かくて行動経済学は生まれり

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制作 : Michael Lewis  渡会 圭子 
  • 文藝春秋 (2017年7月14日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (429ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163906836

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かくて行動経済学は生まれりの感想・レビュー・書評

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  • なぜファクタ阿部がいる…というのは置いておいてもちょっとマイケルルイスにしては散漫な印象。直接の取材が限られるからか、あまり内面に踏み込んでこない。章が変わると主人公をごろっと変えるスタイルも上手くハマってこなかった感。うーん…

  • エイモス・トラベルスキーとダニエル・カーネマンの価値観や二人の人間関係が綴られていて、読み物として面白かったが、もう少し、行動経済学の具体的な話が多いと良かった。

  •  邦題とは異なり、行動経済学の本ではない。人間の認知のゆがみに光を当てて新世界を作り出した2人のイスラエル人心理学者の評伝だ。
     迫害を逃れてフランスからイスラエルにわたったダニエルは、神を信じず、人間を信じず、自分を信じない人間になった。生粋のイスラエル人で天才肌のエイモスと出会い、人間の判断と意思決定のしくみについて二人でアイデアを出し合い、濃密な10年間を過ごし、世界に新しい扉をつくった。ところが共同研究に対する賞賛は、エイモス一人に集中。じょじょに二人の関係はほころびを見せる。学会からの攻撃に立ち向かった共同研究を最後に二人は袂を分かつのだが……。
     研究成果はストーリーのなかに組み込まれている。メインとなっているのはあくまでも二人の友情と別れであり、本書の価値もまたその「物語」にある。

  • 行動経済学のリチャード・セイラーがノーベル経済学賞というニュースが飛び込んできた。
    オレの本棚を見返してみると、
    リチャード・セイラーの『実践行動経済学』も
    サンスティーンの『選択しないという選択』も
    並んではいるけれど、ぜんぜん内容が理解できてなくて、★か★★の評価になってた。
    特にサンスティーンの本は、文章ばかりがダラダラ続き、具体的な指標やデータも殆ど無いので、ワケが分からず、呆れて投げ出した始末だ。

    サンスティーンが『サイエンス』に掲載されたセイラーの『消費者の選択の実証的理論を目指して(人がしでかすマヌケなこと)』や、ダニエスとエイモスの論文、プロスペクト理論について読んだ時、理解するのが難しかったp.399と率直に述べているのは、彼が書いた本を読めば、そうだろうなーって実感できる。要するに、弁護士の文系の脳では、理解できないレベルの話だ。

    セイラーの『行動経済学の逆襲』を図書館に予約して、今、待ってるとこなんだけど、本が届くまで、すでに借りていたこの本を読んでいる。

    マイケル・ルイスはノンフィクション作家で、その作品は映画化もされてる。

    リチャード・セイラーが「映画に出演してアカデミー賞は逃したけど、ノーベル経済学賞は取れたよ」みたいな冗談を言ってたけど。
    セイラーが本人役で出演した映画『マネー・ショート 華麗なる大逆転』の原作『世紀の空売り 世界経済の破綻に賭けた男たち』を書いたのが、このマイケル・ルイスだ。

    398
    ダニエルとエイモスの議論は、法律や社会政策の分野に波及し始めた。
    心理学が経済学を通して他の領域に入り込んでいく。

    リチャード・セイラーがそれを「行動経済学」と名づけた。
    プロスペクト理論は発表されてから10年間は引用されることがメッタになかったが、2010年には経済学の論文で2番目に多く引用されていた。

    2016年には経済学の論文で10本に1本は、行動経済学の視点が含まれていた。
    セイラーが米国経済学会の会長を退いた時期だ。

    セイラーが声をあげたとき、キャス・サンスティーンは、シカゴ大学の若い法律学教授だった。
    セイラーが『消費者の選択の実証的理論を目指して』を発表したとき、サンスティーンは、『サイエンス』に掲載されたダニエスとエイモンスの判断ついての論文と「プロスペクト理論」について読んだ。「弁護士にとってはどちらも難しかった。一度読んだだけでは分からなかった」と述べている。だろうな。サンスティーンの書いた本を読んだけど、とても行動経済学を理解できるような理系の脳を持った人とは思えなかったもん。

