服
    第7章  遅刻
    第8章  実家暮らし
    第9章  背が低い
    第10章  ハゲ

    <内容>
    そのことが本人のコンプレックスになっていること(第5~8章までは微妙な気がするが…)を該当人物へのインタビューを軸に、武田さんがぶんせきしていくもの。「CINRA.NET」に掲載したものを大幅に改筆したらしい。
    内容的にはわからないでもない。そこまでかな?
    あと、武田さんの音楽好きがよくわかった。

  • 一つ一つ、よく調べていますね、よくあるコンプレックスをこんなにも深く描かれたものを読むのは初めてです。砕けすぎずに。また、インタビューに出てきた人たちは、うまいように個性と付き合い(自分をより理解してうまいように適用させて)しっかりと歩んで文化を作っている人たちなんだなあと、味わい深い人たちね。濃い内容でした。

  • 週刊誌の広告でみて面白そうだと思って購入したのだが期待とは少しずれていた。

    素直にコンプレックスを扱った内容というより、どこかサブカル受けを狙った書き方というか、あまりコンプレックスに対する悩みの切実さが伝わってこなかった。

    息抜きに読むならばいいと思うが悩みの解消にはならなかったな。

  • 親が金持ちの女性のインタビューが、最高に面白かった。

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コンプレックス文化論の作品紹介

ミュージシャン、俳優、小説家、芸術家、デザイナー……カルチャーを生み出す当人は、なぜ、その表現活動を始めたのか。「それしかできることがなかったのさ」と気取ったり、「モテるためかな」とはにかんだりするかもしれない。しかしその本当の理由は、自分自身のコンプレックスに潜んでいるのではないか?「コンプレックスが文化を形成してきたのでは」と仮説を立てた著者が、コンプレックスに向き合って、数々の文献を読み解きながらしつこく考察した評論集。その仮説を裏付けるべく、コンプレックスを「キャラ」や「欲」に変えて活躍しているミュージシャンやアーティストなど10名へのインタビューも収録。天然パーマ、背が低い、下戸、ハゲ、一重(ひとえ)、遅刻、実家暮らし、親が金持ち ……だから生まれたものがある!第1回「天然パーマ」ミュージシャン 有馬和樹(おとぎ話)第2回「下戸」ミュージシャン 澤部渡(スカート)第3回「解雇」ハイパー・メディア・フリーター 黒田勇樹第4回「一重(ひとえ)」アイドル 朝倉みずほ(BELLRING少女ハート)第5回「親が金持ち」クイズ女王、昆虫好きの現役慶応大生 篠原かをり第6回「セーラー服」イラストレーター 中村佑介第7回「遅刻」デザイナー・ソラミミスト 安齋肇第8回「実家暮らし」現代美術家 泰平第9回「背が低い」ミュージシャン 鈴木圭介(フラワーカンパニーズ)第10回「ハゲ」臨床心理士 矢幡洋

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