    400
    サンスティーンが特に興味を持ったのは「選択アーキテクチャ」と呼ばれるものだ。
    サンスティーンがオバマ大統領に招かれてホワイトハウスで働くようになってから、連邦政府は損失回避とフレーミング効果に敏感になっている。
    サンスティーンは、政府には経済諮問委員会とともに、心理学諮問委員会が必要だと主張した。

    168
    その頃、社会科学で一番信じられていた理論は、人間は合理的に行動するということだった。

    178
    統計学者でさえも、わずかな証拠から一気に結論へと飛びついてしまう

    184
    人の直感的な予測を支配しているのは、世界についての一貫した間違った見方である

    185
    脳は記憶に騙される

    221
    歴史研究家は偶然に過ぎない出来事の数々に、つじつまのあった物語をあてはめてきた。それは、結果を知ってから過去が予測可能だったと思い込む「後知恵バイアス」のせいだ。

    239
    北米大陸では、自動車事故よりも多くの人が、医療事故で命を落としていた。
    医師の直感的判断が医療事故を引き起こす。
    247
    医師は同じ病気の患者に全く違う診断をくだす
    250
    人間は命にかかわるリスク判断すらうまくできない

    269
    人は効用を最大化するように行動する。
    この期待効用理論は、経済学の大前提であるが、これでは、人が宝くじを買う理由すら説明できない。
    ダニエルとエイモスは、心理学の知見から新たな理論を提唱した。
    290
    期待効用理論では、人の意思決定を予測できない。

    292
    ダニエルはエイモスの書いた教科書を、火星語で書かれた料理の本を読むように読んだ。読むというより解読だ。ずっと前から応用数学の才能がないことには気づいていたが、数学の論理を王ことはできた。
    ・・・・
    ダニエルもまた、社会科学における数学の威光の高まりから逃れる事はできなかった。

    293
    モーリス・アレは、特にフォン・ノイマンとモルゲンシュテルンが独自の理論を構築して以来、人間の行動の数学モデルが、人の選択行動についての正しい説明として扱われることには不満を持っていた。
    1953年の経済学者が集まるある会議で、アレは期待効用理論への決定的な反論を行った。

    296
    人は効用を最大化するのではなく、後悔を最小にしようとする

    327
    経済学者が連絡をとるのは、常にエイモスだった。
    エイモスは経済学者と似た論理的な頭脳の持ち主で、彼らはエイモスが天才であることがすぐに分かった。
    一方、ほとんどの経済学者にとってダニエルの頭は不可解だった。


    主流派の経済学者は伝統的に
    「人間は経済合理性にもとづいて行動する」
    という前提のもとに経済理論を組み立ててきた。

    でも、現実には、人は様々な非合理な行動をとる。
    経済学の、この前提が、どう考えても、怪しいということは、以前から、多くの経済学者も指摘してきたし、素人が普通に考えても、分かることだよね。

    プリンストン大学の心理学者ダニエル・カーネマンとスタンフォード大学の故エイモス・トベルスキーによって創始された行動経済学の研究者たちは、人間が経済合理性から逸脱する実例を次々と明らかにした。

    消費者はなぜ非合理な行動をとるのか?
    日本人の大好きな血液型占いや、毎朝の星座占い、星占い、右脳左脳の話。
    あるいは中国人の大好きな風水。
    この現代においてさえ、バカげた迷信が山盛りなんだから、そりゃー脳は誤作動するだろうし、消費行動においても様々な不合理なこだわりがあって、消費者は効用最大化する合理的な行動をとらない。

  • 従来の経済学(人間は合理的な判断・行動をすることが前提になっている)の理論をぶっ壊したのが行動経済学。その行動経済学の父と呼べるのが本書の主役カーネマンとトヴェルスキーの二人。その二人の生い立ちや交流、そして理論が生まれた経緯などが描かれているのが本書である。伝記やノンフィクションものといった感じの内容なので、行動経済学の教科書として考えている人には当然お勧めできない。行動経済学についてある程度知識のある人、特にカーネマンやトヴェルスキーの本や論文を読んで興味を持った人であればある程度は楽しめるだろう。しかし、全体的にまとが絞れていないことや調査不足(トヴェルスキーは故人なので取材できない。また、おそらくカーネマンへの取材もそれほど充実したものではなかったと推測できる)のためか読後の満足度はそれほど高くなかった。読んで損をするわけではないけど、同じように時間とお金をかけるのであれば、カーネマンの「ファスト&スロー」などを読んだ方が良さそうだ。

  • 最終回の放送

  •  マイケルルイスのこの最新作が、心理学と経済学が融合した行動経済学の成り立ちを描いたものであることが、既刊作のようにその時の話題から切り出したものではないことに驚いた人は多い。
     それでも、そんな驚きは杞憂だった。今まで以上に、対象に興味を抱かせるパワーがあるのだ。それはその対象の魅力によるものだが、それを見出したのは著者の力だろう。といっても、対象者はノーベル賞を受賞しているほどの人だが、それでも業績や内容は一般には知られていない。それを対象者の人物の魅力とともに紹介してくれる。
     本書を読んで、心理学に初めて興味をもった。この本の主題であるプロスペクト理論とか、もう少し勉強してみようと思う。本書で紹介された限り、それは自分にもあてはまっていたからだ。

  • ダニエル・カーネマンやエイモス・トヴァルスキーについて、今まで余り語られて来なかったエピソードが豊富。(第二次大戦の少年時代、中東戦争の青年時代など)

  • マイケル・ルイスの最新作は行動経済学を生んだカーネマンとトヴァルスキーが主人公。
    二人の葛藤、特にカーネマンの嫉妬と思える感情。著名な教授となってからもイスラエルが戦争に巻き込まると当然にように一線に立つ描写など、さすがと思わせる。
    しかし、行動経済学の本はこれまでも読んできただけに、ルイスの前作までのような驚きは感じられなかった。

  • 現代ビジネス(2017.7.15)
    渡会圭子「全米で初版50万部!マイケル・ルイスの新作、主役は二人の心理学者『かくて行動経済学は生まれり』秘話」
    http://gendai.ismedia.jp/articles/-/52304

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かくて行動経済学は生まれりの作品紹介

データ分析を武器に、貧乏球団を常勝軍団に作り変えたオークランド・アスレチックスGMを描いた『マネー・ボール』は、スポーツ界やビジネス界に「データ革命」を巻き起こした。刊行後、同書には数多くの反響が寄せられたが、その中である1つの批判的な書評が著者の目に止まった。「専門家の判断がなぜ彼らの頭の中で歪められてしまうのか。それは何年も前に2人の心理学者によって既に説明されている。それをこの著者は知らないのか」この指摘に衝撃を受けたマイケル・ルイスは、その2人のユダヤ人心理学者、ダニエル・カーネマンとエイモス・トヴェルスキーの足跡を追いはじめた――。〈目次〉■序 章 見落としていた物語野球界にはびこるさまざまなバイアスと、それを逆手にとった貧乏球団のGMを描いた『マネー・ボール』。その刊行後、わたしはある批判的な書評を目にした。「著者は、野球選手の市場がなぜ非効率的なのか、もっと深い理由があることを知らないようだ」。その記事には2人の心理学者の名前が挙げられていた。■第1章 専門家はなぜ判断を誤るのか?あるNBAチームのGMは、スカウトの直感に不信感を抱いていた。彼らは自分にとって都合の良い証拠ばかりを集める「確証バイアス」に陥っていたのだ。彼らの頭の中では、いったい何が起きているのか。それは、かつてダニエル・カーネマンとエイモス・トヴェルスキーが直面し、解き明かした問題だった。■第2章 ダニエル・カーネマンは信用しないナチスからの過酷な逃亡生活を経たダニエルは、終戦後、独立戦争さなかのイスラエルに向かった。戦争中の体験から「人の頭の中」に強い興味を抱いた彼は、軍の心理学部隊に配属される。そこで課せられたのは、国家の軍事力を高めるべく、新人兵士の適性を正確に見抜く方法を作成せよという難問だった。■第3章 エイモス・トヴェルスキーは発見する高校卒業後、イスラエル軍の落下傘部隊に志願したエイモス。闘士として戦場を駆け回った彼は、創設直後のヘブライ大学心理学部に入学する。「CよりB、BよりAが好きな人は、必ずCよりAが好き」という人間像を前提とした既存の経済理論に疑問を持った彼は、刑務所の囚人を集めてある実験を行なった。■第4章 無意識の世界を可視化する人間の脳は無意識のうちにどんな働きをしているのか。その研究にとりかかったダニエルはやがて視覚に辿り着く。人の瞳孔は、好ましいものを見ると大きくなり、不快なものを見ると小さくなる。そしてその変化のスピードは、人が自分の好みを意識するより早かった。彼は、目から人の頭の中をのぞき始めた。■第5章 直感は間違える「人の直感は、統計的に正しい答えを導き出す」。長らく信じられてきたその通説を打ち破ったのは、ヘブライ大学で出会ったダニエルとエイモスの二人だった。たとえ統計学者でも、その直感に頼った判断はいとも簡単に間違うことを証明した二人の共同論文は、それまでの社会科学に反旗を翻すものだった。■第6章 脳は記憶にだまされる専門家の複雑な思考を解明するため、オレゴン研究所の心理学者たちは医師に簡単な質問をして、ごく単純なアルゴリズムを作成した。だが、手始めに作られたその「未完成のモデル」は、どの有能な医師よりも正確にがんの診断を下せる「最高の医師」になってしまった。いったいなぜそんなことが起きたのか?■第7章 人はストーリーを求める歴史研究家は偶然にすぎない出来事の数々に、辻褄のあった物語をあてはめてきた。それは、結果を知ってから過去が予測可能だったと思い込む「後知恵バイアス」のせいだ。スポーツの試合や選挙結果に対しても、人の脳は過去の事実を組み立て直し、それが当たり前だったかのような筋書きを勝手に作り出す。■第8章 まず医療の現場が注目した北米大陸では、自動車事故よりも多くの人が、医療事故で命を落としていた。医師の直感的な判断に大きな不信感が漂う中、医学界はダニエルとエイモスの研究に注目。医師の協力者を得た二人は、バイアスの研究を次々と医療に応用し始める。そしてダニエルは、患者の「苦痛の記憶の書き換え」に成功する。■第9章 そして経済学も「人は効用を最大にするように行動する」。この期待効用理論は、経済学の大前提として広く受け入れられてきた。だがそれでは、人が宝くじを買う理由すら説明できない。その矛盾に気づいたダニエルとエイモスは、心理学の知見から新たな理論を提唱する。その鍵となったのは、効用ではなく「後悔」だった。■第10章 説明のしかたで選択は変わる六百人中、二百人が助かる治療法と、四百人が死ぬ治療法。この二つの選択肢はまったく同じ意味であるにもかかわらず、人はその説明の違いに応じて異なる反応を見せる。ダニエルとエイモスが見つけたこの「プロスペクト理論」は、合理的な人間像を掲げてきた既存の経済学を、根底から揺るがすことになる。■第11章 終わりの始まり共同研究に対する賞賛は、エイモス一人に集中した。その状況に対し、徐々に妬ましさを感じ始めたダニエルは、エイモス抜きで新たな研究に取り掛かる。人が「もう一つの現実」を想像するときのバイアスに注目したそのプロジェクトが進行するなか、十年間に及ぶ二人の友情の物語は終焉へと近づいていく。■第12章 最後の共同研究ダニエルとエイモスの格差は広がる一方だった。そんな中、かつての指導教官をはじめ、彼らの研究は各方面からの攻撃に曝される。その反撃のため二人は再び手を組むも、ダニエルはその途中でエイモスと縁を切る決意を固める。二人の関係が終わったその直後、エイモスは医師から余命六か月と宣告される。■終 章 そして行動経済学は生まれた脳には限界があり、人の注意力には穴がある。ダニエルとエイモスが切り拓いたその新たな人間像をもとに、「行動経済学」は生まれた。エイモスの死後、その権威となったダニエルは、ノーベル経済学賞の候補者に選ばれる。発表当日、一人連絡を待つダニエルの胸には、エイモスへのさまざまな思いがよぎる。■解 説 「ポスト真実」のキメラ 月刊誌『FACTA』主筆 阿部重夫

かくて行動経済学は生まれりはこんな本です

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